東方紀行録 〜 He is MONSTER 〜 IS編
[全1ページ]

            亡国機業、戦闘

 

 

 

 

 二人、特に壁は壊れた格納庫を眺めるということはしなかった。壁はまるで、水を持っていない時に、ジャングルで湧き水を見つけた時のような感じだった

 

 

 

 二人が入ったのを確認してから、俺も中に入る。

 

 そこは色々な機材がたくさんあって、たくさんのクリアケースが鉄製の棚に並べられていた

 

 

 

 二人はISに乗るための準備をしている。スコールが人っぽい形のISに乗って、壁がディスプレイを弄っていた。どうやら最適化(フィッティング)というやつをしているらしい

 

 

 

 こいつらがこれをやっているうちに、俺は破壊した壁をどうにかするか。足音が段々近くなってくるのがわかるしな。ふむ、ちょっと急ぐか。スコールと壁はまだ終わりそうにないしな

 

 

 

 まず妖力をぽっかりと穴の開いた壁に張り付ける。というかこれで終わったようなものだ。見た目と感触を周りのコンクリートと似たようなものにする

 

 これで見ても分からないし、触っても分からない。

 

 

 

 ここで後ろ、つまりISを弄っていた二人から声が聞こえる

 

 

「ねぇ、外に来ている兵士たちは大丈夫なの?」

 

 

「大丈夫だ。あいつらが気がつける筈がない。安心しろ」

 

 

「めっちゅ色が違うし、薄っぺらいじゃねぇかよ!!」

 

 

 

 いつの間にか威勢が良くなった壁が、尤なことを言ってくる

 

 今回は面倒だったので、外側の表面だけをコンクリートにした。そういうわけで内側から見れば、へこんでいるし色も違うという感じになっているのだ

 

 

 

 壁はそこからずっと文句を言っていたが、急にそれがピタリと止まった。ようやく人間どもが、駆けつけたのだ

 

 

 

 耳を格納庫の壁につけて、外の話を盗み聞きする

 

 

「―――――――は、本当なのか!?!?」

 

 

「はい! 確かに何者かによって格納庫が破壊されました!」

 

 

「……だが破壊された形跡がまったくないぞ」

 

 

 そこまでの話を聞いて耳を放す

 

 どうやらやつらは、俺の細工を見抜けなかったようだ。

 

 

 

 さて、後はこいつらのISを待つだけだな

 

 

 

 

 

 

★★★★★

 

 

 

 

 

 

「「終わった〜〜……」」

 

 待つこと数分、やっと終わったようだ。外では慌ただしく奴等が動いている

 

 だが一向に入ってくる気配がない。格納庫の具合から、監視カメラの動画は偽物とでも判断したのか?

 

 そりゃそうか。大破した壁がものの数分で修復されるなんて、普通は考えられないからな

 

 

「よし、早く撤収するわよ」

 

 

 改めて二人の姿を見る。二人とも宙に浮いていて、スコールと壁は脚部と胸部、腕部にアーマーを装備している。武器はアサルトライフルで、壁には八本の脚がある

 

 

「よっしゃ!! いくぜぇ!!」

 

 

 壁は俺が破壊したところに銃を撃つ。どうやら普通に貫通するとか思っているみたいだが、そんな器用なことはしていない

 

 

 

 つまり………………

 

 

「はっはっはっうおっと!! おい、なんで跳ね返ってくるんだよ!?」

 

 

 弾が反射するわけだ。そのため高笑いをしていた壁は跳弾した弾に当たりそうになった

 

 

「おい! 今銃の音がしなかったか!?」

 

 

 しかも、今ので俺たちのことがばれてしまったようだ。まったく……壁は馬鹿だな

 

 

 

 さっさと退散するために、妖力弾を天井に放って上に道を作る。その時の音とかは気にしない

 

 

 

 天井にて爆発が起こる。俺は破片が落ちてきても大丈夫だが、スコールと壁は大丈夫だろうか。

 

 そんなことを考えていると、不意に体が物凄い勢いで持ち上げられる。どんどん持ち上げられて、あっという間に上空へ

 

 

「ありがとう。今回はあなたのお陰で助かったわ」

 

 

 俺の上から声が聞こえる。どうやら俺を掴んで持ち上げていたのは、スコールだったようだ。壁だったら、少なからず驚きだが

 

