魔法少女リリカルなのはStrikerS〜二次創作〜 第11話 「帰還!シャムの家へ」 |
「・・・は?」
「だから、機動六課に入らんかっちゅう話やねん」
一体何だ?このデジャヴ
なんとなーく予想はしてたけど、あんなことがあった後に 言われるとは思わなかった
俺を除く他のメンバーは冷静な表情に戻っていた
これが数多の戦場を駆け抜けてきた経験から為せる技なの か?
「でも・・・俺は一瞬、ヴィータさんの言った通りあなた 達を殺そうとしたんですよ?」
「それは変えていけばいいってゆーたやんか」
「で・・・ですが」
顔を下に向け俺はうつむいていた
殺そうとしたんだ、殺そうとしてしまったんだと何回も自 分の頭の中に声が響く
ふと、俺の肩に手が置かれた
顔を上げてみると、テスタロッサさんが優しそうな笑顔を 浮かべて俺と同じ目線になるようにしゃがんでいた
「大丈夫だよダンテ君。私たちはそんなに弱くない」
「そうだよ、結構強いんだから」
テスタロッサさんに続いて高町さんが答える
「それにね、心配なんだよ。君のことが」
一呼吸おいて、高町さんの後に再びテスタロッサさんがそ う言う
「私だけじゃないよ?シグナムもヴィータもはやても、そ してなのはもね」
最後にテスタロッサさんが高町さんに顔を向けると、高町 さんは笑顔で返した
「それに、フォワードのみんなも。ダンテ君があんなこと になっちゃったのには驚いたけど、戦い方を見た四人。キ ャロとエリオは大はしゃぎだったんだ」
「スバルもね。それとティアナも、あの正確な射撃はどこ で訓練したんだろうって驚いてた」
そんなに大したものではないのだけれど・・・
誉められるとどうも照れてしまうな・・・
今の二人の言葉から察すると、キャロちゃんとエリオ君は テスタロッサさんが、スバルさんとティアナさんは高町さ んが教えてるってわけか?
「ヴィータもな、すっごいダンテ君のこと心配してたんや で?あんなヴィータ初めて見たなぁ」
「な・・・!は、はやて!それは言わない約束だろ!」
ヴィータさんが顔を真っ赤にして八神さんに掛かっている
「シグナムも、冷静なように見えて本当はダンテ君のこと 凄い気にかけてたんだよ?」
「お・・・おいテスタロッサ!わ・・・私はただ、戦えな かったのが不満なだけだ!」
テスタロッサさんが俺に耳打ちするような体勢で話し掛け るが、声は普通に聞こえるように喋った
もちろんそれはシグナムさんにも聞こえるわけで、シグナ ムさんは顔を少し赤くしながら俺から目を反らした
「・・・と、話が脱線してもうたな」
八神さんがそう言い放ち、俺たちは雑談を止め、八神さん の話に耳を傾けた
「で、どうや?入らへんか?」
・・・正直に言って、俺はあまり気が進まない
恐いっていうのもあるけど、それより何より八神さんたち に迷惑をかけたくない
シャムにも・・・迷惑をかけたくないのだ
「ダンテ君・・・やっぱり優しいよ」
黙り込んで考えてる俺に、高町さんはそう声を掛けてきた
「たぶんダンテ君・・・私たちに迷惑をかけたくないとか 思ってるでしょ」
「そ、それは・・・」
図星だった
反論できない俺を見て、確信したかのように話を続ける
「ダンテ君のいいところは、その優しさだよ。その優しい 心があれば沢山の人を救える・・・どうかな?機動六課に 入って、私たちと一緒に沢山の人を救ってみない?」
「・・・私が言いたかったのはまさしく、なのはちゃんの 言ったことや。どうや?私たちと一緒に・・・」
それは、八神さんが高町さんに続いて話している途中だっ た
次の瞬間
バキバキと部隊長室の扉が音を立てたかと思ったら、扉が これまたもの凄い勢いでこちらに飛んできた
後数センチずれていたら、俺は扉ごとふっ飛んでいた
あのシグナムさんでさえ、目を点にして驚いている
「・・・はやてちゃん」
入り口に居たのは、確か・・・
「シ・・・シャマルやないか。そ・・・そうや!今連れて 行こうとしてたんやで!?」
「私言ったよね?安全の為に食事が終わったらすぐ医務室 に連れて来てって・・・」
そうだ、医務室のシャマルさん・・・シャマル先生だった かな?
