外史テイルズオブエクシリア 闇の魂を持つ者の旅路の記録 第15話 |
第15話 翔べ!
一同は兵達の追跡を振り切り、シャン・ドゥへと戻って来た。
「追手の気配なし」
前の商店にユルゲンスがいた。
ユルゲンスはジュード達に気づいて近づいてくる。
「私たちのことで城から報せが届いているかもしれませんね」
「その時は秘孔術を使う」
「そんな危ないこと……」
「死ぬことはない」
秋山は最悪の事態に対処できるようにする。
「謁見はどうだった?」
ユルゲンスはそれ以上聞かなかった。
どうやら何にも知らないようだと悟ったミラは……。
「すまないユルゲンス。話はまたの機会にしたい。すぐ発てるか?」
「まあ、できないことはないが……何か急ぐ理由でもできたのか?」
「うん、ぼくたちガイアスに……」
ティポが正直に言おうとしたので、ジュードが急いで口を防いだ。
「?」
「急ぐ必要はなくなったよ」
そこにはなんとアルヴィンがやって来た。
「アルヴィン!」
アルヴィンが手挨拶する。
「やつら、今頃せっせと山狩りでもしてるからな」
「お前が……? 手土産のつもりか」
「土産も何も、仲間だろ、俺たち」
「そうだな」
「…………」
秋山以外は何も言わない。
「なんだよ、信じられないって?」
「大半の人間なら信じないな」
「……お前たちが信じてくれているって知ってる、そう言っただろ。
まだ俺のことを信じてくれるよな?」
アルヴィンがジュードに近づいて、いつものようにジュードの肩に腕を置く。
「う、うん……」
ジュードは元気なく答える。
「そうだな。誰かの言葉だが、『100回裏切られても、101回以上信じてやる』ってな……。
だから俺はお前を信じてやる」
「サンキュな、ジュード、秋山」
アルヴィンは女性陣を見る。
「お、おかえり……帰ってきてくれて、うれしい……です」
エリーゼのそれは本音だとは思えない口ぶりだった。
女性陣、全員が警戒していた。
「くくく、なんだそれ」
「とにかく、しばらくは時間は稼げそうですね」
「事情は聞かない方がよさそうだな」
「ごめんなさい」
ドロッセルが代表して頭を下げる。
「まったく、君たちと関わっていると飽きないよ。
私はワイバーンの檻の前にいるので、飛ぶつもりになったら、来てくれ」
ユルゲンスはワイバーンの所に行った。
「本当にいい人だ。あそこまでいい人、俺、何人見てきたんだろうな……」
秋山はふと懐かしむ。
「いよいよ、か……」
「準備ができたら、出発だね」
「ああ」
「その前に宿で休むか。山狩りにせいを出してるなら宿で一日休む時間もあるだろう」
一同はひとまず宿で休むことにした。
宿の前に行くと……。
「待って、アルヴィン」
ジュードがアルヴィンを呼び止めた。
「まーだ、納得いってないってか。他の連中もだいたい同じってとこかな。しゃーないか」
「当たり前だろ。俺は正直、最初っから知ってて付き合ってたけど、他はそうじゃないからな」
「……四人で初めてニ・アケリアに行った時だよ。社から俺一人でどこかに行ったろ」
「確か、私が社を出ると、ジュードと秋山だけの時だな」
「そう、その時だよ。ウィンガルと会ったのは」
「密約を交わしていたのでは? いざとなればミラさんを引き渡すと」
「アルヴィン君ひどい! やっぱミラやジュードを裏切ったんだ!」
「待てよ。確かにあの時は色々考えてたけど、今回は逆にそれを利用できると思ったんだ。ワイバーンの許可が下りたのだって、事前に話を通してたからなんだぜ」
「え、それって、ガイアスの前で裏切ったのは……」
「そう。あの場で裏切ったフリしてなきゃ、ワイバーンも使えなかったってこと。だから、わざわざシャン・ドゥとは真逆に逃げたってウソついたんだ」
「僕はアルヴィンを信じたい……けど、まだ……」
やはり完全には信じ切れないという顔をするジュード。
「そうだったな。あのプレザという女だ。キジル海瀑の時といい、知った仲のようだったぞ」
「そんなことがあったのですか?」
「何が聞きたい?」
「あのプレザって人、どういう人なの?」
「…………」
アルヴィンはどう答えようか考える。
「……アルヴィン!」
ジュードが大声を出す。
「なんだお前……泣いて……」
「泣いてなんかない! ただ、僕は……僕は……」
そうは言っても、どうみても泣きかけてるジュード。
「出会いは俺がラ・シュガルの情報機関に雇われてた時だよ。あいつはア・ジュールの工作員として、イル・ファンに潜入中だったけどな」
「それで?」
「…………」
「その後、個人的になんつーのよ、色々あったのは聞かないでくれよ」
