とある異能力違い 2−5
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《幻想の茎》

 

〜廃墟〜

 

「そんなぁ、10万で幻想御手を譲ってくれるという話じゃなかったのかよ」

 

人気のない廃墟の中にある開けた場所に気弱な少年の声が響く。

 

「残念だがなぁ幻想御手の需要は高くてな、10万じゃ買えねんだよ」

 

どうみてもガラのわるい男が嘲笑うかのように少年を見下ろしていた。

 

「その金は返してくれよ」

「うるせぇ!10万ぐらいでガタガタ言うんじゃねえんだよ、また金持ってこい!」

 

膝をついている少年の腹を蹴りつける。

 

「ヴォエ〜〜」

「うっわ吐いたよこいつ」

「そうだ、お前らのレベルがどのくらい上がったかためそうぜ」

「お!いいなそれ、なかなか試す機会がないんだよ。ジャッチメントがうるせえ、うるせえ」

 

リーダーの男の提案に取り巻き達が、下品な笑みをうかべて気弱な少年に近づいていった

 

「や、止めてくれ」

 

 

〜近くの物陰〜

 

「こんな場面になんで出会うのよ」

 

佐天は身を屈めて嘆いていた。

日用品を買った帰り、近道と思って飛び込んだ裏路地でこんな事が起きているとは思っていなかった。正直、別の所でやってくれと思う。

 

「ジャッチメントかアンチスキルに連絡を」

 

買った日用品の袋から電池が落ちて音をたててしまった。

 

「あーれー?お嬢ちゃん、こんなとこにいちゃだめでしょー」

 

(見つかった!)

 

回れ右をしてその場から逃げようとしたが、気弱な少年が集団で暴行をうけているのをみて足が止まった。

 

(何止まってるの私!早く逃げないと)

 

そこまで考えて頭を振り、走って少年の前に出て男達から庇うように少年を背に隠した。

 

「やめなさい!もうすぐアンチスキルが来るわよ」

(結局戻ってきちゃったか・・・なにやってんだろ私)

 

「あーん?なんだてめえは力のねえガキが俺たちに命令してんじゃねえよ!」

「ふぶっ!」

 

少年が後ろから来た男に蹴り飛ばされ鉄骨に当たった。

 

「おいおいお嬢ちゃんこんなところで何をしてるんだい」

 

やはり下品な笑みをうかべながら近づいてくる。

佐天はたちまち囲まれて絶体絶命になってしまった。

 

(私も力があったらな・・・)

 

もう無理だと思ったときだった。

 

「ジャッチメントですの、大人しく捕まりなさい」

「黒子さん!」

「あら佐天さんではないですか・・これで更に貴方達を捕まえる理由が増えましてよ」

「っちジャッチメントか!」

 

男達がナイフや金属バットを何処からともなく出してきて戦闘の準備をする。

 

「ジャッチメントでもたった一人だビビるんじゃねえぞ!」

「「「「おう!」」」」

「抵抗しないで捕まれば怪我をせずにすんだものを・・・」

 

〜表通り〜

 

「やることねー」

 

元はあくびをしながら呟いていた

宿題も3分の1を済ませ今は絶賛暇中なのだ。

新しいゲームでも発売してないかと町に出てきた。

 

「?」

 

何処からともなく猫が出てきた。

 

「どうした〜魚はもってないぞ〜」

「にゃ〜」

「かわええのう」

 

すかさず抱こうとするが、逃げられてしまった。

猫が逃げていった路地を見ると男が1人倒れていた。

 

「おオ、オ俺たチは、あんな、がキに、マケルはずがなイ、んだ」

「何をいってんだこいつ?」

 

涎をたらしながら白眼を剥いてしゃべっていた。

辺りを見回すと他にも男が何人か倒れていた。

男達が多く倒れていた方へ進んでいくと開けた場所に出る。

そこに太った少年と見慣れた少女がいた。

 

「佐天さん?」

「元さん!」

 

佐天はこちらに気づき顔を上げた

 

「あの男達は君がやったの?」

「イヤイヤ無理ですよ、黒子さんが助けてくれて・・・!そうだ、元さん、黒子さんを助けてあげてください」

「黒子さんが?」

 

助けてとは言われても、ジャッチメントであり、レベル4の黒子を助けなくともそんじょそこらの不良に負けるはずがないのだが。

 