 

「なぁスコール、何でそいつ持ち上げたんだ? あそこで棄てればよかったじゃん」

 

 

 それが一応恩人に対する態度かよ、と心の中でツッコミをいれる。そしていつまでも掴まれているのは色々と不便だから、スコールの手から抜け出すことにした

 

 

 

 案外ISの手からすり抜けることが出来た。そのまま空中を飛ぶ

 

 スコールの表情は脱出出来た時の安堵からまったく変わっていない。予め俺が飛べるものだと思っていたみたいだな。

 

 壁は大層驚いている。そこら辺スコールとは、雲泥の差があるな。いちいち表情に出すな

 

 

 

 脱出したものの数十秒後、後ろの方に気配を感じた。それはまあまあの速さでこちらに近づいてくる

 

 二人を見てみるが二人とも察知している気配がない。こちらのスピードが結構遅いので後少しで追い付かれてしまうだろう

 

 

「二人とも、気がついているか?」

 

 

 俺の問いかけに、二人は首をかしげる

 

 

「後ろからISらしきものが、近づいてきているんだが――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――――どうする?」 その言葉に二人は後ろを振り向く

 

 

「ちょっと待ってもらえないかしら?」

 

 

 そこには、スコールが纏っているISと類似しているものを纏った、女が佇んでいた

 

 

「へっ! 待つわけねぇだろうがよぉ!」

 

 

 壁は女の話を見聞きもせずに、アサルトライフルを乱射する。しかし慣れていないせいか、まったく狙いが定まっていない

 

 女も銃を撃たれて黙っている気はないようだ。虚空から銃を取り出して壁を正確に狙い撃つ

 

 

「ぐっ!! があぁぁぁ!!!」

 

 

 ISというものは便利ものでシールドバリアーなるものがあり、銃弾を撃たれても死なないようになっている

 

 当たり前ながら、それは永久的にではない。シールドバリアーの発動と共にSE(シールドエネルギー)が減っていき、これが無くなるとシールドバリアーは発動しなくなるのだ

 

 

 

 壁は必死に避けようとするも、中々避けることが出来ない。SEもどんどん減っていっているのが分かる

 

 この状況をマズイと見たスコールは、女への射撃を開始する

 

 しかし相手は恐らく訓練された者だ。スコールの射撃なんか物ともせずに、今度は二人を相手に戦闘を始める

 

 二人は善戦しているが、徐々に圧され始める

 

 

「くっ……厳しいわね…………」

 

 

「あ〜〜!! 当たんねぇなぁ〜〜!!!」

 

 

「あれだけ威勢たっぷりだったけど、案外弱いのね」

 

「はぁ!? うるせーよぉ!!!!」

 

 

 今まで観戦していたが、このままでは二人して死んでしまうので、助太刀することにする。壁は動きが単調になってるし

 

 何となく仮面でも着けようかな? ちょっとばかし加工して。なまはげの仮面でも着けるか

 

 

「おい、下がれ二人共」

 

 

「分かったわ。援護してるわね」

 

 

「はっ!! るせぇ、黙ってろ!!」

 

 

 スコールはしっかり下がってくれたが、壁はそうはいかなかった。壁は無視をして戦闘を続けている

 

 ため息を一つついて、壁を沈黙させに向かう。壁はもう大したSEも残っていない状況だ。後数発喰らったらあぼーんだな

 

 

 

 状況は悪い方へと変わっていく。女は武器を銃から刀へと変え、瞬間的に加速して壁へと急接近する

 

 これに見事に壁は対応出来ていなかった。驚きで固まりましたって感じだ

 

 

 

 人間にしたら相当速いスピードなのだろうだが、俺からしてみればそうでもない。まだ序の口といった感じだ

 

 

 

 女の初速の倍以上の速さで壁に接近。刀が振り下ろされる前に、壁を抱えて刀の攻撃範囲から離脱する

 

 そのため女の刀は空を斬った。また壁は、目を閉じて来たるべき衝撃をじっと待っていた

 

 いつまでも経っても衝撃が来ないことに気が付いたのだろう。恐る恐るといった感じで、目を開く

 

 

「うおわっ!! 何でてめぇが居るんだよ!!」

 

 

「スコール、頼んだぞ」

 

 

「分かったわ」

 

 

「ちょ、無視すんじゃねぇ!!」

 

