外史テイルズオブエクシリア 闇の魂を持つ者の旅路の記録 第4話 |
第4話 様々な邂逅
四人は途中の村、ハ・ミルへとやって来た。
「果物がいっぱいだ。甘い匂いがするね」
「酒の匂いもな。果樹園でもやってるんじゃないか」
「おやまぁ。こんな村にお客さんとは珍しい」
そこに一人のおばあさんがやって来た。
「おばあさん、村の人?」
「村長をやっとります」
「村長さんか」
「ニ・アケリアへ行くにはこの道であっているか?」
「ニ・アケリアとはまた随分懐かしい名を」
「どういう意味?」
「忘れられた村の名じゃ。今ではあるかどうかもわからん。
子どもの頃にキジル海瀑の先にあると聞きましたが……」
「キジル海瀑?」
「大きな滝ですじゃ。
ニ・アケリアをお探しなら、起伏の激しい岩場を通り抜けるのお」
「そりゃあ、ちょっとここで休んでから行った方がよさそうだな」
「そうだね」
「村には宿がないですからの」
「私の家には空き部屋があるので、使ってくださっても構いませんぞ」
「おばあさん、ありがとうございます」
チャット場面
「元素の触媒」
アルヴィン「しっかし、なんでマクスウェル様が人間の姿してるわけ?」
ミラ「精霊とは本来、マナの塊だ。そのままでは人間界で活動できない。
精霊がこの世界に実体化するには、属性に応じた触媒が必要なのだ」
秋山「ああ、だからあのイフリートって奴は炎で体をつくってたのか」
ミラ「そういうことだ」
ジュード「マクスウェルは元素の精霊だよね?」
ミラ「人間の体はあらゆる元素を内包している。
私の実体化の触媒としては最適というわけだ」
アルヴィン「もし触媒を失ったらどうなるんだ」
ミラ「元素を集めて新たな触媒をつくり出し、その成長を待たねばならない」
ジュード「元素から赤ん坊をつくるってこと……?」
秋山「面倒だな。ぱぱっと大人の体をつくれないのか?」
ミラ「人間を触媒にするには、肉体の成長になじませる期間が必要なのだ」
ジュード「精霊の主といっても万能じゃないんだね」
ミラ「この人間界においてはな」
秋山「つうより、万能なんて本当はないんだろうな」
アルヴィン「それにしても、触媒がオッサンじゃなくてよかったよなぁ!」
ジュード「僕は別に……」
アルヴィン「オッサンでもアリ?」
ジュード「……そりゃ、ナシだけど」
秋山「俺も簡単には手伝わなかったかもな」
チャット場面終了
それから村長の家で休み、1日が過ぎていった。
「おはよう。何してるの」
ジュードは既に起きていたミラと秋山に声をかけた。
「人を見ていた」
「俺も」
「ふーん。ねえ、ミラ、聞いていい?
黒匣(ジン)って何?どうしてイル・ファンにあった装置を壊そうとするの?」
「あれは人が手にしてはいけないもの。だから、人の手から離さねばならない」
「どうして?」
「君がその理由を知る必要を感じないな」
ジュードはそれを聞いてショックを受けた。
「……信用されてないんだね」
「そうではない。君たち人は赤子が刃物を手に遊んでいたらどうする?」
「え、取り上げるんじゃないかな」
「何故だ?」
「それはほら、危ないから」
「それはほら、危ないから。正しい使い方も知らないだろうし、ケガだってするかもしれない……」
「そういうことだ」
その事を聞いてジュードはむっとした。
「僕たちは赤子じゃないよ!
