魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜赤き狂戦士〜
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第三章 過去との邂逅

 

 

第二十七話「新たなる光」

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「ルーチェのバージョンアップだァ?」

 

セシル風の主に対する儀式?が一通り終わると、彼女は今回ハーナに呼び出された理由を話し出しだした。ホロスクリーンにルーチェのデータ図と詳細な内部構造の造りを映し出す。

 

「そうだよ兄様。賢いルーチェがもっと賢くなっちゃいます!」

 

「いや、ドヤ顔で言わンでいい。というかそンな事できるのかァ?」

 

「できるから私がわざわざセシルをここに呼び出したんですよ。シャーリー」

 

「はい」

 

ハーナの呼び声で、デバイスルームにある別の部屋に入り、中から戻ってくる。

 

戻ってきた彼女の両手には待機状態にも戻れずに、破損し柄だけになったブレイドモードのルーチェが入ったカプセルがあった。

 

 

彼女の原型と性能を知っている者がこの姿を見れば、言葉を失ってしまうだろう。

 

 

 

「バージョンアップについては本局にいるマリエルさんに協力してもらって、

既に基礎フレームのデータは出来ています」

 

「マリエルかァ・・・アイツも一枚噛んでやがったのかァ。で、ルーチェの奴はなンて言ってる?」

 

 

「ルーチェさんはそりゃもう賛成してます。というか、ルーチェさんが今回の事をお願いしてきましたから」

 

 

あぁと納得してしまう。

 

 

ルーチェは基本冷静沈着なAIだが、意外と熱いところがあり、負けず嫌いなのだ。

 

実際彼女は、なのはのデバイスであるレイジングハートやその他の高性能デバイスに負けないよう、己の力を最大限に引き出せるように精進していた。

 

 

「それに最近のルーチェは兄様のスッゴすぎる魔導師センスで兄様について行けなくなってたみたいだし、兄様も自覚あるでしょ?だから”あそこ“からルーチェが指示した材料も持ってきたし、

これで直ぐにでもルーチェを改修できるよ、兄様♪」

 

「あそこ???」

 

材料を調達した場所が気になるようで、首を傾げるシャーリー。

 

ちなみにあそことはユグドラシルの事である。

 

 

だがユグドラシルの事をシャーリーに話す訳にはいかない。

 

 

「ルーチェさんの提示した材料って、本局から持ってきたんじゃないんですか?」

 

 

「悪いですが・・・・・」

 

 

「機密事項だァ」

 

 

インフェルノ組の二人にそう言われ、当然だがビビってしまうシャーリー。

 

 

無表情の女と危ない笑みを見せている男・・・・・・常人なら睨まれただけで、

腰を抜かしてしまう。

 

 

「あ、あはは・・・・き、気をつけます・・・・」

 

 

「で、改修作業はどれくらいですむんだァ?」

 

 

「え、えっとですね・・・・」

 

 

直ぐに立ち直り、デバイスルームのコンソールを操作し始める。

 

様々な情報が記されたホロスクリーンが次から次にと重ねられ、数秒するとその流れも止まり、

結果が表示される。

 

 

 

「5日ですね」

 

 

「意外と早いなァ」

 

 

「まぁ普通なら二週間は絶対かかるだろうけど、ルーチェが基礎理論を構築してくれたおかげで

短縮できたんですよ。ね?ハーにゃん♪」

 

そう言うなりセシルは隣にいるハーナに抱きつく。

 

ハーナも特に抵抗することなく、抱きつかれている事を見えないとでも言うかのように、

普通に端末を操作している。

 

 

「では早速作業に入りますよ」

 

 

「チューニングはやったのかァ?」

 

 

「その必要はありません」

 

 

チューニングが必要ないと言われ、怪訝な表情をするヴァン。

 

普通のデバイスにはチューニングといった事はする必要はないが、ルーチェは違う。

 

 

ルーチェのメンテナンス、今回のような破損してしまった場合は必ず、

ハーナがチューニングにをしなければならない。

 

 

またこれは彼女以外の人間にはできない。

 

 

「改修する前にチューニングをやっても無意味です。わざわざ、古い電化製品を修理して捨てますか?それと同じです。チューニングはルーチェの改修が終わってからします。

お分かりいただけましたか?」

 

「なァーるほどォ。よォーくわかったぜェ」

 

「兄様♪ルーチェの改修が終わったら、このセシルにご褒美として私の体を隅から隅まで

洗い流してあごほっ!?」

 

 

