特捜戦隊デカレンジャー & 魔法少女まどか☆マギカ フルミラクル・アクション |
Extra Episode.01 アダレセント・ガールズ
深く閉ざされた闇の中に、少女の心はあった。自らの心の中から湧いた、絶望と言う名の泥の中、少女の心は永遠の苦痛の中で徐々に摩耗し、穢れながら、やがてその本質すらも歪める――即ち、心そのものが呪いと化すのだ。
(私は・・・もう・・・)
誰かを守るために、人を捨てて力を手に入れた。しかし、力と引き換えに失ったものは、自分の想像以上に大きく、掛替えのないものだった。大切な友達、愛していた想い人・・・失ってようやくその大切さに気付いたのだから、皮肉なものだ。
そして、運命は遂に少女から、少女の存在意義たる守護すべき存在への失望を与え、信念をも見失った末に、その心に絶望を孕ませたのだった。
(ああ・・・私って、ホント・・・)
あとは、この絶望と言う名の暗闇に身を浸し、その精神が歪み、崩れ、消失するのを待つばかり。自嘲めいた少女のぼやきが暗闇の中に木霊しようとした、その時だった。
(馬鹿野郎!!!)
突如暗闇の中に響き渡る、少女への叱責。絶望に心を浸そうとしていた少女は、はっとしたように心の中で目を見開く。
(あん時の威勢の良さはどうしたんだよ!?あたしに食ってかかって来た時のアレは!?)
かつての少女の面影はどこへ行ったのかと、少女へと問う声。その声の持ち主は、この少女がこの暗闇に落ちる前、互いの衝突と言う形で知り合った、天敵と呼ぶべき存在だった。
(ったく・・・こんな陰湿な所でウジウジしやがって・・・さっさと行くよ!!)
自分を誘う、もう一人の少女。だが、暗闇の中の少女はその誘いに乗る事が出来ない。譬えこの闇を抜けたとしても、自分にはもう、自身と言う存在を維持できるだけの希望も信念も残っていないのだから。
それに対し、誘いに乗らずにこの場に留まり続けようとする少女に対し、もう一人の少女は怒声と共にさらに檄を飛ばす。
(この馬鹿!!まだ強情張ってんのかよ!!いい加減目を覚ませ!!)
殴り掛らんばかりの気迫で食い掛かってくる少女。暗闇の中に溺れる少女には、理解できなかった。
何故、この少女は自分をここから引き上げようとしているのか?
何故、この少女は自らこんな絶望の沼へ飛び込もうとしているのか?
何故、こんなにも優しいのか?―――
(世話掛けやがって・・・ああ、分かるよ。一人ぼっちは寂しいもんな。)
それまで怒りや苛立ちをぶつけるばかりだった少女の声が、突然柔らかな物となった。奇しくもそれは、自身が目の前の少女が秘めた『優しさ』に気付いたのと同じタイミングだった。
(でもな、あんたは一人なんかじゃないんだ・・・皆、お前の事を待ってるんだよ。)
暗闇の底、絶望にその身を取り込まれる事すら構わず、少女はそっと手を差し伸べる。
(まずは、あたしが傍にいてやるよ・・・だから、戻って来い・・・)
さやか―――
精神が摩耗して行く中で呼ばれた、かつての自分の名前。絶望に溺れ、暗闇の中で消滅待つばかりの精神の最中、ここから抜け出せるのなら・・・もう一度あの場所へ帰れるのなら・・・また、やり直せるのならと・・・自分は、目の前の少女が差し伸べた希望に、縋った。
果たして、暗闇の中に、想いは通じた・・・・・
三年後―――
東京のとある町のゲームセンターに、二人の女子高生が居た。二人が対戦しているのは、電磁戦隊をテーマとした格闘アクションゲーム。15年以上前から置かれて、なおも人気のゲーム筺体である。
「ハッ!お前もなかなか上手く使いこなせるようになってんじゃねえか、さやか!!」
「フフン・・・私だっていつまでもやられっぱなしじゃなわよ、杏子!!」
青の電磁戦士を操る少女――さやかに対して関心の声を上げるのは、赤の電磁戦士を操る少女――杏子。二人は同じ学校、諸星学園高校に通う女生徒であり、中学以来の友達同士だった。ゲーマーである杏子に連れられ、今日も学校帰りにゲームセンターで対戦していたのだった。
