とある異能力違い 2−7 |
《幻想の蕾〔後半〕》
〜公園〜
「見つからないわねー」
美琴はベンチにもたれ掛かり、脚を広げて座って、とてもお嬢様学校の生徒には見えない。
「原因を探すといってもノーヒントに近いですもの、お姉様は心当たりはないんですの?」
「ないわよ、もう全部見回って来たから」
「「はぁ〜」」
美琴&黒子は朝から幻想御手による意識不明の原因を探しにあっちこっちに歩き回っていたが、情報0。
研究施設やら不良の溜まり場など思い付く場所全てに向かったが情報は0。
一方、初春は「早く佐天さんを助けるんです!」とパソコンで情報収集を支部で行っている。
「しっかしここまで暑いとやってらんないわよ」
「確かに暑いんですの」
今は夏休み、つまり夏だ夏なのだ、そんななかで歩き回って不良の相手をしているんだから暑いに決まっている。
「うっわ」
「あんた!」
「元さんではありませんの」
美琴が暑さでイラついているときに、コンビニで買ったアイスを食べている元が登場。
当然の如く八つ当たりをしたのちに勝負に持っていこうと、していたが美琴は元の腕についているギブスを見て驚いた。
「あ、あんた!怪我してるじゃない!」
「あーこれのこと?」
「元さん程の人が・・いったい何があったんですの?」
「お前らの中で俺がどんな評価なのかは知らんが、まぁ人生色々あるってことだけかな」
「なによそれ、答えになっていないじゃない!」
「お姉様落ち着いて、人が見ているんですの」
回りの人達がこっちを見ているのに気づいて気まずそうに座り直す。
「それで調査の程は?」
「なんであんたになんか教えなきゃならないのよ」
「そりゃ事件に巻き込まれたんだからさっさと解決してほしいし」
「それでは少し長くなりますが」
〜説明中〜
「幻想御手が音楽とはねー」
「なにか思い付きませんか?」
黒子は藁にもすがる気持ちで元に質問する。
「お前らの考え付いたこと以外は無いかな」
「あーどうしよう、佐天さんのこともあるし・・・」
「佐天がどうしたんだい?」
「あ、あんたどうして佐天さんをよ、呼び捨てに」
「歳上なんだから呼び捨てにしてれてって、黒子もな」
「黒子!?」
「お姉様、いくら殿方であっても何度も助けられている恩人になにも返さないのはどうかと思ったんですの」
当然のように黒子は言い切る。
「話を戻すぞ、佐天がどうしたんだ?」
「今、佐天さんは意識不明で入院中ですの」
「やっぱしそうか・・・最近メールこないからもしかしたらとは思っていたが」
「なにをメールしてるの・・・ももももしやあなたたちつつつきあてるの!?」
「なーにいってんの、手軽にできる護身術ないかってよく来たんだよ」
「今は荒れているから必用かも知れないですわね」
話に夢中になっていったせいでアイスが溶けていたのに気づかず、いつの間にかアイスが溶け落ちてしまった。
「アイス落ちちまった」
「もったいない、あそこにかき氷屋が有るからそこでなにか買いましょう」
「黒子何にする?」
「私はレモンで、お姉様はいかがいたします?」
「やっぱし王道のイチゴでしょ♪」
「持ったいねーなーお前ら、宇治金時で」
「なによ、イチゴのどこが悪いのよ」
「基本イチゴ、レモン、メロンとかのシロップは同じ味で色ちがいなんだから、宇治金時みたいにしっかりとしたのを頼まないと損だろ」
「聞いたことがありますわ、はいお姉様、赤を見ると暑くなったり、青を見ると涼しく感じることですわね」
「なんだっけそれ?」
「共感覚性だろ」
共感覚性
・一つの感覚を刺激すると、二つ以上の感覚が反応する事。黄色い声など音に色を感じたりすること。共感覚性により様々な分野で活躍する人も多い
・例、風鈴の音で涼しくなる
・例、赤い物に触れると暖かく感じる
「共感覚性!」
美琴は何かに気づいたようだ。
「そうよ黒子、幻想御手の内容がわかったわ!」
「私もわかりましたわ、さっそく木山先生に連絡しますの」
「二人とも春木先生と知り合い?」
あの口下手な木山先生がこの二人の知り合いということが意外であった。
「よくこの事件のことで話し合いをしているの」
「二人とも病院に向かいますわよ、木山先生は出掛けていてこれから初春を拾って来るらしいですの」
「それじゃあいくわよ」
「かき氷どうすんだよ・・・」
黒子は走りながら春木先生と話したことを伝え出した。
1つ、共感覚性は見落としていたがたぶんそれが正解であること。
1つ、これなら『樹形図の設計者』〔ツリーダイアナグラム〕の使用許可が降りること。
1つ、原因がわかれば後は簡単な話ということ。
『樹形図の設計者』〔ツリーダイアナグラム〕とはとてつもなく高性能なコンピューターであり、正確なデータを入力すれば予報ではなく予知といえるほどの未来予測〔シュミレーション〕ができるものである。
〜病院〜
「君達待ってたよ!」
病院に入っていきなりカエル顔の医者がよってきた。