直後、セシルの頭にヴァンの鉄拳が落ち、彼女の頭には大きなコブができ、それを見ていた

シャーリーは思わず痛そうと声を漏らす。

 

 

「ったく・・・・じゃああとは頼むぜェ。俺様が満足するようなできじゃなかったら

承知しねェぞォ?」

 

「言われるまでもありません。精々アナタはルーチェの新しい名前でも考えておいてください。・・・・・まともな名前じゃなかったら許しませんよ?」

 

「はっ!まァおいおい考えておくぜェ。またなァ」

 

それだけを話すとデバイスルームを出ていく。出る直前に「兄様ぁ〜!」と聞いただけで力が抜けそうな情けない声が聞こえたが、あえて無視する。

 

「おっ。もう昼じゃねェーかァ」

 

腕時計の針が12時を差している。訓練場にいるなのは達も今頃は訓練を終え、隊舍の方に向かっているはずだ。

 

「ま、一度部屋に戻って上着置いてから食堂にいきますかねェ」

 

午前だと言うのに今日のミッドの気温は高い。30℃はとうに超えているだろう。

 

 

「初夏の足音が聞こえンなァ・・・・そォーいやァ・・・・」

 

 

先ほどハーナに言われた事を思い出す。普段なら直ぐに忘れているだろうが、今日は予想外な人物と再会したせいで、どうやら上手く?彼女の言葉を忘れられなかったようだ。

 

「名前ねェ・・・どうっすかなァ」

 

ルーチェの名前。ハーナにちゃんと考えるよう釘を押された為、珍しく考える。

 

「ふーむ・・・・・」

 

しばらく顎に手を当てて考えに耽ったヴァンだったが。

 

「ま、いっかァ」

 

結局は結論を放り投げた。

 

 

「適当にきめようかァ」

 

そういう事になったらしい。

 

 

 

 

 

 

---------------

 

 

 

 

 

 

 

「なのは、どうしたの?」

 

 

 

朝からなのはの様子がいつもと違うので、手に持っていたフォークを置き、心配した表情で

彼女を見る。

 

 

「ふぇ?ど、どうしたのフェイトちゃん?」

 

 

「朝からずっと何だか思い詰めた顔してるからさ・・・・」

 

 

「そ、そうかな・・・・」

 

 

愛想笑いを浮かべ、トレイにあるオレンジジュースを飲む事で話を終わらそうとするが

 

 

 

「そーなんだよ。今朝からコイツずっとこんな感じなんだよ」

 

 

後ろから自分の昼食を持ってきたヴィータになのはの誤魔化しは無駄に終わってしまう。

 

 

 

「(バットタイミングだよヴィータちゃん・・・)」

 

 

 

口には出せないが、とりあえず心の中でそう呟く。

 

 

 

だが彼女の言葉の追撃はさらに続く。

 

 

 

「寝不足とか言ってるが、絶対に何か隠してるよな」

 

 

 

「最近、地球から帰ってきてからだよね?本当にどうしたの?」

 

 

 

隠しきれていると思っていた事が、よもや一番始めからあっさりばれていた事に、自分の隠し事の

できなさ・・・・いやなのは自身はこういった事は、普段から並にはできていた。

 

 

むしろこれは相手が悪かった。

 

 

フェイトやヴィータ、長年苦楽を共にした仲間達が相手では、彼女の心境の変化なんてあっさり

わかってしまうようだ。

 

 

 

「にゃはは・・・何度も言うけど私は・・・・」

 

「「なのは!!」」

 

「に、にゃい!!」

 

 

 

いきなり声を大にして、名を呼ばれ思わず咬んで返事をしてしまう。

 

 

同時に咬んでしまった事に対して恥ずかしさが沸き出でくる。

 

 

 

「水臭いよなのは。私達はなのはの為なら何だってするし、悩み事を聞くくらいなら何度だって。ね、ヴィータ?」

 

 

 

「あぁ。私はお前よりもずっ〜と年上だ。話しをするのはタダなんだ。吐いちまった方がらくだぜ」

 

 

「だから・・・・」

 

 

「さあ、きりきり話して」

 

 

 

こちらの抵抗を完全に無視している。通用しするかはわからないが、なのはは食事に逃げた。

 

 

口に物が入っている間は何を聞かれても答えなくていい。

 

 

それに早く食べてこの場を離れればこれ以上2人に追及されずにすむ。

 

 

 

「逃げたね」

 

 

 

「ああ、逃げたな」

 

 

 

食べ事に逃げたなのはに2人が低い声でそう告げた。

 

 

 

(お願い〜どうかこの間に誰か来て〜)

 

 

 

 

切実にそう願う。

 

 

だがその願いは叶いそうにない。

 

違うテーブルで食事をしているフォワード達が自分達に話し掛けて来てくれないかと密かに思うが、4人とも会話に夢中でコチラに気付かない。

 

後は、シャーリーとハーナだが、コチラは何やらシャーリーが何やら専門的な事を懇切丁寧にハーナと羽耳の女性に熱く語っている。

 

 

(ん?ちょっと待って。何で羽耳?)