「確かにこれ以上はあの時のプレザのように野暮ってもんだな」
「納得はした。けど、まだ、信用しきったわけじゃないからねっ」
「くくく、ジュード君はかわいいね」
「な、なんだよそれ! 僕は怒ってるんだよ!」
「わかった、わかった」
ジュードはアルヴィンに軽くあしらわれてしまう。
「ふむ。アルヴィン、最後にひとつだけいいか?」
「なんなりと」
「お前が私たちに肩入れする理由を教えて欲しい。メリットがあるのか?」
「今さら聞く? 優等生やみんなが大好きだからに決まってるでしょーよ!」
秋山以外が頭を深く下げる。
「ウソつきやがってー!」
「なんだそれ、ちょっとヒデーじゃねえか!」
「ま、とりあえず一緒に行くということでいいだろ。それより休もうぜ」
それから宿で休んだ後は、ユルゲンスのもとに行き、ワイバーンを借りることになった。
さすがにイル・ファン近くまでは行くのは危険だとして近くの街道までということになった。
そしてペアはミラ、ジュード組、アルヴィン、エリーゼ組、ローエン、レイア組、ドロッセル、秋山組となった。
皆がワイバーンに乗って、空を飛ぶ。
「うわああああああ!!!」
ワイバーンを服従させていたミラも操縦が難しいのか苦戦して、ジュードの悲鳴が聞こえてくる。
「いやあー! 落ちる! 落ちるー!」
「くっ……なかなか難しい……!」
レイアの後ろのローエンが手綱を握ってワイバーンを従わせているが、初めてだったのか、ローエンも苦戦する。
「まっすぐ飛んでほしいですー!」
「ちゃんと操縦しろ―――!」
「うるせえ! だまってろ!」
アルヴィンの方も余裕がなかった。
「あの、なんで私なんですかーーーーー!!」
ドロッセル、秋山組はなんと秋山ではなく、ドロッセルが手綱を握っていて、秋山は後ろにいた。
「俺は万が一に備えて、手を空けておく必要があるからな。
その時のためにもお前がやるんだ」
ワイバーンがかなり揺れているのにも関わらず秋山は腕を組んで余裕だった。
「そんなーーーーーー!!」
ドロッセルは誰よりも苦戦していた。
しばらく進んでいると雲の上に出た。
そこから太陽の光が照らし出される。
「すごい……」
「うわー」
「キレイー」
「わあ……!」
「ピカピカだー♪」
「いい景色……!」
「………!」
「来るぞ!」
秋山が叫ぶと下から空を飛ぶ巨大な魔物が現れた。
「な、なんだコイツは!?」
「でか過ぎ――!」
「グアアアアアアアア!!」
巨大な魔物がアルヴィン、エリーゼ組のワイバーンを襲い、ワイバーンは紙一重で避けるも魔物の爪により、怪我を負わされてしまう。
「このままじゃ落とされちゃう!」
「任せろ!」
秋山がなんと自分から飛び降りた。
「秋山さん!」
前にいたドロッセルだけでなく、他の面々も驚いた。
「何を考えているんだ? あのバカ!」
アルヴィンがそう言うが、秋山はなんと空中を浮いていた。
「なっ!?」
「風の精霊術か?」
「ワイバーンが負傷してる以上、これ以上の飛行はやめておけ。
それより下に降りて体勢を立て直せ。
なに、俺もすぐに追いつくさ」
「……信じていいんだな」
ミラの言葉に秋山はただ親指を立てて答えた。
「皆、降りるぞ!」
ミラの言葉を聞いて、皆が下に降りて行った。
「さて、久しぶりに誰も見られない戦闘だ。
思う存分やってやるか」
秋山と魔物の戦いが始まる。
「グアアアアアア!!」
魔物が口から火炎弾を放つも秋山はガードするそぶりすら見せない。
火炎弾は秋山に直撃するも、秋山にダメージがなかった。それどころか、服すら汚れていなかった。
「この程度の炎、カオスの足元にも及ばないな」
秋山がカオスという名を口にすると秋山は炎弾を出す。
「少し威力は抑えているが、これがカオスの炎だ。受け取れ!」
秋山が炎弾を魔物に向けて撃つ。
その魔物の体にぶつかる。
「グシャアアアアアアア!!」
魔物は苦しむも致命傷ではなかった。
「グシャアアアアアア!!」
魔物は尖った尻尾で秋山を襲おうとする。
「ふん!」
秋山は尻尾を膝と肘の間に入れて叩き潰した。
「ギシャアアアアアアアア!!!」
炎弾の時以上に魔物は苦しむ。
「ギシャアアアアアアアアアア!!!!!」
魔物は自身を回転させて、秋山に突っ込んでいく。
「あーあ、突っ込んでいいのかな」
秋山は右拳を構えていた。
「みんなが見てない以上、これをお見舞いさせてやるか。
……釘パンチ!!」
秋山は回転する魔物の懐に入り、釘パンチと呼んだ必殺技は魔物の腹部に命中させた。
すると魔物は強力なパンチを何度もくらったかのように、はねていく。
「グシャアア!? ギシャアア!?」
その回数は20回は超えているが、まだはね続ける。
