SAO〜黒を冠する戦士たち〜if ビーター 前編 |
ifストーリー ビーター 前編
???Side
『ソードアート・オンライン』、通称『SAO』のデスゲームが始まって一ヶ月が過ぎた。
未だに第1層は攻略されておらず、既に約2000人がゲームオーバーして死亡した。
そして今日、第1層ボス攻略会議が行われる事となった。
私もその会議に参加するために深々としたローブを着て、集合場所に向かっている。
一日でも早く、元の世界に帰るために…。
私が誰かって? 私は『アスナ』。この世界に囚われた内の一人…。
???Side Out
アスナSide
今日の第1層ボス攻略会議は『ディアベル』という男性プレイヤーが呼びかけたものである。
集合場所は第1層迷宮前の街、『トールバーナ』の噴水広場。
そこに着くと既に幾人かのプレイヤーが集まっていた。
しばらくしてディアベルさんらしき若い男性が現れた。
集まった人達を街外れの舞台へ向かうように促している。
私も移動するみんなの後についていく。そんな時、一人のプレイヤーが目についた。
外見からして私と同じくらいの年齢であろうその男の子は、何故だか……すごく冷徹な感じがした。
「それじゃあ、そろそろ始めさせてもらいま〜す。今日は呼びかけに集まってくれてありがとう。
俺は『ディアベル』。職業は気持ち的に『((騎士|ナイト))』やってま〜す」
彼のそんな軽口に周囲から笑いの野次があがった。場を纏めるためにワザといったのだろう。
しかし、そんな彼の表情も一瞬で真剣なものへと変わった。
「今日、俺達のパーティーは…迷宮の最上層でボスの部屋を発見した」
その一言に少しどよめきが起こる。
彼は自分達がボスを倒して、協力しあえばこのゲームをクリアできるという事を、
『始まりの街』にいる人達に伝えるべきだと宣言した。
その演説に集まった人達からは拍手や歓声が上がった。
私は……どうでもいい。
「早速だけど攻略会議始めよう。まずは六人のパーティーを組んでみてくれ」
………どうしよう。私にはパーティーを組む人はいない。
まあ、いいかな。馴れ合いなんてしたくないし。
ふと私はなぜかさっきの男の子が気になり、辺りを見回した。
彼は一人で腕を組み、目を閉じて座っていた。
私と同じように周囲にはまるで興味がないという感じで。
似ていると思ったからなのか、私は彼に近づいて話しかけていた。
「貴方は……誰とも組まないの?」
「信用できない奴らと組むよりも、一人の方が気が楽だからな……」
彼が誰とも組もうとしないのは、馴れ合いとかが嫌いなのではなく、信用できない者とは組む気が無いからだった。
結果的にはあぶれてしまったわけだけど…。
「そういうあんたはどうなんだ?」
「私は……周りがみんなお仲間同士みたいだったから遠慮しただけ…」
「そうか。なら……俺と組まないか? あんたは信用はできそうだからな…」
私の返答に、彼は逆に信用できると思ったようだ。でも、私はパーティーなんて…。
「今回だけの暫定的なものでいいんだが…」
彼が私の様子をみてそう言ってくれた。今回だけならいいかな。
「(コクッ)」
彼は私が頷くのを確認して、ウインドウを操作しパーティーの申し込みをしてきた。
私はパーティー申し込みのウインドウの了承を押した。
そこで私は名前を聞いていないことを思い出した。
「貴方、名前は?」
彼は私の方をみてから答えた。
「自分のHPバーの下に追加されたHPバーがあるだろう? その隣に書いてあるよ、アスナ…」
名前を呼ばれて少し驚いたけど、彼に言われた通りに追加されたHPバーの隣をみてみると確かにあった。
「キ…リト…、キリト? これが貴方の名前?」
「ああ…」
そう言って彼はまた目を閉じて黙ってしまった。
「そろそろ組み終わったか?…じゃあ「ちょう待ってんか!」?」
ディアベルさんが会議を進めようとした時、一人の男性プレイヤーがステージに向かって駆け下りていった。
「ワイは『キバオウ』ってもんや。ボスと戦う前に言わせてもらいたいことがある」
関西弁で話すその男はキバオウというらしい。なんでいきなりこんな事をしたんだろう?
「キバオウさん。君が言わせてもらいたいという事はもしかして、元『βテスター』の人達のことか?」
「その通りや!」
ディアベルさんが訊ねると彼は答えた。彼が言いたいのはこういう事らしい。
ゲーム開始直後にこのゲームの試作版をプレイしたことのある元『βテスター』達はわたしを含め、
たくさんの素人達をおいて姿を消したのだ。
テスター達はみな状況を瞬時に理解すると、すぐさま『始まりの街』を出て別のところに向かい、
内容の良いクエストを受けたりして自分達の能力を底上げした。
つまり彼は、力のある人達が素人を見捨てて自分達だけ甘い蜜を((啜|すす))り、
そのうえで約2000人ものプレイヤーを見殺しにしたのが許せないという事だ。
それを聞き、集まった人達も賛同の声を上げている。
だけど私はそうは思わない。
もし私がテスターだったら、間違いなく今回のテスター達と同じ行動をとっていたと思う。
そんな時だった。
「……さっきからこっちが黙って聞いていれば、好き放題言いやがって…」
私と組んだ少年、キリト君が喋り出した。
その声はさっき話した時よりも冷たくて恐怖のあまり、体が震えてしまう。
彼は立ち上がるとゆっくりと舞台の上に上がった。
「な、なんや……あ、あんたは…?」
キバオウも恐怖してか、震えながらキリト君に問いかける。周囲の人達も怯えている。
「俺か? 俺は今あんたが言ったような人種…βテスターだ」
アスナSide Out
To be continued……
続きます・・・。
説明 | ||
この話は自分がアニメの『ソードアート・オンライン』第二話放送後に書いたもしもの話しです。 この作品のキリトがアニメ第二話のようにアスナと出会っていたらどうなっていたのかを書いてみました。 読んでみたいと思う人はぜひに。 この後、本編の続きも投稿します。 では、どうぞ・・・。 |
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コメント | ||
彩月乃天音様へ ありがとうございます! そして誤字報告もどうもです、修正しておきますね(本郷 刃) えー、この小説の噂を聞きましたので読んでみました。因みに5周目くらいです。純粋に面白いですね!(彩月乃天音) 啜い?啜りじゃなく?(彩月乃天音) アサシン様へ 『黒戦』仕様ですからw(本郷 刃) 原作と違ってキリトかっこええ!(アサシン) |
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