東方燕狼歌 第十三話 陰謀 |
「それで、二人は消えてしまったんだな?」
「ああ、それは間違いない・・・・」
「なぜお前はそんなに面倒ごとに巻き込まれんるんだ?」
「それは俺が聞きたいよ・・・・」
「まあ、今はそんなことを言ってる場合ではないな。あと言っておくがこの戦いに紫や萃香たちは参戦できないからな。」
「なっ!どうしてだよ親父!!」
「お前、紅音に聞かなかったか?」
「あっ!」
「そういうことだ・・・・・」
そう、この妖黒谷には不可侵の条約が結ばれていて紅音自身の許可がなければ外の妖怪や人間はこの場所に干渉できないのだ。だが親父は特別でいつでもこの妖黒谷に入ることができるのだが。
「クソ!!どうにもできないのか!!」
「落ち着け、確かに紫たちは戦に参戦できないが、今、紅音の場所を探ってくれている。」
「え・・・・でもそれじゃ「まあ聞け」・・・分かった。」
「確かにこの妖黒谷は紅音の能力によって許可がないと入れないんだが、
紫、あいつは別だ。あいつの能力はスキマを作り出すことができるからこの妖黒谷にも侵入はできる。
まあ、侵入したところで紅音に気づかれるんだが・・・・
今は非常事態だ。紅音が黙っている限り紫がバレることはない。だから紫には紅音の場所を探してもらってるんだ。」
「と言うことは、もう少しで紅音さんの場所がわかるんだな。」
「そういうことだ。」
「わかった、それなら待つ・・・」
「ああ、その怒りは紅音をさらった奴らにぶつけろよ・・・」
「わかってるよ・・・・」
そうして悠たちは紫の報告が来るのを待っていた。
ーside 紅音ー
ああ失敗したよ・・・・
紅音がさらわれてすでに5時間が経過していた。
紅音の状態は手足を鎖で繋がれおり札を貼られいる。さらには、結界まで張られていて完全に身動きがとれない状態になっていた。
「気分はどうだ・・・・・・」
「最悪に決まってるよ・・・・」
「クックック・・・・まあ、そのうち開放してやるから辛抱してろ。」
「はっ!どうせその代わり空間を解けとか言い出すんだろうね。」
「そんなことはどうでもいい」
「どうでもいい?」
「ああ、今はそんなことよりもやらねばならないことがあるのだ。
そのために貴様を利用させてもらうがな。」
「へぇ、私が協力をするとでも思ってんのかい?」
「いや、どう考えても貴様が俺に協力をするとは思わんからな。」
「だったらどうするってんだい?」
「まあ、説明してやろう。貴様自身でな!」
「なっ!」
紅音の体に何か糸のようなものがまとわりつき、紅音の意識は真っ暗になった。
ーside ???ー
「クックック・・・・これであの邪魔な王千を消すことができる。」
「そう上手くいくかな?」
そこには少年のような人物がいた。
「?!・・・・なんだ貴様か・・・」
「ふふ、そんなに焦って君らしくもない。」
「俺が焦っているだと、笑わせるな。
貴様に俺の何がわかるというのだ!!」
「そうだね・・・もちろん何も分からないよ。」
「だったら「でもね、君の感情は読めるよ」・・・・なに?」
「君は間違いなく焦っている。なぜかは知らないけどね?」
「・・・・ふん、相変わらず貴様はやりづらい。」
「そうかい?僕は君と話をするのが結構好きなんだけどね。」
「・・・・・・」
「はは、そんな怖い顔しないでよ?殺したくなっちゃうだろ。」
この場の空気が凍りついた。
それはまるでこの場所だけが世界から完全に隔離されてしまったんじゃないかと思うほどに・・・
「冗談ですよ?」
「・・・・っく、それで要件を言え!」
「ええ、そうでしたね。要件は簡単です。この妖黒谷を手に入れたあと、あのお方が君に会われるようなので一応言っておきたくてね。」
「なに? あのお方が来られるのか?」
「ええ、君がこの作戦を成功させた場合だけどね。」
「分かっている。これで手駒は揃ったのだ、問題なく作戦は成功させる。」
「ふふ、では健闘を祈りますよ。」
「ああ、分かったからさっさと帰れ。」
「では、生きていたらまた逢いましょう。」
「・・・・・ふん」
そう言うと少年らしき人物は闇へと溶けていった。
「相変わらず、気味の悪いやつだ。まあいい、この作戦さえ成功すれば俺はあの方を殺すことができるのだ。」
男はそう言うと紅音へと視線を向けた。
「さあ、起きろ紅音。今から貴様と共にあの忌々しい奴らを消してやるからせいぜい働けよ。
ハハハハハハハ!!」
男は狂ったように笑っていた。その声は不気味な空に消えていった。
ーside 悠ー
「見つかったわよ。」
紫がそう言うと・・・・
「紅音さんはどこにいるんですか?」
「ここから南のところにある洞窟ね。」
「ああ、あそこですか。」
「じゃあ、とっとと行くぞ。」
「分かってるよ。」
僕もこれ以上待つこともできそうにないしな・・・・
「ごめんなさいね、私もこれ以上は干渉できないのよ。」
「分かっている。では行ってくる。」
「じゃあ行ってきます。」
「ええ、行ってきます。」
そう言うと、悠と王千は走り去っていった。
確かにそこに紅音はいた・・・・紅音はさらった奴と一緒に。
「嘘だろ・・・」
「おいおい、なんの冗談だ紅音」
「・・・・・・・」
「クックック、遅かったじゃないか王千」
「・・・・お前誰だ?」
「ああ、これが初めましてだな、王千よ。そしてサヨナラだ。」
「何言ってんだお前? っでお前が紅音を操ってるのか?」
「クックック、そう思うならさっさとくればいいじゃないか?」
「ああそうかい、それじゃそうさせてもらうぞ!」
次の瞬間、王千が男に向い出そうとしたが瞬間、紅音がそれを邪魔しようとしたが、
「させない!」
悠がその攻撃を受け止めて、王千はそのまま男に向かって行った。
「紅音さん元に戻ってください!!」
「・・・・・・・」
紅音は無言のまま、悠に蹴りを放ってきた。
悠はその蹴りを紙一重のところで避け後ろに後退したが、紅音は蹴りを放ったあとそのまま追撃を行い悠に迫っていった。
「ッチ!剛血4倍!!」
悠は自分の肉体を限界まで引き上げて、その追撃を躱しきり距離を置いた。
「わかりました、俺が紅音さんあなたを止めます。」
「・・・・・・・・」
さあ、戦いの幕開けだ。
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