ハイスクールD×D~HSSを持つ転生者〜 第29話
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今俺は、家にいる。部室で、一誠達が家族の事を楽しそうに話していたのが

 何故か、恨めしかった。

 確かに…両親が事故で亡くなったのはとても悲しかった。それはもう、

 後を追いかけたいほどに。

「でも、その気持ちも乗り越えたはずだ。なのに…」

 もしかして、俺は家族が欲しかったのか…? いや。昔の俺だったら、考えていた

 はずだが今の俺には、親友がいる。仲間がいる。主がいる。

 それだけで、充分なはずだ。

「…先輩? いったいどうしたんですか?」

 いつの間に、小猫が俺の部屋の前に来ていた。

「…いたのか。もしかして…今の全部聞こえていた?」

「…はい。全部。一言も聞き逃さずに」

 小猫は頷いた。やばっ! 恥ずかしいぞ! これ!

 きっと、おれの顔は真っ赤に染まっているのだろう。

「小猫。この事は絶対に言うなよ」

「……わかりました。言いません」

 小猫はきっぱりと言い切った。

「よし。お腹すいたろ。今からご飯を作ってやる」

 俺が、台所へ向かったとき

「…私には先輩の気持ちはよくわかりません。ですが、寂しい時には言ってください。

 一緒に遊んであげます」

 小猫が言った。 

「ああ。ありがとな」

 

 

 

 

 

 

 

  小猫Side

 

 先輩は自分の部屋へ行き、自分の気持ちを言い出した。

 私は、先輩がうわ言のように呟いている事を偶然に聞いた。

 先輩は中3の時に両親を事故で亡くした。でも先輩はそれを乗り越えて、

 頑張っている。

 すごい…と素直にそう思った。

 先輩は言った。今の俺には親友がいる。仲間がいる。主がいる。

 それだけいるなら充分じゃないのか? と

 その時の先輩の顔は、とても清々しい顔をしていた。

 正直、かっこいいと思った。

 このまま黙っていれば、先輩の過去の事も聞けるんじゃないかと思ったけど

 さすがに不味いと思って

「…先輩? いったいどうしたんですか」

 声をかけた。先輩は、

「…いたのか。もしかして…さっきの全部聞こえていた?」

 と聞いてきたので

「…はい。全部。一言も聞き逃さずに」

 と正直に言った。恥ずかしいのか、先輩の顔が真っ赤になっていった。

 

「お腹すいたろ。今からご飯作ってやる」

 と先輩は逃げるように台所に向かったとき、

「…私には先輩の気持ちはよくわかりません。ですが、寂しいときには言ってください。

 気晴らしぐらいには付き合ってあげます」

 先輩はその言葉に

「ああ。ありがとな」

 と笑顔で言って台所へ行った。

 その笑顔を見たとき、私の心はときめいてしまった。

「…先輩。私はもしかしたら先輩の事が好きかもしれません」

 

 

 

説明
神様の悪戯で、死んでしまった俺―――神矢クリスはハイスクールD×Dの世界に転生した。原作の主人公、兵藤一誠らに会っていろんな事に巻き込まれる
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