 

 壁の発言を無視して、スコールに壁を渡そうとするが中々上手く事が運んでくれない。

 

 壁が俺に対して銃を向けてきたのだ。もちろん女はこの隙を見逃すわけなく、此方に再度突進してくる

 

 

 

 それを撃退するために、壁から銃を奪って女に向けて的確に撃つ。こうすることによって、俺に集まっている二つの脅威を一時的に除外することに成功した

 

 今のうちに壁をスコールに渡すか

 

 

「さて邪魔だから、退いてくれないか」

 

 

「…………お、おう……」

 

 

 二回目はすんなりと動いてくれた。何故か頬が赤かったりしたが、緊張によるものだろうか?

 

 あと銃はスコールに向かって投げておいた

 

 

 

 さてスコールと壁を一応援護に回したところで、女と一対一になる

 

 武器はどうしようか。|あっちの世界(幻想郷)の武器でもいいが、それだと確実に瞬殺だろうしな。というか武器を使ったらつまらないか

 

 ISを装備した人間がどれほどのものか、知りたいし

 

 

 

「次の相手はあなたかしら」

 

 

「ああ、そうだが」

 

 

「その仮面は何かしら?」

 

 

「これは“なまはげ”というやつだ。気にするな」

 

 

「ま、そんなことはどうでもいいわね」

 

 

「うむ、まったくだ」

 

 

 その言葉を合図に、女は俺に向かって銃を乱射してくる。様子見といったとこか? それでも結構な量が飛んで来ているが

 

 俺はその弾丸の間を通り抜けるのではなく、大きく上へと飛翔する。次に右、下、左といった感じで相手を上下左右に揺さぶる

 

 銃一丁では当たらないと判断したのか、もうひとつの銃を取り出して、これでもかという位撃ってくる

 

 スコールと壁の援護は何にも効いてないし。撃ってはいるみたいだけど、外れたり避けられたりでまったく意味がない

 

 

 

 しばらく避けていると、女が二丁の銃を閉まって刀を取り出した。早々に決着をつけたい考えなのだろう。瞬時に加速してこちらに突っ込んでくる

 

 それに合わせて俺も相手の女と同じ位のスピードまで加速

 

 

 

 これに女は多少の動揺を見せたが、すぐさま落ち着きを取り戻した。そして刀の有効範囲内に入ったその瞬間に、刀を全力で振り下ろした

 

 これを寸でのところで、身体をずらして避ける。そしてその勢いで、結構遅めの裏拳を放つ

 

 

 

 これが見事に顔にヒットし、気絶はしていないだろうが急降下する。これでやる気が失せた俺は、降下と回転の勢いをのせて蹴りを放つ

 

 

 女は身体が“く”の字に曲げて、体勢を立て直す暇が無いまま地面に背中を強打した

 

 

 

 案外呆気なかったな。もうちょっと楽しめると思ったんだが……

 

 せめて裏拳は避けて欲しかったがな。あれくらいチルノとかはともかく、霊夢や魔理沙なら簡単に避けれるレベルだし

 

 

 

 はぁ〜〜、とため息を一つ。女への落胆と、ISという存在への失望が口から溢れでる

 

 

「おい、帰るぞ」

 

 

「……お、おう……」

 

 

「……わ、分かったわ……」

 

 

 二人とも何やら呆然としていたので、声をかける

 

 

 

 そうだな、しばらくは暇潰しとして――――

 

 

 

 

 

 

 

――――――こいつらを鍛えるか

 

 

 

 

 

――――――――――あとがき―――――――――

 

  なんで過去の俺は意味不明な強化フラグを建てたのだろうか・・・

 どうかしていたのだろうか、昔の俺は(倒置法)

説明
 幻想郷の危機を救う為“天草 将樹(あまくさ しょうき)”は自らの同類と戦い、何とかそれをおさめることが出来たがその代償(?)として、ISの世界に飛ばされてしまった。数億を生きた生物は、ISというものがあるこの世界をどう見るのか。 ※この物語には最強物・アンチ・東方成分が含まれています ※この作品駄作かも、注意  以上を頭の片隅に置いておいてください。それでは、始めましょう………… ※これは以前、にじファンの方で投稿していたものです。
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IS アンチ? オリ主 チート(笑) 亡国サイド 東方project 

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