IS.B 馬神 弾という名の操縦者 2nd Break An outline No.3 |
弾side
土曜日 朝 第一アリーナ
今日と明日の二日間は勝斗が 特訓をする、と言い此処にいる。
だが、まだ来ない。
「待たせた」
この声、来たか…
声がした方向に振り向くとそこにいたのは、輝く純白の龍がいた。
対称の角と光り出す様な白い毛。
体格はミラバルカンに似ている。
その上に乗っているのは、勝斗だ。
純白の龍は俺の前で着地した。
『勝斗、この者が馬神 弾であるか?』
「あぁ、そうだ…」
輝く純白の龍が勝斗に質問した。
『其方が馬神 弾か、我は[祖龍 ミラルーツ]。宜しくな』
ミラルーツは俺に視線を向け、挨拶をした。
「あぁ、宜しく頼む」
「弾、今日はミラルーツと特訓しろ、ミラルーツはあそこにある道具を使って良いからな、18:30にまた、此処に来るからな」
勝斗はアリーナから出て行った。
『さて、始めようぞ』
「あぁ」
俺はライジング・バルカンを展開する。
『其方、形態技を使った事があるか?』
「形態…技?」
『名の通り、形態固有の技である。鈴音の[烈神速]や、勝斗のジンオウガの[雷光玉]と[落雷光]に中る。其方のミラバルカンとライジング・アポロの事……ライジング・バルカンには強力な形態技がありよる』
それが、形態技か。
『其方はミラバルカンだろう? ならば、[火焔翔殺]がある筈。技名を叫ぶだけで良いから…やって見るが良い』
「解った…」
ミラルーツはIS製のポールを置く。
技名を叫ぶだけで良いんだよな?
「火焔翔殺?」
そう叫んだ直後。
ズバアァァァァァァァンンンン????
地面諸共、IS製のポールを真っ二つに斬り付けていた。
来れた箇所からは赤黒い炎が燃え上がっていた。
正直、俺は何もして無い。
「なっ何が起こった?」
『ISの仕業だ…自分自身の意思でISを動かしているのが普通だが、形態変化機能があるISは自分の声ででも動いてくれるのだ。ほれ、無意識だと思うが、体の体形が変わっておるぞ』
「あっ!」
ただ突っ立っていた体形から、爪で攻撃した後の体形になっていた。
『今の叫びでISが勝手に動いたのだ』
確かに、鈴と勝斗は何かを叫んだな。
『だが、今のではまだ手緩い。本当の威力は其方とミラバルカンの心が一つになった時だ…』
「これでもまだ、甘いのか!」
ミラバルカンと心が一つになった時、どんなるんだ…
今の威力からして、俺は想像が付かなかった。
だが、とんでも無い事は確かだった。
それから、ミラルーツとの特訓は夕方まで続いた。
18:30 第一アリーナ
「ミラルーツ、弾は如何だったんだ?」
『うむ、馬神 弾は物の溶け込みが早い、ミラバルカンと心を一つになっただけで、まさか此処までとは…』
勝斗か戻り、ミラルーツに今日の特訓の事を聞いた。
「弾、明日は休んで良いぞ、十分に休養をとれ」
「解った」
今日の特訓は終わり、俺は寮へ戻って休んだ。
side out
箒side
土曜日 夜 寮
イライラ、ソワソワ。
朝、弾が特訓すると言って、出て行ってからもう夕方だぞ?
「ただいま…」
「遅い?」
いくら待たせたと思ってるのだ!
もう冷えてるぞ?
……これが。
「…ん? チャーハン? お前が作ったのか、箒」
「わ…私が、作ったのだ。たまには自分で…作るのも良いかと、思ってな……」
「そ…そうか…」
私はチャーハンを作るのが得意なんだ…
大丈夫、大丈夫、ふー。
「じゃあ、いただきます」
さあ! 美味しいと言え?
弾の恋人になる第一歩だ?
弾はチャーハンを口に頬張る。
「………」
「ど、如何だ? 美味いだろう!」
よし? これで美味しいと言ってくれれば?
「…………味が…し無い……」
「っな?」
何?
「ちょっ…? 貸せ?」
弾から蓮華を取る。
ぱくっ
………………………????
「あ、味が……し無い…」
本当だ…
「こ、これはたまたまだ…。たまたま調味料を入れ忘れたのだ…」
何とか誤魔化す…
すると、弾は何か微笑んだ。
「まゐ……」
私は何言ったのかが解らなかった。
マイ? まい?
「箒…」
「な、何だ…」
弾は微笑みながら、
「ありがとうな…」
「あっ…」
今…弾が……
一夏に見えた……。
side out
ミニストーリー2
ーーーーーーーーーーーーーーー
弾side
「お休み、弾…いや、一夏」
「うん? お休み」
今日の夜から何故か箒は俺の事を[一夏]と呼ぶ様になった。
…如何した事か…
取り敢えず俺は眠りに着いた。
『キュウアァァァァァォォォォォオオ????』
「?? ぐっ??」
突如、激しい頭痛が一瞬した。
そして、声がした。
箒は眠りに着いてる。
何だ? 今の声…
まるで、俺達を探している様な…
何か…胸騒ぎがする。
???side
「ふーん♪ ふーん」
僕は鼻歌を鳴らしてスキップしながら歩く。
だって、あの人……
馬神 弾に会えるんだもん……
「楽しみだね。[ルナ]」
『えぇ、そうね』
[ルナ]もそう見たい。
あ、IS学園、いよいよだ…!
side out
???side
馬神 弾がIS学園に入学したと聞いて、私もあの日の仕返しに日本へやって来た。
覚えているだろう、あの日、馬神 弾に殴られたのだ。
私はあれから馬神 弾を超えようと日々、特訓をした。
「いよいよだな…」
私はIS学園にそっとつぶやく。
side out
弾side
朝 教室
『お前と俺、心が一つってより身体が一つって感じだな』
『お前もそう思うか…俺も同じだ…完成するとこう成るのか』
ミラバルカンとライジング・アポロは俺と心が一つになった事で関心をした。
俺も例外では無い。
「それにしても、一心同体だな。まるで」
ミラルーツとの特訓は可成り効いている。
昨日の特訓しただけで身体に染み渡っている。
しかし、如何にも気になるな…
昨日の夢が…
「皆さん、HRの時間です。速やかに席に着きなさい」
勝斗の声で皆な席に着くと、山田先生と織斑先生が入って来た。
「今回は三人の転校生を紹介します…。それでは、一人目入って下さい…」
山田先生は何だか疲れた様な様子で話す。
三人? やけに多いな…
一人目は、中性的な顔と後ろに金色の髪縛っている女性。
「僕はフランス代表候補生のシャルロット・デュノアです! 皆さん、宜しくお願いします?」
何だか…興奮しているな…。
デュノアは…
「二人目、お願いします」
山田先生に言われて入った二人目は一切加工して無い様な長い銀髪、右目には黒い眼帯をしている。
つまり、この世界に来た時に、俺に襲い掛かった奴だった。
「私は、ラウラ・ボーデヴィッヒだ。宜しくな」
そう言った後、ラウラはこちらに視線を変えて、俺を睨む。
あの時の恨みか…当然だな。
「最後に三人目、お願いします」
最後に呼ばれたのは紫色の短い髪……。
………は?
「紫乃宮 まゐです。宜しくお願いします」
ま、まゐ?
何でまゐが?
まゐは俺を見て微笑みながら、
「弾の恋人です!」
否定し無いけど、爆弾発言?
一気に教室の空気が冷たくなった。
本当にまゐだ…
さて、如何しようか…
この二人…
弾side
HR後 廊下
「待て? 弾? 私にしろ??」
「お待ちになって? 弾さん?」
まゐの爆弾発言により、多分、修羅と化した箒とセシリアに追いかけられている。
セシリアはビットを展開しているし…
箒は木刀を持ってるし…
「うわっ? 危ないからよせ?? セシリア?? 箒?お前も…うおっ?」
「「問答無用 (ですわ)??」」
「やめて? 二人共?」
割り込む様にまゐが星形のビットで箒とセシリアを止める。
「どけぇ? 紫乃宮ぁ? 争奪の邪魔をするなぁぁぁぁぁ??」
箒はもはや、鬼だな。
…声が。
「弾さんは私の恋人ですわ?」
もはや止める術が無いな…
セシリアの声からして…
「…こうしましょ! 私が勝てば弾は私の恋人よ、貴方の何方かが勝てば貴方の恋人よ」
「あぁ! 受けて立つ?」
「異論は有りませんわ?」
まゐが宣戦布告をした。
俺を賭けるなー!
