テイルズオブエクシリア〜転生者はイレギュラー
[全1ページ]

〜レオンSIDE〜

 

 

アルヴィンが死んだジランドの目を閉じていると、

 

 

「すでに決していたか」

 

 

ガイアス達がやってきた。

 

 

「一足先にな」

 

 

「でもなんだか、これじゃ……」

 

 

「リーゼ・マクシアのためにもアルクノアの野望は挫かなければならないんだ」

 

 

「うん……」

 

 

ミラは真ん中にある機会を触ると、機械は光を発する。

 

 

そして、辺りにマナが散乱し始め、ミラが四大召喚の陣を作ると

 

 

四方にイフリート・ウンディーネ・シルフ・ノームが現れる。

 

 

「お前たち、無事で嬉しいぞ」

 

 

ミラは四大達の無事を確認するとクルスニクの槍に近づく。

 

 

「マクスウェル」

 

 

「こればかりはお前でも邪魔はさせない。破壊する」

 

 

四大がミラを囲み、手を上にかざすと四大達はクルスニクの槍を四方で囲もうとする。

 

 

しかし、

 

 

ズドオォォォォォン!

 

 

俺たちに突如、強力な重力が襲う。

 

 

「(ふざけるなっ!)なんだこの術は!」

 

 

「お、押しつぶされちゃいます!」

 

 

「ジランドの罠……!?」

 

 

「ババア!てめえの術はどうした!おっさん!てめえはパワーが取りだろうが!なんとかしろ!」

 

 

「あ、ああん!術が違いすぎるわ」

 

 

「さ、さすがの儂でもこんな術の中、なにかすることなどできん!」

 

 

「ぐぬぬぬっ!この程度の術、破ってみせる」

 

 

「こんな重力など!俺の術で吹き飛ばしてくれる!!」

 

 

俺は術を発動させようとするが、

 

 

ズドオォォォォォォン!!

 

 

「ぐあああ!」

 

 

俺だけ、受ける重力が変わった。

 

 

「ぐぬぬぬぬ!!こぉんのぉ!!」

 

 

でも、俺は未だ立っている。

 

 

「破る……そうだ。クルスニクの槍を使うんだよ。あれは術を打ち消す装置なんだっ!」

 

 

「槍、か……!」

 

 

ジュードの案はいい。だが!

 

 

「けど、もうマナが残ってないんじゃ……」

 

 

「……ここにいる全員がマナを振り絞って槍に注ぎ込めばあるいは……」

 

 

「ア、アハハ!あれに自分から力をあげるって?」

 

 

「命懸けか……」

 

 

「だがやらねば……いずれにせよ終わりだ」

 

 

皆は助かるために自分からマナを注ぐつもりだが、

 

 

「いや……俺がやる」

 

 

俺は歩き出す。

 

 

「何……?レオン、お前」

 

 

ガイアスが俺を見る。俺はニィっと笑う。

 

 

「俺のマナは大精霊クラスある。俺がマナをクルスニクの槍に注げば……」

 

 

「待ってください!そのようなことをすれば、レオンさん!あなたの命が……!」

 

 

ローエンが俺に待ったをかける。ふぅ、確かに俺のマナを全力で槍に注げば、俺の命は……だがな!

 

 

「仲間のため……愛する女のため……守るためにそれぐらいの……覚悟はある!」

 

 

「……!!」

 

 

ミラが俺を見る。

 

 

俺はゆっくり、歩き出す。

 

 

俺がミラの横を通ろうとすると、

 

 

「はあああっ!」

 

 

ミラも立ち上がって歩き出す。

 

 

一歩、一歩、ゆっくりと、一緒に。

 

 

「くそっ!とっととしやがれ!」

 

 

「あぁん……もうダメ……」

 

 

後ろで何かを言っている気がしたがそんな暇がない。

 

 

「はぁ……はぁ……」

 

 

「ぜぇ……ぜぇ……」

 

 

「マクスウェル……槍を起動させろ」

 

 

俺とミラはあと少しの所にまで来ている。

 

 

そして、ミラが言い始める。

 

 

「わざわざみなが死ぬ危険を冒す必要はない」

 

 

「……おい、ミラ?」

 

 

ミラが俺を見て微笑む。

 

 

バリィィィィィン!

