Fate/The black truth 第4話 「英霊集結」 |
第4話 「英霊集結」
間桐 雁夜の最も憎い相手“遠坂 時臣”とサーヴァント“アーチャー”を最優先に始末したいと願いバーサーカーと共に町を散策している。
遠坂 時臣は自宅で籠城しているため、場所は分かるが手が出せない状況である。魔術師の工房は何があるか分からないし、サーヴァントも相手となると厳しい状況になるからだ。
だから最初にサーヴァントを始末しようとアーチャーを探した。
サーヴァントが消えたら籠城など意味がなくなり嫌でも外に出てくるだろう。
始めは遠坂邸に居るだろうと狙いをつけていたが使い魔が町でアーチャーを見つけ自分たちも外に出たのだ。此方も探したが行方が分からず夜になりどうすべきか考えていたところ、倉庫街の方向から魔力の気配を感じた。
「マスター。俺が調べるから何処かに隠れていろ。」
雁夜はそれに応じて下水道に姿を消した。戦人は倉庫街の少し離れたところから、自身の気配を限りなく消してその先には決して進もうとしない。何故なら、その先を目で追うと、2人の英霊が戦っているのだから。
「あれが俺と同じように呼び出されたサーヴァントか。」
戦人は2人の決闘を見ながらどんな風にアーチャーを殺害しようか考えていた。
1人は鎧を着た少女で手に何かを持っているように見える。目に見えない何かで男の槍を捌いている。魔術によるものなのか何かで槍を捌いているのは分かるが武器の詳細が掴めない。
男のクラスは槍を持っていることから“ランサー”となる。ランサーに真正面から太刀打ちできるとしたらセイバーかライダーになるだろう。大穴でキャスターという可能性もあるがまあ戦っているのだから焦らずとも正体は掴めるだろう。
幾ばくかの時間が流れ、少女の掴んでいる武器がランサーの槍の能力により一瞬姿を現した。少女が隠し通していたものは“剣”であり、一瞬だがあの黄金に輝く剣は実物を見るのは初めてだが英霊の座の知識から“エクスカリバー”と認識した。剣を使うクラスは“セイバー”だけであり、少女の正体もすぐに分かった。
エクスカリバーを担い手とする者は唯独り、ブリテンを治めた“アーサー王”だけであることは歴史が証明している。最も“アーサー王”は男だと思っていたが、あんな少女であったことには驚いた。
ランサーの方は、セイバー達には抵抗されたようだが、女性を魅了する呪いである“愛の黒子” セイバーの聖剣の正体を暴き、魔力で編まれた鎧を無効化した“破魔の紅薔薇” セイバーの左腕に癒えぬ傷をつけた“必滅の黄薔薇”から“ディルムッド・オディナ”と証明され相手の情報をあっという間に手に入れた。
戦人はさらに相手の情報を詳しく知るために雁夜と念話をする。
「マスタ−。奴ら二人の情報を俺に一つずつ伝えろ」
雁夜は英霊の戦いに魅入られていた。英霊たちの戦いの一つ一つの動作が目に焼き付いていく。子供の頃憧れた英雄を見ることが出来るとは世の中何が起きるのか分からない。雁夜は自分にもあれ程の力があれば葵さんと一緒になれたのではないのかとIFの世界を想像していた。すると頭の中から声が響き現実に戻される。
“マスタ−。奴ら二人の情報を俺に一つずつ伝えろ”
声が響いたのは自分のサーヴァントからだ。もしこの状況で妄想なんかしていたらあのサーヴァントは絶対に俺をどん底に叩き落とされる罵詈雑言が飛ぶだろう。慌てて頭を切り替え二人の戦闘情報を使い魔、そして戦人の目を通して二人の情報を詳しく説明した。
雁夜の慌てる感情が伝わってきたが今はどうでもいい。
聖杯の知識からセイバーのクラスは優秀だと得ていたが、能力がほぼAクラスとはさすがはアーサー王というところか。接近戦においてはあちらが有利だが馬鹿正直に戦う必要もないので搦め手で攻めようと考えていたが、保有スキル“直感:A”は厄介極まりない。
“対魔力:A”は現代の魔術は通用しないが、俺の宝具を使えば対魔力を下げる事が可能なので傷つけることは出来る筈だ。
俺の危惧する“直感:A”は視覚・聴覚の妨害を半減させ、未来予知に近い第六感は味方なら頼もしいが敵に回すと厄介極まりない。接近戦はあちらが有利、不意打ちも“直感”とセイバーの能力を組み合わされば不意打ちも失敗する可能性が高い。
奴と対峙するときは此方の手札を使って直感が働いても回避しようのない場面を作らなければいけない。
ランサーの場合、セイバーと互角に渡り合っていることから力は本物だ。槍の放つ速度が早いのは俊敏が高いのが理由だろう。あれでは近接戦闘に長けている者意外だと近づくことすら難しい。
掠り傷を負ってでも構わないなら俺でも懐に入ることは可能だが問題は二つの槍の能力だ。
魔力の防御を無効化する“破魔の紅薔薇”、そして回復不能にさせる呪いの槍“必滅の黄薔薇”が懐に入ることを阻む壁となる。