「最初はどんどん敵を倒していったんですけど、リーダー格の金髪の男とのときになってから動きがおかしくなって、徐々に押され始めて今はあっちのほうに移動していったんです。

お願いします!元さんしか頼れないんです」

 

そこでいままで黙っていた少年が口を開く。

 

「結局こうゆうときに無能力者は何にもできないんだよ、所詮無能力者はこの学園都市では欠陥品なんだよ」

「・・・・」

 

佐天は自分が思っている事を言われて黙ってしまった。

 

「確かに欠陥品かもな」

「げ、元さん!」

 

まさか元からそんなことを言われるとは思っていなかった佐天は驚いた。

 

「そんなこという・・」

「話は最後まで聞け、どこの世界に絶対的な完璧人間がいるんだよ?いたとしてもそれは人間じゃない、『神』というものだ・・・それにくらべたら人間なんて欠陥品なんだよ。

美琴さんだって、黒子さんだって苦手なものもあるだろう?」

「無能力者が欠陥品じゃなくて、人間自体が既に欠陥品・・」

 

佐天は小さな言葉で呟く、その言葉を自分に刻むように。

 

「あー柄にもないこと喋ってたな、それじゃ無能力者ですが能力者同士の戦いに割り込んで足掻いてきますか」

 

元はそう言って佐天が指差した方向へ駆けていった。

 

「無能力者は欠陥品じゃないか・・・・」

 

〜離れたところにあるビル〜

 

「ヒャヒャヒャおーいジャッチメントもそんなものか〜?」

(まずいですわ、相手に攻撃が当たらない)

 

黒子は『空間移動』のレベル4、相手に鉄針や懐、死角に移動して攻撃とやっているが攻撃が全く当たらないのだ、しかも相手のパンチやキックをガードしているのに確実に当たる。

 

「ヒャヒャヒャさーて、そろそろ終わりにしようかな」

 

金髪の男はポケットからバタフライナイフを取りだして構えた。

黒子も残り一本の鉄針をもって構えた。

 

そこに・・・・

 

「笑い方が小物なんだよ小物野郎」

「ふべっ」

 

元のフライングニーキックである。もちろん後頭部に。

 

「ヘルプに来ましたよ黒子さん」

「なんで貴方がここにいるんですの」

 

突如の元の乱入に黒子は動揺する。

 

「簡単に言うと、猫に会う→佐天さんに会う→黒子さんが危ない→今現在」

「猫が必要なのかわかりませんがジャッチメントとして一般人を関わらせる訳には」

「ボロボロの状態で言っても説得力ないけど」

「そ、そうですわね」ショボーン

 

そうこうしているうちに、蹴り飛ばした金髪がこちらに向かって走ってきた。

 

「くたばれや!」

 

ナイフを突きだしてきたので避けてボディーブローをしようとしたら。

避けられたうえに頬を少し切ってしまった。

 

「あれ?当てたし避けたはずなのに?」

「先程からずっとそれなのです、当たらないし相手の攻撃が手前で変化したりと」

「ふーん」

 

元は足元の石を拾い金髪に投げてみたが手前でぐにゃりと石の周りの空間が歪み、石はそのまま外れた。

 

「どうした?そんな攻撃が当たると思ってんのか?ヒャヒャヒャ」

「あー理解した、お前の能力は光の屈折による錯覚みたいなものか、そりゃあ相性悪いよな移動系とは」

「「!?」」

 

金髪はこの短時間に能力を当てられたことに驚き、黒子は短時間で能力を理解し、言い当てたこと驚いた。

 

金髪の能力は『偏光能力』〔トリックアート〕

自分の周囲の光りをねじ曲げて、実際とは違う場所に像をむすんで周囲の目を惑わす能力である。

 

「んじゃこいよ」

 

元は目をつぶって軽く構えて喋った。

 

「この、なめんじゃねえぞ!」

 

金髪はナイフで元の喉めがけて刺しにいった。

黒子は避けらずに刺さる光景を想像した、しかし、元はナイフを持っている手を掴みそのまま肘を逆間節に曲げ肘を壊した。

 

「ぎゃああああああああ」

「あ!やっべ」

 

元は手加減をしたつもりだったが、勢い余ってしまった。

 

「畜生ちくしょおおおおおお」

 