 

 

 

ハーナとシャーリーの中に混じって会話に参加している上に、(ハーナは冷ややかな目で、

ただ黙って聞いているだけ)あのシャーリーの話す内容に当たり前のようについてきてる。

 

 

(使い魔?というか誰?)

 

 

ハーナ達と一緒にいる羽耳の女性が気になってしまう。だが今はそれどころではない。

 

なんとしてもこの状況を打開しなくてはならない。

 

任務中並に思考をフル活動させ、目の前の強敵?から退く為になのはは・・・・

 

 

(ダメだ・・・・何も浮かばない)

 

 

こうなると、話す以外選択肢がない。たぶんそれだけだ。

 

 

 

こういう時の2人はやけに押しに強い。

 

 

(まずい・・・・)

 

 

 

トレイにある料理がほとんど消えてしまっている。

 

なんとか、残った飲み物をゆっくりと飲むことで時間を稼いでいると、隊舍全体に放送が流れる。

 

 

 

『高町隊長、ハラオウン隊長、各分隊副隊長は至急部隊長室に来るように』

 

 

 

はやての声だ。

 

これを流しているのはおそらく部隊長室からだろう。

 

だが、これはなのはにとって好機だった。

 

 

おかけで2人の追及から逃げ延びる事ができる。

 

 

「さ!!はやてちゃんが呼んでるよ?行こう行こう!!」

 

 

トレイを持ち、返却するために席を立つ。

 

 

返却を終えると心の中で最高のタイミングで自分達を呼び出してくれたはやてに感謝の気持ち

を伝えていた。

 

 

「・・・逃げたな」

 

 

「・・・逃げたね」

 

 

 

悠々と食堂を去っていくなのはを渋い目で見つめる。

 

別にはやてのせいではないが、やはりちょっと空気を呼んでよとこの場にいない、六課の部隊長に言いたくなってしまう。

 

 

しかし、これは完全にズレている上、友達、家族という関係の2人は言えるはずがない。

 

 

「私達も早く行こうか」

 

 

「だな」

 

 

 

なのはに続き、食堂を離れるハーナを見て急いで片付けを始め、終了後部隊長室に向かう。

 

 

 

 

 

なのはの悩みを聞き出しのはまた今度になりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

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「よう来てくれた、皆。ヴァン君が意外と早く来てくれたのにはビックリやけど」

 

 

「食堂に向かう最中に呼び出されたンだよ。嫌でも早くついちまう」

 

 

部隊長室には既に、六課の各分隊隊長格が揃っており、部隊長であるはやての前に整列していた。

 

 

 

「ンな事より早く呼び出した理由を話せ。こっちは昼飯をお預け食らってンだァ」

 

 

クギューという音が、ヴァンの腹部から聞こえその場にいた者からそれぞれの押し殺した笑いが漏れる(ハーナ除く)。

 

ただ一人ヴィータだけは大爆笑。挙げ句の果てにはヴァンはからかい始めるが、話が進まないと感じた、ヴァンとはやてが咳払いをし、場の空気を変え、本題へと入る。

 

 

「えとまず最初に、いきなりやけど言わせてな。4日後、私達機動六課はホテル・アグスタで行われる骨董美術品オークションの会場警護為に出動をする事になりました」

 

 

「ああ、あのロストロギア専門の・・・・って事はレリックでも出品されンのかァ?」

 

レリック専門の六課が出ると言う事はオークションではレリックが出品されるという考えが、はやてを除いた全員がそう思った。

 

だがオークションでレリックは出品されるどころか、

存在する匂いすらない。

 

今回の任務は、取り引きされるロストロギアに反応して、ガジェットが襲撃してくる可能性がある為に警護をする事になったらしい。

 

 

「まァ、ガジェットは俺達の殲滅対象だからなァ。文句はねェーよォ」

 

 