「いっくよ〜!バーチャルシアター!!」
さやかが青の電磁戦士の固有技能である、立体映像を無数に出現させる。フィールド上に出現する敵に、しかし杏子は動じない。
「甘いよ!!サイバースライダー!!」
杏子が操作する赤の電磁戦士が、サーフボード型の飛行体を出現させ、その上に乗り込む。そしてそのまま、フィールド上に展開する幻像達に体当たりを食らわせる。
「ああっっ!!」
必勝を期して使った必殺技が、簡単に破られて浮足立つさやか。そしてその隙を、杏子は見逃さない。
「終わりだよ!ドリルスナイパーカスタム!!」
幻像を蹴散らした事を確認し、赤の電磁戦士は必殺武装に切り替える。銃口から竜巻のような強力なビームが発射され、さやかの操る青の電磁戦士は一気に戦闘不能に追い込まれた。
「あ〜!!また勝てなかった!!」
「ふんっ!!あたしに勝とうなんて、10年早いんだよ!!」
あれから数十分後、ゲームセンターで対戦を満喫したさやかと杏子は、日も傾いてきたということで、家路に着く事となった。ちなみに、電磁戦隊の対戦ゲームは杏子の全勝に終わった。
「く〜〜!!次は絶対に目に物見せてやるんだからっ!!」
「ハンッ!言ってろ、言ってろ。」
そんな他愛の無い話をしながら青春を満喫する二人。傍から見れば、どこにでも居る二人組で仲の良い女子高生に見える二人だが、3年前には全宇宙を騒然とさせる巨大な事件に巻き込まれた事があったのだった。
後に『魔法少女事件』と呼ばれた事件に関わっていた彼女等は、宇宙の寿命を延ばすという名目のもと暗躍していたインキュベーターと『契約』した『魔法少女』という形で関わっていた。
出会った当初は反目し合い、殺し合うにまで至った間柄だったが、同じ願いのもとで『契約』して魔法少女になった事から根本的な似た者同士で、杏子はさやかの事を気にかけるようになっていった。そして、絶望の末に魔女にまで身を堕としたさやかを、命を賭した決死の手段の末に救出し、晴れて二人は友達となったのだった。
「やれやれ、しょうがねえな〜・・・明日も付きあってやるよ。」
「見てなさい!!きっと今度こそ・・・」
「?」
突然、言葉を切るさやか。その視線は自分の方を向いているが、自分を捉えていない。不審に思い、振り向いてみるとそこには・・・
「あっ・・・・・」
道路を挟んだ向こう側の歩道。そこに、二人寄り添いながら歩くカップルの姿があった。幸せ全開のイチャつきぶり。俗に言うリア充・・・だが、問題はその人物だった。
「恭介・・・仁美・・・・・」
「・・・・・」
気まずい沈黙が支配する、夕暮れの帰り道の光景・・・
杏子はどう声を掛けたものかと戸惑ったが、結局それから終始さやかは口を開かず、下を向いたまま帰って行ったのだった。
翌日―――
諸星学園高校の3年A組の教室の中。時刻は放課後となり、生徒のほとんどは家に帰るか部活に勤しんでいる時間帯である。だが、已然として教室内、自分の机に突っ伏したままの少女と、それを横から見やる少女が居た。
「あんたさ〜・・・気持ちは分からないでもないけど、いい加減シャキっとしなよ。ほら、」
「う〜・・・」
鬱状態を彷彿させ、落ち込んでいる空気全開のさやか。昨日の帰り道以降、ずっとこの調子である。事情を知る杏子は、無理も無いと思う。昨日見たカップル――上条恭介と、志筑仁美はさやかの幼馴染であり友達・・・そして、恭介を巡る三角関係に発展した事もあったのだった。当時魔法少女だったさやかは、それが原因で絶望を抱き、魔女となった事もあったのだ。
本人は杏子に魔女化から救われて以降、恭介・仁美の問題については自分の中で吹っ切れた、諦めが着いたと言っていた。だが、さやかの心中を知る杏子は、それが強がりの類である事に薄々勘付いていた。人としての運命に絶望する程の話題であった以上、杏子としてもさやかの事をあまり強く責める事が出来なかった。
(ハァ・・・どうしたもんだろうね?)