「私だってやるわ?」
あ、鈴が首を突っ込んだ。
「契約成立したわね。今日の放課後でね!」
あーあ、こう成っちゃったか。
side out
まゐside
放課後 第二アリーナ
「待ってたぞ、紫乃宮?」
「さっさと始めるわよ!」
「貴方のISに何か負けませんわ?」
篠ノ之、オルコット、鳳はやる気満々わね。
私も例外では無いわ、弾を守って見せるもん?
さてと、私も…
「行くわよ…[オンミョウ]」
『はい』
そう言うと、私の周りに紫色のオーラが纏い、[オンミョウ]のISが装着される。
白い蠍が飾られた陰陽帽、骨柄が描かれた陰陽着、そして、蛇柄の足、私の周りに浮かぶ四つの星形のビット。
「何だ、この、禍々しいISは…」
「怖いですわ…」
「こ…これは…?」
三人は私のISを見て、怖がっていた。
……一人だけ、知っている様だわね。
「あんたのISってまさか、[呪の覇王 カオティック・セイメイ]?」
「あら、知っているのね」
鳳はバトルスピリッツを御存知の様ね。
「あったり前じゃない? 私だって〔カード使い〕だわよ?」
ふーん、〔カード使い〕…ねぇ…。
「でもね、貴方のカードと心が一つにならないと、意味ないのよ?」
「関係無いわ? 攻撃力が高ければ」
ふーん、攻撃力が高ければ良いんだ…
「教えてあげるわ、心が一つになっている方が強いって事を」
私は三人に軽く挑発する。
「だぁ! かぁ!! らぁ?! そんなの関係無いわよぉぉぉぉお??」
「あ! おい?」
「鈴さん?」
鳳は怒りの一色に染まりながら私に襲い掛かる。
「紫幽線?」
「ガッ?」
私が放った紫色の光線が鳳に命中し、動かなくした。
「如何したの? 攻撃力が全てと言っといてこの程度なの?」
「っな? 馬鹿にするなぁぁぁぁぁ? [龍ちゃん]?! 形態変化よ??」
私が軽くからかうと鳳の顔はさらに赤くなり、鈴のISは紫から緑に変わった。
そして、私が放った[紫幽線]は弾かれた。
あらら、本気になっちゃって…
「いくわよぉ?? [烈神速]ぅぅぅ??!」
鳳はそう叫ぶと私の視界から見えなくなり、私の全身から一気に衝撃が走った。
「ぐふっ?」
私は思わず声を漏らす。
シールドエネルギーは一瞬にして半分以下に…。
「まゐっ?」
弾が心配そうに私に叫んだ。
「心配いらないわ、大丈夫よ」
私は淡々と答える。
「隙があり過ぎるぞぉぉぉ? 紫乃宮ぁぁぁぁぁ?」
「いただきですわ?」
ズバァァンッ?
ズガァァンッ?
シールドエネルギーは0になった。
「紫乃宮はこれだけか…自分で言いときながら…」
「相手になりませんでしたわ」
「なーんだ、根性だけで…」
三人は呆れてしまう。
でも、
「まだよ」
そう言うと…
「また、負け惜しみを…」
「お前のシールドエネルギーはもう無いだろう」
「しかも、何度やって……っな????」
来たわね、私の形態技。
「如何した?」
篠ノ之がオルコットに声を掛ける。
オルコットは驚愕の表情をしてる。
「私のシールドエネルギーが…何時の間にか減っていますわ??」
「何だと?」
「私はあんたに何も攻撃して無いわ? まさか?」
鳳が何か思い当たる事を思いついた。
「あんた? もしかして[呪滅撃]を使ったわね?」
「あら、御存知ね。[呪滅撃]とは相手側のシールドエネルギーを半分まで削る事で私のシールドエネルギーは完全回復するわ?」
私は知らない二人に簡単に説明する。
「何だと?」
「不死身ですの? 貴方のISは?」
初めて知った二人は驚愕する。
さっきの、あの行動は私の事を弱いと思わせる為。
見事に引っかかったわね。
さて、折角だし、あのシステムを使ってみよう。
「バースト? セット?」
私は左手にあるセットゾーンにカードを伏せて置いた。
「………」
「...........」
「………」
何も起こらないのも、当然。
だって、これはある意味罠だもの。
「…何も起こらないじゃないか……」
「脅し掛けても、貴方は不死身でしょうけど、無駄ですわよ」
「ふーん、言ってなさい」
私は不適に笑う。
すると篠ノ之が…
「それはぁ…こっちの台詞だあぁぁぁ???」
「ちょっ? 箒?」
篠ノ之は怒り、力いっぱい剣を振り下ろした。
ガキィィィィィンンッ?
「シールドエネルギーが減少した事により、バースト発動?」
「何だと?」
「やっぱりぃぃぃ??」
鳳は解ってたみたい。
他の二人は知らなかったから戸惑っている。
「マジック、[絶甲氷盾]よ? 私のシールドエネルギーをダメージ分回復する。更に、シールドエネルギーを少し削る事で、相手の武器と形態技を使用不可にする?」
「っな? 剣が解除された?」
「衝撃砲が? 何やってるのよぉ?」
「私のライフルが?」
効果ありね。
「何であんたはバースト使用出来るのよ??」
「何でって? カードと心を一つにしてるから出来るのよ?」
だから、言ったじゃん…
止めを刺そう。
「吸血星?」
三つの星が三人のシールドエネルギーを吸い取る。
「ぐぬぬぅぅぅ?」
「うぅぅぅ?」
「ぐぅぅぅ?」
篠ノ之、オルコット、鳳は悔しくそう歯を噛み締める。
地味だけど、勝負は着いたわね。
ラウラside
深夜 第二アリーナ
私は、あの日の事は忘れてはいない…
あの日の出来事、私は馬神 弾に殴られたのだ。
哀れだ…あの一撃で私は負けた…
だから、私は決心した。
「馬神 弾、この私が完膚無く叩き潰す」
そう呟いた、その時…
『お前は力が欲しいか?』
私の後ろから、不気味な声がした
振り向くとそこにいたのは、大きな牙を持ち、背中には長く鋭い棘がある黒い龍がいた。
「誰だ、貴様は」
『知りたいか? 俺様は覇龍 アカムトルムだ。お前が望めば幾らだって力をくれてやる』
私は…力が欲しい、あの人を…馬神 弾を叩き潰したい!
「欲しい…誰にでも勝てる強い力が欲しい?」
『ガハハッ! 良い目してるなぁ! 良いだろう?お前の欲しい分、力になってやる?』
side out
弾side
さて、暇だな…
まゐは箒、セシリア、鈴の三人と話をしている。
ブルッ!
「うおっ?」
何か寒気が感じた。
何だ? この気配は…
『何か、とんでもねー奴が出て来た様だなぁ』
『これは何か、黒いな…』
ライジング・アポロとミラバルカンもこの気配を感じた。
…嫌な予感がする。
バーーーーンッ?
突然、ドアが開け放たれた。
そこにいたのは…
「シャルロット?」
「ダーーーーーンッ?」
「うおっ?」
シャルロットは俺に飛び付いて来た。
来てから何だ?
何故、こうなったか…解らない。
来てからずっとそうだ。
あ、まゐ。
「あら、シャルロットじゃない? 如何したの?」
「僕、傍にいると…何だか安心するんだ…」
安心する?
「ふふっ、貴方と私、思っている事何だか同じぬ」
あ、言い忘れた、まゐとシャルロットは初めて会って早速と意気投合した。
まゐは何だか気が合うと言っているらしいが…
………さっきから何だ?
やけに殺気が強いな…
『シャルロットとやらも〔カード使い〕なのか』
「ライジング・アポロ、何でそう思うんだ?」
『何だかカードの気配がしてな、この娘からな』
シャルロットからはカードの気配か…
じゃあ、あの殺気な何だろう…?
