ハイスクールD×D~HSSを持つ転生者〜 第43話
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第43話〜小猫の思いと告白〜

 

 

『神の子を見張る者(グリゴリ)』で修行を始めて数日。修行の合間の休憩のときに

 アザゼルが聞き捨てならないことを言った。

「そういえば今日、小猫がオーバーワークで倒れた」

「!? 小猫は大丈夫なのか?」

「ああ。傷の方はアーシアの神器で回復したが、体力はどうにもならん。今は休んで

 いる」

「そうか…」

 一応、見てくるか。心配だしな

「じゃ、俺はトイレにでもいってくる。ちょっとばかし遅くなるかもな」

「そうかい。でも、これだけは聞いてくれ」

 アザゼルはとある二人の猫又の話をしだした。

「その猫又の姉は妖術や仙術に目覚め、主を殺し、妹を残して去って行った。

 賢いお前ならわかると思うが、主を殺した眷属悪魔は『はぐれ』となる。だが、

 その姉は追撃してくる悪魔たちを殺した。…で、残った妹の方はどうなるか?」

「…姉が暴走したから、妹も暴走するかもしれない。だから処分しろとでも言った

 のか? その時のお偉いさんは?」

「そうだ。だが、サーゼクスが「妹の方は何も罪はない」と言って保護したんだ」

 魔王様はやさしいんだな。今も昔も…

 もうわかってしまった。姉に見捨てられ、糾弾された妹猫が誰か…

「それで、グレモリー家に保護された。その妹猫の名前は――」

「"小猫"か…」

 俺の言葉にアザゼルは頷いた。

「トイレに行くんだろ? シェムハザやバラキエルには俺から言っておくから、行って

 こい。漏らすんじゃないぞ? 明日の朝には帰ってこい」

「大きなお世話だ。じゃ、いってくる」

 ニヤニヤしながら言ってくるアザゼルを睨みながら、魔方陣で向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 グレモリー本邸にいた部長に、小猫の部屋の場所を教えてもらった。

 部屋に入り、寝室にいくとそこには、朱乃さんとベッドには小猫が横になっていた。

 小猫の頭には猫耳が生えていた。…アザゼルの言うとおり、小猫は猫又か。

「クリスくん、これは――」

「朱乃さん、大丈夫です。事情は聞いていますから」

 そのままベッド脇へ移動する。

「大丈夫か? 小猫」

 小猫は半眼で呟いた。

「…何しに来たんですか」

 不機嫌な声音。怒っているな、これは。

「倒れたって聞いたとき、心配だったから来た」

「………」

 小猫は答えない。

「小猫。お前が過去に何があったかは、聞いた。だが、無理だけはするな。…お前の

 体は一つしかないんだ。大事にしろよ?」

「……なりたい」

 小猫が小さく呟いた。

「ん? なんだ?」

「強くなりたいんです。祐斗先輩やゼノヴィア先輩、朱乃さんやイッセー先輩、…そして

 クリス先輩のように心と体を強くしていきたいんです。…このままでは役立たずに

 なってしまいます。…『戦車(ルーク)』なのに…私が一番弱いから…お役に立てない

 のはいやなんです…」

 

 

 祐斗は聖魔剣を持ち、ゼノヴィアは伝説の聖剣使い。朱乃さんは最強の『女王』で、

 一誠は赤龍帝、俺は…特異体質を持ち、すべてを創造する神器を持っている。

 小猫は…劣等感を持っていたんだな。だから、そんなに涙を流しているのか。

「……けれど…猫又の力は使いたくない。使えば…お姉さまのように…イヤです。

 もうあんなのはイヤ……」

 小猫の姉は、暴走し主を殺害。そのまま、自分のもとを去った。それは…小猫に

 とって、深い心の傷になっているのだろう。主を殺せるほどの力が内に眠っている。

 …今後を考えて、力が欲しい。でも、怖い。矛盾した気持ちを持っているんだな。

 それなら、俺がこの子の傷を癒そうじゃないか。

 俺は、小猫の手を握って言った。

「俺は小猫が猫又の力を扱えるようになると信じている。お前は仲間想いで見た目に

 反して、一誠のように熱い。だからきっと、大丈夫。――もし、暴走しても俺が

 お前を止める」

 俺の言葉に小猫は…笑った。いつ見ても、可愛い笑顔だ。

「やっぱり…先輩は優しいです。修行、頑張ってください」

「小猫も無理しないで、頑張れよ?」

「はい」

 俺は小猫の返事を聞きながら、部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 修行場所に戻ると、そこにはアザゼルとシェムハザさん、それにバラキエルさん

 がいた。

「よっ。トイレにしては長かったな」

 俺がトイレ以外の場所へいっていたのがわかっているのか、アザゼルはニヤニヤ

 しながらこっちを見ていた。

「…朱乃は、元気だったか?」

 バラキエルさんも俺の行き場所がわかっているようだった。

「朱乃さんは…とても頑張っていますよ。自分に流れる堕天使の血を受け入れようと

 しています」

「そうか」

 バラキエルさんはそれだけ聞くと黙ってしまった。…父親として娘が心配なんだな。

「今日の修行は終わりにしましょうか」

 シェムハザさんはそれだけ言うと、奥へ進んでいった。

「では、クリス。明日」

 バラキエルさんも奥へ進んでいった。

「…さて、俺はお前に言いたい事がある」

 アザゼルが真剣な顔で聞いてきた。

「お前から借りた神器を調べた結果、あれはこの世界にはない能力を持っていた。あれは

 いったいなんだ?」

「ああ、超能力(ステルス)と緋緋色金の事か。そうだな…簡潔に言うと、"その気になれば

 大国を潰せるほどの異能"だな」

 俺の言葉にアザゼルは絶句しているようだった。

「俺はライトノベルを読むのが好きで、俺が読んだラノベのキャラの能力や武装を想像

 すれば、神器が創造してくれるって訳さ。アザゼルが調べた武装も、ラノベのキャラの

 能力や武装を想像し、創造したものなんだ」

「それでこの世界にはない能力があったのか。…お前は本当に、恐ろしい奴だな。敵じゃな

 くてよかったぜ」

 …俺もだ。アザゼルがいなかったら、俺はここまで強くなる事はできなかった。

 恥ずかしいから口にはださないけどな。

「…じゃ、俺も部屋に戻る。また明日な」

「また明日」

 俺は自分の部屋に戻り、眠りについた。 

説明
神様の悪戯で、死んでしまった俺―――神矢クリスはハイスクールD×Dの世界に転生した。原作の主人公、兵藤一誠らに会っていろんな事に巻き込まれる。
 
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