 

 

音がした。そちらを見ると床に亀裂ができ始めている。

 

 

「なぜだ。あんたはその手で世界を……人々を守るんじゃないのか?まだなすべきことってのが残ってるんだろう!」

 

 

いち早く、ミラが俺と一緒にしようとしていることに気づくアルヴィン。

 

 

「断界殻(シェル)が消えれば……アルクノアの計画は完全に潰れる。そうだろう?」

 

 

「お前…………」

 

 

ミラが何を言いたいのかがわかったアルヴィンは唖然としているようだ……見てないけど。

 

 

そして、ミラは皆を見渡し、槍を起動させる機械を見る。

 

 

「お前たち……ジュードたちと共に去れと言っただろう」

 

 

精霊達はミラを見て微笑んでいる。

 

 

「すまない……巻き込んでしまったな」

 

 

【――――あなた、何か変わりましたね】

 

 

ウンディーネが言う。

 

 

「私はマクスウェルとして生きたいだけだ……」

 

 

【――――それで自分から死のっての?】

 

 

シルフが言う。

 

 

「矛盾してるのはわかっているよ」

 

 

【――――だたらヤメるでしよ】

 

 

ノームが言う。

 

 

「みなを……今まで関わった仲間を守りたい。レオンを守りたい」

 

 

「そして、俺がそんなミラを守りたいんだがな」

 

 

俺は苦笑する。ミラはどこまで行ってもミラだな。

 

 

【――――マクスウェルが何を恐れる?】

 

 

「……私はレオンとの……絆を……共に生きていくことを失うのが……恐かったのか。……失うことを……」

 

 

「俺もさ。だから、俺が代わりにマナを槍に注ごうと思ったのに……俺の想いを無駄にしやがって」

 

 

俺は槍を起動させる。

 

 

「だが……ここで一緒に死ぬのも……いいかもな……」

 

 

俺は静かに目を閉じて言う。

 

 

 

 

 

「やだ、ミラ……レオン……」

 

 

「ミラ……レオン……」

 

 

「ダメー!!」

 

 

「ミラさん……レオンさん……」

 

 

「……くっ」

 

 

「ミラ……レオン!」

 

 

皆が俺たちを見る。行くな!やめてくれ……と。

 

 

「そんな顔をするな……皆」

 

 

「さらばだ、みな」

 

 

俺とミラのマナが吸収され始める。

 

 

そして、俺はミラの手を掴む。

 

 

「ミラ……死ぬときは一緒だぜ?」

 

 

「レオン……愛しているぞ……」

 

 

「俺もさ……ミラ」

 

 

俺たちは静かに、そして触れるだけのキスをしてマナを放出する。

 

 

「はああああああああ!!」

 

 

「うおおおおおおおお!!」

 

 

四大達も己のマナを放出する。

 

 

そして……俺たち二人の意識は……遠のいた。

 

 

 

〜レオンSIDE OUT〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜第三者SIDE〜

 

 

マナの溜まったクルスニクの槍によって術は打ち消された。

 

 

だが、その代償はあまりにも大きかった。

 

 

レオンとミラ……二人の人物の命が……消えかかっていた。

 

 

「ミラっ!レオンっ!」

 

 

ジュードは二人に声をかけるが、二人の体は倒れ始める。

 

 

ジュードは倒れ始める二人に近づこうとするが、船が崩壊し始めた。

 

 

そして、

 

 

 

ドシャアァァァァアン!!

 

 

 

二人のいたところに大きなガラスの破片が落ちる。

 

 

そんな時だった。

 

 

<……俺……最後……力……受け……とれ……>

 

 

「「!?」」

 

 

アルヴィン・レイアの頭の中に誰かの声が響く。それと同時に二人に黄色いオーラのものが……。

 

 

「今のって……」

 

 

「なんなんだ!?」

 

 

二人は動揺するが、今はそれどころではなかった。

 

 

船は完全に……崩壊していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、

 

 

レオンとミラ。二人は海へ抱きつきあいながら一緒に光となって消えていった。その存在を残さないよう……綺麗さっぱり……と。

 

 

 

説明
第53話 さらば、ミラ……そしてレオン
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