『そろそろ寝る時間だな…』
『あぁ』
ミラバルカンが時間を知らせくれた。
「そうだな…寝ようか」
こうして、俺は眠りに着く…
弾side
トーナメント戦当日 第五アリーナ
会場は凄い熱気。
しかも、ISの開発社員、研究者までもいるらしい。
一年の場合は関係無いが、実力が高ければスカウトされる。
ペアはランダムに決まられる。
俺も誰とペアになるのか分からない。
「弾、今度こそ負けないわよ!」
鈴の方は、あの時の襲撃で決着が着かなかったから、もう一度戦おうとしている。
「弾さん、リベンジですわよ!」
セシリアは俺にまた、宣戦布告を掛けた。
ペアが発表された。
ペアは…
馬神 弾 ー シャルロット・デュノア
セシリア・オルコット ー 紫乃宮 まゐ
鳳 鈴音 ー 末永 遥
篠ノ之 箒 ー ラウラ・ボーデヴィッヒ
・
・
・
「……え…」
まゐは俺とペアになれなかった事でショックを受けていた。
あ〜あ、これじゃあまゐはやる気が出ないな…
「まゐ、お前とまた戦いたかったぞ」
俺がそう言うと…
まゐは和やかに微笑む。
「良かった、じゃあ負けないわよ!」
「あぁ、全力で掛かって来い!」
まゐは心機一転した。
一回戦
馬神 弾 ー シャルロット・デュノア
対
鳳 鈴音 ー 末永 遥
弾side
早速、鈴が相手か…
待つ手間が省けたな…
いよいよだな。
《対戦者は規定の位置まで移動して下さい》
アリーナグランド 上空
「来たわね! さあ、とっとと本当の決着を着けるわよ!」
「初めまして、私は[末永 遥]よ。鈴ちゃんのコンビよ!」
ショートヘアの女子、末永が挨拶をした。
コンビ…か…少々手強いな。
末永か装着しているのは、量産型の[ラファール・リヴァイブ]だ。
シャルロットは専用機である[ラファール・リヴァイブ カスタムU]。
《それでは、試合開始して下さい》
「いくぞ? シャルロット?」
「うん?」
「いっくわよー?」
「覚悟しなさい?」
末永はライフルを構える。
ターゲットはシャルロット。
「貰い?」
末永は弾丸を放つが、シャルロットは盾で防御する。
「それは、こっちの台詞だよ!」
シャルロットと末永は対立した。
さて…
「こっちも始めるか、鈴」
「当たり前じゃない?」
「「形態変化?」」
互いに形態変化し、牽制する。
「はあぁぁぁぁああ?」
俺は早速と攻める。
鈴は斧を二刀流で対抗する。
ガキンッ?
「くっ! 結構力が強いわね!」
斧二つで防御する鈴。
しかし、俺に押されてる。
「だったら、[烈神速]?」
鈴の勢いは[烈神速]によって、大幅に増した。
そして、アリーナの端に強くぶつかる。
「ぐがっ?」
くっ! 強い衝撃だ?
………使ってみるか…
「火焔翔殺?」
「きゃあぁぁぁぁああ?」
鈴を強い衝撃で地面に叩きつけ、同時に地面を切る。
「これでは、埒が開かないわね! 遥ぁー?」
「解った!」
鈴の合図に末永が聞き取ると、鈴の隣に並ぶ。
何が来る?
末永はマシンガンを構え、鈴は衝撃砲を構える。
まさか!
「シャルロット?」
「大丈夫!」
シャルロットは余裕の表情を見せた。
何をする気だ?
「僕もやるよ! 形態変化?」
シャルロットも形態変化出来るのか!
その時、弾丸の嵐が襲い掛かった。
広い! 避けられない?
その瞬間、
「[ラファール・カグヤ]の効果! 相手の攻撃力と防御力を一定になるまで下げる?」
「「えぇ?」」
鈴と末永は驚く表情をした。
俺に沢山の弾丸が当たったが衝撃は全く無く、シールドエネルギーは微量しか減少してない。
シャルロットのISは虹色の翼と黄金の冠、虹柄の着物が装着していた。
「あんたは、[光の覇王 ルナアーク・カグヤ]なの?」
鈴はシャルロットのISを見て、驚愕の表情をする。
「はあぁぁぁぁああ?」
隙を見せた鈴達に俺はライジング・バルカンの爪で攻撃を仕掛ける。
「きゃあぁぁぁぁあ?」
「うわぁぁぁぁあ?」
シャルロットの形態技により、防御力が弱まった事で鈴達のシールドエネルギーは一気に0になった。
《勝者 馬神 弾 と シャルロット・デュノア》
「勝負ありだな。鈴」
「悔しい〜!」
鈴は歯を食い縛って悔しそうにしていた。
二回戦
馬神 弾 ー シャルロット・デュノア
対
紫乃宮 まゐ ー セシリア・オルコット
今度はまゐか…
セシリアとペアを組んでいるから、また、弾丸の嵐が来るだろうな。
《対戦者は、規定の位置まで移動してさい》
アリーナグランド 上空
「ふふっ、覚悟してね」
「次は、負けませんわ!」
セシリアは気合い十分、まゐは嬉しそうに微笑む。
《それでは、対戦者は試合開始して下さい》
「紫幽線!」
まゐは開始合図と同時に先に仕掛ける。
狙いは…
「うわっ?」
「シャルロット!」
相手にとって、厄介な形態技を持つからか!
「隙ありですわ?」
セシリアは俺に目掛けてライフルを射つ。
「くっ?」
俺は弾丸をライジング・アポロの爪で弾く。
「ミラバルカン! 頼む?」
『任せろぉ?』
ライジング・バルカンに形態変化する。
「この前と同じとは思わないで下さいまし? 形態変化?」
何っ? 形態変化だと?
すると、セシリアの青いISから、段々と黄金に染まっていく。
「私めの形態、[ゴールド・ティアーズ]? 私の炎と踊りなさい?」
セシリアはライフルを構え、弾丸を射つ。
??…いや! 弾丸では無い? 火炎弾だ?!
「なっ? ぐあぁぁあ?」
当たった、凄い火力だ?
『こいつは! [リオレイア希少種]か?』
「何だ? そいつは?」
『希少種は綺麗な体色に稀に姿を現すんだ? その代わり、攻撃力は尋常じゃない? まさか、此処で来るとはな…』
ミラバルカンの説明からして厄介だな。
警戒しないとな…
「まだまだですわ? 形態技?」
今度は黄金のビットが浮遊し、一発が撃って来た。
同じじゃないか…
俺はそれを難なく弾く。
「罹りましたわ! 私の形態技、[ポイズン・ショット]! 貴方があのビームに触れたので、貴方のシールドエネルギーは少しづつ減りますわ!」
「何っ?」
しまった? これでは、時間の問題だ?
シャルロットはまゐに抑えられているし、状況は最悪だ…。
……だったら…
「…輝竜 シャイン・ブレイザー? ブレイヴ?」
シャイン・ブレイザーの装甲が現れ、その装甲は背中に装着された。
その後、装甲の白は黒く染まった。
「行くぞ?」
装甲の突起物から、縦横無尽に赤黒い稲妻をだす。
「くっ?」
セシリアは辛うじて避ける。
まゐはそのまま、攻撃を受けている。
ズガアァァァァァンッ?
「なっ?」
まゐは星形のビットを破壊された事で驚く。
そのおかげでシャルロットは拘束から解除された。
「助かった… 有難う、弾」
「勝負をつけるぞ? シャルロット!」
一か八かだ?
