魔法少女リリカルなのはStrikerS〜二次創作〜 第8話 「戦闘!機動六課より」 |
「ついに・・・来てしまった・・・」
目の前にそびえ立つのは、何を隠そう機動六課
市民の平和を守る部隊が所属するもはや正義そのもの
しかしどうだろう
俺にとっては地獄の門にしか見えないのだ
誰だって初めて行った場所で死ぬ気で追いかけ回されたら トラウマどころか二度と近づく気すら起きなくなってしま う
だけど今はそれでもやらなければならないのだ
「・・・上手くいってくれよ・・・」
そうして俺は玄関の扉に手をかける
どうなるかはわからないがやってみよう
?機動六課内?
「ふう・・・よし、いいぞ」
俺は自分でもビックリするほどの巧みな潜入スキルで廊下 を突破し食堂へとたどり着いた
あとはシャムに会うだけだ
「シ・・・シャム・・・?」
いつ見つかっても逃げられるように俺はゆっくりと食堂に 入った
「あ、ダン!こっちこっち!」
案の定、食堂にはシャムしかいなかった
「あーよかった、無事会えた」
「随分と大変だったんだね」
シャムに背中を擦られながら俺はテーブルへと座った
「で、これ?」
俺は懐から書類が入った封筒を取り出した
どうやらビンゴだったみたいだ
シャムは満面の笑みを浮かべ俺から書類を受け取った
「うん!これこれ!ありがとうダン!」
シャムは嬉しそうに書類を抱きしめる
やはり何かして他人に喜んでもらうというのはいいもんだ
「さてと、あと・・・問題はここからどうやって出るかだ 」
そう、今の俺は敵のテリトリーに飛び込んだ餌そのもの
見つかってしまえば今度こそ何をされるかわからない
「それなら大丈夫だよ。今はシグナム副隊長たちは朝の訓 練中だから」
どうやら慎重になるだけ無駄だったようだ
これなら、念のために持ってきた銃も使わなくて済みそう だ
「帰って朝ごはん?」
「え?あ、うん。ごめん、寝坊しちゃって・・・」
「仕方ないよ、あんなことがあった次の日だもん。疲れて たんだね」
シャムは微笑みながらそう言った
今話した通りだ、俺は今日寝坊してしまった
起きた時にはシャムはもう出勤したあと
テーブルの上には俺の分の朝ごはんがラップしてあった
シャムに感謝しながら、まずは少し掃除をしようとしてい たところに電話が掛かってきたというわけだ
「それじゃ、そろそろヤバそうだから見つからないうちに 帰るよ」
「うん、わかった。もうちょっとで来そうだし、お掃除よ ろしくねー」
俺は手を振っているシャムに手を振り返し食堂をあとにし た
?廊下?
「さてと、帰りますか」
俺は来るときとは違い、警戒することなくごく自然に歩い ていた
あの人たちはまだ来ないし、大丈夫でしょう
そう思いながら、食堂を出て一つ目の角に差し掛かったと きだった
ポフッ
と何かが俺の胸にぶつかった
「あ、すいま・・・せん」
ぶつかった人を観察してみよう
その一、相手は俺よりも身長が低い
その二、その人は女性
その三、その人は髪が長く後ろで一つに結んでいる
その四、髪の色は栗色
その五、その人は複数の人たちとおそらく食堂に向かおう としていた
その六、その中にとても見覚えのあるピンク色のポニーテ ールの人が一人
「こっちこそごめんね・・・って君は!」
俺の胸から顔を離したその女性は、俺の顔を見ながらそう 言った
俺もその顔に見覚えがあった
あのとき、昨日食堂で俺に目を向けたメンバーの一人だ
この栗色の髪を覚えている
ということは次に起こすアクションはもう決まっていた
目の前にいるのは、おそらく俺を追いかけ回した茶髪と少 女?を除くメンバーそのもの
もしかして・・・シャムと話しているうちに訓練が終わっ ちゃった?
俺が自分の脳内のアラートに気づくのは、そう遅くはなか った
「すいませーん!!」
「っておい!テスタロッサ逃がすな!」
逃げるしかなかった
逃げなければ殺される
そんな考えしかなかった
後ろを見ればわりと本気であの人たちが俺を追ってくる
だけど不思議と・・・なんだか逃げられる感じがする
なんでだかわからないがそんな気がするのだ
だからそう簡単に捕まるわけがない
そこのT字の角を右に曲がれば出口だ
だが、逃げ切れることを確信していた俺の思考はあっさり 崩れた
「はい、行き止まりだよ」
「うわ!」
角を曲がった先には、さっきまで俺の後ろにいた金髪美人 がいた
なぜかさっきとは服装が違う
見るからにバトルスーツといったものを纏っている
しかしなぜ?
どうやって回りこんだんだ?