金髪は自棄になり、ナイフを滅茶苦茶に振り回しながら突進してきた。

元は再び目をつぶって、突っ込んできたときにキックでナイフを飛ばして、続くように逆の足で回し蹴りをして金髪を沈めた。

元は目でみるとその情報に惑わされるので、あえて目をつぶって代わりに『円』を使い対処していたのである。

 

「申し訳ありませんの、助けてもらったうえに一般人にジャッチメントの仕事を手伝ってもらって」

 

黒子は元に頭を下げる。

 

「いいって、その代わりに今回俺がこいつを殴ったことについての始末書無しで」

「おーいたじゃんいたじゃん」

 

反対側の通路から、アンチスキルの隊服を着た黄泉川が走ってきた。

 

「あ、愛穂姉、夏休みなのに大変だな」

「これも治安のためじゃん」

「あら元さんはこのアンチスキルの方と姉弟なんですの?」

「愛穂姉は俺の親戚で中3まで一緒に暮らしてた」

「お!元〜ジャッチメントの女の子なんてつれて、もしかして彼女じゃん?」

「!」

「茶化さないで仕事してよ」

「元にも春が来たと思ったじゃんか〜」

 

そんなほのぼのとした会話を終え愛穂姉が金髪を連れていこうとすると。

 

「オレ、タチは、行ける、るんだ、実際にイけば、わかる、ん、だ」

 

先程倒れていた男たちと同じように涎をたらしながら白眼を剥いてしゃべっていた

 

「オマエはワからない、オマエにはイけないから、アハハ大丈夫、大丈夫、なんだ」

 

どうみても正常ではない

 

「最近多いじゃんよ、犯罪を起こした能力者がこうなるのが」

「何かしらありますわね」

 

ォーィ

 

「あ、佐天さん」

「また女〜持てるじゃんか」

「愛穂姉仕事しなさい」

 

黄泉川の頭を叩く。

 

「よかった二人とも無事で」

「ちょうどよかったですの。佐天さんこの男は何かしら言ってませんでしたか?」

 

佐天の息が落ち着くのを待って質問する。

 

「そういえばレベルが上がったやら・・・そうだ!この人たち幻想御手を売っていた!」

「!すみませんこの者たちの身がらをいったんジャッチメントで引き取らせてもらいませんか」

「報告書さえ提出すればいいじゃん」

「どうしたんですか?」

「最近の事件全てに幻想御手が関係している可能性が出てきたんですの、ジャッチメントは幻想御手の所持者を全員保護することにしたんですの」

「へー虚空爆発事件、謎の意識不明、能力者による犯罪全てがねぇ」

「能力者による犯罪の犯人のレベルが書庫に登録してあるのと違うんですの、虚空爆発事件の犯人も書庫においてレベル2であったのにレベル4並の力をもっていましたの、そしてレベルが違う人達が次々と意識不明に、そして最近噂にある幻想御手の売買

関係があるのは間違いないですの」

 

佐天はポケットの中にある音楽プレイヤーを握りしめながら話を聞いていた。

 

「それでは宜しくお願いしますの」

「気が向いたらな」

「アンチスキルも手伝うじゃん」

 

佐天が色々と考えている間に3人で話し合いが終わったようだ。

 

「それでは私はこれで」

「私も仕事に戻るじゃん」

「佐天さんはどうしますか?」

「あっはい、このまま帰ります」

「また襲われてもなんだから近くまで送りますよ」

「ありがとうございます元さん。

・・・・元さんは私より歳上なんだから呼び捨てで呼んでください」

「お!元にも春が来たじゃん♪」

 

すかさず黄泉川が茶化す。

 

「それでは私も黒子と。助けていただいたお礼ですの」

「は、はぁ〜」

 

ハンター時代も今も余り女子とふれあうことがなかったので、いきなり呼び捨てにすることに戸惑っていた。

 

その後、佐天を送りまた町をふらつき始めた。

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そろそろ難しい描写が増えて来るぞー

 

頑張ろーι(`ロ´)ノ

説明
幻想御手編も佳境かなー?

(茶・ω・)оΟ(焦ったー書いて投稿したと思ったら投稿ボタン押さずにいたから投稿されてなかったし電源切ったからマジで焦った、バックアップとっておいてよかった)

意見感想お待ちしております
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