残念美人な幼馴染が勇者として召喚された 第7話 |
「それじゃ、まず自己紹介させてもらうね。」
あのあと、気絶していた俺が起きた時には、ベッドの周りにはロリっ子と先程の金髪の男性、そして、俺が気絶した元凶である((凛音|バカ))がいた。俺が睨みつけると結構居心地悪そうにしていたのが印象的だったな。何時ものアイツなら、間違いなく開き直るんだが。本当に、この世界に来てから、見たことのないコイツの表情を沢山見れて、少し得をした気分になるな。
まあそれは置いておいて。どうやら、俺は二日間も眠り続けていたようだ。あの襲撃の後、どうなったのかを知りたかったので話を聞くことにした。だが、目の前の青年が一体何者かを知らなかったので、先ずは自己紹介からとなったわけだ。
「僕の名前はリング・ブラッド。今では数少ない『((芸術|アート))・((魔術師|マジシャン))』の一人だよ。元々は王宮魔術師の一人だったんだけど、リンドラ大臣が実権を握ってからは、王宮を追い出されちゃったんだよね。今はしがない画家さ。リングと呼んでくれ。」
「あー・・・俺の名前は大地龍騎。そこの((凛音|バカ))とは違って、一般人だ。普通だ。」
というと、俺以外の三人がポカンという顔をした。・・・は?何でそんな顔をされなきゃならん?
「えっと・・・アレを防げる時点で普通じゃないと思うんだけど・・・。ま、まずは先に説明しちゃおうか。」
・・・なんか、凄くイラッ☆とくる言い方だなオイ・・・。
「じゃ、先ずは魔法から説明しようか。・・・君たちの世界には魔法が存在しないんだよね?」
恐らく、先に凛音から聞いていたのだろう。色々説明する手間が省けて良かった。
「そうだな。魔法なんて無かった。」
「この世界には、君たちの世界とは違い、魔法が存在している。そして、何故か国ごとに固有の魔法体系を持っているんだ。国境を越えた瞬間、僕たちが使う魔法は使用することが不可能になる。だから、戦争などが起きる事は少ないね。」
「・・・成程、自分たちは魔法を使うことが不可能になるのに、敵は魔法をバンバン撃てるわけだからな。そんな不利な勝負、誰もしないか。」
意外と平和な世界なのか?
「ところが、平和とは言えないんだよね。」
「ん?だって、人間同士で戦争が起きないんだろ?国内では問題があるかもしれないが・・・。」
「そ。((人間同士|・・・・))では問題ない。でも、この世界には魔族がいるのさ。」
「魔族・・・?」
リングは大きく頷くと、大きな紙を取り出した。どうやらこれは地図のようだ。
「これがこの大陸の地図。・・・で、ここが今僕たちが居る国、『芸術の国ハマン』さ。」
リングが示したのは、大陸の西端の小さな国。ここがハマンらしい。近くには、同じくらいの大きさの国が結構存在している。
「で、これが魔界と呼ばれる国。」
とリングが指さしたのは・・・大陸の東半分。
「・・・はぁ?」
「ここから先は、全て魔界なのさ。」
おいおい、国土だけで10倍・・・いや、20倍はあるんじゃねぇの?超大国じゃないか。正直、比べるのも馬鹿らしくなるほどの戦力差。
「圧倒的だろ?しかも、彼らは人数が多いだけじゃないんだ。」
「まだ何かあるのか?」
「・・・彼らはね、他の国の中でも、自分たちの魔法を使う事が出来るんだよ。魔法に愛された人間、という意味で、彼らは自らを『魔族』と名乗っているのさ。」
おいおい、圧倒的な物量差に加えて、魔法すら使い放題とか、戦争にもならないだろ。
「近くの国が襲われていても、増援を出すことも出来ない。だって、援護したくても魔法が使えなくなるんだからね。・・・だから、リンドラ大臣は君たちを召喚したんですよ。」
「え・・・何でだ?」
「勇者として召喚された異世界の人間は、魔族と同じことが出来るようになるはず・・・だからだよ。」
説明 | ||
口癖は「飽きた。」熱しやすく飽きやすい幼馴染と俺が、異世界に勇者として召喚された。・・・俺はオマケだったらしいが。・・・だけどさぁ、この『残念美人』を制御出来ると思ってる訳?最悪の場合、コイツに色々されて世界滅ぶんじゃないの?しょうがない、俺が手綱を握ってやるかね。 | ||
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