魔装機神インフィニット・ストラトス〜
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第六話「サイバスター」

 

 

唯依とオルコットの試合から翌週の月曜日。

 

〜第三アリーナ・Aピット〜

 

今ここにいるのは俺と一夏に箒、クリスカとイーニャといったいつものメンバーだ。

唯依は今日はBピットの方でオルコットと一緒に待機している。

 

「なあ、箒」

 

「なんだ、一夏」

 

隣で一夏が箒に話しかけた。

 

「気の所為かも知れないんだが」

 

「そうか。なら気の所為だろう」

 

箒の奴、何焦ってんだ?

 

「ISの事を教えてくれるはなしはどうなったんだ?」

 

「・・・・」

 

「目をそらすな!」

 

何やらとんでもない発言をしたみたいなんだが・・・・。

 

「はっ?一夏、お前ISの練習してなかったのか?」

 

「そうなんだよ、雅樹!この六日間ずっと剣道の稽古だけで・・・ISについては全然・・・」

 

「し、仕方ないだろう。お前のISもなかったのだから」

 

「まあ、そうだけど――――じゃない!知識とか基本的な事とか、あっただろ!」

 

「・・・・・・」

 

「目をそらすなっ」

 

「ハッ?一夏お前、箒から何も教えてもらってないのか?」

 

「そうだよ!ていうか、雅樹の方はどうなんだよ?」

 

「俺か?俺の方はバッチリだぜ。な、クリスカ」

 

「教えていたのは篁だろう」

 

・・・なんだかクリスカが拗ねてんだが、何でだ?

 

「何拗ねてんだよ?」

 

「拗ねてなどいない・・・・」

 

プイッとそっぽを向き明らかに不機嫌な様子のクリスカ。

他の奴等からしたら何時もと変わんないだろうが付き合いが長いのでいつもと違いがわかる。

どう見たって拗ねてんじゃねぇか・・・。

 

「・・・・・」

 

「・・・・・」

 

「・・・・・」

 

「・・・・・」

 

「?」

 

なんとなく場の雰囲気が重い中、イーニァだけはよくわかってない様で首をかしげていた。

すると・・・・

 

「お、織斑くん龍見くんっ!!」

 

慌しくAピットに駆けこんできたのはうちの副担任こと山田真耶先生。

なんつーか、今日は輪をかけて危なっかしいな・・・。

 

「山田先生落ち着いてください。はい、深呼吸」

 

「は、はいっ。す〜〜〜〜は〜〜〜。す〜〜〜は〜〜〜〜」

 

「はい、そこで止めて」

 

「うっ」

 

「おい、一夏」

 

ノリでいう一夏の言葉を真に受け息を止める真耶ちゃん。

だんだんと酸欠でみるみる顔が赤くなる真耶ちゃん。

止めた方がいいのか、コレ?

 

「・・・・・」

 

「・・・・ぷはあっ!ま、まだですかあ?」

 

「目上の者には敬意を払え、馬鹿者」

 

スパァン!っと一夏の頭に千冬さんの出席簿が炸裂した。

自業自得だ、馬鹿。

 

「千冬姉・・・」

 

パァンッ!と本日二度目の衝撃が一夏の頭に炸裂した。

 

「織斑先生と呼べ。学習しろ。さもなくば死ね」

 

うわぁ実の弟に自分と辛辣だな。美人の割に彼氏がいないのは多分性格のせいだろうけど、前にお袋が千冬さんにあったら見合い話を持ちかけようとかいってたけどアレ本気なのか?

 

「待て龍見。その話は何度も断っていると夏樹さんに話したはずだ」

 

「えっそうなのか・・・・ですか?」

 

お袋の奴、随分とお見合いの写真を揃えてたんだがな・・・・。

 

「そ、それでですねっ!来ましたっ!龍見くんの専用IS!」

 

「え、俺のだけっすか?一夏のは・・・」

 

「織斑のは専用機は到着は遅れている。アリーナを使用できる時間は限られている上に試合数が多いんだ。ぶっつけ本番でものにしろ」

 

マジ?