「行くよ! [ルナ]!」
『分かった』
シャルロットは[ラファール・カグヤ]に形態変化した。
「相手のステータスを下げるよ!」
「ふふっ! 私には[呪滅撃]があるわ。ステータスを下げたら、発動し易くなるわ!」
まゐは驚く事無く、ただ、余裕にしている。
だが、
「フラッシュタイミング? マジック、[サイレント ロック]? 合体していないISの武器と形態技の使用を不可にする?」
「しまった? 弾! 貴方、[呪滅撃]の弱点を突いたわね?」
[呪滅撃]の弱点、それは形態技を使用不可にする。
「これで、終わりだ?」
俺は、再び突起物から赤黒い稲妻をだす。
「「きゃあぁぁぁぁああ?」」
《勝者、馬神 弾とシャルロット・デュノア》
「俺の勝ちだ…、またやろうな、まゐ、セシリア」
「……ふっ、次は、負けないわ!」
「また、お願いしますわ!」
しかし、危なかった、シールドエネルギーはギリギリだったからな…
この二人のコンビは強いな…
三回戦
馬神 弾 ー シャルロット・デュノア
対
篠ノ之 箒 ー ラウラ・ボーデヴィッヒ
勝斗side
二回戦と一回戦のラウラの戦い方に違和感がある。
俺の判断が正しいならば、
「ラウラ・ボーデヴィッヒ、お前のISにVTシステムを摘んでいるな?」
「何を?」
惚けるのか…
「煙を巻いても無駄だ、俺の眼を嘗めるな」
「何を言っているのだ?」
………顔からして、知らないみたいだな…
「…知らないならいい、何でも無い」
俺はそう言いながら、この場を後にする。
ラウラの相手は弾とシャルロットだな。
気を付けろよ…奴は……
何するか分からないぞ…
弾side
《それでは、対戦者は規定の位置まで移動して下さい》
よし、行くか。
アリーナグランド 上空
「来たか、馬神 弾」
「………」
ラウラは俺を睨みつくが、箒は俯いていた。
《それでは、対戦者は試合を開始して下さい》
「「叩きのめす?」」
俺とラウラの声が一致し、お互いに間を詰める。
バチッ?
「なっ?」
「開始合図と同時に攻撃か、解り易い」
よ、読まれた!
「ふん」
「ぐあっ?」
ラウラは俺の左の横腹に蹴りをいれた。
そのまま、アリーナの端にぶつかる。
「ぐっ!」
「まだだ?」
黒い縄が俺の手足に巻き付いた。
しまった?
「ぐはっ?」
そのまま、縄に引かれ、ラウラは俺の腹部をおもいっきり蹴った。
「くっ! 形態変化?」
「来たか」
読まれただろうが構わない。
全力でやってやる?
「極星剣機 ポーラキャリバー? ブレイヴ?」
「何っ?」
此処までは読めなかったか。
ライジング・バルカンの翼にポーラキャリバーのジェットが装着され、剣を掴んだ。
両方とも、黒く染まった。
ラウラが想定外をうったなら作戦どうりで行こう。
「行くぞ?」
漆黒の剣で黒い縄を切り裂く。
「くっ!」
段々、ラウラの顔に焦りの表情が浮かんで来た。
「はあぁぁぁぁああ?」
「ぐあっ?」
俺は漆黒の剣でラウラを切りつけた。
急所に当たった様だ。
「お待たせ?」
「シャルロット!」
そっちは決着が着いたな。
なら…
「こっちも決着を着けるぞ?」
「うん! 形態変化?」
シャルロットは形態技を使って、ラウラのステータスを下げる。
「っしまっ?」
「はあぁぁああ?」
とどめの剣で勝負が決まった。
「ぐあぁ?」
「やったー?」
《勝者 、馬神 弾 シャルロット・デュノ…》
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁああ?」
「「??」」
突如、ラウラが悲鳴を上げた。
周囲から真紅の炎が舞う。
如何したんだ?
ラウラのISは炎と共に変形していく。
「何で? 変形するISなんて聞いたことも無いよ!?」
シャルロットが驚くのも当然、変形するISなんてある筈が無いんだ。
形が整った姿は、後ろには赤黒い棘が無数に生えていて、両肩には大きな牙の様な物があった。
『こいつっ?』
「ミラバルカン? 知っているのか?」
ミラバルカンは何かを感じ取った。
『ああ、こいつは幾度も破壊して来た龍、[覇龍 アカムトルム]だ?』
幾度も破壊して来た龍だって?
倒さないとIS学園がまずいことになる?
『こいつは俺でも、歯が立ちづらい。如何に俺と心が一つか試されるな…こりゃ』
つまり、力試しにもなるのか…
『貴様、何をしに此処へ来た??』
『ミラバルカンか、随分と久しぶりだな。ククク、決まってる』
ミラバルカンが質問した後、アカムトルムは答える前に大きく息を吸い…
『お前の居場所をぉ? ぶっ壊しに来たんだよぉぉぉぉぉお??』
こいつはミラバルカンに何か恨みでもあるのか?
アカムトルムは大きく咆哮をし、ともにマグマが地面から噴出する。
「させないよ!」
『邪魔すんじゃ、ねぇ?』
「うわっ?」
シャルロットはアカムトルムのステータスを下げようとしたが、シャルロットは地面に叩きつけらる。
『寝てろ? 永遠にな?』
「させるかっ?」
『おわっ?』
アカムトルムは牙でシャルロットを攻撃をしようとした所で、俺はライジング・バルカンの爪で受け止めた。
『ミラバルカン…また、手出しする気か?』
「それはこっちの台詞だ?」
『アカムトルム? 何度言ったら解るんだ?』
『黙れ? 散れ?』
アカムトルムは剣を展開し、乱暴に薙ぎ払う。
…っな? この剣は?
『弾! あの剣、まさか?』
「あぁ、相手が持っているのは間違い無く千冬さんが使ってた剣だ」
IS学園に入学する前にライジング・アポロと俺は千冬さんと訓練していた。
だから、分かる。
『……お前? 他の者の武器をパクリあがって?』
俺とライジング・アポロの反応で、ミラバルカンは怒りに震える。
『………何の事かな?』
「なっ?」
『テメェ?』
『惚けるな?』
アカムトルムの惚けで俺達は更に怒る。
「行くぞ? ミラバルカン? ライジング・アポロ?」
『今回は必ず息の根を止めてやる?』
『叩き潰す?』
side out
まゐside
観客席
あーあ、沸点を超えたのね。
「な、何だ? この威圧感は…」
箒は声を震え、
「…怖いですわ…」
セシリアは肩を震え、
「………」
鈴は全身震え、
三人共怖がっている。
分かる程感じ取るのも当然、
あの未来で戦った時、私の目は異界王の姿が見えた。
……でも、何か違う。
side out
弾side
『グオォォォォォオオッ?』
「くっ!」
アカムトルムはまた咆哮をし、マグマを噴出させた。
こいつが厄介だ?
何処から噴出するかが分からない?
『人間のくせにちょこまかと?? 死ね? ソニックブラストォ?』
「ぐあっ?」
アカムトルムの黒いブレスが俺に直撃した。
シールドエネルギーは一気に残り四分の一になってしまった。
アカムトルムは倒れている俺を踏みにじる。
『くくっ、人間は口だけが根性なのか?』
この言葉を聞いた後、俺の意識は薄れた。
side out
勝斗side
観客席
弾の意識は無くなったか。
シャルロットも何時の間にか倒れている。
『かかかっ? 邪魔者はいなくなった? 後は此処をぶっ壊すべきだぁぁぁぁああ?』
もう、俺がやるしかないな…
ゾクッ?
「??」
何だ? この憎悪は?
弾は再び立ち上がる。
周りには赤黒いオーラが纏う。
まさか?
『来たか、形態変化機能の本当の強さが…』
「ああ、あの形態は当の本人が意識が戻るまでは…俺でも止められ無い…」
どんなISにも形態変化機能があれば、必ずある形態。
「暴走形態…」
「ぐおぉぉぉぉおお??」
弾は大きく吠える。
目は赤黒一色、暴走形態の特徴の一つ、操縦者とパートナーの意識は無くなり、全ての動きはISが支配してしまう。
酷い時には、無人のISが出来てしまう、操縦者はただの死体になってしまう。
つまり、暴走形態は諸刃の剣の様な物だ。
「ぐおぉぉぉぉぉぉおお?」
『うおっ? 何だ?』
意識を失った弾は片手に持っていた漆黒の剣で攻める。
『っ? 何て力だ?』
「ぐおぉぉぉぉぉぉおお?」
『がっ?』
弾は空いていた手でアカムトルムの腹を殴り込む。
「ぐおぉぉぉぉぉぉぉおお?」
『ぐあぁぁぁぁああ?』
弾は漆黒の剣でアカムトルムを一刀両断した。
切れ口から金色の右目をしていた、ラウラが出てきた。
弾は落ちるラウラをそっと受け止め、その場で倒れる。
意識は大体回復したか。
だが、弾の意識が心配だ。
取り敢えず、三人を医務室へ運ぶ。
side out
ラウラside
精神世界
何故、貴様は強い?
