ハイスクールD×D~HSSを持つ転生者〜第33話
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第33話〜後輩と友人 鍛えます!〜

 

 

「『停止世界の邪眼(フォービドゥン・バロール・ビュー)』?」

 一誠の問いに部長は頷いた。

「そう。それがギャスパーが持っている神器の名前。とても強力なの」

「時間を停めるって、反則に近い力じゃないですか?」

「何を言っている。二天龍の能力も充分チートじゃないか」

「クリスが持っている神器もな!」

 俺は少しだけ考え、ギャスパーの神器の弱点を見つけた。

「問題は、それを扱いきれないところよ。それゆえギャスパーが封印されていたの。

 無意識に神器が発動してしまうのが問題視されていたのよ」

 そうだったのか…大変なんだなぁギャスパーは。

 あれ…? 俺は疑問に思ったことを訊ねた。

「そんなに強力な神器を持っているのに、何で駒消費一で済んだんだ?」

 すると、部長は一冊の本を出し、ページをめくりあるところで俺と一誠に

 差し出した。ん? これは…

「―――『変異の駒(ミューティション・ピース)』よ」

「「……ミューティション・ピース??」」

 俺達の問いに祐斗が答える。

「通常の『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』と違い、明らかに複数の駒を使う転生体

 が一つで済んでしまったりする特異な現象だよ」

 祐斗の言葉に朱乃さんが続ける。

「部長はその駒を有していました」

 

 祐斗が続ける。

「上級悪魔の十人に一人ぐらいは持っているよ。『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』のシステム

 を作り出したときのイレギュラー。バグの類だけど、それも一興としてそのまま

 残したんだ。ギャスパーくんはその駒を使った一人なんだよ」

「問題はギャスパーの才能よ」

「どういうことっすか?」

 一誠の問いに部長は答える。

「ギャスパーは稀有な才能の持ち主でね、無意識の撃ちに神器の力が高まっていくの

 そのせいか、日々力が増していっているわ。―――上の話では、将来的には『禁手(バランス・ブレイカー)』

 に至る可能性も考えられるという事よ」

「確かに…部長が俺を追い掛け回しているときの据わっている目ぐらい危険だな」

「えっ!? 私がクリスを追い掛け回している時の目ってそんなに危ないの?」

「ええ。それはもう。獲物を狙っている狩人の目つきでしたわ」

「そんな部長は放っておいて…」

「…うぅぅう、僕の話なんてしてほしくないのに……」

 ギャスパーは俺の裾を握って離さない。う〜ん。さっきので懐かれたのかな?

「部長。ギャスパーの事、俺が面倒を見ていいか?」

「あら。いいのかしら?」

「この中でギャスパーが懐いているのはどうやら俺だけみたいだし、俺も弟が

 出来たみたいで正直嬉しいんだ」

 俺はギャスパーの頭を撫でる。

「もちろん、こいつの神器を使いこなす修行には一誠やゼノヴィア、同級生の小猫も

 付き合ってもらう」

「任せておけ!」

「……了解」

「わかった。私は小さい頃からヴァンパイアと相対してきたからね、扱いは

 任せて欲しい」

「ヴァンパイアハントしなくてもいいからな? そこは間違えるなよ?」

「……いい加減先輩から離れて。ヘタレヴァンパイア」

「うわぁぁぁぁぁん!! 小猫ちゃんが苛めるぅぅぅぅ!!」

「……本当に大丈夫なのか? 速効で不安になってきたぞ」

 

 

 

 

 

「ほら、走れ。デイウォーカーなら日中でも走れるはずだよ」

「ひぃぃぃぃ!! 聖剣デュランダル振り回しながら追いかけてこないでぇぇぇぇ!!」

 ゼノヴィアが訓練と称してデュランダルを振り回して追いかける。

 デュランダルは「ブウゥゥゥゥン」と危険な音を発している。怖いわ。

 ちなみに、デイウォーカーとは日中も動けるヴァンパイアの事だそうよ。

 血を飲む以外は人間と一緒だわ。

「ギャーくん…必死に逃げているわね。大丈夫かしら?」

「そりゃ、追いつかれたら滅ぼされるからな…」

 ゼノヴィア曰く「健全な精神は健全な肉体に宿る」らしく、体力作りから

 始める事になった。伝説の武器を振るうゼノヴィアもどこか楽しそう。

「……ギャーくん。にんにくを食べれば元気になる」

「いやぁぁぁぁぁ!! 小猫ちゃんが苛めるぅぅぅぅぅ!!」

 同級生だから仲良く出来ると思って連れてきたけど…小猫が弄っているだけだわ。

「おーおー。やっているね」

 と生徒会眷属の匙元士郎がやってきた。

 