どういうものかわかったら、ちゃんと自分で考えて間違わないように……」
「私にとっては同じなのだ」
「人は間違いを起こすと言うことか?」
「……そうなるのかな」
「ま、けど俺から言わせてもらえれば、そんなの人間じゃなくても同じだ。
生命ならなんであろうと同じ事が言えると俺は思うぞ」
秋山が反論する。
秋山は様々なものを見てきた、人間、精霊、怪人、怪物、アンドロイド、改造人間。
そんなものを見てきた秋山だが、どれも必ず過ちを起こす。
そのために秋山にとってはどれも同じだと思うようになっていた。
それは自分にも適応されると思っている。
「……世界を守るのだ。だからこそ、必ずクルスニクの槍は破壊する。それが私の使命だ」
「使命……」
「安心しろ、ジュード。ニ・アケリアに着けば、君には無縁の話だ」
「お前は使命に押し潰されるなよ」
「? 当然だ」
そんな時、ラ・シュガル兵が数名、村に入って来るのを目撃した。
「もう来たようだな。随分予想よりも早いな」
そのラ・シュガル兵に応対は、昨日までいなかった黄色の服を着た大男がしていた。
「どうやら、これ以上のんびりしてるわけにもいかなさそうだ」
そこにアルヴィンがやって来る。
「やっぱり僕たちを追ってきたんだよね……」
「さてな。国外捜査には早すぎる気もするけど」
「尋ねるわけにもいかないからな。どちらにしても見つかる前に出よう」
「ああ。村の西の出口があった。キジル海瀑はあっちだろうな」
四人は西出口の方へと向かった。
しかしそこには既に兵士が配備されていた。
「もう兵士がいる」
「どうすっよ」
「俺があいつらの記憶消去してくる」
「強行突破だな。手伝おう」
「いや、記憶消去術やるなら一人の方がやりやすい」
ミラの手伝いは不要という秋山。
そんな時、ジュードは後ろに誰かいるとして振り向くと、後ろにはぬいぐるみを持った少女がいた。
「あ、あの……」
「女の子?」
「え、えと…………なにしてる……んですか?」
「北斗神拳であいつらの記憶消去を図るところだ」
「……直球だね」
少女は兵士達を見る。
「あの人たち、邪魔……なんですね」
「そうだ」
すると突然少女の持っていたぬいぐるみが動きだし、宙を浮いて兵士の所に行く。
「うわ! なんだこれ!」
「ひぃ!」
怯える兵士達。
「これは……」
「どうなってるの? ぬいぐるみが??」
「ここで何をしている?」
そこに先ほどの黄色の服を着た大男が来る。
「こら、娘っ子。小屋を出てはならんというに」
大男はぬいぐるみに襲われている兵士を見る。
「ラ・シュガルもんめ。勝手な真似を…」
大男は兵士達の方に走って行き、少女とぬいぐるみはその反対方向へと走っていった。
「あ……行っちゃった……」
大男は兵士達を倒し、戻って来た。
「娘っ子は、どこに行った?」
「広場の方に……」
「なに? い、いかん!
