SAO 奇跡を掴む剛腕 『SAO record 03』 |
まえがき。
キャラ紹介
名前:白井 輝夕|(しらい きせき)/テラス
年齢:15歳
性別:男
使用武器:長剣(ユニークスキル)
備考:血盟騎士団に所属し、アスナの補佐役を務める攻略組プレイヤーの一人。基本的にはアスナとパーティーを組み、予定や報告事項などを伝えたりする。護衛のようにどんな所にも付きまとうと言う訳ではないが、アスナ本人が何か言わない限り一緒にいることが多い。付いてこなくていい、などと言ったことを言われた日は、基本的にソロでぶらぶらとする。
筋力値に偏りのあるステータスで、重たい長剣を片手で振り回す姿から『剛腕』の異名を持つ。当然敏捷が低いのではあるが、装備品を極限まで軽くしたりと、試行錯誤を重ねながら敏捷値を底上げする毎日を送っている。そのためか、意外なことに敏捷値はそこそこの数値になったとか。
一人称は『僕』。初対面でもあまり物おじしないタイプで、優しく友人思いな性格。黒髪なのか茶髪なのかわからないような色の少し長い髪に、黄色い髪止めをつけ、後ろ髪を一つにまとめている少女の様な容姿を持つ。童顔なのは認めているが、女の子のようだと言われるのは嫌い。なので、初対面の人間には「これでも男です」としっかり言っている。髪が長いのは、床屋に行く前に待ち切れずに入ってしまった為との事。また、瞳の色はカスタムで緑色にしてある。
キャラクターネーム『テラス』は本名をもじっただけ。(輝夕=奇跡)テラスはギリシャ語で『奇跡』と言う意味で、本人いわく少しだけまじめに考えたそうだ。
使用スキルは『索敵』『投剣』『連結』『片手直剣』『両手直剣』等々。
投剣スキルはピック投げから始まり、同時投げを習得。さらには『ダガー投げ』と言うものまで使えるまでになっている。いわく『完全習得』まで行った結果らしい。
『連結』はユニークスキルの一つ。その名の通り、剣と剣の柄を合わせて長剣にして扱うもの。ただし剣が二本分の重さになるため、相当の筋力値の高さが必要。テラスの場合、重たい剣を二本使っているのでとてつもなく重い。『連結』のスキルの他に、片手剣と両手剣の両方のスキルが当てはめられるため、とても技の幅が広い。しかし、使う技は基本的に連結した武器に合わせた形になるので、全てが同じスタイルで使えると言う訳ではない。
「君はギルドに入る気はないの?」
食事の後、アスナの問いかけにキリトは苦い返事をした。
ソロプレイヤー、特にベータテスター出身者は集団になじまない。キリトも例外ではなく、ボス攻略戦以外で誰かとパーティーを組むと言うことはしなかった。あるとすれば気まぐれ程度だろう。
アスナがこの話題を持ち出したのは、七十層を越えたあたりからモンスターのアルゴリズムにイレギュラー性が増してきているからだ。これはキリトやアスナだけではなく、テラスも感じてきていることだ。CPUの戦術が読みにくくなってきていることを考えると、今後の戦闘での危険も出てくる。それを思ってか、アスナはキリトに先ほどの問いかけをしたのだろう。
「なら、僕ら三人でパーティー組みましょう」
「はぁ!?」
「あ、いいわね」
パーティーは助けよりも邪魔になることが多い、というキリトの先ほどの意見を無視し、テラスはそれを提案した。しかし、キリトは相変わらず嫌だと言う表情でいる。
が、しかし――――
ヒュンッ
二つの音が重なると同時に、キリトの目の前を銀色の閃光がよぎり、顔の横を何かが掠めた。気が付くと、アスナの右手に握られたナイフがぴたりと据えられている。そして恐る恐る顔を掠めたものが何かを確認するために振り向き、その後それを投げた張本人を見た。
「あ、ごめんなさい。手が滑りました」
先ほど右手でナイフを投げ、今は左手でフォークを持ち、それをぷらぷらと見せている笑顔のテラスがわざとらしく謝る。今度は当てるぞと脅しの本音が見え見えなのが分かったキリトはしぶしぶ否定以外の言葉を絞り出す。正直、先ほどのすさまじいスピードは避けられないと判断したのだろう。
「・・・分かった。あんたら二人は例外だ」
「そ」
「で、でもよ。パーティー組むって言っても、ギルドはどうすんだよ」
「レベル上げのノルマはなし。各々が各自でレベル上げだから大丈夫」
「なら、護衛のあの二人は」
「置いて行けばいいんじゃない?あんまりしつこいと解任するって言っておいたし」
がくりとうなだれるキリト。反対する言葉を探そうにも、これ以上は見当たりそうにない。流石は副団長とその補佐だなと思いながらももうすでに無理だと諦め、カップの中にある少し冷めた熱い液体を飲みほした。
一方、テラスとアスナは嬉しそうだ。こう言ったギルドのメンバー以外の、しかもベータテスターのソロプレイヤーとパーティーを組めるなんてそうそうない。さらには顔見知りなだけで、今まで一緒に冒険したことがないのだからなおさらだ。