 

「まさき、がんばってね!」

 

「お、おう・・・」

 

何でだろうな?いつもなら元気の出るイーニァの声援が今ではちょっとつらいぜ・・・。

 

「男だったらシャキッとしろ。何のために今日まで教えたと思っている」

 

何でだろうな?いつもキツイ物言いのクリスカの言葉が今ではちょっと気が楽になるんだ・・・・。

そんな事を思っているとごごんっっと鈍い音がして、ピットの搬入口が開く。斜めに噛み合うタイプの防壁扉は、重い駆動音を響かせながらゆっくりとその姿を晒していく。

 

――――そこに、『銀』がいた。

 

それを見た瞬間、俺は酷く懐かしい感じにかられた。

まるで生まれる前からその機体を知っている様な――――そんな感覚だった。

 

「これは・・・」

 

「はい!龍見くんの専用IS『サイバスター』です!」

 

「サイ・・・バスター」

 

それは俺の声に反応するようにそのISは光ったような感じがした。

 

「体を動かせ。すぐに装着しろ。時間が無いからフォーマットとフィッティングは実戦の中でやれ。出来なければ負けるぞ。わかったな」

 

千冬さんが何か言っている様な気がするが、今の俺はそれすらも気にできず、まるで導かれようにサイバスターに触れた。

 

『―――――――』

 

「ん?」

 

触れた瞬間、誰かの―――女の子の声がした、様な気がした。

 

「なあ、今だれか呼んだか?」

 

「え、だれも呼んでないぞ?」

 

な?と箒に同意を求める一夏に箒も首を縦に振って肯定した。

イーニャもクリスカも呼んでないらしく不思議そうに首をかしげていた。

・・・・まあ、空耳ならそれでいいか。

 

「背中を預けるように、ああそうだ。座る感じでいい。後はシステムが最適化する」

 

千冬さんの言うとおりに装甲の開いているIS――――『サイバスター』に体を任せる。受け止めるような感覚がしてから。俺の全身を装甲が覆った。

 

『――――――』

 

(まただ・・・・)

 

また、女の子の声が聞こえた。何を言ってるのか分からねぇけどなんだかすごく懐かしい。

 

「珍しい『全身装甲(フルスキン)タイプ』なんですね。サイバスターって」

 

そう、俺の全身を覆う装甲は一分の隙間もない全身装甲(フルスキン)。銀(ダークシルバー)を基調とした機体色に脚部は鳥の様な四本爪。背部には3対・6枚の主翼と何故かある尻尾。

サイバスターは従来のISとは根本的に違うみたいだ。

 

「ん」

 

――――戦闘待機状態のISを感知。操縦者、篁唯依。ISネーム『武御雷(タケミカヅチ)』。戦闘タイプ近接格闘型――――――

 

「ISのハイパーセンサーは問題無く動いているな。気分はどうだ、雅樹」

 

何時もと同じ口調だが千冬さんの声が若干震えている事に気づく。―――――心配してくれてんだな。

 

「バッチリだ、千冬さん」

 

「そうか」

 

ほっとしたような声。ISのハイパーセンサーってのはすげえな。

なんとなくイーニャとクリスカの方に意識を向ける。

目を向ける必要はない。なんたって自分の周り360度全方位が『見える』のだから。

 

「・・・・・」

 

「・・・・まさき」

 

心配そうなイーニャに何か言いたそうな表情のクリスカ。

 

「イーニァ、クリスカ」

 

「なに、まさき?」

 

「な、なんだ?」

 

「ちょっくら行ってくる」

 

「うんっ!いってらっしゃい!!」

 

「き、気をつけてな・・・」

 

その言葉に首肯し、俺はゲートの前に立った。

クリアーな視界の裏側ではサイバスターが膨大な量の情報量を処理していた。

俺の体に合わせて最適化処理(フィッティング)を行う、その前段階の初期化(フォーマット)を行っているんだろう。その所為でサイバスターはまだしっくりこない感じがする。