何故、貴様は強く在り続ける?
"自分の強さというのは強い理由が無ければ、それは本当の強さとは言わない"
…そう…なのか?
"お前が強い理由は何だ?"
私は……何で強いのだろうか。
"無いならいい、その内に見つかる筈だ"
…馬神 弾、貴様の強さの理由は何だ?
"俺は、掛替えの無い仲間を守る為だ、勿論、お前も守るぞ。ラウラ・ボーデヴィッヒ"
その言葉を聞いた後、優しい光に包まれた。
医務室
目が覚めると横に教官が座っていた。
私はベッドで寝ていた。
「何が…起こったのですか?」
「ラウラ、VTシステムを知っているな?」
確か、勝斗か言って…
…まさか?
「それが、私のISに?」
「そうだ、お前は知らなかっただろう」
「……はい」
本当だったとはな…
勝斗の言ってた事は半信半疑だった。
「……ラウラ・ボーデヴィッヒ?」
「はい?」
教官の怒号で私は大きく反応する。
「お前は、誰だ」
「え、わ…私は…」
私は誰なのか、分かるが言い出せない。
「…誰でも無いなら丁度良い。お前はこれから、ラウラ・ボーデヴィッヒになるが良い。
…死ぬまでには時間がある、たっぷり悩めよ小娘」
教官はそう言い残し、医務室を出る。
何だろうか、何か嬉しく感じる。
side out
弾side
「う、うぅ…」
頭が痛い…
意識が戻ってからベッドで寝ていた。
「目覚めたか、弾」
隣から声を掛けたのは、勝斗だ。
「……? アカムトルムは?」
「それなら、問題無い」
問題無い?
「暴走形態になったから、お前が倒した」
俺が?
意識はなかったのに?
「いや、俺は意識が…」
「暴走形態の特徴だ、操縦者とパートナーの意識は停止し、ISが動きを支配してしまう形態だ」
俺が何かを言おうとしたら、勝斗が理由を説明してくれた。
動きがISに支配されたのか…
「意識が回復するまでは此処から動くな、俺は先に此処から出る」
勝斗は医務室から出ようとする。
「…待て」
「何だ?」
俺は勝斗を呼び止めた。
勝斗が来てから、ずっと気になっていた事があるから。
その内容は勿論、
「何で、勝斗はISを動かせる?」
「やはりそう聞くか、仕方ない教えよう」
分かってたかのように勝斗が言い出す。
「[白騎士事件]を覚えているな?」
「ああ、それが如何した?」
白騎士事件は確か、ISが発表してから約1年に全世界から襲撃され、その襲撃を日本から守ったのが[白騎士]と言うIS。
何か関係が…?
「誰にも言うなよ? あの事件に出た[白騎士]を動かしたのは…」
間が少し続き、勝斗は口を開く。
「[白騎士]を動かしたのは、俺だ」
「何っ?」
まさか? 白騎士事件の関係者だったのか?
勝斗side
遡る事、六年前。
小学4年の頃。
「おーい、勝斗ー、俺の家で遊ばないか?」
「遊ぼうぜ?」
ISが公開したばかり、まだ、女尊男卑になってない時にだ。
やんちゃな同級生が遊びを誘う。
勿論、俺は…
「…結構」
否定している。
同級生達はつれない顔をしながら、他を当たる。
俺はまだ未熟な身、だから毎日毎日勉強をしている。
成績は学年・全校共にトップ。
六年生の勉強を軽く熟す天才だと言われている。
俺には分からない、既に中学の勉強をやってしまっていて、何処から二年生の勉強で何処から五年生の勉強かが分からない。
何処から中学の勉強すら分からない。
七月半ば
「天神君、話があるから、相談室に来て」
「はい」
先生が何やら話があるらしい、
何だろうかと首を傾げる。
12:30 相談室
「君はこれから、中学3年までのテストを受ける事になった」
「はい」
実力テストか…
「始めっ?」
制限時間は一つの教科で約100分。
国語・数学・理科・社会・英語の5教科。
サイズと枚数は3Aサイズの5枚。
それぞれ、表裏印刷用紙だ。
……だが、何とも無い。
俺はシャープペンシルをスラスラと動かす。
休憩を含め、約525分間の中学の実力テストを終えた。
9:20 ショップ
朝の会で俺のお別れ会をやると言って、みんなは早速と準備を取り掛かった。
まぁ、俺はカードだけだがな…
さて、この5パックでデッキ制作をするか…
まずは1パック目…
ペリッ!
お、このパックで[超神星龍 ジークヴルム・ノヴァ]か…なかなかだな…
『俺と……を救…、…い内…奇…が…る』
「?」
何だ? 今の声、気のせいか?
…さて、2パック目…
ペリッ!
…ん? 何だ? このカード、何も書かれてないただ純白のカードではないか。
『其方、夜……に…い、話が…る』
「??」
やっぱり! 何か声がしたぞ?
何だ? 一体?
夜 家
確か、夜に如何とかこうとか言ってたな。
………………
………何もないから良いか。
『寺に来い?』
「??」
何だ? 今の怒号?
……と、取り敢えず、この近くにある[篠ノ之神社]に行こう……
篠ノ之神社
…深夜0時……
来てからずっとまたしているが…
…………………
何だ、空耳だったか。
戻ろう。
『戻るな?』
「???」
階段へ行こうとしたら、誰もい無い筈なのに、怒号が聞こえた。
振り向くと、そこにいたのは…
「ジークヴルム・ノヴァ?」
『俺だけじゃねえ』
『我もいる』
空から神々しい声が聞こえた。
その声の主は…
『我の名は[祖龍 ミラルーツ]、其方に頼みがあって我等が呼んだのだ』
「頼み?」
俺はミラルーツの頼みに耳を傾ける。
足には何かの物を掴んでいた。
何だ? 頼みって…
『近い内、世界中から襲撃される』
「何っ?」
襲撃…だと?
『其方は素晴らしい力を持っている。…これを受け取ると良い』
「うお!」
ミラルーツは足に掴んでいた物を俺の前に投げつけた。
これは…
「ISか? 残念ながら男は動かせ無い…」
俺は如何でも良い様に首を振る。
『…そいつを触れろ』
「……何?」
『触れろ』
『触れば、其方の力は更に輝く』
ジークヴルム・ノヴァは腕を組んで、ミラルーツは地面に降りた。
「俺の力が如何とかこうとか言って怪しいが、分かった」
俺はしゃがみ、倒れてるISに触れる。
その途端、触れてる箇所が光出した。
「な、何だ?」
その光は徐々に浸食する様に俺を包み込む。
離そうとしたが、その手は動く事はなかった。
ドクンッ??
「う…ぐ、うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ????」
全身に激痛と心臓の大きな鼓動が渡り、俺は意識を失った。
目が覚めると、もう朝になっていた。
あれは夢だったのだろうか?
しかし、場所は篠ノ之神社。
何だったのか…
…ん? 右腕に何か違和感が…
見ると、手首に白いブレスレットが腕時計の様に付けていた。
何か嫌な予感がする…
テレビ
速報です。
篠ノ之 束が世界各国のデータをハッキングした疑いで、世界中の政府から襲撃すると発表しました。
日にち、時間は非公開されており、何時襲撃されるかが分かりません。
更に、各国の航空会社が[日本人の入国は認めない]との差別的な発表をしました。
この修羅場を抜けるにはIS.PのAAA+ランクの実力者が多く必要とします。
しかし、日本の周囲を囲むには約29000人必要です。
現在は15000人しかいません。
私達はこれから如何なるのか、絶望を待つしか無いのか、未だに解決しません。
更に、国内最強のIS、[白騎士]が何者かに窃盗されました。
現場には、切り裂いた様な大きな穴がありました。
以上、速報でした。
勝斗side
市街
まさか、あの夢が正夢だったか。
みんなはソワソワしている。
『…急いで寺に来い?』
「えっ?」
また声が聞こえた?
…仕方が無い…また行くか。
篠ノ之神社
寺に着くと目の前にジークヴルム・ノヴァがいた。
また、夢か…
「何の用だ?」
俺は呆れ声で話す。
『因みに、これは夢では無い、本当の現実だ』
「何っ?」
現実だと?