いや、今はそんなことどうでもいい
俺は方向を後ろに変え反対方向へ逃げようとするが
「はい、こっちも行き止まり」
追い付いたのだろう、さっきの栗色の髪の美女とそのご一 行が立っていた
「おい貴様!昨日のあれは何だ!どこで訓練した!」
「ぐ・・・!」
俺の胸ぐらを掴みながらピンク色のポニーテールが問い詰 める
「正直に話せ、答えようによっては・・・」
だが俺にもわからないのだ
どうしてあんな風に戦えるのか
「まぁまぁシグナム、放してあげて」
俺がつらそうなのが目に入ったのか、金髪美人がピンク色 のポニーテールを手で制し俺を解放させた
「ごめんね、大丈夫?」
床に手をつけながら咳き込む俺に手を差し出しながら栗色 の髪の美人さんがそう言う
「・・・大丈夫です」
俺は差し出された手を取らず自分で起きあがった
一瞬悲しそうな顔をしたが今はそんなことに構っている場 合ではない
「それじゃ、俺はこれで」
俺は半分どさくさに紛れながら機動六課を後にしようとし たがそうは問屋がおろさなかった
「ちょっと待って、何で逃げようとするのかな?」
栗色の髪の美人さんは玄関へ向かおうとする俺の腕を掴み そう言った
俺は早く逃げ出したい一心で、後ろに振り返り何かと理由 をつけ放してもらおうとしたが、とてもとても素晴らしい 笑顔だがその裏にとてつもなく恐ろしいものが見える表情 を見て何も言えなくなってしまった
「ほ・・・ほら、まだ朝ごはんもまだですし・・・」
かろうじて出てきたのはそんな理由、だが俺はすぐ相手の 策にはまったことに気づいた
「それなら、皆と一緒に食べない?」
「うん、そうしよ?」
栗色の髪の美人に同調するように金髪美人もそう言う
そう、これから俺は食事という名の尋問にかけられてしま うのだ
「で・・・ですけどあれですよ、その・・・こう・・・団 らんを邪魔したくないというかですね・・・」
「皆いいよね?」
「「「「はい!」」」」
どうやらどんな策を持ってしてもダメなようだ
「では早速行くぞ。お前に聞きたいことが山程ある」
「え?あ・・・ちょ、待ってくださいよー!」
ピンク色のポニーテールの人が、なかなか行こうとしない 俺の服の襟を掴み食堂へ引きずって行った
?食堂?
「じゃあ、いただきまーす」
「「「「「いただきまーす」」」」」
「いただきます」
「い・・・いただきます・・・」
目の前にあるのはごくごく普通な朝の定食、作った人の愛 情が詰まったとても素晴らしいものである
しかし、今現在俺の周りにいるのはおそらく俺がぼろを出 すのを今か今かと待っている管理局が誇るエースたち
右手におりますのは聞くところによると管理局のエースオ ブエース高町なのはさん
左手におりますのは聞くところによると速さなら誰にも負 けない美人執務官フェイト・テスタロッサ・ハラオウンさ ん
正面におりますのは聞くところによるとバトルマニアで勝 負好きで模擬戦大好きな、気のせいか『勝負』とか『バト ル』とかいう単語しか聞こえてこない烈火の将シグナムさ ん
そして俺たちのことを見ている四人組は高町さんやテスタ ロッサさんやシグナムさんの大事な教え子だという
そんな中、落ち着いて朝食をとれるわけがなく俺は座った ままである
「うん?これはこれは・・・珍しいお客さんやな」
「あ、はやてちゃん」
テーブルに近づいてきたのは、聞いたところによると機動 六課の部隊長、つまり一番のお偉いさんで狸(狸?)な八神 はやてさん
「なんや、私たちと朝ごはん食べたいなら言ってくれれば ええのにー」
「いえ、このお方がたに・・・拉致られました」
「ダメやないか皆、ダンテくん困らせるようなことしちゃ 」
すると他のメンバーは、察したのか苦笑いを浮かべていた
「って、な・・・なんで俺の名前を?」
「それくらい簡単や」
方法は秘密やで、と八神さんは言う
そしてさっきから気になっていたのだが、ピンク色の髪の 少女が俺と話したいのかうずうずしながら俺と八神さんの 会話をきいている
「うーん、それじゃ・・・次はキャロにバトンタッチや」
「え!?あ・・・あの、キャロ・ル・ルシエ三等陸士です !よろしくお願いします!」
「あ、ああ。どうも・・・」
ルシエさんが頭を下げたのでこちらも頭を下げる
それにしてもこんなに小さいのに命をかけた仕事ができる なんて凄い・・・
俺には絶対無理だ
「あ・・・あの!」
「・・・はい?」
ルシエさんは緊張しているのか、少し声を張って話しかけ てきた
「あれってどうやるんですか!?」
「あ・・・あれって?」
「あの、空き缶シュート?みたいなやつです・・・」
多分ルシエさんが言っているのは、昨日ここに来たときに 見せたあれのことだろう
あれは少しコツを掴めば誰でもできるのだ
そういえばあれを見てあんなに喜んでくれたのはルシエさ んくらいだ
「まぁ・・・機会があったら教えてあげるよ」
「は・・・はい!是非!」
そんなに凄かっただろうか?
