おや?五周目の一刀君の様子が……4
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「そうか……俺が、なぁ」

 

趙雲から聞いた話。

端折って言えば俺がこの時代に降り、劉備等と共に大陸に平和をもたらす為他国と争い、結果天下三分が成された。しかし、世が平定されたと同時は俺の姿は消え、いくら捜索しても見つからず、蜀の将らは大層嘆いたらしい。

その記憶が、俺とキスをした際に蘇ったらしい。一応、キス直後の趙雲の取り乱し方にも納得がいった。

それを聞き考える。どうやら俺はただタイムスリップしたんじゃなく、同じ時期を何度も繰り返しているようだな。

まぁだが趙雲の言うそれは劉備と共にこの時代を渡った俺なのだろう。

話の俺は糞がつくほど甘く、自身の武もからきしだったらしい。今の俺には考えられん。

それを趙雲に伝えると、何故か笑われた。

 

「主、私にはわかるのですぞ?いくら今の主が粗暴に振舞おうが、人の心根は変わらぬものです」

 

見透かした様な趙雲の顔に苛立ちを覚える。

 

「……俺は良い女だったら誰でも抱く軟派な男だ。趙雲の言う俺とはかけ離れてるんじゃないかい?」

 

「それこそ主の心根ではありませんか。我らが将何人と関係を持ったとお思いで?」

 

……おい俺、甘くて弱かったらしいが女に関しては別なのかい。

こりゃ舌戦じゃ勝ち目は薄い。さっさと戦利品をいただくとしよう。

俺は趙雲の腕を引き、抱きしめる。

 

「おや、話はもう終わりでよろしいので?」

 

「あぁ。このまま趙雲と話してたら気が削がれちまいそうでね」

 

「星、とお呼びください主」

 

視線を下に、照れながら顔を朱に染める趙雲……いや、星。

血が滾るな。

 

「……星、今夜は寝れると思うなよ?」

 

「ふふ、望むところですな」

 

ああ、今夜は良い夜になりそうだ。

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「う……ん……主ぃ…………!!」

 

窓から注がれる日に、寝起きのまどろみを捨て飛び起きる。

何故か、それは隣にあるはずの温もりがすでに無く、寝台に寝ていたのは私だけだったからだ。

 

「主ッ!主は……」

 

昨夜主が脱いだ服は既に無く、壁に立てかけられた武器も無くなっている。

再会した主は、私の記憶に無い性格……悪く言えば悪漢とも取れるものだった。

しかし体を重ねた今ならば昨日よりも確信し言える。

あれは紛う事無く私が慕い申し上げる主であると。

 

「ふふ、いいでしょう。この趙子龍、必ずや主とまた……」

 

寂寥を捨て、強がりながらも一人微笑を浮かべる。

逃げるのならば追うまで。私はもう、主以外の男と添え遂げるなど考えられぬのですから。

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「あー、気持ち悪」

 

朝早くから馬車に揺られ軽く酔ってしまった。

今俺は商人隊に混ざり別の街へ向かっている。

一応俺がどのくらいの武を持ってるかは確認できたので、商人隊の用心棒を志願した。

志願者の中で一番強い者が用心棒として働ける。

そんな条件だったが、星に勝った俺に勝てる奴が志願者の中にいるはずもなく、目出度く用心棒になれた。

しかし星は良い女だったな。記憶では経験があるみたいだが、やはり体は初めてだった。

最初こそ苦しげにしていたものの、途中からは良い声で鳴いてくれた。

一度で手放すのももったいないが、聞けば史上の英傑共は全て美女化してるらしい。

となると、これを頂かない手は無い。さっさと行動に出ないとな。

 

「曹操、孫権、劉備辺りは期待したいがねぇ」

 

何たってあの三君主だからな、期待しない方がおかしいってもんだ。

 

ま、とりあえず地理も何も把握してない今は情報を集めながら路銀を稼いで放浪してみようかね。

運が良けりゃどっかの英傑とばったりってのも考えられるしな。

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商人隊と別れて数日。街で適当にぶらぶらしながら情報を集めていた。

しかし考えてみればまだ黄巾の乱が治まって無いってことは群雄割拠の世とやらにはなってない。

まだまだ劉備達も無名ってこった。

なら俺は順を追っていくまで。

街でちらほらと見る頭に黄色い布を巻いた男達。

一人を呼び寄せ、路地裏へと向かう。

 

「おい、いきなり何の用……ぶべッ!」

 

有無を言わせず頭を剣の柄で殴り気絶させる。

男の懐を探り財布、そして頭の布も取る。

 

「張三姉妹か……うまくいきゃ4Pか?」

 

とりあえずは兵として動いてやろう。だが行く行くは……

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「らぁ!」

 

袈裟切りで、官軍兵を鎧事叩っ切る。

俺の周りには官軍兵の死体だらけ。単騎駆けし、好き放題暴れた結果だ。

 

「おいお前ら!官軍共何て大した事ねぇ!このまま突撃だ!!」

 

