ハイスクールD×D~HSSを持つ転生者〜 |
コカビエルに心臓を貫かれた…。
「フハハハハ! 楽しかったぞ! ここ数十年の中で一番な!」
高笑いをしているコカビエルに、俺は微笑をしていた。
体の中で異様な血流を感じている。さっきの温かな血流でもない。
これは、ヒステリア・アゴニザンテ。別名 死に際(ダイニング)ヒステリアって奴だな。
今考えたら、HSSを持つ人ってしぶといよな。
俺は遠山金一の武装に換装。そのまま無形の構えをとった。
「心臓を貫かれても、俺に立ち向かうか。お前ほどしぶとい奴は初めてだ」
「…そうかい。これが俺の最期の攻撃だ」
パパパパパパァンッ!!
俺は六連射の『不可視の銃撃(インヴィジビレ)』を撃ち、もうひとつの
ピースメーカーで六連射。そして、ふたつのピースメーカーを空中リロードし、
二つとも六連射を撃った。
思考よりも体が動き、神業レベルの24連射の『不可視の銃弾』。
しかも、撃つ時に弾丸に魔力を流し、速さと貫通力が増したものだ…!
スパパパパパッッッ!!! ビスビスビスビスッッ!!
コカビエルは光の剣の二刀流で、半分ほど魔力で速さが増した弾丸を斬ったが、
残りの弾丸が肩、腕、足、腹を貫通した。
「ぐぅぅぅッ!!」
「やった…ぞ。はは…ははは…」
俺はそこで意識が途切れた。
◇
「ここは…! そうか、俺は死んだんだな」
『ここは、神器(セイグリット・ギア)のなかであなたは今幽体よ』
「神器のなか…!?」
周りを見ると、俺が今まで使ってきた作品の登場人物の武装が置いてあった。
そしてその武装の前に立っていたのは、同じぐらいの歳の女性だった。
「お前は、誰だ…?」
『私は、あなたをこの世界に転生させた神よ』
「その神様が何で神器の中にいるんだ?」
神という女性は頬を朱に染めながら言った。
『それは…この神器を創ったときに、中に取り込まれたのよ』
「そうか」
神ってけっこうドジなんだな…。
『今、失礼な事を考えていたでしょ?』
「考えていません」
『それよりも…あなたはこのまま消えて満足?』
「そんな訳ない! 俺には守りたい人がいる! 俺はこの命が尽きるまで
守ると決めた主がいる! だが…今の俺にはその力が足りない。目の前の
強敵を斃す力が無い。これから、もっと強い敵が現れると思う。
そのとき、また仲間がやられるかもしれない。もう、それを見るのは
嫌なんだ!」
俺が思っていることを話したら、女性は笑った。
『あなたの本当の言葉が聞きたかった。その守る為に力をあげましょう』
女性は俺に抱きついてきた。爽やかな香りがして…体がやわらかくて…
来た…ヒステリア性の血流…!
『さぁ、いってらっしゃい。これからはこっちにも遊びに来てね』
俺の意識が途切れた。
◆
一誠Side
「クリス。ダメだ! 死んではいけない!」
祐斗が声をかける。でも、クリスは反応しない。
「…先輩が死ぬなんて…いやです」
小猫ちゃんはクリスが死ぬ事を嫌がってクリスの傍を離れない。
「おい! クリス! 死ぬんじゃねぇぞ! お前が死んだら誰が部長のストレスを
発散するってんだよ!」
「…イッセー。この戦いが終わったら話し合いましょう」
「じょ…冗談ですよ…」
「でも、おかしいですわ。クリスくんは確かに、コカビエルの光の剣で
心臓を貫かれたはずですよ?」
確かに…それは俺も見た。悪魔は光を嫌う。悪魔は光の攻撃をくらうと
無に帰す。何も感じずに、肉体も残らない。
クリスは光の剣を心臓にくらい、無に帰るどころか、肉体も残っている。
何でだ…?
『相棒。それはきっとこいつの特異体質のせいだ』
何で…? HSSは悪魔とか関係ないはずだぞ。
『普通はな。だが、コカビエルと闘っているクリスを見て、お前は悪寒を
感じただろう?』
確かに。俺はあのクリスを見て、悪寒が走った。それはゼノヴィアが
持っているデュランダルを見たときと同じだった。
『これは俺の推測にすぎないが…そのHSSって奴でクリスはそこにいる
悪魔(エクソシスト)祓いと同じぐらいの聖の力を手に入れた。その聖の力で
クリスの肉体は無事って訳だ』
聖の力…クリスは悪魔でありながら、教会側の力を持っているのか。
ドライグと話をしていると、クリスの体が光り出した。
この光…木場のと似ている!
『相棒。もうわかっていると思うが、さっきの騎士と同じだ。至ったんだ』
そう。これは
『「禁手(バランス・ブレイカー)だ」』
◆
クリスSide
「ここは…?」
目を覚ますと、オカルト研究部の皆の顔が見えた。
「クリス! よかった…死んだと思ったじゃない!」
「部長…」
部長は涙目だった。周りを見渡すと、みんな心配していたらしい。
「あれ…? 傷が治っている。どういう事だ?」
それに…いつもより強力でさっきのヒステリア・パラディンとは大違いだ。
しかも相手は男。きっとこれは、ヒステリア・レガルメンテ。
別名 王者のHSSといわれるものだ。
「…行って来る。コカビエルを消す」
「なら…俺たちも手伝う!」
一誠たちも立ち上がる。俺は
「…来るな。あいつは俺がやる」
「!!」
皆は普段とは全然違う、俺に驚いていた。いや、それもあるが
ノルマーレやベルセより強力な殺気を放っているからだろう。
「クリス…! 今のあなたなら、コカビエルに勝てるわ」
「そうかい。コカビエルを殺ってくる」
俺はコカビエルのところへ向かった。
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