それにしても、いいとこで入ってきたなー
「それに・・・何でバインドなんかしてるの?・・・なの はちゃん」
「こ・・・これは、えっと・・・あはは」
なるほど、この帯みたいな紐みたいなのはバインドって言 うのか。ほうほう、勉強になった
「・・・はやてちゃん」
「お・・・落ち着いてな?な?何事も話し合いが大事やで ?」
「おかしいと思って来てみたら、やっぱりこういうことだ ったのね?」
「シ・・・シャマルさん?」
「問答・・・無用!」
「「ぎゃー!助けてー!」」
うーん、何だか喉が渇いたなぁ
食堂に行ってみよ
「テスタロッサさん」
「な・・・何かな?」
「食堂に水ってあります?タダですか?」
一応確認しておく
こっちのお金持ってないしなぁ・・・
「う・・・うん。あるし、タダだよ?」
「あ、そうですか。ありがとうございます」
そう言って俺は食堂へと歩き出す
お礼の言葉は大事だからね
「・・・ダンテ君」
「はい?」
「たくましいね・・・」
「いえいえ、そんなことないですよ?」
俺はこの紐・・・バインド?を砕き、食堂へと向かった
案外緩いなこれ
ーーーーーーーーーー
「それじゃあフェイトちゃん、お願いや」
「うん、まかせて」
あの後、食堂から戻ったあとシャマル先生に自分は大丈夫 だということを伝え、場を抑えた俺は帰ろうとしたところ 八神さんに呼び止められた
八神さんによると、今日のところは帰してあげるけど入る 入らないについてはじっくりとな・・・らしい
それに俺は、下手をすれば犯罪者のようなものらしい
何でも、質量兵器がうんたらかんたら
難しかったからよくわからなかったけど、気をつけるよう に・・・とのことだ
「よ・・・よろしくお願いします・・・」
「うん、よろしく」
話を戻そう
呼び止められた俺は、八神さんからテスタロッサさんが送 ってくれるという提案を受けた
さすがに忙しい身なのにそこまではと断ったが、テスタロ ッサさんの強い希望により送迎が決まってしまった
それも車
そしてまたスポーツカー・・・
?車内?
「なのはは本当に無茶するから、目が離せないんだよね」
「あー・・・」
車内、てっきり会話が無くなると思っていたけど、高町さ んの時と同じように気さくに話し掛けてきてくれた
これが執務官の成せる技なのか・・・
語学も達者でおられる
「な・・・仲がいいんですねテスタロッサさん」
俺が相づちを返すと
「むぅ・・・」
と少し不満そうな顔をしてきた
ま・・・まさか、何か失礼なことを言ってしまっただろう か
「その・・・テスタロッサさんじゃなくてフェイトでいい よ?」
「え?あ、いや・・・」
「なんだか堅苦しい感じがして・・・」
また・・・
こんなフランクでいいのか機動ろ 「ダメ・・・かな?」
「いや・・・ダメというかですね」
「ダメ・・・かな・・・」
テスタロッサさんは少し涙目になりながらそう呟いた
こちらからでも若干それがわかる
「いやほら、テスタロッサさんほどのお方を名前で呼ぶの は・・・」
「ダ・・・メ・・・かなぁ・・・」
ダ・・・ダメだ
いや、名前を呼ぶのがダメなんじゃなくて、テスタロッサ さんは泣く一歩手前だ
こんな美人さんを泣かせるなんて俺はどうかしてる
「テ・・・テスタロッサさん、あの」
「・・・いや」
「はい?」
「・・・フェイトって呼んでくれるまで話さない」
本格的にダメだこりゃ
完全に子供化してしまっている
一体どうすれば・・・
いや、名前呼べばいいんだろうけども・・・
「テ・・・テスタロッサさん」
「・・・」
「テスタロッ・・・サ・・・」
「・・・」
「・・・フ」
「・・・?」
「フ・・・フェ」
「うん!」
「フェ・・・フェイ・・・」
「うんうん!」
「フェイ・・・あ、ここです!シャムの家です!」
シャムの家に着き、名前のことはうやむやにしたままテス タロッサさんは駐車場に車を止めた
「そ、それでは!ありがとうございまし・・・」
テスタロッサさんにお礼を言い、俺はシャムのマンション へ入ろうと車のドアを開け外に出ようとしたが
「待った、私に同じ手は通じないよ」
テスタロッサさんに右手を捕まれ車の中に引きずり込まれ てしまった
運悪く、その時左手でドアを掴んでいたため閉まってしま い、おまけに鍵を掛けられてしまった
「い・・・一体何を?」
「なのはと同じ手は私には通じないってこと」
高町さーん!何言っちゃってんですか!