まあ、今はそっちに意識を向ける余裕はないか。

ゲート解放までもう直ぐ。相手はオルコットを圧倒した唯依だ。初戦から強敵だが、最初の相手にはもってこいだな。

 

 

 

 

 

「来たか」

 

唯依は閉じていた目を開けて紫の瞳を真っ直ぐに俺に向けた。

 

「待たせちまったか?」

 

「いや、そんなに待ってはいない」

 

俺の軽口に唯依は真面目に答えた。

 

「全身装甲(フルスキン)タイプだと・・・?」

 

装備、装備はっと現在装備可能な装備一覧が表示された。

 

「って使用不可ってどう意味だよ?」

 

一覧にはほとんどの武器が使用不可になっていて唯一装備できるのは近接ブレード『ディスカッター』を呼出(コール)した

 

キィィィン・・・・。

 

右手に光の粒子が放出され手の中で形になって、収まった。

両刃の剣、RPGなどで出てくる典型的な西洋剣だった。

俺は剣先を霞下段に倒し構えを取った。

 

「・・・・まあいい。今は勝負に集中しよう」

 

唯依は背中から近接ブレード『村雨』を一本抜き放ち頭の右横に持っていき、両足を少し開いて構えた。

 

「「・・・・・」」

 

お互いに剣を構えたまま制止し、静寂が訪れた。が、

 

「「っ!」」

 

試合開始のブザーが鳴った瞬間、俺と唯依は同時に加速した。

 

「おおっ!」

 

「はあぁっ!」

 

ガキィンッ!!

 

互いの剣がぶつかりあい仮面越しとはいえお互いの剣が交差する中、間近で睨みあった。

 

「「っ!?」」

 

一旦距離を取り俺はサイバスターを加速させた。

 

グンッ・・・!!

 

「う、おっ!」

 

「なにっ!?」

 

あまりの加速の衝撃に俺は歯を食いしばり、唯依は驚愕した。

 

「てやあぁっ!!」

 

「チィっ!」

 

ギャリィィッ!!!!

 

加速させた状態でディスカッターを突き立て、唯依はそれを村雨で受け流した。

受け流したと同時に金属がこすれる嫌な音が鳴り響いたが、そんな事に構っていられない。

俺はそのままの加速を維持したまま、ヒットアンドアウェイで撹乱しながら攻撃したが唯依は悉くそれを受け流し大したダメージを与えられないうえに、逆に受け流してから返し技でこちらにダメージを与えてきやがった。

 

(クソッ!やっぱISの扱いじゃあアイツの方が一日の長があるか・・・・)

 

それに先ほどから唯依の奴はあそこからほとんど動いていない。

こっちの初期化(フォーマット)と最適化処理(フィッティング)が終わるまで待つつもりか・・・。

なら――――

 

「コイツでどうだ!カロリックミサイル!!」

 

胸部装甲に内蔵されている光学兵器『カロリックミサイル』を3発、唯依に狙いをつけて発射した。

 

「甘いっ!」

 

ザザンッ!!

 

しかし、オルコット戦にも見せたように唯依は三発のカロリックミサイルを切り裂き、そのままの勢いで俺に迫って来た。

 

「はあぁっ!!」

 

ガギィィンッ!

 

「ぐっ・・・」

 

裂帛の気合を込めた太刀を俺はなんとか受け止めたが、勢いのついている唯依の太刀はそのままどんどん押しこんでくる。

 

「く・・・・のぉっ!」

 

「むっ!?」

 

(まだサイバスターが馴染まねぇ・・・一旦距離を取んなきゃヤベェ!)

 

「武御雷ではあの速度についていけない、か・・・。・・・・しょうがない」

 

「?」

 

また距離を取る俺に唯依はため息をつきながら村雨を背中にしまった。

そして、唯依の右手に光の粒子が集まりだし大型ライフルとなって収まった。

それを腰だめに構え、狙い撃ってきた。

 

ズドンッ!!

 

「んな!?」

 

「試製電磁投射機関銃通称『雷光』。この武器はまだ試作段階だが性能は折り紙つきだ」

 

「レールガンかよ・・・けどな、単発なら・・・!!」

 

「そしてのこ武器の特徴は連射が利くことだ!!」

 

ズドドドドッ!!!

