『Angel Beats!』
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「『あれ?』『何で僕は外で寝てるんだ?』」

 

少年……球磨川 禊が目を覚ますと真っ暗な空を見上げていた。

 

「『うーん』『ここは何処なのかな?』」

 

球磨川はゆっくりとその場から立ち上がると周りを見渡す。

 

「『箱庭学園じゃないみたいだね』」

 

目の前にある建物は見慣れている建物とは違う学校だった。

 

「『困ったなー』『明日はジャンプの発売日なのに……』『人吉先生と立ち読みしたかったなー』」

 

球磨川はそう言いながら座る。

 

その顔は落ち込んだようすではなく、少しこの状況を楽しんでるように見える。

 

そんな球磨川に声を掛ける少年少女が現れた。

「あなた大丈夫?」

 

球磨川は声がした方を見る。

 

「まさか、作戦開始前に見つかるとはな」

 

男は球磨川に近づく。

 

「おいお前、自分の名前とかわかるか?」

 

「『禊ちゃんだよ』」

 

「音無君とは違って記憶の欠落はないようね」

 

女な球磨川に手を差し出すと笑みを浮かべる。

 

「私はゆり、そっちにいるのは音無君」

 

紹介された音無は「どうも」と短く挨拶をする。

 

「球磨川君、突然で悪いんだけど私達と一緒に来てくれない?」

 

「『困ってる僕に手を差し伸べてくれるんだ』」

球磨川は嬉しそうな笑みを浮かべながらその手を取る。

 

「『僕に手を差し出してくれる人がいるだなんて』『驚きすぎて――――』」

 

「『手元が滑って殺しちゃいそうだったよ』」

 

「「!」」

 

球磨川が言い終わる時には既に彼は少年少女の背後に立っており、球磨川の代わりに2人は地面に倒れていた。

 

身体中が螺旋に刺され、地面に縫い付けられながら――――

 

「『それじゃまたねー』『僕は大人しく』『この場を去るよー』」

 

球磨川は2人に手を振りながら、2人が来た方とは逆の方へと走りだした。

 

「な! なんなんだよあいつは!」

 

「今はそんなことよりもこの螺旋をどうするかが問題よ音無君!」

 

2人の掛け合いに見向きもせずに走っていった。

 

 

 

 

 

―――――

 

球磨川が闇雲に走っていると激しいメロディーが薄らとだが聞こえてきた。

 

「『コンサートでもやってるのかな?』『見に行こう!』」

 

コンサートと思いテンションを上げたのか、音がする方へと目的を定める。

 

しばらく走っていると球磨川の目に1人の銀髪の少女が映った。

 

コンサートの場所を聞こう

 

すぐにそう考えた球磨川の頭の中には既に『ここが何処なのか』が抜けており、勝手にコンサートと思い込んでいる。

「『おーい』『そこの小さい君ー』」

 

「……私のこと」

 

周りに人がいないということもあり、少女は自分が呼ばれていることに直ぐに気付いた。

 

「『うん』『君のことだよ』『コンサートの場所が何処か教えてよ』」

 

球磨川の問いかけに少女はゆっくりと建物を指差す。

 

「コンサートかどうかはわからないけど、あそこで何かやってるわ」

 

それを聞き、建物へと向かおうとする球磨川だが、直ぐに違和感に気付いた。

 

「天使……と、誰だ?」

 

ハルバートと呼ばれる武器を構えた男が2人の前に現れる。

 

「『みんな大好き禊ちゃんだよ』『つーか』『その武器格好いいね!』『僕に触らせてよ』」

 

球磨川は楽しそうに言うとハルバートを構えた男の元へと駆け出す。

 

「……禊 てことは、てめえがゆりっぺを……」

 

「『うわー』『本物だ』『すげー』」

 

男を無視してハルバートを触る球磨川。

 

そんな球磨川に怒りの沸点を越えたのか、ハルバートを振り上げる。

 

「おらあぁぁぁ!!」

 

勢い良く振り上げたハルバートを球磨川に向かって叩きつける。

 

「ゆりっぺの邪魔をした罪は重いぞ」

 

「『うーん』『僕はゆりっぺって人を知らないんだけどな』『人違いじゃない?』」

 

「ッ!」

 

男が振り向くと、そこには片手を顎に当て難しい顔をしている球磨川がいた。

 

「『でも』『君が僕に怒ってるっていうんなら』『僕なりに謝罪しないとね』」

 

球磨川はいつの間にか持っていた螺旋を自らの頭に突き刺す。

 

「『これで満足かな?』」

 