野郎共の士気を上げ、俺は後退する。

この戦も俺らの勝ちだな。やはり数があるだけ、俺みたいな奴が居りゃ戦を優位に運べる。

 

「そこのお前!待て!」

 

凛とした声が戦場に響く。俺は止まり後ろを見ると、大きな斧を持った銀髪の女が勢い良くこちらに駆けて来ていた。

お、こりゃあ当りを引いた様だ。

女は俺の前で馬から降り、斧の切っ先を向ける。

 

「貴様、少しは腕が立つようだな。私と戦え!」

 

「仕合うってのか?かまわねぇが、名を名乗りな」

 

俺は剣を構え鋭く女を睨みつける。

 

「賊等に名乗る名は無いと言いたい所だが、貴様の武に免じて名乗ってやろう。我が名は華雄!死と共にこの名を心に刻むがいい!」

 

華雄か。見たところ自分の武にかなりの自信を持っているようだな。

よし、屈服させてやるか。

 

「俺は北郷。お前に勝ち、お前の主人となる男だ」

 

「ぬかせ!はぁあああああ!!」

 

声と共に斧を振り下ろす。

横に飛び躱すが、轟音と共に地面は抉られ、その威力を物語った。

こりゃあ受け流すだけでも腕が持ってかれそうだな。

慎重に立ち回り相手を観察する。

性格の単調さが表れているのか、斧の振りも単純だ。

鋭く迫る斧の孤影はもう慣れた。重い武器故にある力の溜めを俺は見逃さない。

 

斧の構えとは逆の、左側へ剣を振るう。

華雄は無理に斧を向かせ何とか防ぐが、弾かれると同時に左腕で華雄の右腕へ掌底をかます。

 

「ぐぅ!!」

 

無理やり動かした右腕じゃ辛いだろう?

耐え切れず斧を落とした華雄の腹に靴底を見舞う。

情けなく倒れこんだ華雄の髪を掴み、顔を無理やり眼前へと持ってくる。

 

「はい俺の勝ち。お前は肉奴隷完全調教コースだ」

 

「く……かはッ」

 

腹を蹴られて苦しいのだろう。文句も言えず顔を歪める華雄の頬を舐める。

と、敵陣から駆けてくる馬が見えた。

 

「おらぁ!!」

 

「チッ」

 

馬上からの一撃をその場から離れ躱す。

支えが無くなった華雄は倒れこんだ。意識を失ったんだろう。

視線を敵に戻す。

駆けてきたのはこれまた女。晒を巻いた威勢の良さそうな美女だ。

その女は俺を一瞥すると、素早く華雄を馬に乗せる。

 

「おいおい不意打ちかよ。武人の風上にもおけねぇなぁ」

 

まぁ俺は武人でもなんでもねぇからそんなに気にしてないが、せっかく手に入れた女が奪われたんだ。このくらい言わせろ。

 

「許してや兄さん。銀華もこんなんでも武将やし、そう簡単に失うわけにはいかないんや」

 

「許さん。お前が変わりに俺の女になるんなら納得してやるが?」

 

俺の言葉に呆気にとられた顔をする。

 

「兄さんおもろいなぁ。うちの名は張遼。覚えといて損は無いと思うで」

 

喋りながら自らも馬に乗り踵返す。

おいおい逃げる気満々じゃねぇか。流石に馬にゃ追いつけねぇ。諦めるしかねぇか。

 

「チッ。起きたら華雄に言っておけ。お前は既に俺の女だ。ってな」

 

「そないな事言ったら怒り狂うで……まぁ銀華の自業自得やな。伝えたる。ほなまたな」

 

走り出す張遼の背に、俺は声を投げかける。

 

「お前も、いつか俺の女にしてやるよ」

 

聞こえるとは思わなかったが、張遼は顔だけこっちに向け挑発的な笑みを浮かべながら口を動かした。

 

「『できるもんならな』か」

 

面白い。やってやろうじゃねぇか。

ま、機会があればだけどな。

 

「兄貴!ここにいたんですかい」

 

「あ?」

 

黄巾の兵が俺を呼ぶ。

話を聞くと、俺の働きがよかったので張三姉妹から直々に褒美が貰えるらしい。

願ってもねぇ。

よく開かれる公演だかなんだかで容姿は既に把握済み。三人共上物だ。

あぁ、早く抱きてぇなぁ。

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※補足

華雄の真名は『銀華』です。

銀髪に華雄の華をとって銀華。

そのまんますぎかな?

説明
ちょっと長めです。
ちなみにこの作品は展開がすごい早いです。
細かく書いていくと、絶対終わらせられないので。
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コメント
黄巾の一刀くん…イイネッ(ホワイト)
悪役の一刀イイネ!(斑鳩弍號)
なんっつー悪役一刀くん・・・嫌いじゃないわっ!(デーモン赤ペン)
おおう、鳶に油揚げをさらわれましたかwしかし呉に行ってれば孫堅さんとかも標的になってたのかなぁw次回も期待しております。(shirou)
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 一刀  真・恋姫無双 

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