 

「クソッ!!」

 

(コイツ、剣技だけじゃなくて射撃までべらぼうじゃねぇかっ!)

 

オルコットの時は剣一本で勝ってしまったから射撃の腕は分からなかったが代表候補生の名は伊達じゃない。

正確な掃射に俺はかわす事に専念し、何発かはディスカッターで受けるがかなり苦しい上に集中力が切れかかっているのか段々と弾が当ってシールドエネルギーが削られていく。

そして・・・・

 

「そこだっ!!」

 

ガアァンッ!!!

 

「しまっ―――!!?」

 

ズドォンッ!!

 

ディスカッターを弾き飛ばされ、それに気を取られた俺に向かって唯依は雷光で狙い撃った。

 

 

ドッガアアアアアァァンッ・・・・・!!!

 

 

 

 

 

「雅樹!!」

 

「あれでは・・・」

 

「まさき・・・・」

 

「イーニァ、雅樹なら大丈夫よ。ね?」

 

モニターを見ていた一夏は思わず声をあげ、箒は負けてしまったのかと思い、イーニャは涙目でモニターを見上げ、そんなイーニャをクリスカは抱きしめながら慰めた。

 

「フッ・・・・機体に救われたな」

 

黒煙が晴れた時に千冬は鼻を鳴らした。しかし、どこか安堵した色が見え隠れしていた。

千冬の言葉にえっと周りが驚くがそんな千冬に真耶が駆け寄ってきて、

 

「織斑先生、織斑くんのISが到着しました」

 

「そうか。織斑、聞いた通りだ。すぐに準備を始めるぞ」

 

真耶の言葉に千冬は頷き、一夏の方へ視線を向ける。

 

「え?で、でも千冬姉・・・・雅樹の試合が・・・」

 

「それなら心配するな」

 

雅樹の試合が気になるのか千冬とモニターを交互に観る一夏に千冬はその心配を斬って捨てた。

 

「ようやく試合が面白くなる所だからな」

 

そういって、爆煙の中から姿を現したのは銀色に輝く機体があった。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ようやくか」

 

爆煙が晴れていく中、唯依は待ち望んだかのように嬉しそうな声を出した。

 

――――――フォーマットとフィッティングが終了しました。確認ボタンを押してください――――――

 

「・・・ああ。随分と待たせちまったみたいだな」

 

膨大な量のデータが整理されていく中、やっとサイバスターが自分と一体化したようだ。

先ほどまでの暗い銀色ではなく雪原を想わせるようなメタリックシルバー。装甲の所々に装飾がされている。

背中の三対六枚の主翼から鳴り響くスラスター音がまるで歓喜の産声の様に感じる。

 

―――――――『アカシックバスター』発動可能―――――――

 

先ほどまで使用不可になっていた武器一覧が解禁され、その中の一つ『アカシックバスター』が発動可能になっていた。

 

「そんじゃあ、いっちょ派手にぶちかますぜ!!」

 

俺は右腕を唯依に向けて突きだすと掌から魔法陣の様な物が出てきた。

 

「何っ!?」

 

現れた魔法陣を左腕で殴りつけると、魔法陣から火の鳥が現れた。

 

「行くぜ!アァァカシックバスタァァッ!!!!」

 

ピィィィッ!!!

 

現れた火の鳥はそのまま唯依に向かって飛んでいった。

 

「クッ!!!」

 

唯依は迫りくる火の鳥に雷光を収納(クローズ)し村雨を二本同時に抜き放つと手前で十字に構え火の鳥を受け止めた。

 

ガギギイィィィッ!!!!

 

「く、くうぅぅ・・・・あああぁっ!!」

 

唯依はなんとか受け止めたが段々と火の鳥の勢いに押され、そして―――――

 

ドガアアアァァンッ!!