常識はずれな球磨川の行動を見ても、男が驚くことはなかった。

 

「満足なわけがあるかああぁぁ!!」

 

「『ッ!?』」

 

頭に螺旋を刺したままの球磨川に向かってハルバートを振り上げる。

 

「『怒られちゃった』『悲しいなー』『僕なりの誠心誠意の謝罪なのに』」

 

球磨川は両手に螺旋を持つ。

 

「『人の謝罪を聞いても許さない奴なんて』『死ねよ』」

 

「!?」

 

球磨川がいい終わる頃にはハルバートを持つ男の胸に螺旋が刺さっており仰向けで地面に倒れていた。

 

そして、次の瞬間には螺旋か消え、先ほどのようにハルバートを振り上げながら地面に立っていた。

 

「なっ! さっき俺は螺旋に刺されて死んだはずじゃ――――」

 

男が困惑している中持っていたトランシーバーから連絡が入った。

 

「天使が近づいてきたわ! 何をやってるの!」

 

「ゆりっぺ!? いや天使はそこに……っていない!!?」

 

「『あっ』『本当だ』」

 

球磨川と男の騒動に紛れて少女はこの場を後にしたらしい。

 

「チッ!? 勝負は預けた!!」

 

そう言って男は球磨川に背を向けて走りだした。

 

「『…………』『やれやれ』『今回も勝てなかった――――』」

 

球磨川が背を向けた同時に、甲高い音か聞こえた。

 

それは、球磨川がテレビの中でよく聞く音だった。

 

「『銃声!?』『僕、本物の銃撃つところ見たことないんだよね!』『急がなきゃ!』」

 

球磨川は先ほど男が走りだした方向と同じ場所に走っていった。

 

 

 

 

 

―――――

 

球磨川が銃声がした場所と思わしき場所に着くと真っ先に目に入ったのは先ほどの銀髪の少女を中心に沢山の人が周りを囲んでいる姿だった。

 

それも、囲んでいる奴らは皆何がしらの武器を持っており、構えている。

 

『これってイジメかな?』

 

球磨川は物陰から銀髪の少女を見る。

 

――――偶然なのだろう

 

球磨川と銀髪の少女との目が合った。

 

『……』『イジメから助けだすなんて、甘い奴らの考えだぜ』

 

球磨川はゆっくりと歩きだす。

 

「てめえ、さっきの!?」

 

「禊か!?」

 

「皆、あいつにも注意して!」

 

球磨川を知っている者は三者三様に驚く。

 

「『1人の可愛い女の子を皆で囲んで虐めるだなんて』『人としてどうかと思うよ』」

 

「そうね、でもこいつは人じゃなくて天使なの。 人が天使を倒すなら、数で勝しかないでしょ」

 

球磨川は天使と呼ばれた少女を見る。

 

『でも、その甘さ』

 

「『確かに天使のように可愛いよね』」

 

冗談めいた球磨川の発言に誰も反応しない。

 

『嫌いじゃないぜ』

 

「『笑えよ』」

 

その一言と同時に天使の周りにいた人達に螺旋が刺さり、倒れる。

 

「『人が冗談言ってるんだからさ』『皆で面白いって笑えよ』」

 

そう言いながら、天使に近づく球磨川。

 

「あん……た、天使の……味方……?」

 

ゆりっぺと呼ばれていた少女が擦れた声で言う。

 

そんなゆりっぺの方を向きながら『違うさ』と言う球磨川。

 

「『僕は何時でも弱い人の味方さ』」

 

球磨川は片手に持った螺旋をゆりっぺに向ける。

 

「『だから死んで』」

 

「止めて」

 

球磨川が持った螺旋がゆりっぺの顔面まで持ってかれると、天使がそれを止める。

 

「これ以上は意味ないわ」

 

天使の顔をじっと見つめる球磨川。

 

やがて球磨川は螺旋を捨てて、歩きだす。

 

「『やれやれ』『君みたいな可愛い女の子に言われたら止めるしかないか』『男としてね』」

 

球磨川は振り向くことなく、まるで自傷のように呟く。

 

「『ちくしょう』『今日も勝てなかった』」

 

 

 

球磨川禊

ある日突然現れた過負荷(マイナス)

 

そんな球磨川が起こす天使にもSSSにも所属しない球磨川が起こす

 

新たなる物語が始まる

説明
“虐めから助けだすなんて、甘い奴らの考えだぜ”

目を覚ましたら、何も知らない場所にいた球磨川禊

 そんな球磨川に手を差し伸べる人物とは
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