武装神姫「tw×in」 第三話 学校×友達=
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神姫を学校に持って来てはいけない。

 

そういう校則の為、学校で神姫を見ることは全く無い……ことは無い。

皆わりと隠して持って来てるんだ。

もちろん見つかれば没収だけど、先生の目を盗んで逃げた神姫がマスターの所へ戻るから意味が無い。先生も最早諦めムードだ。

かといって、全員が全員持って来ている訳ではなく、オレは三人共留守番させている。

クラス内で神姫を持って来ている割合は、半々くらいだろうか。

「おっはー、宗哉」

そこへ真南が席の前にやって来て、

「ねぇねぇ、今日はどこにバトルしに行く?」

まだ朝でHRも始まってないのに、学校が終わってからの事を持ち出して来た。

「マスター、気が早すぎますよ」

真南の肩に乗ったミズナがすかさずツッコんだ。

「でもどうせ話すんだしさー」

「そりゃそうですけど、やれやれ……」

諦めた風にミズナは肩をすくめる。

「でさ、どうする?」

「オレは神姫センターに行こうと思ってるけど」

「え? ショップ目当てとか?」

「うん、エンルのリアパーツを」

「そっかぁ、じゃあわたしも行こっかな」

その時、

「おーす、何話してんだ2人共」

一人の男子生徒がオレ達の所へやって来た。

「あー東太、やっほー」

((火渡東太|ひわたりあすた))、オレ達の幼なじみ。腐れ縁と呼んだ方がいいくらいの付き合いだ。

「今日学校終わったら神姫センターに行くんだよ」

「へー、じゃあ俺も行こうかな」

「お?、じゃあ東太も一緒に…」

「ダメですわよマスター」

真南の声を遮った声は、東太の肩から聞こえてきた。

丸い髪飾りに縦ロールに結われた白髪に緑色の瞳、イーダ型の神姫だ。

「本日はマスターのお姉様とのご予定が先に入っております。神姫センターに行かれるのでしたらそれを片付けてからにして下さいませ」

「うぇ、そうだった、姉貴の手伝いあったんだ……でも面倒くせぇからな……」

「何をおっしゃていますのマスター?」

イーダ型神姫が東太の肩から机の上に飛び降り、東太をびしっ、と指さした。

「先に決めていた予定を、面倒ということだけでサボろうするなんて、何様のおつもりかしら?」

「う……」

相変わらず厳しいな、東太の神姫、カレンは。

「わ、分かった分かった、姉貴の手伝い終わってから行くから、それで良いだろ?」

「そう簡単に終わると思いませんけどね」

「だよなー……」

「まぁがんばれ、東太」

「おぅ……応援サンキューな」

多分、東太は間に合わないだろうな、と、今は思っていた。

 

 

 

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神姫センター。ゲームセンターの様に神姫バトルの筐体があるだけではなく、神姫本体から武装パーツまで取り扱うショップ、小さな大会が開けるスペース等、神姫と神姫マスターの為の建物と言うべき場所だ。

学校から一度帰ったオレは制服から着替えて、三人とそれぞれの武装パーツ、少しの予備を入れた鞄を持ってやって来た。

入り口で真南と合流し、中へと入る。

「まずはショップ?」

「いや、後一回分くらいのポイントがないと足りないから、先にバトルしないといけないんだ」

「そっか、じゃあ空いてる筐体探して、あたしとやっちゃえばいいんだね」

「そうなるね」

だがセンター内の筐体では必ずバトルが行われていた。周りで見てる人や神姫も次の番を待ってるかもしれないし、探すのは大変そうだな。

「それにしても、妙に人が多い気がするな」

「マスター、アレですよ」

鞄から顔を出したスレイニが指差す方向には垂れ幕があった。

そこにはこう書かれている。

 

『Fバトル予選会』

 