ということは、高町さんとテスタロッサさんは仲良し・・ ・ってこと?
「さぁ・・・言ってみて?」
「いや、言ってみてと言われましても・・・」
すると、テスタロッサさんはまた目に涙を浮かべ泣きそう な顔をしていた
というかこのままでは本当に泣いてしまう
さすがに罪悪感が生まれてきてしまったので
「フェ・・・フェイ」
「うんうん!」
「フェイ・・・トさん!よし、言い切りました!」
そう言いながらフェイトさんに顔を向けると、まだ少し不 満そうだ
「できれば・・・『さん』も無いほうがいいかな?」
「そこまでは今回は勘弁してください」
まだ不満そうな顔をしていたが今回はこれで勘弁してもら った
それにしても機動六課っていう組織は本当にわからない
堅苦しい感じじゃなくて、何だか暖かみのあるような・・ ・
それが良いところ・・・でもあるのかな
?シャムの部屋?
「ただいま?」
「おかえりダン!大丈夫!?痛いところない!?」
「大丈夫大丈夫、大丈夫だよ」
リビングに入ると、ソファーに座っていたシャムが駆け寄 ってきた
なかなか帰ってこない俺のことを心底心配してくれたよう だ
「まさか・・・逮捕とか?」
「いやいや、そんな話じゃなかったよ?」
どうやらシャムは、俺が逮捕されるんじゃないかと思って いたみたいだ
まぁ、それらしきことをしたから無理はないんだけどね
それでも逮捕されなかったのはたぶん・・・
「・・・目をつけられたみたい」
「八神部隊長に?」
「うん、機動六課に入らないかって・・・」
「ダメ!!」
少しの間沈黙が支配した
まさかシャムがこんな大きな声を出すとは思わなかったか らだ
シャム自身も少し驚いているようだ
俺はというと・・・もう声が出なかった
明らかな拒否反応
「あ・・・ごめんね」
「いや・・・いいんだ」
謝ってくるシャムに俺は何も言えなかった
また少しの間沈黙が支配したあと、シャムが口を開いた
「私にはね、妹がいたの」
シャムはソファーに戻り、腰掛けながら言った
「私たち二人は、管理局で働いてたんだ」
シャムは懐かしい思い出を思い出すかのように話し続けた
「私たち二人は少し有名だった。戦いの場においては最高 のコンビだったの」
「あれ?でもシャムは・・・」
「うん、今は違う。それにもちょっと理由があるんだ」
シャムは立ち上がると、リビングの片隅に置いてあったラ ックから一枚の写真を持ってきた
「・・・廃墟?」
「うん、一階のみ。というより、少し大きいプレハブみた いな感じ」
写真に写っていたのは崩れた建物
大きさからしてシャムの言った通りだ
「何かの弾みに撮れちゃったんだね。私のデバイス、現場 検証の為にカメラ機能ついてるから」
「えっと・・・これと妹さんに何の関係が?」
「妹は・・・この建物の中で死んだの」
とてもスラスラと出てきた言葉だった
でもその声は、どこか無理しているような感じで・・・
なんとも言えなかった
「いや、行方不明って言った方がいいかな」
「・・・遺体が?」
「うん、見つからなかった。他の人も首を傾げてたよ・・ ・」
シャムがまだこの話を話せるのは、おそらくまだ生きてい るかもしれないという希望があるからだろう
でも、もしかしたらもう生きていないかもしれない
その狭間で闘っているのだ