 

「や、やべぇ!唯依無事かっ!?」

 

勢いに負けそのまま唯依を巻き込んで爆発してしいまい、俺は慌てて唯依の名を呼んだ。

流石にあの威力は予想外だった。

 

「ハァ・・・ハァ・・・・」

 

爆炎が晴れると、唯依の姿があらわになった。

アカシックバスターを受け止めた村雨は二本ともボッキリと折れ、武御雷の装甲も所々ひび割れ火花をあげている。流石に絶対防御を貫通していなかったらしく、唯依自身はこっちから見る限りほぼ無傷のようだ。

 

ビーーーッ!!

 

――――――試合終了。勝者、龍見雅樹――――――――

 

「ッ・・・・・」

 

「唯依っ!!」

 

試合終了のブザーが鳴った瞬間、唯依は気を失ったようでISが光の粒子になって消えていき、そのまま自由落下していった。俺は落下する唯依を優しく受け止め、急いでAピットまで戻っていった。

 

 

 

 

 

〜IS学園保健室〜

 

「・・・・・」

 

「まさき・・・・」

 

「・・・・」

 

保健室のベットで眠る篁を雅樹は沈んだ顔で見下ろしていた。そんな雅樹を私とイーニァは見つめていた。

あの後、ピットに戻って来た雅樹は篁を抱きかかえながら激しく狼狽しながら織斑教諭の元へ駆け寄って来た。斑教諭は雅樹を落ち着かせると保健室に連れて行くように指示し雅樹の試合以外興味なかった私とイーニァはそれに付き添った。幸い命に別条はなく打撲と軽度の火傷ですみ、今はグッスリ眠っている。

途中、織斑教諭が来て雅樹から調査の為にサイバスターを一旦預かるといってきた。

それを聞いて当然かと思った。篁のIS『武御雷』はダメージレベルがCに達していたのだ。あの一撃でそこまでの威力があるなどいくら試験用に作られたISといえど異常な攻撃力だ。そんな一撃を知らなかったとはいえ幼馴染みに向けて放ったのだ、あの雅樹の性格からいって後悔しているのだろう。

だけど・・・・それでも、こんな状態の雅樹を私は見ていられなかった。

 

「・・・いつまでそうしているつもりだ?」

 

「・・・・」

 

「・・・クリスカ?」

 

いつの間にか勝手に口が動いていた。隣にいるイーニャも不思議そうに私を見ていたが、もう止まれそうにない。

 

「あの試合はクラス代表を決めるためとはいえ正式な試合だ。それに、ISは元々兵器だ。時には人を傷つける。篁も怪我をする覚悟があったはずだ」

 

「・・・んなことわ、わかってる」

 

「わかってなどいない」

 

弱弱しく言う雅樹の言葉を私は斬って捨てた。

 

「わかっていたのなら、何故そうまで沈んでいる?」

 

「別に沈んでねぇ」

 

「誰がどう見たって沈んでいるだろう」

 

ガタッ!

 

「沈んでねぇって言ってんだろうが!!」

 

「まさき!?」

 

私の言葉に耐えられなくなったのか雅樹は椅子を蹴飛ばして私を睨みつけてくる。

そんな雅樹をイーニァは抑え、私は真っ向からその視線を受け止める。

 

「図星をつかれて怒ったか?」

 

「うるせぇ!テメェーに何がわかる!?知らなかったとはいえ幼馴染みにあんな攻撃をして、一歩間違えば大けがになってたかも知れねぇ・・・そんな攻撃を俺は平気で・・・・」

 

雅樹はそこまで言うと段々と視線が下を向き、肩が震え始めていった。

 

「まさき」

 

「ッ・・・・イーニァ?」

 

震える雅樹の手をイーニァはそっと手を添えた。

 

「こわいんだね?ゆいにけがさせちゃったことが、とりかえしのつかいことになっちゃうかもしれなかったことが・・・」

 

「っ!?」

 

「だいじょうぶだよ」

 

イーニァの言葉に雅樹は目を見開いた。

そんな雅樹にイーニャは安心させるように慈母のような笑みを浮かべた。

 

「ゆいはおこってなんかいないよ。だって、まさきがやさしいってことをよくしってるもん。だからまさき、じぶんをせめないで?」

 

