ハイスクールD×D~HSSを持つ転生者〜 第46話
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第46話〜告白と禁手〜

 

 

会場に紛れ込ませた黒猫一匹でここまできてくれるなんてお姉ちゃん感動

 しちゃうにゃー」

 …語尾ににゃーをつける人は初めて見た。

「…姉さま。これはどういうことですか?」

 小猫の声には怒気が含まれていた。しかし、相手は笑むだけ。

「怖い顔しないで。ちょっと野暮用なの。悪魔さん達が大きな催しをしているって

 いうじゃない? だからぁ、ちょっと気になっちゃって。にゃん♪」

「ハハハハ! こいつ、もしかしてグレモリー眷属かい?」

 この声は…ヴァーリチームの美猴…! ということは、『禍の団(カオス・ブリゲード)』か

 美猴の視線が俺達に向けられる。

「気配を消しても無駄無駄。俺ッちや黒歌みたいに仙術を知っていると、

 気の流れのほんの少し変化でだいたいわかるだよねぃ」

 どうやら、気づかれているようだ。

 俺達は木陰から姿を現した。

「…クリス先輩、イッセー先輩、部長」

「よぉ、美猴。ヴァーリは元気か?」

「ハハハハハ! まあねぃ。そっちは…へぇ、多少は強くなったのかい?」

「そんな事もわかるのか? 仙術は」

 美猴は頷いた。

「言ったろ? 俺ッちは仙術を嗜んでいるんでねぃ。ある程度気の流れとかわかるのさ」

 …けっこう、厄介だな。仙術っていうのは

 嘆息しつつ、俺は戦力の差を考えていた。

 あっちは『禍の団』の幹部二人。多分、最上級悪魔レベルの強さ。

 こっちは上級悪魔が一人、下級悪魔が三名。その内、禁手に至っているのが俺だけ。

 一誠もそろそろ至ってもおかしくないだろうな。あとは劇的な何かだけ…

 

 

 小猫は…駄目だ。巻き込みたくない。

「黒歌〜。帰ろうや。どうせ俺ッちらパーティーに参加できないし、無駄さね」

「そうね、帰ろうかしら。ただ、白音はいただくにゃん。あのとき連れてってあげれな

 かったからね?」

 …小猫を連れて行く?

 ――ドクンッ!――

 あの凶暴なドス黒い血流が流れ始めた。

「あらら、勝手に連れてきちゃったらヴァーリに怒られるかもだぜ?」

「この子にも私と同じ力が流れていると知れば、納得するでしょ?」

 黒歌が目を細め、小猫がそれを見てビクついた。…怖いのか、小猫!

「小猫はグレモリー眷属の仲間だ。連れて行かせるか」

 俺と一誠は両者の間に入り、言った。

 黒歌の言葉で、あのドス黒い血流が流れ始めている。

 ここでベルセの勢いを使わせてもらうぜ。一世一代の告白タイムだ!

「小猫は…俺の仲間であり大事な後輩。そして――俺の好きな女だ」

「「!!?」」

 隣にいた一誠を含め、ここにいる全員が驚いていた。

「だから…小猫をお前達に連れて行かせるか! もし、連れて行くなら…俺が相手して

 やる」

 と、俺は『聖剣創造』と『魔剣創造』の神器融合で創りだした『夢幻の極聖魔』

 をベレッタM92Fで創り、そのまま無形の構えへ移った。

「あらあらあら。白音、告白されたんにゃん。でも、白音は私の妹。私には可愛がる

 権利があるにゃん♪」

 ピリッ…!

 俺と黒歌が睨みあっている、一触即発の状態だ。

 だが、黒歌は先に睨みを止め、ニッコリ笑うと物騒な事を言った。

「めんどいから殺すにゃん♪」

 ――っ!