「出血大サービスだ!」
秋山がはねる魔物の上に飛ぶ。
そして巨大なあるものを召喚した。
「ロードローラーだっ!!」
ロードローラーを出した秋山はロードローラーで魔物を潰しながら、下へと落ちて行った。
その頃下では……。
「いたたた……」
「アルヴィン、大丈夫……ですか?」
エリーゼに心配されるアルヴィン。
「俺は大丈夫だ」
「アルヴィン、エリーゼ」
そこに皆が降りてくる。
「エリー、怪我は?」
「わたし……はない……です」
「でもアルヴィン君、腕が……」
「かすり傷だよ」
「今僕が治療を!」
「……上から来るぞ!」
ミラが警告するように上から来た。
来たものは釘パンチのせいではね、そしてロードローラーのせいで固定され、押されている魔物とそのロードローラーの上に立っている秋山だった。
「ザ・ワールド!」
秋山は自分が地面に着地し、皆に注目されないように時間停止した。
しかしそれでも本人や落ちてくるロードローラーにその下にいる魔物はそのまま地面に落ちた。
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄っ!!!!!!」
ロードローラーを拳のラッシュで破壊し、それと同時に魔物の体に最後の拳と最後の釘パンチの一撃が入る。
「そして時は動き出す」
時間が動き出したと同時に魔物は爆散した。
「あ、秋山さん!?」
「いつの間に降りていらっしゃったのですか?」
「今降りてきたところだ。魔物は見ての通り、倒した」
「うむ、そのようだな」
「みなさん、落ち着いて! 女性と子どもは家から出ないでください!」
後ろから聞き覚えのある声がしてくる。
「男性の皆さんは協力して僕と戦ってください」
そこにはなんとクレインがいた。
「お兄様!」
「ドロッセル……なんで……」
「ただいま……」
「旦那様」
「ローエン……それにみなさん!?」
クレインはようやく降りてきたのが誰なのか分かった。
「えっと……初めまして、レイアです……」
レイアは初対面だったので挨拶した。
その後、なんとかワイバーンを見てくれることになったが、ワイバーンの怪我は一日くらいかかるらしいので一日休むことになった。
そして翌日、一同は再びワイバーンに乗り、イル・ファン近くのバルナウル街道に降り、イル・ファンに行くのだった。
チャット場面
「空飛ぶ秋山」
ミラ「秋山」
秋山「うん?」
ミラ「お前、最初から飛べたんだな?」
秋山「まあな。けど飛べたんなら、なんでイル・ファンに運んでくれなかったって質問ならこう答えてやるぞ。
俺一人なら楽勝だが、誰かを運んで飛ぶのは無理だって……」
ミラ「そうか……。だが私がシルフの力を使ってもあそこまでの動きは真似できない。
いったいどうやってあそこまで……」
秋山「悪い。口じゃ説明できないんだ。俺も理屈じゃなくて感覚で飛んでるからな。
参考にならなくてごめんよ」
ミラ「いや、いいんだ……」
秋山(ま、闇の力で舞空術してますってのはまだ言うべきことじゃないしな)
チャット場面終了
説明 | ||
この作品は別の人の影響で作った作品であり、作者(BLACK)のオリジナルキャラ「秋山総司郎」を第3主人公として、テイルズオブエクシリアの世界に来たらで書かれました。 秋山総司郎が今まで出てきた作品一覧(作品検索)。 http://www.tinami.com/search/list?keyword=%E7%A7%8B%E5%B1%B1%E7%B7%8F%E5%8F%B8%E9%83%8E&genrekey=1 秋山総司郎の時系列 この世界を訪れる前の話 「そらのおとしものf 番外編 『カオスのとある日常(いちにち) 里帰り編』」 http://www.tinami.com/view/225368 この世界を訪れた後の話 「そらのおとしもの 外伝 もしもイカロスの次に地上に来たのがカオスでその次に来たのがニンフだったら…。(アニメ仕様)」 http://www.tinami.com/view/257088 となっております。 追記、最終話までが完成したので、1日に2話投稿になります。 |
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コメント | ||
うちのレオン君とは違った空中戦。うちのレオン君は風のマナや翼などを作って飛ぶけど、主人公は闇の力なのですね。ドロッセルが可哀想に思えたw(レイフォン) | ||
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