ハイスクールD×D~HSSを持つ転生者〜 第38話 |
第38話〜若手悪魔達の会合〜
今俺達は冥界の都市部の地下にある建物の中にいる。何故かって?
ここで、若手悪魔達が会合を開くらしいんだ。
「皆、もう一度確認するわ。何が起こっても平常心でいること。何を言われても
手を出さない事――上にいるのは将来のライバル達よ。無様な姿は見せられない」
う〜ん。いつもより、気合のある声。意気込みは充分ってか
そんなことよりも、俺はラノベが読みたい。そろそろ新刊がでるから、話が
気になって仕方ない。
と、どうでもよさそうな雰囲気を出している俺に部長は
「クリス。この会合で騒動は起こさないように。もし起こしたら――」
部長は周りにいる皆を黙らすほどの殺気を俺に向けながら言った。
「あなたが大事にしているライトノベルを全部消し飛ばすから♪」
「あ〜はいはい、わかりましたよ」
いい加減この殺気にも慣れてきた。俺は適当に返事を返した。
使用人についていくと、向こうに複数の人影があった。
「サイラオーグ!」
あちらは部長を確認すると近づいてきた。
「久しぶりだな、リアス」
随分と体格がいいな。それに…ここにいる誰よりも強い。強者の風格が出ている。
レガルメンテの俺と同等…いやそれ以上だ。
『随分と評価をするのね』
仕方ないだろ。俺は本当の事を言っているだけだ
「ええ、懐かしいわ。変わり無いようで何よりよ。初めての者もいるわね。
彼はサイラオーグ。私の母方の従兄弟でもあるのよ」
確かに、部長―――よりはサーゼクス様に似ているな。男性だからかな?
「俺は、サイラオーグ・バアル。バアル家の次期当主だ」
バアルと言う事は…大王か。魔王の次に偉いんだよな。
後ろにいるサイラオーグの眷属は…どれも強そうだ。
「それで、こんな通路で何をしていたの?」
「ああ、くだらんから出てきたんだ」
「……くだらない? いったい中で何が起こっているの?」
「アガレスとアスタロトも来ている。あげく、ゼファードルだ。着いた早々
ゼファードルとアガレスがやり始めてな」
心底嫌そうな表情だ。やり始めたということは――
ドオオオオオオオオオオッッッ!!!!
建物全体が揺れ、巨大な破砕音が聞こえた。はぁ…やっぱりか。
破砕音が聞こえたほうへ行くと、
武器を取り出して、若手悪魔と思われる両陣営がにらみ合っていた。
「ゼファードル、こんなところで戦いを始めても仕方なくてはなくて? 死えもぬの?
死にたいの? 殺しても上に咎められないかしら」
「ハッ! 言ってろよ、クソアマッ! 俺がせっかくそっちの個室で一発しこんでやるって
言っているのによ! アガレスのお姉さんはガードが固くて嫌だね! ったく、魔王眷属
の女どもは処女くさくて敵わないぜ! せっかく、俺が開通式をしてやろうと言っている
のによ!」
いやぁ〜聞いているだけでムカムカしてきたわ。せっかくの顔合わせになんて事を
若手悪魔は皆、血の気が多いのかよ…
「ここは時間まで待機する広間だったんだがな。もっと言うなら、若手同士が軽い
あいさつを交わすところでもあるんだ。――無駄なものには関りたくなかったんだが、
仕方ない」
サイラオーグが首をならしながら、両陣営に向かっていくのを俺は止めた。
「…なんだ?」
「サイラオーグさんはここで待っていてください。俺が鎮めますから」
俺はカナの武装になって、両陣営の間に向かっていった。
「クリス! ああ、もう! いつも勝手に行動して!」
部長が怒っていたが私はそれを無視しつつ、両陣営の間に来た。
「あなた達、ここは戦いをする場所ではないのよ? 争ったらいけないわ。もしこれ以上
やるというのなら、私が相手になるわ」
二人に殺気を放ちながら言う。
「へぇ〜お前いいじゃん。俺がお前の処女を―――」
バスンッッ!!