 瞬間、この場の雰囲気と空気が変わった。結界だな、これ

「…黒歌、あなた、魔力、妖術、仙術だけじゃなく、空間を操る術まで覚えたのね?」

 空間を操る術って…

「時間を操る術までは覚えきれなかったけれど、空間はそこそこ覚えたわ。結界術の

 応用だし、この森一帯を結界で遮断したにゃん。だから、ここでど派手な事を

 しても外には漏れないし。あなた達は私たちに殺されてグッバイにゃ♪」

 

 やはり、戦うことになったか。まっ、やってやるか!

 小猫をつれていかせない!

 そのとき、上空から声が聞こえた。

「リアス嬢と兵藤一誠が森に行ったと報告を受けて急いで来てみれば、結界で封じ

 られているとはな…」

 声のした方へ視線を向けると、そこには一誠を拉致った、元龍王がいた。

「おうおうおう、ありゃ『魔龍聖(ブレイズ・ミーティア・ドラゴン)』のタンニーン

 じゃないかぃ!」

「嬉しそうね、お猿さん。龍王クラス以上の首を二つ持っていけば、オーフィスも

 黙るでしょうしね」

 これは…一誠もカウントされているな。あいつなら、自分でなんとかするだろ。

 上で猿対龍という、滅多に見れない戦いを始めている。

 問題は目の前の猫又。

「にゃん♪」

 黒歌は妖艶な笑みを浮かべて、邪悪なオーラを出している。俺達への悪意と殺意

 を感じる。

「…姉さま。私はそちらにいきます。だから、三人は見逃してください」

 突然、小猫が言った。

「――っ! 何言っている――」

 一誠が何かを言いかけたとき、

「何を言っているの!? 小猫! あなたは私の下僕で眷属なのよ! 勝手は許さないわ!」

 部長が間髪を入れずに小猫を抱きしめた。

 しかし、小猫は首を横に振った。

「…ダメです。姉さまの力は私が一番よく知っています。姉さまの力は最上級悪魔に

 匹敵するもの。部長とイッセー先輩、クリス先輩では…。元龍王の力であっても

 幻術と仙術に長けている姉さまを捉えきれるとは思いません」

 小猫を言葉に俺は苦笑した。

「小猫は…どうやら、俺の力を過小評価しているようだな」

「でも…いくら修行して強くなったクリス先輩でも…姉さまには」

「確かに、普段の俺では勝てないかもしれない。でも――今の俺なら(・・・)勝てる」

「クリス、お前…なったのか?」

「ああ。おかげさまでな」

 そう、今の俺はヒステリア・ベルセ。ノルマーレの1.7倍

「紅い髪のお姉さんや黒髪のお兄さんよりも白音の力を理解できるのは私」

 黒歌の言葉に小猫は首を横にふった。

「いや……あんな力いらない……黒い力なんていらない……人を不幸にする力

 なんていらない……」

 ふるふると震え、ぽろぽろと涙を流す小猫。俺は最大級の殺気を黒歌に放ち

 ながら言った。

「力に溺れたお前は小猫に一生消えない心の傷を残した。お前が主を殺して去った

 後、小猫は地獄を見た。他の悪魔に罵られ、蔑まれ、処分までされかけた。

 小猫は辛い人生を歩んできた。普通だったら、自殺してもおかしくないほどの

 辛い事を……。だから、俺達は小猫を楽しい人生を歩ませる! こいつは

 グレモリー眷属の『戦車(ルーク)』の塔城小猫! 部長の大切な眷属で俺達の

 大切な仲間で、俺の好きな女だ! お前には指一本触れさせはしない!」

 それを聞いて小猫は――涙を溢れさせた。何故か、一誠も泣いているが…

 部長は…言われたみたいな表情をしていた。すみません、部長。

 どうしても、我慢ができなかった。

 

「……行きたくない……。私は塔城小猫。黒歌姉さま、あなたと一緒に行きたくない!

 私はリアス部長とわ、私の好きなクリス先輩と一緒に生きる! 生きるの!」

 それは姉との絶縁宣言ともとれる叫びだった。

 ……何気に告白の返事、返していないか? 小猫

 黒歌は一度苦笑してから、全身を凍らせるような冷笑を浮かべた。

「じゃあ、死ね」

 黒歌から薄い霧がらしきものが発生した。何だ? これは…

「――あっ」

 部長が膝をついた。

「…これは」

 口元を抑えながら小猫も膝をついた。これは…まさか!