「よかったね、キャロ」
嬉しそうなルシエさんに笑顔を向けるテスタロッサさん
こうして見ると親子のように見える
「ごめんはやて、遅れた・・・ってお前!」
「あ、どうも・・・おはようございます・・・」
目の前には、昨日の赤い髪の少女?がいた
「なんでいるんだ?」
「私たちが誘ったんだよ、ヴィータちゃん」
「というわけなんです・・・」
「・・・まぁ、聞きたいこともあったしちょうどいいのか もな」
ヴィータさんはシグナムさんの隣に座った
「お、皆揃ったな」
見ると八神さんは自分の分の朝食を持ってヴィータさんの 隣に座った
「それじゃ私も、いただきます。ダンテくん、悪いんやけ どそこのコップ取って?」
「あ、はい。わかりました」
こうしてみると本当に普通の女の子にしか見えない
だけど相手は部隊長、この部隊をまとめているのである
俺と同じくらいなのに信じられない
「あ、ダンテくん。機動六課入って?」
「あ、はい。わかりまし・・・せん!」
もの凄く自然に、それはもうそこの調味料取って的な感じ で言われたその言葉に俺は危うく自然に返してしまうとこ ろだった
「なんや、引っ掛からなかった」
「なんやじゃないですよ!何言ってんですか!」
「何って、機動六課に入らんかっちゅう話やねん」
いきなりそんなこと言われてもこっちが困る
機動六課はおろかこのミッドチルダとかいう街の右も左も わからないのに、いきなり入れなんて言われても慌てるだ けやん!
あ、関西弁になってもうた
「とりあえずこの話は場所を変えてからにしよか、後で訓 練場に来てくれんか?皆食べ終わったあとにな、あんたは 食べなくても大丈夫なん?」
というか緊張して全然食べられませんでした
「言っておくけど部隊長命令な、管理局の指示には従って もらうで?」
「まったく・・・わかりましたよ。えっと・・・そこの、 その青い髪の子」
「え?私ですか?」
名前がわからないので、失礼ではあったが指を差して青い 髪の女の子を呼んだ
その女の子に俺の朝食を食べてもらうように頼んだら、も のの数十秒で平らげてしまった
「あんた、凄いね・・・」
「え、えへへ・・・お恥ずかしながら・・・」
青い髪の女の子は少し顔を赤くしながらそう言った
しばらくすると八神さんが食べ終わり、他の皆に訓練場に 行くために指示をだした
そして俺は半ば強制的に訓練場・・・というところへ連れ ていかれた
?機動六課内廊下?
「あの・・・これから俺何されるんでしょうか?」
「うーん、はやてちゃんのことだから戦わされると思うよ ?」
高町さんに尋ねてみると、そういった答えが帰ってきた
にしてもまた戦うのか・・・
「たぶん、相手はシグナムさんだと思う」
「ああ・・・わかります」
後ろには、それはもう凄まじい覇気というかなんというか そんなものを纏ったシグナムさんがいる
例えるなら、おあずけをくらった犬みたいだ
「早く、早く戦いたい!」
「まぁ落ち着けってシグナム」
そんなシグナムさんをヴィータさんが必死に抑えている
「ヴィータさんも・・・大変ですね。まるでシグナムさん のお姉さんみたいです」
「まぁな・・・って、今なんて言った?」
「え?えっと・・・ヴィータさんも大変ですねと」
「違う!その後!」
ヴィータさんは何やら期待するようなオーラを纏い俺に迫 ってきた
「ああ、お姉さんみたいですよって・・・」
「・・・ほんとか?」
「はい?」
ヴィータさんはより一層目を輝かせながら迫ってきた
「ほんとにそう見えるか!?」
「え、ええ。大人の魅力がある素敵な女性だと・・・」
他の人がどう思うかわからないが、なんとなーく俺には、 俺より長生きしてるように思えた
「お前、いいやつだな!」
そう言いながら俺の背中を叩くヴィータさん
そんなに・・・嬉しかったのか・・・?
?機動六課内訓練場?
「待っていたぞ!この時を今!」
「は・・・はぁ」
目の前には、剣を構え始まるのを今か今かと待っているシ グナムさんがいました
「えっと・・・シグナムさん?」
「さぁ早く!早く!!」
クールなイメージなどお構い無しにシグナムさんは俺が準 備するのを今か今かと待っています
他のメンバーは観覧席らしきところに座り、これまた今か 今かと・・・
やるしかないのか・・・
そう思い渋々銃を構えると
周りの空間が歪んだ気がした
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