二回目だが、この医者は『冥土帰し』〔ヘブンキャンセラー〕と名がつくほどの黒男も真っ青な名医なのだ。
かなり専門的なことも言っていたがまとめるとこうだ。
・患者達に共通の脳波が見つかった。
・普通、活動していればある程度は脳波が揺れるが、患者の脳波は異常である。
・おそらく幻想御手により脳波を乱されている。
「それじゃあその脳波をもとに戻すにはどうすればいいの?」
「この脳波はロックをされていて外からはなにもできないが、ある登録人物の脳波がキーになっているはずだ。その脳波と患者の脳波は一緒のはずだからね」
「それでは登録者を探しましょう」
〜木山先生の部屋〜
初春は車の中で木山先生から共感覚性の話を聞き、美琴達より先に木山先生の部屋からついていた。
木山先生がコーヒーを入れてくると立っていったときにファイルが崩れ初春はあるものを見つけた。
そのファイルには「共感覚性」「音楽による脳への影響」等々。
読むの夢中になっていた初春は背後に忍び寄る影に気づかなかった。
「いけないな、他人の研究結果を盗み見しては」
〜病院〜
「見つけた!登録者・・・木山春生!!」
「嘘だろ・・春木先生が」
「木山先生・・・」
「とにかく初春に連絡ですの」
pipipipipipipipipipi
「出ないですの・・・」
〜橋〜
そのころ初春は手錠をして、木山の車に乗せられて橋の上を走っていた。
初春はこの人が佐天さんを・・と木山を睨む。
「そう睨まないでくれ、別に君をどうこうするつもりはない」
言葉の通り木山は初春を拘束してはいるが危害をくわえるきはなかった。
先程もカチューシャの花について質問をしていた。
「困ったな、君に何かする気はないといっているんだから」
「幻想御手を使って何をするきですか」
「やりたいシュミレーションがあってね、樹形図の設計者の使用許可が降りてこないから自分でやってしまおうと思ってね。そのために莫大な演算処理能力が必要でね」
「幻想御手」〔レベルアッパー〕
幻想御手はただ能力を上げるものではない。脳をネットワークに取り込ませることで能力の幅と演算能力が上がるものである。
例えば1人の能力者の能力が弱くても、ネットワークによって能力の処理、演算能力が上がり、同系の能力者と繋がることで効率も上がるというわけである。
しかし、ネットワークを使っているということは、脳波を強要されているということであり、脳が自由を奪われ昏睡状態となるのである。
「それで能力者を使おうと」
「ああ、約一万人あつまったものでな」
「!?」
再び木山を睨む 。
「だから睨まないでくれ、終わったら全員解放する。ほらこれがワクチンプログラムだ」
木山はポッケからUSBメモリを出す。
このワクチンプログラムを使えば後遺症なく目をさます。
初春に渡そうと思ったが、ここで自分に何かあっても意識不明者達が治るという保険をかけおくにはいけないなと感じたからだ。
自分は全体負けるわけにはいかない、そう誓った。
「もう先回りとは、黄泉川先生達アンチスキルも大したものだ、学園都市で悪いことはできないな」
前方には、武装したアンチスキルが道路を封鎖していた、
〜病院前、タクシー乗り場〜
「私は木山先生を追いかけるわ!」
「ダメですのお姉様!このようなことは私達ジャッチメントの仕事ですの!お姉様は支部で待機していてください」
「ダメ黒子お願い、私は木山先生からどうしてこんなことをしたか直接聞きたいの」
「ダメですの」
「お願い」
美琴は黒子に頭を下げた。
「・・もうダメと言っても聞かないのでしょう、行ってきてください。元さんお姉様をよろしくお願いいたします。私は支部で説明をしてきますの」
黒子は仕方ないお姉様、というような表情で折れることにした。
「俺も春生先生に聞きたいしな、着いてくぜ」
「じゃあいくわよ、車だして」
(春木先生なんでこんなことを、優しいオーラが見えたのに、なにかあるはずだきっと・・)
〜橋〜
「木山春生!!幻想御手の配布の容疑で勾留する!ただちに投降しろ」
アンチスキルのリーダーの男が、拡声器を使って通告する。
「どうします?年貢の納め時見たいですけど」
「仕方ない、少し抵抗させてもらうか」
「え?」
初春は木山1人でアンチスキルに抵抗などできるはずがないと思っていた。
「幻想御手は元々人の脳を使った演算機器を作るものだが、面白い副産物もあるのだよ」
(これから私は負けることは許されない!)
次回、回想です。ある動画を見て泣きそうになった物をモチーフにしてやってみます。
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超電磁砲側はほんとにムズい ちょっとずつ感想をもらえて嬉しいです |
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