目の前の友達の心中が暗い物に染まってしまっているのをどうにかせねばと思考を練る杏子。いつものノリでゲーセンに連れだすのは不可能。他の手段を取らねばと思ったその時だった。
「おや?佐倉に美樹・・・どうしたんだ、教室に残ったままで?」
「あ、健太さん。」
「健太“先生”だろ。」
予期せぬ人物が、教室に現れる。彼の名は、伊達健太。諸星学園高校2年A組の担当教員である。つまりは杏子とさやかの担任。
「もうゲーセンに行ってると思ってたんだけどな。何か忘れ物か?」
そして、健太と杏子は、実は高校入学以前からの顔見知りなのである。3年前の魔法少女事件以前、複雑な家庭環境問題で放浪生活を送っていた杏子がゲームセンターで出会ったのがきっかけだった。それ以来、二人はゲーマー仲間となり、健太は杏子が尊敬する数少ない人物となったのだった。ちなみに、呼び方は高校入学と同時に『健太先生』、『佐倉』になった。
「あ〜・・・いや、そうじゃないんですけど・・・」
「ん・・・美樹、お前どうしたんだ?」
机に腰掛けていた杏子から、その脇で机に突っ伏しているさやかに視線を移す。はじめは体調不良かと思ったが、傍に近づいてみるとそうでもないらしい。どうやら、精神的に参って落ち込んでいる。
「ふむふむ・・・もしや、“失恋”か?」
「・・・・・・・・・・」
「図星か。」
「健太先生!!」
健太の空気を読まない言葉に声を荒げる杏子。言われたさやかは、先程にも増して落ち込んでいる。さらに悪い方向へとさやかの心情が傾いた事に杏子は頭を痛める。だが、健太はというと・・・
「そうか・・・そりゃ、辛いよな・・・よし!!二人とも、俺に付いて来い!!」
「「は?」」
「良いから!!」
そう言って、両手で二人の手を掴んで教室から連れだす健太。訳も分からず連行される杏子とさやか。そうして三人は、学園から外へと出て行く・・・
「マスター!!カルビ大盛りで!!」
「はいはい、只今。」
健太に連れられた杏子とさやかは、健太の行きつけの『キッチンがいなも』と呼ばれる焼き肉屋に来ていた。この店は、かつて宇宙暴走族として宇宙各地で暴れ回っていたが、とある激走戦隊との戦いの末に地球人と和解。更生した末に自立して店を持ったという過去があるが、完全な余談である。
(・・・どうしてこうなった?)
鉄板で肉を焼く香ばしい香りが立ち込める中健太はどんどん注文を入れていく。一方の杏子とさやかは、自分達が置かれている現状を理解できなかった。失恋して落ち込んでいる生徒を元気づけるために、焼き肉屋に連れてきたのだろうか。失恋の傷は、焼き肉でどうにかなるような単純な話ではないのだが・・・
「先生、どうしてあたし等をこんなところに連れて来たんですか?」
自分達の担任たる健太の意図が分からず、率直な質問をするさやか。対する健太は、焼き肉を引っくり返しながら問いに答える。
「辛い事があったなら、美味いものを食うのが一番!焼き肉は青春の味だ!!さあ、どんどん食べろ!今日は俺のおごりだ!!」
どうやら、この教師は焼き肉を食べる事によって傷ついた乙女心が癒せると本気で思っているらしい。失恋によるショックを自棄食いで紛らわすというのはよく聞く話だが、この手の精神的な問題は根が深い。一時的に気は晴れるだろうが、ふとしたきっかけで傷は開いてしまうのだ。今のさやかがまさにそれ。一晩経っても失恋のショックから立ち直れないのに、焼き肉でどうこうできるわけも無い。そんな二人の心中も知らず、健太は焼き肉を頬張る。
(はぁ〜・・・もう少し、乙女心ってものを分かってもらいたいねぇ・・・)
ゲーマーとしては尊敬できるが、この手の話題に関しては人一倍空気の読めない健太に、心中で溜息を吐く杏子。さやかに関しては、怒りと呆れを交えた視線を向けていた。
焼き肉をがっつく教師と、冷ややかな視線を送る生徒二人。カオスな空気が店内の一角に満ちる・・・そんな時だった。