「おっ匙か」

「よー兵藤。おい、そこにいる美人さんは誰だ?」

 匙くんが興味津々といった様子で私を見ている。

「初めまして。私は神矢クリスといいます。よろしくね、匙くん♪」

「ええええええっっ!?!? この美人さんがクリスだって!?」

「そうだよ。俺だって、初めて見たときは見惚れてしまったからな」

「男だって知らなかったら絶対惚れていたぞ。ありがとう! 兵藤!」

「いいんだ」

 ガシっ! と握手する匙くんと一誠。仲が良いのね。

「ところで、ゼノヴィア嬢が聖剣を振り回しながら追いかけているのは…

 おっ! 金髪美少女じゃねぇか!」

 嬉しそうな匙くん。他の人から見ても女の子に見えるのね

「匙くんには悪いけど…ギャーくんは男の子よ」

 男と聞いて激しく落胆する匙くん。ふふふっ。やっぱり一誠くんに似ているわ。

「そりゃ詐欺だ。てか、女装は誰かに見せたい為にするものだろう? なのに

 引きこもりって矛盾すぎるぞ」

「だよな。意味のわからん女装癖だ。似合っているのがまたなんとも言えん」

「そうよね。でも、あんなに似合っているのなら人前に出てもいいのに…

 もったいない。それより、匙くんはその格好で何をやっていたの? もしかして

 花壇に花を植えていた?」

 

「ああ。会長の命令でな。ほら、ここ最近学園に行事が多かっただろ? それに魔王様

 もここへいらっしゃる。学園を綺麗に見せるのは生徒会の『兵士(ポーン)』の仕事だ」

「そ、そう。頑張ってね」

「おう!」

 私は一誠に小声で言った。

「匙くんって…会長さんに雑用されているだけじゃ…」

「クリス、言っていけない。俺も思ったけどな」

 匙くんの気持ちを下げてはいけない。と思ったとき

「へぇ…魔王眷属の悪魔さん方は、ここで集まってお遊戯しているわけか」

 浴衣を着た悪そうな男性―――アザゼルが来た。

「おっ! そこにいるお嬢ちゃんは誰だ?」

「この姿で会うのは初めてね。私は神矢クリスよ。多重の創造者と言ったらわかるかしら?」

「マジかよ!? いやぁ〜女装とは思わなかった。そこいらの女よりも美人ってすごいな!

 何と言うか……絶世の美女って感じだ!」

「ふふっ。褒めていただいて光栄だわ」

 私とアザゼルの遣り取りに他の人達は唖然とした顔で見ていた。

「クリス…こいつは堕天使の総督だぜ? 敵だぞ」

「そ、そうだ!」

 一誠が『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』、匙が『黒い龍脈(アブソーブション・ライン)』を顕現させて構えた。

「でも、この人には殺意も敵意もないわよ?」

「でも、何するかわからないぞ!」

「……先輩は危機感が無さ過ぎです」

 ゼノヴィアはデュランダルを構え、小猫は拳を構えた。

 

「はぁ…ごめんね。出迎えがこんな感じで」

「いや、いいんだ。普通がこれなんだ。お前が変わっているんだぞ?」

「そうなの。で、ここに来たのは神器(セイグリット・ギア)の為?」

「よくわかったな。ここに聖魔剣使いはいるか?」

 とアザゼルが私に聞いてきた。

「ここにはいないわ。一応、私も出せるけど」

 と言って私は聖魔剣と顕現させた。

「いや…本物の聖魔剣使いのがいい」

 とアザゼルは否定した。

「そう。じゃあね…ギャーくんの神器を調べて欲しいの」

 私は背中に隠れているギャーくんをアザゼルの前に出した。

「ほぅ…これは『停止世界の邪眼(フォービドゥン・バロール・ビュー)』だな。こいつは使いこなせていないと害悪になる代物だ。

 神器の補助具があればいいんだが…そういや、悪魔の神器の研究は進んでいなかったな

 五感から発動する神器は持ち主のキャパシティが足りないと自然に動き出して危険

 極まりないんだ」

 ギャーくんの両目を覗き込んでいるアザゼル。ギャーくんは震えていた。

「大丈夫よ。怖くない、怖くない」

 私はギャーくんを落ち着かせるために頭を撫でた。

 すると、ギャーくんの震えは少しずつ治まっていった。

「なんか…クリスとギャスパーが姉妹に見えてきた」

「そうだなぁ。今のクリスには母性って奴があるんじゃないのか?」

 匙くんと一誠くんが言った。

「…よくわからないけど、何故かあのクリスに負けた気がするよ」

「……悔しいです。女装姿のクリス先輩に負けてしまうなんて」

 ゼノヴィアと小猫も悔しがっている様子だった。

 何がそんなに悔しいのかしら? よくわからないわ

 