お前たち、よそ者だな。なら、とっとと行ってしまえ」
「そのつもりだ」
大男は少女を追って広場に向かった。
「とりあえず行こうぜ」
四人はキジル海瀑の方へと向かう。
四人は魔物達に襲われることはあっても特に魔物は強くなかったので、これといった問題はなくキジル海瀑へとたどり着いた。
「このキジル海瀑を超えれば精霊の里、ニ・アケリアか。連中も追ってきてないな」
アルヴィンはほっとした様子だが、ジュードは浮かない顔をしていた。
「どうした? 浮かない顔をして」
秋山が声をかけた。
「村の人たちに悪いことしちゃったね……。よくしてくれたのに」
「ラ・シュガル兵が来てるんだ。逃げるが勝ちってな」
「どうするかを決めたのは彼らだ」
「僕らを守ってくれたのかもしれないんだし、そんな言い方しなくても……」
「気になるのか。ならジュード、君は戻るといい」
そう言ってミラは先に歩き出す。
「短いつきあいだったが、色々と感謝している」
「どうしてそうなの?」
ジュードの怒った声を聞いて、ミラは振り向く。
「……もっと感傷的になって欲しいのか? それは難しいな。君たち人もよく言うだろう? 感傷に浸ってる暇はない、とな」
「……使命があるから?」
「そういうことだな」
「やるべきことのためには感傷的になっちゃいけないの?」
「人は感傷的になってもなすべきことをなせるものなのか?」
「わからないよ。そんなの……。やってみないと……」
「なら、やってみてはどうだ?」
「え?」
「君のなすべきことを、そのままの君で……それで答えが出るかもしれない」
「僕のなすべきこと……」
「かもな……。まあ、俺は人は感傷的になってもなすべきことをなせるタイプだって思ってるけど、それはあくまで自分自身はそうだと分かってるだけだ。
お前自身の場合はお前が見つけてみろ」
「マクスウェル様のようになる必要はないだろうさ。普通、ああはなれないって……」
「ねえ、アルヴィンや秋山にもなすべきことってある?」
「俺はある。正直な話、今はまだそのなすべきことをなす時じゃないがな」
「それってどういうこと?」
秋山の言葉に疑問を持つジュード。
「言葉通りだ。これ以上語る気はない」
「そんで……俺にもあるって言ったら、余計迷うだろ、ジュード君」
アルヴィンがジュードの肩に腕をやる。
「え?」
「僕も決めなきゃってな」
「…………」
「んで、どうすんの? 村に戻る?」
ジュードは考え、答えを出す。
「ううん」
「んじゃ、行こうぜ」
ジュード達はミラの後を追った。
それからキジル海瀑の奥へと進んでいく四人。
その途中で大きな滝のある場所までやって来た。
「もうすぐニ・アケリアか〜。どんなところなんだろう。いいところなの?」
「うむ。私は気に入っている。瞑想すると力が研ぎ澄まされる気がする。落ち着けるところだ」
「へぇ〜」
「ちょっと休憩。岩場歩きで、足痛ぇ」
「到着してから休めばいいだろう?」
「そう言うなって。ニ・アケリアは逃げやしないさ」
ジュードの肩に腕をやるアルヴィン。
「な? 休もうぜ?」
「え、うん。じゃあ、そうしようか」
結局休むことにし、ミラは一人で少し外れの方に行った。
「アルヴィンって結構気を遣ってるんだね」
「ま、無理に気持ちを切り替えようとしてるお前さんが気になったのは確かだ」
「無理してるように見えちゃったんだ」
「そりゃあ、あれだけの苦労の連続だからな。無理してないって思わない方が少し無理があるな」
「おたくもだろ?」
「俺は今まで生きてきた中であれ以上の苦労の連続にあったことあるから問題ないさ」
「へぇ〜、ねえ、秋山はどんな苦労してきたの?」
「色々あるけど、思い出したくないのもあるから言えない」
「…………」
本当はすぐにでも語れるが、別世界のことなので語りたくないのだ。
秋山は別世界のことはあまり語ろうとしない。
それは秋山が勝手に決めただけである。
「でも、ホントに大丈夫だよ。僕、難しく考えないようにするの得意な方だから」
「そっか」
「それを無理してると言わないか?」
秋山がツッコム。
そんな時であった。
「っ! くっ!」
「な、何?」
ミラが苦しんでいる声が聞こえてきた。
ジュード達は声がする方に行ってみると、大きな滝の前に精霊術で体を縛られて宙に浮いているミラと、それを操り、本を持っているメガネをかけた女性がいた。