「オッス!ガイナモ、今日も来たぜ!!」
「いらっしゃいませ、バンさん、それに宇宙警察の方々。はい、こちらの席にどうぞ。」
「「・・・宇宙警察?」」
ふと聞こえた単語に、杏子とさやかは顔を上げる。頭に浮かぶのは、数年前の魔法少女事件の際に自分達に関わり、自分達を救ってくれた六人の刑事達。二人揃って、店の入り口の方を振り返ってみると・・・
「いや〜、それにしても、バンも交えての焼き肉パーティーなんて、久しぶりだね。」
「ファイヤースクワッドの任務が片付いて貰えた短い休暇だ。久しぶりに皆と食いに行きたいと思ってな。」
「焼き肉なんて、久しぶりね。最後に行ったのは、確か・・・そう、ブラウゴール事件でバンとホージーが相棒になった記念じゃなかったっけ?」
「そうでしたね。でも今となっては、“元”相棒になっちゃいましたね。」
「元相棒って言うな。大体、それ以降も焼き肉屋には行っただろ。」
「そうだね〜・・・確か、魔法少女事件が解決して、停職が解けた記念にまどかちゃん達と一緒に・・・」
「「宇宙警察の皆さん!!!」」
「「「「「ん・・・あ!!!」」」」」
果たして、魔法少女事件に関わった六人の刑事と、二人の元魔法少女が再会した瞬間だった。
「いや〜、驚きましたよ。まさか健太さんが杏子ちゃんとさやかちゃんの担任の先生だったなんて!!」
「俺も驚いたよ。まさか、デカレンジャーの皆がウチの生徒と知り合いだったなんて!!」
焼き肉を食べながら談笑に浸る、バンを含めた宇宙警察男性陣と健太。顔見知りと言う事で、店主に頼んで合い席にしてもらったのだ。高校教師と宇宙警察、全く関係の無い間柄に思えるが、実は彼等は以前にも顔を合わせた事が合ったのだった。その舞台となったのは、歴代34のスーパー戦隊が一同に会して宇宙帝国ザンギャックと戦った、のちに『レジェンド大戦』と呼ばれるようになった戦争だった。
一般生徒にはほとんど知られていないが、高校教員である伊達健太は、実はかつて地球を救ったスーパー戦隊、電磁戦隊メガレンジャーの一員なのだ。同じスーパー戦隊の誼で知り合った彼等は、レジェンド大戦にて変身能力を失って以降も交流を続けていたのだった。
「まさか、健太先生があのメガレンジャーだったなんて・・・」
「私達も驚きよ。それにしてもあなた達、スーパー戦隊の人と、結構会うわよね。」
感心したように話すジャスミンに、杏子は否定できないと内心で思う。彼女の常連であるクレープ屋の店主も、実は有名な忍者の子孫だとかいう噂がある。
「それにしても、どうして健太さんと焼き肉屋なんかに?部活とかの打ち上げって感じじゃないみたいだけど・・・」
ビール片手に盛りあがる男性陣を余所に、ジャスミンが杏子に焼き肉屋に来た経緯を聞く。話を振られた杏子は思わず返答に窮したが、同時に妙案を思いつく。
(ジャスミンさんとウメコさんに聞いてもらえば・・・)
女心に関する知識ゼロの健太が当てにならないと理解した杏子は、さやかの心中をどうにかするために、ジャスミンとウメコを相談相手にする事を考え付く。自分達と同じ同姓で、年上ならば何らの参考になる意見が聞けるのでは、と思ったのだ。
「それがですね・・・・・」
男性陣に聞こえない様に事情説明に入る杏子。さやかは終始黙ったまま。失恋による心の傷を癒すために焼き肉屋に連れてきたという杏子の話に、ジャスミンとウメコは先の二人と同様、冷やかな視線を健太に向ける。だが、そんな事をしていてもしょうがないので、ジャスミンとウメコはさやかの心のケアに当る。
「さやかちゃん・・・それは辛いよね・・・」
「魔女になる程、その恭介君って子のこと、好きだったんだよね・・・」
さやかの肩に手を置きながら、慰めようとするジャスミンとウメコ。さやかの方は、涙目で黙ったまま頷くだけだった。