 アザゼルは、いきなり匙を指差した。

「匙だっけか? お前のその神器は『黒い龍脈(アブソーブション・ライン)』だな?練習するなら、

 それを使ってみろ。このヴァンパイアに接続して余分な力を吸い取りつつ

 発動すれば、暴走は少なくなるだろうさ」

 アザゼルの説明に匙くんは複雑な表情を浮かべた。

「……お、俺の神器は相手の神器の力も吸い取れるのか? ただ単に相手のパワーを

 吸い取って弱らせるだけだと思っていた……」

 匙くんの言葉にアザゼルは呆れた様子だった。

「ったく、これだから最近の神器所有者は自分の力をろくに知ろうとしない。

 『黒い龍脈(アブソーブション・ライン)』は伝説の五大龍王の一匹『黒邪の龍王(プリズン・ドラゴン)』ヴリトラの力に宿している。

 まぁ、これは最近の研究で知った事だけどな。そいつは、どんな物体にも接続できて

 その力を散らす事が出来るんだよ。短時間なら、持ち主側のラインを引き離して他の

 者や物に接続させる事も可能だ」

「じ、じゃあ俺側のラインを……例えば兵藤とかに繋ぐ事ができるのか!? それで兵藤

 のほうにパワーが流れると…?」

「ああ。成長すれば、ラインの本数も増える。そうすりゃ吸い取る出力も倍々だ」

「………」

 匙くんは黙り込んだ。確かに、アザゼルが言った通りだったら匙くんの神器は相当な

 代物ということになるわ。

 

「神器上達に一番手っ取り早いのは、赤龍帝を宿した者の血を飲む事だ。そこの

 ヴァンパイアには血でも飲ませておけば力がつくさ。ま、後は自分達でやってみろ。

 それと―――クリス」

 今度は私の方へ向きなおした。

「お前の神器を調べたいから、一緒に来てくれないか?」

「う〜ん、ごめんね。私はギャーくんの面倒を見ないといけないから駄目なの。

 でも――――」

 私はアザゼルの手にキンジの武装を顕現させた。

「それを持っていけば、私の神器については少しはわかるはずよ」

 アザゼルはその光景に目を丸くしていたが、

「ありがとな。会議までには結果をもってくるからな」

 そう言うと、アザゼルは帰っていった。

「………」

 私以外の人は皆反応に困っていた。

「さて。匙は生徒会の仕事があるのでしょう? ここでサボっていたら会長さんに

 また尻叩きされるかもよ?」

 私が悪戯っぽく笑うと、匙くんは慌てて

「そ、そうだった! じゃあな! 頑張れよ」

 そう言って、匙くんは帰っていった。

「お、おい! 匙の神器を使ってギャスパーの訓練をやろうと思っていたのに!」

 一誠が私に文句を言ってきた。

「匙くんの神器が私にも使えるのよ?」

 私は右腕に『黒い龍脈(アブソーブション・ライン)』を出現させた。

「私の神器の禁手(バランス・ブレイカー)は『無限の創造(インフィニティ・イマジン)』。私が見たものは

 すべて創造できるのよ?」

「そうだったな、忘れていた。ん? だったら、俺の神器の禁手も創造できるのか!?」

「できると思うわ」

「じゃあ、ギャスパーの修行が終わったら見せてくれ」

「わかったわ」

 こうしてギャスパーの修行が再開した。

 

 

 

 

 

 

 

 ギャスパーの修行が終わった日の深夜。俺達、オカルト研究部は校庭にいた。

「一誠。無理はするなよ?」

「ああ。わかっている」

 何故校庭に集まったのか? それは俺が一誠に聖騎甲(アーク)を譲渡して、聖騎甲の

 膨大の魔力で『赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)』の時間が延びるではないか?