「じゃ、明日の朝9時に七十四層のゲートで待ち合わせです。遅れたら僕は怒りますよ〜?」
「ピック投げられそうで怖いんだが・・・」
「10分前行動って知ってます?」
「善処します」
sideout
翌日午前9時10分。
予定の30分前きっかりに到着し、二人を待つテラスと先に合流したのは、以外にもアスナではなくキリトであった。前日にテラスが言っていた「10分前行動」を覚えていたのか、キリトは予定の9時の少し前の55分ほどに到着した。
しかし、肝心なもう一人が来ない。10分前ではなく10分後になってしまっているが、何かあったのだろうかとテラスは疑問を浮かべ始める。横にいるキリトを見てみると、あくびをしながらもしっかりと待っていた。どこか諦め気味ななはしょうがないかと思いつつも、自分も似たようなことを思い始めていたのは秘密だ。
本日何度目になるかわからない転移門内部に青いテレポートの光が見える。どうせまた勤勉な攻略組のプレイヤーなのだろうと思いつつも、もしかしたらと言う希望を持ち、テラスとキリトは振り返った。
「きゃあああぁぁっ!よ、避けてーーっっ!!」
「「っ!?」」
その瞬間、叫び声とともに一人の人影が現れる。しかも、地上から一メートルほどの高さにだ。その人影は空中で実体化すると同時に、受けとめられるはずなのに逃げたテラスの横にいたキリトめがけて”飛んで”きた。
見事に避けきれず、受けとめることすらできなかったキリトとその飛んできた人影は思い切り衝突する。派手に地面に転がり、石畳にごちんと思い切り後頭部を強打したキリトは、「ここがもし圏外だったらHPが数ドット――――」なんて考えているだろう。
人影が飛んできた理由は、すぐに推測が付いた。大方転移元のゲートに飛び込み、そのままここまでテレポートしてきたのだろう。ジャンプして飛び込んだ理由は残念ながら分からないが、できるならやめてほしいと願うキリトは、自分の上に乗っているであろう人影をどかすために手を伸ばした。
「・・・?」
「あ」
テラスが言葉を漏らすと同時に、大音量の悲鳴が上がった。その直後、キリトの後頭部は再び石畳に激しく衝突する。上半身から重みが消え、頭部へのダメージから思考をどうにか回復したキリトは、ゆっくりとその体を起こした。
先ほどの人影は、なんと女性プレイヤーだった。白地に赤の刺繍が施された騎士服に、膝丈上のミニスカート。その服装は、テラスと同じギルド『血盟騎士団』に所属していると言うことが一目で分かった。白地に赤など、思いつくのはそれしかない。
((閑話休題|それはともかく))。
キリトの目の前にぺたりと座り込む女性プレイヤーは、言いようのない殺気を込めた視線でキリトをにらむ。顔は最大級と言っていいほどの感情エフェクトのおかげか、耳の端まで真っ赤に染まっている。そして極め付けに両腕を胸の前で堅く交差させていた。
「・・・」
その時、キリトはふいに先ほど伸ばした右手を見た。自分か掴んだものの感触が、未だ若干だが残っている。その途端、掴んだものの正体がはっきりした。
そう、はっきり言ってしまうと『胸』だ。キリトは自分の上に落ちてきた女性プレイヤーをどかすためとはいえ、胸を触ってしまったのだ。しかも二度、三度力を込めてしまったのだから感触も残る。相手の殺気の理由にも頷けた。
「おはようございます、副団長」
女性プレイヤー――――アスナに挨拶をするテラス。わざとらしい造り笑顔に、アスナは胸を交差させたまま言葉を返す。こちらもわざとらしく、いやみの様な言い方でだ。
「・・・なんで避けたの?テラス君なら受けとめられたよね?」
「副団長が「避けて」と言いましたからね。それと、先ほどのはお気の毒です」
「意地悪」
テラスが言葉を返そうとした瞬間、アスナの後ろの転移門の中に再び青い光が現れる。ハッとした表情でその転移門に振り向くアスナは、今度は慌てた様子で立ち上がると、いつの間にか立ち上がっていたキリトとその横のテラスの後ろに隠れるように回り込んだ。
「?」
「あの〜、副団長?」
訳がわからないまま、ゲートの中から人影が現れる。今度の転移者はしっかりと地面に足を付けており、キリトだけが一安心した。
出てきた人影は、見たことのある顔だった。白純のマントに赤の紋章――――血盟騎士の((団服|ユニフォーム))を身に纏い、少しばかし装飾が多いような気もする金属製の鎧と両手剣を装備している。
その男は、昨日アスナの護衛役を務め、付き従っていた長髪の方の護衛だった。
説明 | ||
HPが0になることは死を意味するデスゲーム『ソードアート・オンライン』。 攻略ギルド『KoB』に所属する主人公テラスは、『剛腕』の異名とともにアインクラッド攻略を目指す。 |
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