 俺の考えが読めたのか、黒歌は微笑した

「これは、悪魔と妖怪だけにきく毒霧にゃん。何故赤龍帝とあなたには効かないのは

 わからないけれど、これは霧を薄くしたもの。じわじわっと殺してあげるにゃん♪」

 それを聞いて、ベルセの血が一層強まった。

 自分の妹までも、手にかけるというのかよ…!

 部長が魔力の一撃を放つ。

 それは黒歌に直撃したが…黒歌は霧散していった。まいった、分身かよ。

「良い一撃ね。でも無駄無駄。幻術の要領で分身ぐらい簡単にゃ」

 周りに黒歌が増えていく。一誠はどれか本物かわからないらしい。

「……気の流れを読めないと、幻術には対処できません」

 そうか、なら――簡単だな。

 俺は、右側の黒歌に『不可視の銃弾(インヴィジビレ)』を放った。

 バスッ!

 右側の黒歌は、仰け反った。俺達を囲んでいた残りの黒歌は消えた。

「あうっ! どうして!? 気の流れの読めない奴が私の居場所を当てるなんて!」

 本物の黒歌は動揺しているようだ。自分の居場所なんてわかるわけないと

 思っていたんだろうなぁ。

「何でわかったんだ!」

 『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』を顕現させた一誠が訊いてきた

「俺は生まれつき見たものをすぐ覚える。それを使って仙術と空間操作は覚えた

 ――黒歌。どうやら、お前は俺達をなめていたようだな?」

 撃たれた場所を抑えながら立ち上がる黒歌は言った。

「まさか、分身を破られるとは思ってもいなかったわ。ほんと、なめていたようね

 私は」

 黒歌はどうやら本気になったようだ。

 正直言うと、今の俺だったら黒歌を屠るのは簡単だ。だが、美猴が加わると考えたら

 話は別だ。ここで、一誠を至らす。

 俺は一誠にとって劇的なあれを言った。

「一誠。部長をつつけ」

「―――っ! わかった! 部長、おっぱいをつつかせてください」

 俺と一誠以外の人は全員びっくりしていた。それもそうだよなぁ、いきなり

 つつかせろなんて。こんな戦闘の真っ最中に

「よそ見はいけないにゃん!」

黒歌は俺に向かって魔力を飛ばしてきた。当たったら消滅するほどの…

 俺はIS(インフィニット・ストラトス)の白式の武器である雪片を日本刀の

 形で顕現、零落白夜(れいらくびゃくや)を発動し、魔力を斬った。

 ドォォォォオオオオオッッッ!!!

 真っ二つに割れた魔力は木を次々と破壊していった。

「――っ! 私の魔力を斬ったの!?」

 驚愕の表情を浮かべている黒歌に俺は苦笑した。

「斬った。俺の能力が知りたいのなら店で小説を買うんだな」

 話しながら、俺はエリスに話しかけた。

 エリス。あれはできたか?

『ええ。神の遺志がクリスの気持ちを知って許可を出してくれたわ』

 よしじゃあ、やってやるか! 

 とやる気になったとき、一誠の籠手は産声を上げた。

『Welsh Dragon Balance Breaker!!!!!!!!』

「…最低です。いやらしい赤龍帝だなんて……」

「俺も思った」

 俺と小猫はそろって嘆息した。じゃ、俺もやりますかね

 左手に赤龍帝、背に白龍皇。右手に黄昏の聖槍を顕現させた。

「いくぞ! 禁手化(バランス・ブレイク)ッ!」

 赤いオーラと白いオーラ、聖なるオーラに俺は包まれた。

説明
神様の悪戯で、死んでしまった俺―――神矢クリスはハイスクールD×Dの世界に転生した。原作の主人公、兵藤一誠らに会っていろんな事に巻き込まれる。
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