「あぁ、だからか」

Fバトルとは、神姫バトルの最高峰、F1からF3までの3大会があり、F1の優勝者は実質最強の証を得たも当然だとか。それを求めて神姫とマスターが集い戦う大会だ。

ただ、Fバトルに出るにはああした予選に幾つも勝利し、本選出場戦に勝った限られたマスターしかいけない、中々の難関だ。

「Fバトルかー、またやるんだね」

「前回だっけ、真南が出たの」

「うん、F2までは行けたんだけどね、そこでこてんぱん」

はっきり言って、真南はかなり強い。今言ったようにFバトルのF2に出場経験もあるほどの腕前だ。

しかし本人の飽き性が災いして、バトルの度に武装を変更するものだから、慣れてない武装で挑んで、それこそコテンパンに負けてしまった。

つまり、真南はその気になれば強いんだ。滅多にその気にはならないけど。

「マスターがもう少しやる気になってくれてたらもっといいところまで行けたんですけどね……はぁ」

真南の肩に乗るミズナも思い出したのか、ため息をついていた。

「宗哉は出ないの? Fバトル」

「うん、オレは、いいや」

特に嫌がる理由というのは無いけど、Fバトルは当たり前だが出場権を得た時の神姫以外は使ってはいけないというルールなので、オレはFバトルに出ようとはどうも思わない。

「下手に出て負け恥晒すことないですからね」

スレイニも別に良いらしい。

「わたしはマスターと戦えればどこだって構いません!」

ルミアがスレイニの横に現れて宣言し、

「私は、まだまだ未熟ですから、恐れ多いですよ」

その横にエンルが現れてそう言った。

良かった、Fバトルに出たいというのはいないみたいで。

「さぁ、早く筐体を探そう…」

その時、

「あら、真南、それに宗哉じゃない」

前から歩いてくる人に名前を呼ばれた。よく見れば、知っている顔が2人こちらへとやって来ていた。

「あー、かなちゃん、ゆいちゃんも」

「2人も来てたのね」

「……ちは」

名前を呼んだ方は((天野要|てんのかなめ))。

小声で手をひらっ、と挙げた方は((木部結|もくべゆい))。2人共クラスは違うが同じ学校に通う同級生だ。

「そっちこそ、珍しい組み合わせではないけど一緒に来たの?」

「えぇ、実はね、アタシ、新しい神姫を持とうと思ってるのよ」

「えー! 新しい神姫!?」

「ちょ、そんなに驚かなくてもいいじゃない。もう珍しく無いでしょ? 神姫を複数持つ人なんて、現に宗哉だって三人持ちじゃない」

「オレは、ちょっと特別な事情が入り交じってるけどね」

「とにかく、その為に必要なポイントと、どの神姫が良いか人のを見て考えてたのよ」

「ゆいちゃんも?」

「違う、ただの付き添い」

「そういう2人は?」

「宗哉のエンルちゃんのリアパーツを買いに来たの」

「ただポイントが少し足りないから、その前にバトルするんだけど」

「えぇ! 私の武装を買いに来たんですか?」

鞄から顔を出すエンルが目を丸くした。そういえば、あの時スリープモードで伝えてなかったっけ。

「そのバトルはわたしがするんですよ!」

エンルの隣でルミアが胸を叩いてアピールする。

「ルミアさん、ありがとうございます」

「大丈夫だよエンルさん、わたしはバトルしたいだけだから」

「あ、じゃあちょうど良いわね」

天野が名案とばかりに指をパチンと鳴らした。

「アタシも後一回分くらい必要で結と戦う予約して来たんだけど、この4人でタッグバトルしない? その方が勝っても負けても入るポイントが高くなるわよ」

「おー、ちょうど空いた筐体探してたところだからナイスアイデアだよ」

「結もそれで良いわよね?」

「ん、構わない」

 

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少しして、天野達の予約の番が来て、オレ達は筐体前に集まった。

筐体の台の上に、4人の神姫、計六人が揃う。内三人はオレのエンル、ルミア、スレイニ。そして真南のミズナと、天野、木部の神姫だ。

「うら、やるからには勝ちに行くわよ」

「もっちろんうら、がんがん行くうらよマスター」

青い髪に赤い瞳、容姿はまるで猫のような神姫。

マオチャオ型のうら、天野の神姫だ。

「氷李、行くよ」

「仰せのままに、マスター」

水色のショートカットに緑色の瞳、容姿も含め忠誠を誓う姿も忍びのような神姫。

フブキ型の氷李、木部の神姫だ。

「組分けはどうする?」

「このままで良いんじゃない? アタシと結。宗哉と真南で」

「じゃあけって?い、頑張ろうね、宗哉」

「うん、お互いにね」

天野と木部が筐体の向こう側へ、真南はミズナと話し始めたので、オレも三人を見る。

「ルミア、頑張ってね」

「頑張って下さい、ルミアさん」

「はい! 応援お願いしますね」

今回はルミアの番だから、スレイニとエンルは応援に回るみたいだ。

「マスター! やるからには張り切って行きますよ!」

ルミアは両手をぶんぶんと振ってやる気をアピール。

「うん、頑張ろう」

オレは鞄から、ルミアの武装を取り出した。

 

 

 

Ride on!

 

説明
今回、登場人物が一度に増えます。
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タグ
tw×in 武装神姫 BattleMasters 

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