じゃあ、昨日のは夢では無いのか?
『其方の市街ではいつかと申しておるが』
『世界中の愚か者はな、今日襲撃するとなっているんだ』
「何だって?」
今日だったのか?
世界中は日本に嘘を……?
『今、其方の力しか救う術は無い』
『さぁ、そのISを展開しろ?』
「だが、如何やって展開しろと?」
そう、俺にはISについては何も知らない。
俺はジークヴルム・ノヴァの言葉で戸惑う。
『そのブレスレットに集中するだけで良い、それだけの事』
このブレスレットに集中するだけか?
やってみるしか無いか…
ーーーーーーー集中・・・ーーーーーーー
《ーーーー[白騎士]起動ーーーー》
し、[白騎士]?
確か、あのISは窃盗されたのでは?
俺の身体には白騎士のISが装着された。
…騎士の様な感じだ。
『上空へ急ぐが良い!』
『一秒でも、無駄には出来無いぞ?』
「っ……?」
仕方が無い? 上に急ぐぞ?
日本列島 上空
何だ…あの機体の数々は…
もはや向こうの空も見えないくらいだ。
まさに、戦争の様だ…
これらを…このISで…?
『心配するでない。我等が攻撃の援助をする』
『お前は、この剣を適当に振り回すだけで良い』
援助をする?
振り回すだけで良い?
『来るぞ?』
弾丸が一斉に放たれた。
これでは、防ぎ切れない?
「ああぁぁぁあ?? くそぉぉぉぉおお???」
俺は自棄くそになり、剣で思いっきり薙ぎ払う。
ズバァァァァァァァァァァァァァァァンッ?????
「えっ?」
一回振るっただけ。
なのに、何だ…この破壊力は…
向こうにいた機体が一斉に撃破した。
後ろにいた機体はあえなく撤退した。
ガクンッ?
あ、身体が…
「おい、ジークヴルム・ノヴァ、ミラルーツ…」
後は絶対に…
『何だ…お前』
「まさか……この感じは…」
『……落ちる』
やっぱり…
「だよな……うわぁぁぁぁぁぁああ???」
予想的中?
海に落ちる?
…じゃなくて、墜ちる??
「うわぁぁぁぁぁぁああ????」
『起きろ?』
「うっ…うぅ」
此処は海中…じゃなくて陸?
如何なっているんだ?
「そこにいるのは誰だ?」
「??」
気づかれた?
逃げるしか無い。
「っな?」
「逃がさんぞ??」
「がっ?」
胴に白い縄が巻き付いた。
「っ? 離せ?」
「ぐあっ?」
俺は白騎士の剣で薙ぎ払う。
「??、貴様! 白騎士を?」
気づかれたか。
言い訳しても、通用しないだろうな。
此処は戦うしか道が無いか…
「男の子? 何で?」
…あれ? 逆に取り乱してる…
俺が男の子だから、当然か…
「君、IS.P本部へ行こう。其処で話そう」
「は、はい」
IS.P本部? 逮捕されるな…こりゃ…。
そして、まさかの事になった。
普通、白騎士は窃盗されたから俺を疑う、筈なんだが…。
何故かIS.Pの一員となってしまった…
だが、正式になった訳では無い。
この後、ランクを決める為の、又は合否を決める戦闘、合格試験がある。
ま、俺は絶対に合格する。
絶対が全てだからな…
今、装着しているのは勿論、白騎士。
それだけしか操縦出来ないと、断定したらしい。
『勝斗、そのIS、其方の向いたISにしてやる』
「何をする気だ?」
『やっている内に分かる』
「?」
何が何やら分からん。
IS闘技場
結局、ミラルーツとジークヴルム・ノヴァは何も知らせずにこの時を迎えた。
…何をする気だ?
このISをパワーアップさせるとでも?
いや、ステータスはあまり変化しない筈なんだが…
やはり分からない。
《戦闘開始?》
戦闘開始合図が流れた。
相手は早速と攻める。
だが、俺は白騎士の剣で攻撃を防ぐ。
「ぐっ…?」
勿論、押されている。
相手は一流のIS.P、当然の事だ。
「君、小学生だけど、中々の手つきね!」
「お褒めに扱わせて光栄…です?」
相手が褒めたって対戦相手なんだ。
戦友であれ、何があれ、俺は容赦なく戦うしかない。
答えた後、剣で相手の攻撃を弾き、間を開ける。
『………白騎士の原型を無くすぞ?』
「原型を無くす?」
『形態変化と叫ぶだけで良い!』
如何する気だ?
『とっとと言え? 早く?』
くっ、勝つ術ならば…?
「形態変化?」
「出来ない事を言わないの?」
……ですよね…
…と思ったら……
「??」
「えっ?」
白騎士の形状は激変した。
あの騎士らしいISから、ただ単純で地味な灰色のISに変わった。
ステータスを見ると攻撃、防御、機動性など、全ての値が0になっていた。
つまり、弱体化したらしい…
戻そう…
「形態変化?」
何とかあの白騎士に戻すが…
今度は、
「ジークヴルム・ノヴァ?」
ジークヴルム・ノヴァをイメージした、ISだった。
『早速、俺か』
「選んで無いけど…」
『………まあ良い、何でも良いから攻撃をしろ』
こいつは色通り、攻撃性か。
今のステータスは、量産型の打鉄を基準として、
攻撃力 780 基準100
防御力 610 基準100
機動性 540 基準100
…となっていた。
と、言う事は…。
「あ…ISが変化した?」
「如何やら、原型が無くなった様ですね」
「原型が…?」
白騎士ではなくなったのだ。
これからは、戦場、戦闘に合わせた戦い方が可能となった。
「行きます!」
「受けて立つわ?」
俺はジークヴルム・ノヴァの爪で相手に襲い掛かる。
相手は剣で防ぐ。
「うらあぁぁぁぁああ???」
バキッ?
「きゃあぁぁぁぁああ???」
剣を破壊した。
そして、相手に爪が当たった。
「さっきよりも、力が強い?」
「終わりです?」
俺は最後に蹴りをいれる。
「はあぁぁぁああ??」
「きゃあぁぁぁぁああ??」
《勝負あり? 勝者は天神 勝斗?》
俺は何時だって完全だ。
負ける訳にはいかん。
side out
時は、弾とラウラの決戦後に戻る。
弾side
医務室
「…と言う事だ」
「そんな過去が…」
勝斗の過去を知った俺は、驚くだけだ。
「IS.Pのランクは入ってから、B?ランクだった。だが、約5年間でAAA+ランクの資格を得た」
「そうか…」
ズキッ?
「ぐっ?」
意識がまだ戻らないせいか、頭痛か激しく響く。
「今日は寮で休もう…、立てるか?」
「…っと、大丈夫だ」
立てるまで回復した。
千鳥足だが、勝斗の援護で何とか歩ける様になった。
夜 寮
「弾…大丈夫?」
「心配するな、大丈夫だ」
同室となっていたまゐが心配してくれた。
ただ、治まってきたが、まだ頭痛が続く。
明日には治るだろう。
外は予報通りではない、嵐が吹き荒れていた。
side out
風を纏う白き龍。
ヒラヒラした様な衣を全身に、白き龍は前へ向かう。
その向かう先は、IS学園。
この龍が弾の運命を揺るがすのか、それは、嵐のみぞ知る。
テレビ
日本周辺に[黒い台風]が近づいて来ました。
目撃者によると、中心に、[龍の影]があったとの証言があります。
さらに、何らかの綺麗な鳴き声が聞こえた人が殆どいます。
たった今、情報が入りました。
[龍の影]を撃退する為、六機の飛行自衛隊が向かい、 攻撃を開始しようとしたのですが、全機墜落しました。
近くにいた住人によると、水鉄砲の様な物が放たれたと、言っています。
弾side
[黒い台風]?