「うがぁぁぁぁああああッッ!!! 手がぁぁぁぁぁぁあああッッ!!」
私はゼファードルの掌に向けて、『不可視の銃弾(インヴィジビレ)』を放った。
「おのれ!」
ゼファードルの眷属達が、臨戦態勢を取った。
「今やることは私を相手することではないわ。まずは主を介抱しなさい」
そう言うと、慌ててゼファードルに駆け寄った。
今度はアガレスのほうへ向く。
「あなたは化粧を直してきたら? せっかくの整った顔が台無しよ」
「―――っ! わ、わかったわ」
アガレスは眷属と共に広間を後にした。
「クリス。また、やらかしたわね…」
部長は額に手を当てながらため息をついた。
サイラオーグは眷属にスタッフを呼び出しに行かしていた。
「仕方ないわ。だってせっかくの会合なのよ? それを台無しにされては皆困るでしょ?」
「ハハハッ! こいつの言う通りだ。これじゃあリアスとお茶もできんからな。助かった。
――で、お前雰囲気が変わったな。さっきとは大違いだ」
…どうやら見抜かれていたようね。
「それは言えないわ。だってこれから、敵同士になるもの。相手に自分の情報を渡す
人はいない」
「ふっ…そうだな。この話は後ほど、全員集まったことだしな」
周りを見てみると会長と匙が広間に来ていた。
これで若手悪魔が揃った。
◇
若手悪魔達のあいさつ回りが終わった後、俺達は異様な雰囲気が漂う場所に集まった
ゼファードルは手に包帯を巻いていた。どうやら治療は済んだようだな。
「よく、集まってくれた。次世代を担う貴殿らの顔を改めて確認する為、集まって
もらった。これは一定周期ごとにおこなう、若き悪魔達を見定める会合でもある」
初老の男性悪魔が手を組みながら、威厳の声で言う。
「キミたち六名は家柄、実力共に申し分ない次世代の悪魔だ。だからこそ、デビュー前
に互いに競い合い、互いに高めてもらおうと思う」
サーゼクス様が言った。
ということは、ゲームをやれと言っているのか?
その後、今後のゲームについてなどの話をしていた。一誠は頭から煙が出ていた。
どうやら話についていっていないようだな。あいつはバカだからな。
「さて、長い話に付き合わせてしまって申し訳なかった。なに、私達は若い君たちに
夢や希望を見ているのだよ。それだけは理解してほしい。君たちは冥界の宝なのだ」
サーゼクス様の?偽りのない言葉に皆は聞き入っていた。
「最後にそれぞれの今後の目標を聞かせてもらえないだろうか?」
サーゼクスさまの問いかけに最初に答えたのはサイラオーグさんだった。
「俺は魔王になるのが夢です」
―――っ! 言い切った。すごいな
「大王家から魔王が出るとしたら前代未聞だな」
「俺が魔王になるしかないと冥界の民が感じれば、そうなるでしょう」
…この人なら、魔王になれる。確信した
次は部長が言った。
「私はグレモリー家の次期当主といて生き、そしてレーティングゲームの各大会で
優勝することが近い目標ですわ」
優勝、か。それは険しい道だな。でも、俺達が優勝させる!