「あ・・・」

 

イーニァの言葉に雅樹ははっとした表情になる。

 

「お前が自分を責めるのお前の自由だ。だが、そんな事は何の意味がない。大事なのはそこから何を学びどう活かすかだ」

 

「・・・・そうだな」

 

フッと雅樹が笑った。その表情は先ほどまで沈んでいたのがウソの様にいつもの表情だった。

 

「そうだな!いつまでもウジウジすんのは俺らしくねェか!」

 

「うん!それでこそまさきだよ!!」

 

「まったく・・・世話の焼ける奴だ」

 

嬉しそうに腰に抱きつくイーニャ、それに驚きながらも慣れた手つきで頭を撫でる雅樹。そんな二人を私は腕を組んで見守る。

 

「ん・・・んぅ・・・?」

 

「おっ目が覚めたのか、唯依」

 

「ゆい、だいじょうぶ?」

 

「ここは・・・・?」

 

「保健室だ。あの後、お前はここに運ばれたんだ」

 

少し寝ぼけているのかあたりを見回している篁に私は答えてやった。

 

「そうか。私は雅樹との試合で・・・・」

 

「あ、ああ。あの時は悪かったな」

 

「いや、気にするな・・・。私が未熟だっただけの事だ。お前が気に病む事は無い」

 

「それでも、悪い」

 

そういって頭を下げる雅樹。篁はそんな雅樹に苦笑しながら答えた。

 

「昔と違って随分と素直になったな雅樹」

 

「い、いつの話ししてんだよ////」

 

篁の言葉に雅樹は恥しそうに顔を赤らめ頬を掻いた。

 

ズキ・・・・

 

「っ・・・・・」

 

そんな二人を眺めていると何故だか、胸の奥に鈍い痛みが走った。

 

何なのだこの痛みは・・・・?

 

別に怪我をしたわけでもないのに胸が痛い。

 

「とりあえず、しばらくはここで大人しくしてな。今保険の先生を呼んでくっからよ。クリスカ、一緒に付いてきてくれ。イーニァはここで留守番頼めるか?」

 

「うん!」

 

「方向音痴というのは自覚してるのだな」

 

「うっせぇ」

 

雅樹に付いてくように私は雅樹と一緒に保健室を出た。

途中、

 

「なあ、クリスカ」

 

「なんだ?」

 

「そ、そのよ///」

 

「?」

 

何故か雅樹は顔を赤らめ恥しそうに頬を掻きながら視線を彷徨わせた。

 

「さ、さっきは、ありがとよ」

 

「なっ・・・」

 

突然の事で私は何を言われたのかわからなかった。

 

「い、言いてぇ事はそれだけだ///!!」

 

「ふ、フンッ///いつまでも落ち込んでいてはイーニァが悲しむから活を入れてやっただけだ!勘違いするな////」

 

自分でもわかる位頬が赤くなっている事を自覚しながら雅樹から顔を背け足早に職員室に足を進めた。

願わくば職員室に付くまで頬の赤みが収まっていればいいのだが・・・。

 

 

 

 

 

 

 

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主人公&オリIS設定

 

龍見 雅樹(本名 龍見・Z(ゼノサキス)・雅樹) 16歳

性別 男

イメージキャラクター マサキ・アンドー(魔装機神サイバスター)

瞳 エメラルド

髪色 黒

特技 家事全般 迷子(!?) 運動全般 

好きなもの 家族 猫  

苦手(嫌い)なもの 唯依の説教 テロリスト 勉強  

備考

基本的に明るく裏表がなく、情に弱く根は素直な性格だが、若干一匹狼気質な面があり敬語を使うのにいまだに慣れていない。両親は現在母親だけで父親は既に他界している。その亡き父がイーニャ・セスチェナ、クリスカ・ビャーチェノワの二人を引き取った。最初は二人は心を開かず母親の夏樹までも拒絶していたが、ある事件から二人に心を開いている。それ以来、雅樹もイーニャの事を本当の妹の様に接し、クリスカにも若干衝突する事はあるもののお互い信頼し合っている。