 と俺が一誠に提案して、一誠は一回試してみようと言ったからだ。

「いくぞ―――禁手化(バランス・ブレイク)ッ!」

「わかった――――ブーステッド・ギアッッ!!」

 一誠は『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』を呼び出し、俺は『無限の創造(インフィニティ・イマジン)』を呼び出した。

「聖騎甲を一誠に譲渡する!」

 俺は聖騎甲(アーク)を一誠に譲渡した。

「よし! 今だ、一誠!」

「わかった。ブーステッド・ギア!」

『Welsh Dragon over booster!!!』

 一誠は光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

  一誠Side

 

「大丈夫か? ドライク」

『ああ。何の支障もない。むしろ温かい感じがする』

 ドライクの言う通りだ。ライザーのときになったときより温かい。安心する。

「よし、成功だな」

 クリスが安堵したような顔をした。

「これは『赤龍帝の聖なる鎧(ブーステッド・ギア・アーク・スケイルメイル)』と名づけよう」

 クリスが勝手に命名して頷いていた。まぁ、別にいいけどよぉ 

『相棒。今なら、一時間は変身は解けないはずだ。この聖騎甲(アーク)って奴は相当な

 魔力を持っているようだ』

 鎧をよく見てみると、所々銀色に輝いていた。

「この状態なら、聖騎甲(アーク)の固有魔装(こゆうまそう)を検索できるはずだ。

 やってみろ」

「わかった」

 俺は頭の中で固有魔装を検索した。―――これか!

「顕現せよ……光の恩寵(おんちょう)を受けし剣よ…すべての闇を祓う力を

 我に与えよ…その銘は……聖剣エクス=レ=バン!」

 目の前に自分の身の丈をはるかに超える巨剣が、顕現した。

『相棒。この剣からデュランダル以上の聖の波動を感じる』

「マジかよ!? これは成功だな!」

「よし…今度は俺だな。『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』」

 クリスの左手に『赤龍帝の籠手』を呼び出し、目を閉じ呟いた。

「―――禁手化(バランス・ブレイク)ッ!」

 クリスは俺と同じ鎧を着けていた。

『いや。見た目は普通の「赤龍帝の聖なる鎧(ブーステッド・ギア・アーク・スケイルメイル)」だが、クリスの方がこれより、明らかに位が高い!』

「なんだって!?」

「万物を切り裂く鋼鉄にして…騎士の中の騎士にふさわしい聖剣よ

 その銘は……エクスカリバー!」

 クリスの両手にクリスの身長ほどの巨剣が現れた。

「これが俺の神器の能力だ」

『相棒。クリスの神器は奴が見たものすべて創造でき、神器同士で組み合わせる事が

 できるんだ』

「!?」

 反則だろ!?

「一誠。一度どこまで強化できるかやってみようぜ」

「そうだな。やってみるか」

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBooStBoostBoostBoostBoost!』

「ハァッッ!!」

 俺はクリスに向けてドラゴンショットを放った。

「……その魔力…断ち切らせてもらう!」

 クリスはエクスカリバーをドラゴンショットに向けて、振り下ろした。

「はぁぁぁぁッッ!!」

 バシュゥゥゥゥゥッッ!!

 クリスのエクスカリバーはドラゴンショットを切り刻んだ。

「ひとまずはこれで終わりな。これだったら代償を払わなくてもいいだろ」

 俺は体を調べるとどこも変化していなかった。

『この聖騎甲の膨大な魔力のおかげだ。よかったな! 相棒』

「ああ!」

「一誠。もう終わろうぜ。疲れてきた」

 クリスは眠そうにアクビした。

「そうだな」

 俺とクリスは鎧を解いて、部長達がいる場所までいった。

 

 

 

 

 クリスSide

 

「よくできたわね! さすがよ!」

 部長が一誠の抱きしめる。…一誠は相変わらずスケベ面を晒している。

「……大胆な発想」

 小猫が俺の裾を掴んでいた。

「ん? そうだな。できるが半信半疑だったんだが…できてよかった」

「クリス。よかったら同じ聖剣使いとして一騎打ちしてほしい」 

 ゼノヴィアがデュランダルを持って言った。

「やめておけ。あの聖剣は何でも切り裂くぞ。お前のデュランダルも例外じゃない。

 そうしたら、主力武器が無くなるぞ。それでもいいならやってもいいが」

 すると、ゼノヴィアが残念そう顔をしながら言った。

「そうか。ならやめるとしよう」

「もう帰ろう。日付も変わっているしな」

 俺達は各自、帰っていった

 

 

 

説明
神様の悪戯で、死んでしまった俺―――神矢クリスはハイスクールD×Dの世界に転生した。原作の主人公、兵藤一誠らに会っていろんな事に巻き込まれる。
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