「誰?」
アルヴィンはその女性を見て、少し顔が険しくなる。
「今は、この娘(こ)にご執心なのかしら?」
女性はジュード達(正確にはアルヴィン)に向けて言った。
「放してくれよ。どんな用かは知らないが、彼女、俺の大事な雇い主なんだ」
「近づかないで、どうなるか、わからないわよ」
「あっそ」
秋山はなんと歩いて近づこうとしてきた。
「あなた正気?」
女性はミラを拘束してる精霊術を強くし、ミラの体をさらに強く締め付ける。
「くぅ……」
「この娘(こ)、下手すると死んじゃうわよ」
「その瞬間、お前の命がなくなる覚悟があるならいいぞ」
秋山はハッタリで言ってるわけではない。
秋山が本気を出せば、ミラが死んだ瞬間は愚か、死ぬ直前に女性を殺すことが可能である。
しかし秋山はそこまで本気を出す気はない。だが秋山は怒っていた。
「人の友達(だち)に手を出して……調子に乗るなよ」
その瞬間に秋山は姿を消した。
「!? どこ?」
女性が気が付いた時にはいつの間にか周りが突然剣撃に襲われ、女性はその剣撃で飛ばされ、海に落ちる。
それと同時にミラは解放され、女性に落とされていた剣を拾う。
そしてそれと同時にジュード達の前に抜き身した刀を持った秋山が現れ、秋山が刀を鞘に納める。
「まったく、乱暴だな」
「お前には当たらないよう、計算して斬った」
「……あ」
すると秋山の剣撃に反応したのか、岩場に擬態していた巨大な魔物が降りてきた。
「今の俺は機嫌悪い。俺一人でやらせてくれ」
「一人でやらせてくれってどうやって……」
「今やった技はリリアルオーブで身に着けた技だが、もう一つ身に着けた技がある。
そいつでやってやる」
秋山は刀を消す。
「どうする気?」
「こうする気だ」
秋山は自分の前で両手をクロスする。
そしてそのまま両腕を大きく横に広げ、右ひじを左手に当て、スペシウム光線よりも大きいL字の体勢で光線を放つ。
その光線は魔物にヒットし、大爆発を起こした。
「すごい……」
「スペシウム光線よりも強くないか?」
「ああ。ちなみにこれは『ゼペリオン光線』だ」
「ゼペリオン?」
「そう言う名前ね。あまり気にするな。ちなみにさっき高速で斬った技は『絶刀』」
「あ、さっきの人は?」
「斬る技と言っても人は斬れん。怪我する程度だ」
「優等生。悪い奴まで気にしてたら、日暮れるぞ。ほら、行こうぜ」
アルヴィンは早く行くように勧め、皆、ニ・アケリアへと向かう。
滝の出口付近でジュードはアルヴィンに尋ねた。
「ねえ。さっきの人、知り合いだったの?」
「あー、あれね。なんか向こうは知ってたみたいだけど、俺は…」
「………」
秋山は事情は知ってるし、明らかにあの時のアルヴィンと女性のやり取りはお互いが顔見知りでなければ出来ない会話である。
とは言っても秋山は言う気はなかった。
「傭兵とは、恨みを買う商売のようだな」
「でも、キレイな人だったね」
「ああいうのが好み? ジュード君は年上好みか」
ジュードは思わず笑う。
「よくわからないけど、そうなのかも」
そして四人はニ・アケリアに向かうのだった。
説明 | ||
この作品は別の人の影響で作った作品であり、作者(BLACK)のオリジナルキャラ「秋山総司郎」を第3主人公として、テイルズオブエクシリアの世界に来たらで書かれました。 秋山総司郎が今まで出てきた作品一覧(作品検索)。 http://www.tinami.com/search/list?keyword=%E7%A7%8B%E5%B1%B1%E7%B7%8F%E5%8F%B8%E9%83%8E&genrekey=1 秋山総司郎の時系列 この世界を訪れる前の話 「そらのおとしものf 番外編 『カオスのとある日常(いちにち) 里帰り編』」 http://www.tinami.com/view/225368 この世界を訪れた後の話 「そらのおとしもの 外伝 もしもイカロスの次に地上に来たのがカオスでその次に来たのがニンフだったら…。(アニメ仕様)」 http://www.tinami.com/view/257088 となっております。 |
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