「私たちにとっては簡単な任務だったの。怪しいプレハブ があるから調べに行っただけ。ただそれだけだった、でも ・・・」
シャムは口ごもるような口調になったが、話を続けた
「妹が調査の為にプレハブに入ってから少し経ったら、プ レハブが爆発したの・・・」
「それじゃあ・・・その爆発で・・・」
「うん、誰も予想できなかった・・・誰も・・・」
シャムは悔しそうに語る
何も出来なかった自分に腹が立つのだろう
妹を助けることが出来なかった苛立ちに
「あの子なら・・・大丈夫だと思ってた。でも、あの子も 人間。完璧ではない」
たしかにそうだ完璧な人間なんていない
いくら強い人だって、欠点はある
「それが原因で・・・私は戦場から去った。しばらく立ち 直れなかったなぁ・・・」
シャムは天井を見上げながらそう言う
「そして、何とか立ち直った時に、私の過去の成績を聞い て機動六課に入らないかって話が来たの」
「それで機動六課に・・・」
「うん。たとえ戦わなくても出来ることがあるって」
そうか・・・管理局員と言ってもまだ19歳
ショックなことはショックだし、それが身内に関わること だとすれば尚更だ
「そうして機動六課で働き出したときに、ダンに会った」
シャムは、次は俺を見ながら話し続ける
「一人で突っ走るダンを見てたら、何だか妹を思い出しち ゃって・・・」
「それで・・・引き取ることにしたと」
「・・・うん」
・・・まさか、そんな事情があったなんて・・・
いつも笑顔でいるシャムにそんなことが・・・
「だから・・・ダンには同じ目に遭ってほしくないの」
シャムは俺の手を握り、はっきりと俺に言った
「お願い、機動六課に入ることはちゃんと考えて。軽い気 持ちで決めないで」
シャムは、俺の目をしっかりと見てそう言い放った
この言葉は、俺のことを心配してくれてるからこそだ
「大丈夫だよシャム」
「え?」
俺も、シャムの目を見ながらはっきり答える
「今は・・・それは考えてないかな、まぁ八神さんたちの 勧誘もあるけど・・・おそらく・・・しばらくはね。俺恐 がりだし、シャムの世話もしなくちゃいけないしね」
「それじゃあ私が妹みたいじゃん」
そう言って、俺たちは笑いあった
笑いが収まると、シャムはまた俺の目を見ながら言う
「もし・・・入る時になったら自分で決めるんだよ。ダン の人生なんだし」
「ああ、決めるときは自分で決める」
「よし!それでこそダンだ!それじゃ、この話はおしまい !」
そう言ってシャムは俺から離れてソファーに座った
こういうところも、本当に尊敬する
「どうする?ごはん食べる?」
「いや、もう食べてきたしシャワーも浴びたから今日はも う寝るよ。疲れたし」
「そっかぁ?、じゃあ私も一緒に寝ようかな?」
「な・・・何言ってんのさ!」
シャムみたいな綺麗な人が隣にいたら緊張して全然眠れな い
ましてや、顔もボディも完璧な人だったら尚更
い、一体どうすれば!
「冗談だよ?。じゃ、おやすみ」
・・・どうやら冗談だったようだ
「・・・はぁ」
それにしても、機動六課のことは本当にちゃんと考えなく ちゃなぁ
シャムの期待を裏切らない為にも
そう自分に言い聞かせながら、俺は静かに目を閉じた
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