部長達に続いてほかの若手悪魔達が夢、目標を口にし、最後に会長が言った。
「冥界にレーティングゲームの学校を建てることです」
学校かぁ。だから駒王学園にいるのか。学校とはどういうものか勉強する為に
だが、偉い悪魔達は眉を寄せていた。
「レーティングゲームを学ぶところならば、すでにあるのだが?」
確認するかのように言う。
「それは上級悪魔と一部の特権階級を持つ悪魔のみしか行く事が許されない学校
のことです。私が建てたいのは差別の無い学び舎です」
冥界の学校はそんな感じなのか。そういえば、俺達の学校は差別が無かった。
それも学びに来ているのか。偉いな、もう自分の夢に向かって歩き出している
しかし――――
『ハハハハハハハハハハハッ!!!!!』
魔王のを除く、偉い悪魔の笑い声が会場を支配する。
お偉いさんは嘲笑を浮かべながら、口々に言う。
「それは無理だ」
「これは傑作だ!」
「なるほど! 夢見る乙女いうことですな!」
「若いというのはいい。しかし、シトリー家次期当主ともあろう者がそのような夢
を語るとは」
……何故、会長がバカにされないといけない。ただ夢を語っただけなのに。
ふつふつと怒りがわいてきた。――――この目の前にいる老害に
それでも会長は真っ直ぐに言った。
「私は本気です」
魔王少女ことセラフォルーさまも頷いていた。「よく言った!」といわんばかりだ
しかし、お偉いさんは冷徹な言葉を言った。
「ソーナ・シトリー殿。下級悪魔、転生悪魔は上級悪魔たる主に仕え、才能を見出される
のが常。いくら悪魔の世界が変革の時期に入っているとはいえ、変えていいものと
悪いものがあります。まったく関係のない、たかが下級悪魔におしえるなどと……」
その言葉に我慢できなくなったのは―――匙だった。
「黙って聞いていれば、なんでそんなに会長の――ソーナ様の夢をバカにするんッスか!?
こんなのおかしいっスよ! 叶えられないって決まったことじゃないじゃないですか!
俺達は本気なんすよ!」
「口を慎め、転生悪魔の若者よ。ソーナ殿。下僕の躾がなっていませんな」
…無理、もう限界だ。
「それではあなた方にお聞きしますが、あなた方は夢を持った事が無いのですか?
あるのなら、シトリーさんの気持ちはわかるはずですよ? ないのなら…お前達に
人の夢を馬鹿にできる権利は無いんだよ!」
俺の言葉に目の前にいる老害に魔王達、匙に会長は目を大きく見開いていて、
部長は嘆息していた。
「そこの転生悪魔、よくも私達を侮辱したな?」
老害その一が怒りで肩を震わせていた。
「侮辱…? ハッ! それをいうのなら、お前達は会長を侮辱したんだろ? 人の夢を
勝手に無理だとか決めつけんじゃねぇ! 人の夢を笑うんじゃねぇ!」
あぁ…やばいな。怒りが止まらん。これじゃあ、部長のお仕置きがくるな。
それでも、俺はこの老害が許せない!
「それなら、ゲームをしてみないか? 若手同士の」
サーゼクス様の一言で皆が注目していた。
「リアス、ソーナ、戦ってみないか?」
その言葉に部長と会長は顔を見合わせていた。
「対戦の日取りは人間界の時間で八月二十日。それまで各自好きに時間を割り振って
構わない。詳細は後日改めて送信する」
こうして部長と会長のレーティングゲームが開始される事となった。
◇
「おい! クリス!」
会場から出たとき、俺は匙に呼び止められた。
「何のようだ?」
「ありがとう。お前の言葉に皆清々しい顔をしていたよ。俺もスカッとした。
俺がまだ言いたいことをお前が全部言ってくれた」
匙が頭を下げた。
「べ、別に…俺もあいつらの言葉がいやだったから言っただけだ。人の夢を応援
するのは自由だが、バカにするのは駄目だからな。会長に言ってくれ、"俺は
会長の夢を応援してます。だから頑張ってください"ってな」
「わかった。会長に言っておくぜ!」
匙は来た道を帰っていった。
「夢…か」
俺には夢が無いんだよなぁ。その点では一誠や部長が羨ましい。
「……クリス先輩。ここにいましたか。皆待っていますよ」
小猫が迎えに来たらしい。
「ああ、わかった」
俺は先に行く小猫を追いかけていった
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神様の悪戯で、死んでしまった俺―――神矢クリスはハイスクールD×Dの世界に転生した。原作の主人公、兵藤一誠らに会っていろんな事に巻き込まれる。 |
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