俺はあの二人ほど近接戦闘に長けていないが戦えない訳ではない。問題は“必滅の黄薔薇”の呪いを受けずに倒さなければならないことだ。一太刀でも受け相手が撤退されでもしたら奴を殺さない限り呪いは解呪されない。戦闘に支障がでる傷を受けてしまったら今のセイバーの左手に受けた傷のように今後の戦いに不利になる。
ランサーと戦うときは間合いの外から狙うかその場で殺さなければならない。
二人の対策を練っていくと、上空から戦車に乗ってきたライダーが現れ、自分から“征服王 イスカンダル”であると名乗り、セイバー・ランサーに自分の部下になれと申した。当然の事ながらあの二人はその申し付けを断った。断られたライダーは分かっていたかの如く笑っていた。ライダーのマスターは当然の如く怒っていたが夫婦漫才風に見えたのは仕方がないだろう。
戦人はライダー達の漫才を始めは聞いていたがやがてどうでもよくなり
「マスター。どうするんだ?」
雁夜に放り投げた。
下水道から見ていた雁夜も呆れ返って判断しかねていた。引き揚げさせようと指示を出そうとした所、街灯の上に黄金のサーヴァントが現れた。
「はは、はははは」
憎悪に隻眼に血走らせて笑いを漏らした。憎んでも呪ってもなおたりぬ怨敵。
自身の欲しいものを手に入れ、全てを乏しめた男に対する憎しみを刃に変え命令する。
「殺せ。奴を殺すんだ。バーーサーーカーーーーーーー」
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アーチャーは自分の事を知らない無礼者のライダーに宝具を射出しようと命令を掛けようとしたが新たな敵の出現に命令を留め敵が出現する場所に目を向ける。
マスター達は理解できていなかったが他のサーヴァントは新たな敵が来ると理解し敵の出現場所に目を向け警戒態勢に入る。
気配がする場所から顕れた闇と共に冷たい殺意を浴び、マスター達は恐怖に震え寒気が走りだした。サーヴァント達はその殺意から新たなサーヴァントに対してより一層警戒した。
そこからは一人の男が現れる。その男の服装は現代人と同じで一般人と勘違いしてしまうほど、とても英雄とは思えなかった。しかし全員がこの冷たい殺意は目の前の男が放っていることを肌で感じている。
相手の黒き殺意の波動からバーサーカーと判断した。
「…なあ征服王。アイツには誘いをかけんのか?」
ランサーは正面の男を見据えつつライダーに問いかけるもライダーは顰めた。
「誘おうにもなぁ。ありゃあ、のっけから交渉の余地なさそうだわなぁ。で、坊主よ。サーヴァントとしちゃあどの程度のモンだ?あれは」
ライダーに問いかけられたウェイバーは恐怖に震えながら答える。
「Bクラスがいくつかあるが、普通のサーヴァント並の能力だぞ。」
バーサーカーは弱い英霊を狂化して参戦する。聖杯から学んだ知識はそう告げるが、英霊達はあの男がただの英霊とは思えない。よく見ると、体の周りからは闇が噴き出ているうえに、先ほどから自分たちに発している殺意からみて、普通の英霊と同じと思っていては自分達が殺されると歴戦の勘は警告していた。
「どうやらあれも厄介な敵みたいね。」
アイリスフィールの呟きにセイバーも頷いた。
「それだけではない。4人を相手に睨み合いとなっては、迂闊に動けません。」
セイバーはこの中で1番弱っている状態である。弱さを見せたら、一瞬で殺されてしまう。
ランサーは騎士の決闘で1対1で決着をつけたい。ライダーは今のところ英霊たちの顔ぶれを見たいがために現れた。アーチャーはライダーとセイバーを殺害したいがために出てきた。
バーサーカーは何で出てきたのかと、セイバーは疑問に思った。
だが、バーサーカーは他の3人を無視して街灯の上にいるアーチャーを凝視していた。
「誰の許しを得て我の顔を見ておる狂犬めが・・・・」
彼の左右に展開した宝剣と宝槍が向きを変え、切っ先をバーサーカーに向けた。
「せめて散りざまで我を興じさせよ。雑種。」
冷徹なる宣告と共に、槍と剣が射出されようとした瞬間
「避けるなよ。」
冷たい声で男が喋った瞬間
「がはぁ」
アーチャーの顔にエネルギー弾があたり槍と剣は命令が途切れたせいか蔵の中に戻ってしまった。他のサーヴァント達は何が起きたのか分からなかった。何せ、気が付いたらアーチャーにダメージがあったという事実だけである。
アーチャーは自分の顔に傷をいれた男を睨んだ。
「狂犬、貴様のけがわらしい手で我の顔に傷をいれたこと万死に値する!!」
睨まれた男、バーサーカーは
「いっひひひ・・・気に入ったか。俺がもっと綺麗にしてやるよ」
アーチャーをこれでもかというくらいに嘲笑っていた。
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倉庫街で英霊たちが互いに牽制しあう中、ついに姿を現す。 | ||
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