それに、あの中に[龍の影]…
さらに、水鉄砲の様な物が放たれた。
何か、変な現象だな…
「天気予報が外れる原因はこれなのね」
「その様だな…」
まゐは[黒い台風]に関心をする。
今日の学校は中止になった。
あの[黒い台風]の影響らしい。
『[黒い台風]から気配が感じるな』
「……の様だな、ライジング・アポロ」
『だが、何故かお前を探しているみたいだぜ?』
「ミラバルカンもそう思うか」
[黒い台風]はIS学園に向かっている。
今日中に直撃するみたい。
絶対に何かいるな、この[黒い台風]の中に……。
「弾? 何ぼーっとしてるの?」
「あ、何でも無い…」
まゐはぼーっとしていた俺に呼び掛けた。
「キュアァァァァァォォォォォォゥゥゥゥゥゥウウ????」
「「???」」
俺達が聞こえた声は、あの[黒い台風]からだった。
side out
[黒い台風] 中心空間
黒い雲の中に風を纏う白き龍がいた。
黄金の角に白い衣がその身を纏う。
風を切る様な冷徹な目。
胸部には、黄金の光がうっすらと漏らす。
この龍が、弾達の運命を大きく動かす。
一番、理解していたのは、天神 勝斗だった。
勝斗side
職員室 窓辺
まさか、此処でくるとはね…。
あの龍は嵐を操ると言うからな。
その龍の名は………。
嵐龍 アマツマガツチ………
アマツマガツチはゆっくりと正体を表した。
何をする気だ?
side out
弾side
白い龍は黒い雲からゆっくり、顔を出す。
黒い雲とは違い、以外にも神々しい姿だった。
『馬神 弾、急いで私の元へ……』
?、何か言った?
…もしかして、来てと言っているのか?
俺は咄嗟に窓を開ける。
くっ、風が想像してたよりも強い?
「弾?」
「直ぐに戻る!」
俺は窓から飛び降り、ライジング・アポロを展開する。
『……貴方様が、馬神 弾……』
「何者だ、お前は」
『私は[嵐龍 アマツマガツチ]。嵐を操る龍です』
嵐を操る龍…手強いな…。
「俺に何の用だ?」
まずは、アマツマガツチの要件を聞く。
『貴方様のお力になりたい』
「何っ?」
俺の力に……?
如何言う事だ?
『この世界は日に日に増して邪悪に包まれて来ているのです。貴方様の太陽の力と、私の嵐の力と、邪悪を祓いたいのです』
「俺の太陽と、お前の嵐で…?」
『はい』
邪悪を救いたいなら…
「……分かった。お前の力を貸してくれ? アマツマガツチ?」
『私と共に、この世界を?』
アマツマガツチはそう言い、俺の周囲を囲む様に回り始めた。
すると、アマツマガツチの身体が光出し、俺のISに取り込まれた。
その後、嵐は嘘のように止んだ。
綺麗な日差しだ…
俺は素早く部屋に戻り、織斑先生に事情を説明した。
急遽、学校は一日中、自習となった。
だが、俺だけ、第六アリーナで模擬戦を始める様だ。
第六アリーナ 模擬戦前
ライジング・アポロを展開した俺は待機スペースで待っている。
相手は……
「……シャルロットか」
トーナメント戦で共に戦ったシャルロットだった。
形態技は"相手のステータスを一定まで下げる"…。
これは相手側にとっては厄介な形態技。
《対戦者は、規定の位置まで移動して下さい》
始める様だな…。
「僕は負けないよ! 弾!」
シャルロットはやる気満々、[ラファール・リヴァイヴ カスタムU]を展開している。
シャルロットの形態技は"相手のステータスを一定まで下げる"。
あれをやられてしまえば、例え、弾一発当たれば一撃で負ける。
しかも、避けるのも難しい、厄介な形態技だ。
「俺も負ける訳にはいかない、全力でかかって来い! シャルロット?」
「うん?」
お互い、構えて試合開始合図を待つ。
《それでは、両者は試合を始めて下さい》
「はあぁぁぁぁああ??」
俺は、やられる前にどんどん攻める。
しかし、シャルロットはマシンガンで俺の動きを封じる。
シールドエネルギーは少量削られたが、俺は何とか避け切る。
攻めるのが難しい…。
「来ないの? なら、僕も…形態変化!!」
しまった? 牽制していたら、隙が出来てしまった?
「[ラファール・カグヤ]の効果? 相手のステータスを一定まで下げるよ?」
くっ、此処迄か…
『準備が出来ました。私の力をお使い下さい?』
「っ? 形態変化?」
「しまった?」
シャルロットは何か驚いていた。
俺、何かやったか?
シャルロットが声を上げた後、俺のISは風に包まれた。
黄金だった部分は純白に、緑の部分は金色に変わった。
そして、風柄の半透明なマントが俺のISに装着され、隠す様に包み込む。
後部に、天照の金輪が装着された。
象徴は、[嵐太陽]。
名は[アマツマ・アポロ]となった。
「見た事無い形態だね…」
冷や汗を掻くシャルロット。
「この形態は初めて使うからな…」
さて、この形態の能力を試そうか。
アマツマガツチの力を…
「はあぁぁぁぁぁぁああ???」
「分かり易い攻撃だね?」
俺が隙を見せたので、ライフルを構える。
隙を見せたのはわざとだ…。
何故なら…
バチッ?
「えぇ? 何で?」
シャルロットが放ったライフルの弾丸は、弾かれた。
俺の爪では無い。
俺が纏っている、この形態の特性、[風流膜]がブロックした。
風流膜は、どんな遠距離攻撃をも完全に防ぐ耐遠距離攻撃用防御膜。
「はあぁぁぁぁぁぁああ!??」
「うわっ?」
俺はアマツマ・アポロの爪で、シャルロットをアリーナの地面に叩きつける。
風で、更に攻撃力が上がっている。
近距離攻撃だけ、防ぐ事は出来ないが…
「遠距離が駄目なら今度は、近距離だ?」
シャルロットはプラズマ剣で俺の後ろから攻撃する。
「…………」
シュンッ?
「えっ?」
空気の流れが分かり、後ろからの攻撃を躱す事が出来る様になった。
無論、探知も出来る程に…
防御力と攻撃力が、両立していた。
「…これが、アマツマガツチの能力か」
『貴方様のお役に立てれば、私は共に戦いますよ』
…それから、シャルロットは対抗する術なく、勝負は俺の勝ちとなった。
昼 寮
シャルロットとの模擬戦を終え、今、寮で休んでいる。
『…ところで、貴方様等は[擬人化]した事がありますか?』
『[擬人化]ぁ?』
『無いな。一回も…』
アマツマガツチは何やら興味深い話をしている。
『[擬人化]はどんな方々でもなります。この様に…』
アマツマガツチは人の姿で、現れた。
その姿は白く長い髪、下は黒、上は風柄の巫女姿。
「これが、[擬人化]です」
『へぇー』
『成る程』
「貴方様等も簡単に出来ますよ」
擬人形態のアマツマガツチは二人に擬人化になれる事を勧めた。
『よーし、俺も!』
ミラバルカンはそう言った後、直ぐに人姿で現れた。
「おー! 以外に簡単だな、擬人化」
『最後は俺か…』
ミラバルカンの擬人姿は赤黒い髪色で片目を隠し、黒いTシャツに赤黒いジャージ、そして、下は黒のダメージのジーパン、片耳には、赤黒いピアスをつけている。
ライジング・アポロはというと…
黄色のTシャツに赤いパーカー、下はオレンジのジーパン。
そこは良い、問題は…
「ライジング・アポロ…」
「なんだ? 弾?」
「顔が、俺とそっくりだが…」
「ん? あっ? 本当だ!!!」
顔が全く、俺とそっくりだ…
髪色も、髪型も、目付きも…
「…まあ、お互い、似た者同士で良いじゃないですか。では、私はこれで…」
アマツマガツチは白い勾玉に戻った。
「俺も戻る、ではな」
ミラバルカンも赤黒い勾玉に戻った。
「さて、弾、これは如何しようか…」
ライジング・アポロは俺とそっくりな顔であたふたしている。
「…取り敢えず、カードへ戻ってくれ…」
「……わかった」
正直、俺も驚いてしまった。
同じ顔で…
ライジング・アポロはカードに戻った。
コンコンッ!
「ん、どうぞ」
「しっ、失礼する」
入って来たのは、ラウラとまゐ。
ラウラは何だか顔を赤くなっている。
まゐは冷や汗を掻いている。
一体何が?
ラウラは、静かにこちらに近づいて来た。
まさか、殴…
「……っ?」
突然、ラウラが俺の胸倉を掴み…
…は?
「ぐっ?」
ラウラが俺の口を…口で塞がれた…
…って、これって?