篁唯依とは幼馴染みだが小学を卒業してから唯依が家の都合で引っ越してしまい引っ越してしまいそれっきり会えずじまい。

運動神経がものすごくよく中学時代よく部の助っ人として大会に出場し全国大会まで出場している。特に剣道は個人で全国大会優勝まで上り詰めたほどの実力。

父親のゼオルートから『神祇無窮流(じんぎむきゅうりゅう)』を習っていたが、免許皆伝前にゼオルートが死亡したため『神祇無窮流(じんぎむきゅうりゅう)』を完全に修めていない。

恋愛に対して一夏並みとはいかないがかなり鈍感。

 

 

 

オリIS

サイバスター

雅樹の専用機。第四世代機で全身装甲(フルスキン)の機体で製作者は篠ノ之束だと思われる。

メインカラーは白銀で西洋甲冑を模した外見に、背部に三対六枚の主翼を持つ。待機状態は銀の翼の模したペンダント。

外見は『魔装機神サイバスター』のサイバスター。

高機動万能型ISで第一形態(ファーストシフト)でいながらその性能は他のISを凌駕している。さらに明らかにこの世界では使われていない技術があり、いまだに解明できていない点もある。

全身装甲(フルスキン)でありながら、機動力はIS中トップクラス。

単一仕様能力(ワンオフアビリティ)は機体の性能を倍にする『ポゼッション』。『ポゼッション』発動時にはシールドエネルギーが全回復し全性能が倍になるが、発動時に操縦者にかなりの負担がかかり機体にも相当なダメージが蓄積されるため発動後は全ての性能が最低クラスにまで下がる。

 

武装

 

ディスカッター

白式の日本刀の様な形をした雪片ではなく、西洋剣の様な形をした両刃の実剣。サイバスターの主力武器の一つ。

 

ハイファミリア

完全自立誘導兵器。ブルー・ティアーズの様に六機もBT兵器を使わず二機にしているため、ブルー・ティアーズより高度な機動、高い攻撃力、長時間の運用など利点があるが、その分数が少なくBT兵器にしては大きいためあまり小回りが利かない。

 

サイバード

鳥型無人機動支援機。サイバスターの支援機で主にサイバスターを上に乗せて運んだりアカシックバスターを使用する際、火の鳥と融合して敵に体当たりしたりする。また、サイバスターを背中に載せて長距離移動できる。

 

カロリックミサイル

熱素(カロリック)を用いたミサイル。胸部装甲に内蔵されている。

 

サイフラッシュ

サイバスターの最高の武装。結界内に熱素(カロリック)を臨界点までため込みサイバスターを中心に光を放射し、最大半径数十キロにおよぶ射程内の複数の標敵にダメージを与える。ただし、未完成な上にシールドエネルギーの消費が激しいため、撃てても一回しか撃てない。

味方識別能力があるのがこの武装の特徴。

 

アカシックバスター

ディスカッターで魔方陣を描き火の鳥を召喚し、敵に突撃させる。この武装については解明されていない事が多く、ほぼブラックボックス。サイバードと融合すると紅い炎が青白く変化する。

 

プラーナディスチャージ

ディスカッターにエネルギーを集中させ直接発射して相手に叩きこむ。

 

コスモノヴァ

サイバスター最強の武装で両腕を交差させ4つの光球を作り出し、標的にぶつけ内部から爆発させるという恐ろしい武装。第一形態(ファーストシフト)ではその衝撃に耐えられず、自壊してしまう恐れがあるので封印されている。

 

 

説明
女性しかISを稼働できなかったのが、突然男でISを稼働できるのが同時に二人も現れた!?その二人の名は織斑一夏と龍見雅樹。
この物語の主人公である龍見雅樹が女尊男卑の世の中に疾る『風』・・・その名はサイバスター!!
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後は乱舞の太刀を修得すれば完璧か…?(mokiti1976-2010)
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トータルイクリプス インフィニット・ストラトス 魔装機神 サイバスター 

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