「任務の事はわかりました・・・それで主はやて、先程の言動からしてまだ何かあるのでしょうか?」

 

確かにオークションの説明を始める前にはやては「最初に」て言っていた。

 

 

 

わざわざこの場で言うからには、それなりに重要な事だろう。

 

 

 

「それもやったな。それについてはフェイトちゃんから説明してもらった方がええかもな」

 

 

「え?私に?」

 

 

 

話しの内容がわからず、自分に指を指し首を傾げるフェイト。

 

 

 

「ほら例の件よ。シャーリーと調べとったやろ?」

 

 

 

そう言われた事でようやくはやてが自分に何を説明するように言っているかわかった。

 

 

そして前に出て、はやてに部隊長室のカーテンを閉めるよう頼み、執務デスクの隣から斜めに、

スクリーンが降りてきて、そこにいくつかの映像が映し出される。

 

 

 

 

「リニアレールのガジェット襲撃事件から私はシャーリーと一緒にガジェットの残骸からその製造者を捜査していたの。そして調べている内にある一人の男が捜査線上に浮かんだ・・・」

 

 

エアディスプレイをタッチし、1つの画像を新たに出す。

 

 

そこには1人の男の顔が映し出されていた。

 

 

「コイツは・・・ジェイル・スカリエッティ」

 

 

「うん」

 

 

ヴァンがスカリエッテの顔を見て彼だとわかった事に驚きながらも返答するフェイト。

 

 

よく考えて見れば、インフェルノという特務隊に所属していたヴァンだ。

 

 

あれほどの隊ならスカリエッテの事を知っていても不思議ではない。

 

確かに実際にインフェルはスカリエッテが使用していた研究施設を何度か襲撃し破壊している。

 

 

 

「管理局から違法研究で広域指名手配されている次元犯罪者、ジェイル・スカリエッテ・・・・

彼ならガジェットを製造しレリックを収集しる事は用意に可能ですね」

 

 

 

ハーナもフェイトの調べた内容に理解を示す。

 

 

「へェ・・・「奴」がねェ・・・」

 

 

「どうしたんヴァン君?」

 

 

 

スカリエッテの画像を見て、うっすら笑うヴァン。

 

何故だかその笑みにはいろんなら意味があるのではないかとはやては思った。

 

 

 

「いやァなンでもねェよォ。ただ昔、コイツの使っていた施設を粉々に粉砕してやった

事を思い出してただけだァ」

 

 

その発言でフェイトはやはりインフェルノはスカリエッテと事を立てた事があったのだと確信した。

 

それで笑っているヴァンはやはりズレているとも思ってしまってもいるが・・・・

 

 

「やっぱインフェルノはやる事が派手やなぁ・・・で、実際はどんなところやったん?」

 

 

「そりゃもう、叩けば誇りだらけのところだったなァ。なァハーナ?」

 

 

「施設にあったほとんどがやはり違法研究の類いでした。これは私個人の私見ですが、

正直狂っているのではないかと思いましたよ」

 

 

その言葉の重みが伝わってくる。

 

ハーナが具体的な内容を話さなかったのは話すのがあまりに酷い内容なのだと解釈する六課の面々。

 

実際、そこでハーナが見た物は人に話すのを躊躇ってしまうものばかりだった。

 

 

 

そういう世界と全く関係がない人間が見てしまえば一生のトラウマ物だ。

 

 

 

 

 

「カーティス少将に頼めば、我々が押収したスカリエッテ関係の資料を少ないですが、

提供しますが?」

 

「助かるわぁ、ハーナちゃんおおきに」

 

 

それからは4日後にあるオークションの隊員の配備を取り決め、各隊長達は部隊長室を後にした。

 

「どう思うフェイトちゃん?」

 

 

他の隊長達が出て行く中、フェイトだけが部隊長室に残っていた。

 

出て行こうとした時、はやてに呼び止められたからだ。

 

 

「ヴァンの事?うん・・・やっぱり何か隠してるよね」

 

 

 

スカリエッテの話しの際、ヴァンはいつもと同じ笑みをはやて達に見せた。

 

だが2人にはその笑みが何か、彼が話した理由とは違う意味の笑みだと思えてならなかった。

 

 

(なんで私の知り合いは、こう隠し事ばかりする人が多いのかな?)