「私もね・・・一度、失恋した事があるんだ。」
「え・・・?」
ウメコの言葉に、思わず顔を上げるさやか。当のウメコは、優しい眼差しをさやかに送りながら、自身の過去を語る。
「私のして欲しい事、やりたい事・・・なんでも私の思い通りにしてくれる、王子様の様な人・・・でも、それは全部幻だった。私、騙されてて・・・危うく命まで取られるところだったんだよね」
傍から聞いているさやか達にしてみれば、全く穏やかでない話である。アリエナイザー絡みの結婚詐欺の様な事件なのだろうが、命まで奪われるなど想像もできない。ましてやそれが、今まで恋人と・・・心から愛していた人からの裏切りとなれば、心に刻まれた傷の深さは計り知れない。
「でも、そんな私を助けてくれる人がいた・・・そのお陰で、私は今ここにいる。本当に辛い事だったけど、私を支えてくれる皆が居るお陰で、私はまた生きていける。だから、さやかちゃんも辛いだろうけど・・・前を向いて生きて欲しいと思ってるんだ。」
さやかの目を真っ直ぐに見つめ、自分の想いを語るウメコ。乙女心を引き裂かれる様な悲惨な目に遭っても・・・何度泣いても・・・それでも、人は立ち上がれると語るその瞳に、さやかは勇気づけられた気がした。
「さやかちゃんはまだ高校生じゃない。良い人に巡り合う機会なんて、まだまだあるって!!もっと元気出して行こうよ!!」
「・・・はいっ!」
ウメコの励ましに涙ながらに頷くさやか。その様子を、ジャスミンと杏子は温かく見守っていた。ウメコの言葉に勇気を貰ったさやかは、失恋一つで人として絶望の底に落ちた事を今になって恥じると共に、前を向いて生きていける事を信じたいと思った。
「・・・ウメコさん達、デカレンジャーの人達には、迷惑を掛けてばかりですね・・・あの時も・・・私が魔女になった時も、皆さんが力を尽くして助けてくれたって聞いてます。それなのに、私は酷い事ばかり言って・・・本当に、」
ごめんなさい、そう言おうとしたところで、ジャスミンが人差し指を立てて、さやかの顔の前に据える。
「おっと、それは無しだよ。」
「さやか、もっと他に、言うべきことがあるだろう?」
ジャスミンと杏子の言葉に、さやかは三人の意図を察して、顔を赤らめながら言葉を改める。
「・・・ありがとうございます。」
「うん!私達も、謝られるよりそっちの方が良いからさ!」
さやかの顔に、再び笑顔が戻る。杏子とジャスミンはそれを見てほっとする。そして、四人は決意を新たにして、
「それじゃ、今日はどんどん食べようか!!」
「嫌な事は忘れて、どーんと食べちゃおう!!」
焼き肉にかぶりつく。結局それか、と突っ込む者は居ない。焼き肉を食べる余裕とは即ち、さやかの精神状態が上向きになった事を示しているのだから。
「カルビ大盛り!!」
「タン塩!!」
「レバーお願いします!!」
「こっちは豚トロ!!」
次々にメニューを注文する女性陣。鉄板の上に肉を敷きながら談笑し、肉を頬張りながら笑い合う。肉を巡って争いに突入する。普段と変わらぬ、どこにでもある日常の光景が、そこにはあった。
笑いあり、涙ありの人生を、少女達、大人達は生きて行く。時に躓き、落ち込みながらも、曇り空の向こうには青空が広がっているように、少女達は幸せを信じて生きて行く。
説明 | ||
見滝原市にて、謎のエネルギー反応が続発する。一連の現象について調査をすべく、見滝原市へ急行するデカレンジャー。そこで出会ったのは、この世に災いをまき散らす魔女と呼ばれる存在と戦う、魔法少女と呼ばれた少女達。本来交わる事の無い物語が交差する時、その結末には何が待っているのか・・・ この小説は、特捜戦隊デカレンジャーと魔法少女まどか☆マギカのクロスオーバーです。 |
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