すると、まゐは…
「ラウラね、貴方のこのが好きになったみたい」
そっ、それで?
何で?
「お、お前は私の嫁にする? 決定事項だ? 異論は認めんっ?」
「……こういう、感じで…」
好きになり過ぎ?
しかも、嫁じゃなくて婿だけど?
バーンッ!?
ドアを勢い良く開けたのは、最早、修羅と化したあの三人…
「貴様ぁ? ラウラぁ?」
「ラウラさん? あ、貴方は? キ、キ、キキキ、キスをするなんて?」
「ぶっ殺す?」
箒、セシリア、鈴の三人はラウラに怒りを注ぐ。
も、もうやめて…
俺は如何にも出来ない…
「うわっ? 何をする?」
ラウラは突然ISを部分展開し、俺を抱えて窓へ向かった。
「取り合いになるから、安全な場所へ移動する」
いや、そもそも、そっちの方が危ないだろう?
「行くぞ」
「ちょっと、ま……、うわぁぁぁぁぁぁぁああ???」
ラウラは俺を抱えているまま、窓から飛び降りた。
…が、ラウラは瞬時にISを展開し、
「行くぞ、嫁」
「ちょっと? 止せ…わあぁぁぁああ!?」
戻るそぶりも無く、そのまま飛んだ。
「やぁぁぁぁめぇぇぇぇろぉぉぉぉぉおお?????」
………無視か…。
side out
「あいつ? 弾を連れてっ?」
鈴はISを展開する、が…
ガツンッ!
「ぐぬぬぅぅうう???」
鈴のIS、[甲龍]の二つの球体が鈴の行進を妨げる。
見ると、二つの球体が窓際の壁にぶつかっていた。
鈴は怒りを屈して、強引に追おうとする。
メキメキ…
壁に亀裂が走った。
「り、鈴?」
「止めろ? 鈴? 幾ら何でも…」
「鈴さん? お待ちになって?」
まゐ、箒、セシリアは鈴を止めようとするが、鈴には全く聞こえず…
「待ぁぁぁぁぁぁてぇぇぇぇぇぇぇぇええ?!!!!!!!!!!!!!! ラウラぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
鈴は修羅と化した。
窓際の壁を破り、鈴は怒りと共にラウラを追う。
「もう? 追いかけるしか無いですわね?」
セシリアも後を追う。
取り残されたのは二人。
「…………くっ? 専用機を持っていれば?」
「私は………嫌な予感がするから動かない」
篠ノ之 箒と紫乃宮 まゐであった。
IS学園 上空
「ぶっ殺す?」
「来たか」
鈴は弾を片手で抱えているラウラを見つけ、ラウラに激突する。
狙いは勿論…
「ラウラぁ? 弾を返しなさい?」
「返すものか、弾は私の嫁だ」
ラウラは鈴の頼みにしれっと断る。
すると、鈴の顔はだんだんと赤くなり…
「だったらぁ? 力づくでぇ?」
鈴は衝撃砲を開放するが…
ラウラの特性、[AIC]で動きを止める。
「ぐっ?」
[AIC]、別名、[アクティブ・イナーシャル・キャンセラー]。
1対1の戦闘に向いた、慣性停止機能。
しかし、対象のISに集中しなければならない。
例え、0.1秒の途切れでも、[AIC]は解除されてしまうと言う、致命的な欠点がある。
「ら、ラウラ…、一体、如何言う心境だ?」
ラウラに抱えられている弾が質問する。
「決まっているだろう、お前のその熱い視線に、私は惚れた」
「はっ?」
弾はただ、考えるしか無かった。
シャルロットside
シャルロットの部屋
「ねえ、[ルナ]」
『何? シャルロット』
僕は[ルナ]事、[光の覇王 ルナアーク・カグヤ]と話をしてる。
勿論、その内容は…
「弾って、カッコ良くて、強いよね」
『……貴方の父親に見えるの? その人」
僕の父親は、一年前に亡くなった。
父親は、僕を庇って呉れる唯一の存在。
だけど、その人は重い病を患ってもなお、守ってくれた。
しかし、だんだん病が悪化し、帰らぬ人となった。
『……ごめんなさい。泣かしたわね』
「ううん、大丈夫だよ」
父親の事を思い出したら泣いていた。
僕の父親はそんなに優しかったよ…。
ドォォォォォォォンン?
「わわっ?」
『何なの?』
壁が壊れる様な音がした。
窓から見えたのはラウラ。
…とその人に抱えられている弾。
そして、ラウラに向かっている鈴。
「何があったんだろう…?」
『? 何か言ってる?』
ルナが何かを聞こえた。
「………………」
僕は取り敢えず、耳を傾ける。
「ラウラぁ? 弾を返しなさい?」
「返すものか、弾は私の嫁だ」
「だったらぁ? 力づくでぇ?」
はい? ラ、ラウラが弾の事を嫁と?
何があったの?
って? 嫁だって?
プチンッ!
「ふふっ! ふふふふふふ……?」
『あーあ、完全にスイッチが入ったね…』
side out
「だぁぁぁぁああ!!!!!!!!!!!!! 形態変化!!!!!!!!!!!!!!」
我慢の限度を越えた鈴は[烈甲龍]に形態変化する。
「何ッ!」
ラウラが驚いた事により、集中が途切れ、AICは解除された。
「[烈神速]!!!!!!!!!!!!」
「しまっ……ぐあっ?? がっ??」
まさに、怒りの二連続。
隙を見せた奴を瞬時に叩きのめす。
「さて、さっさと……あれ?」
鈴の目にはラウラしかいなかった。
鈴は怒りの余り、何かを忘れていた。
ラウラも熱中の余り、あの人を忘れていた。
「何か違うわね」
「そんな事は無い」
互いに考え続けていると…
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!!!!!!!!!!!!」
下から、戦いの根源が叫ぶ。
「……………あっ!!!!!!!! 不味い!」
「しまった? すっかり嫁の事を忘れていた??」
戦いの根源事、馬神 弾はアリーナのグランドに落ちてゆく。
弾は完全に二人に忘れられていた…
「弾さーーーーーーん!!!!!!!」
「セ、セシリア? っおわ??」
地面ギリギリ。
セシリアは弾を救った。
弾はある意味、九死に一生を得た。
「た、助かった…セシリア…」
弾の声は、最早死にそうになっていた。
「と、当然の事をしたまでですわ」
セシリアは顔を赤めらせている。
「……………!!! セシリア? 後ろ?」
「っ? きゃっ?」
間一髪、後ろから弾丸が襲った。
その弾丸の主は…
「ふふふ…ふふふふふ…」
「シャ、シャルロットさん?」
修羅となったシャルロットだった。
見た目でもわかる程、負のオーラを出している。
「あっ? 横取りするな? セシリアとシャルロット??」
「私の嫁だ。返してもらおう」
弾の事を忘れていた、阿保二人鈴とラウラが来た。
「鈴さんとラウラさんこそ? 大切なこの方の存在を忘れていたくせに、人の扱いが悪いですわよ?」
この馬鹿三人は言い合い喧嘩を始めた。
何故馬鹿か…
それは…
「僕がいる事、忘れて無いかな〜?」
ゾワッ!!!!!!!!!!
「「「「!!!!!!!!!!!!!」」」」
常人でもわかる程に、更に負のオーラをだすシャルロット。
余りの、負のオーラで全員動きが停止した。
弾も例外では無い。
悪魔の笑顔をしているシャルロットは両手からマシンガンを構える。
弾はこの場からこっそり離れ、直ぐにアリーナを後にした。
それに気がつかない三人。
「三人共、殺してあげる?」
「「「やぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!!!!!!!!!!!」」」
シャルロットの悪魔の一言を発した瞬間、三人をマシンガンで撃ち潰した。
弾side
寮
「弾? 息が荒いわよ?」
「お、恐れ入った…シャルロットが……悪魔に見えた…はぁ……」
流石に度肝を抜かれた…。
シャルロットの笑顔(怖さ)に…。
「悪魔に…?」
「あ、あぁ…アリーナを見れば、分かる…」
まゐは窓からアリーナを覗いた瞬間、このまま約1時間フリーズしたのは、言うまでも無い。
まだ、日は落ちて無いが、もう寝よう…。
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