 

 

 

人間なのだから仕方ないが、やはり寂しく思えてしまう。

 

 

なのはの事もだが、やはりヴァンにも同じ事を思ってしまう。

 

(でもそれを話してくれた時は私は全力で相談にのる・・・・それが友達だよね)

 

 

 

なのはの事は、彼女が自分から話してくれるまで待ってみよう。

 

 

彼女だって心の準備がいるわけだし、無理に聞いてそれで何も自分が答えられなかったらもっと

ダメだ。

 

 

 

部隊長室を出たらヴィータをつかまえて今思った事を伝えようとフェイトは思った。

 

 

 

 

 

 

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食堂に行く最中に隣にいるハーナに話し掛けるヴァン。

 

内容はルーチェの改修の件だ。オークションは4日後・・・・ルーチェ改修の終了日程は

5日後・・・・どうしても間に合わない。

 

 

 

「だから寝ないでルーチェの改修をしろ・・と?」

 

 

 

呆れた口調で話すハーナ。

 

 

「別に寝るなと言ってねェーよォ。ただオークションに間に合うようチューンをできれば3日で

やってほしいンだよォ」

 

 

「同じ事です。どれだけ今回の作業がデリケートかわかってるんですか?」

 

 

「ユグドラシルの超小型ターミナルをルーチェに搭載するンだったなァ?」

 

 

「そうです。あれをつければ、貴方の本来の力をさらに引き出せる事ができます」

 

 

創世の大樹『ユグドラシル』・・・・ヴァンとハーナの全てがあると同時に、

この次元世界の全ての秘密が隠された存在。

 

 

ヴァンにとっては忌々しい他ない大樹。

 

 

「なら任務当日の朝、4日でいい。俺様も作業を手伝ってやる」

 

 

「それなら確かになんとか間に合わせる事ができると思いますが・・・

それでもかなり無茶ですよ?」

 

 

「だから俺様も手伝うって言ってるンだよ。ライセンスは持ってはいないが一応並以上に

デバイスを弄れる」

 

今でこそセシルの方が上だが、自分の使い魔に技術系の知識を教えたのは他でもない。

ヴァン自身だ。

 

そんな彼だ。その気になればデバイスの一つや二つなど彼なら容易に作れるだろう。

 

 

「・・・邪魔をしたら承知しませんよ?」

 

 

「するわきゃねえだろう?それどころか俺様頑張っちゃうよ?」

 

 

「・・・・期待せずに見守らせてもらいます」

 

 

 

それだけの軽口をお互いに話したら、2人は別れお互いの目的地へと向かう。

 

無論ヴァンは食堂だ。

 

はやてに呼び出されたおかげで、ずっとお預けを食らっていたのだ。

 

 

いい加減腹の虫が飯を食わせろと騒いで仕方がない。

 

 

 

「あっ・・・改修を手伝うって事は常にセシルが隣にいるって事だよなァ?」

 

 

唐突に昼食を食べられるという事で上がっていたテンションが急激に下がり出してしまう。

 

 

更にさっき久々にあった時の事を思いだし、廊下だという事をわすれ床にうなだれる。

 

 

「あンな煩い奴が四六時中俺様の隣にいる・・・・・もうダメだ、鬱だ・・・死のう」

 

 

と言いながらも立ち上がり食堂へと歩きだす。

 

 

まるで死人のようで、見てる人間までも感染してしまいそうだ。

 

 

 

そしてそんな彼の背後から・・・・・

 

 

 

「兄様ぁぁぁぁぁ〜♪」

 

 

「ぐおっ!?」

 

 

 

 

そのまま床を滑り出し、その勢いだけで食堂に着いてしまう。

 

なんの騒ぎだと食堂にいた隊員達が集まり出し、床に寝ているヴァンと彼の背中に抱きついて

頬を擦りよせているセシルを見て、目が点になる。

 

 

 

「・・・いっそ殺せよ」

 

 

 

きっと自分はこの4日間、セシルのいいオモチャにされる事を悟ってしまう。

 

 

 

 

そして彼は4日後の自分に言葉を送る事にした。

 

 

 

 

「・・・よく耐えたよ俺様」

 

 

 

 

 

 

・・・・と

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
時空管理局特務殲滅部隊---通称「インフェルノ」。そこには管理局員、次元犯罪者の両方が「赤き狂戦士」と恐れる青年が所属していた。そんなある日彼は、インフェルノの部隊長の命を受け新しく設立された部隊「機動六課」に異動する事になり、狂喜的な笑みを浮かべ素直に異動を受諾する・・・彼の笑みは何を意味するのか?

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魔法少女リリカルなのは なのはがヒロイン インフェルノ 

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