IS レジェンドウォーズ 18話 平行世界!? |
Side一夏
「知らない天井だ」
お決まりのセリフを言ってみる。
「目覚めていきなりなに、言ってんだお前は」
横を見てみると悠兄がいた。
「気分は大丈夫か?」
「ああ、特に問題はないよ」
「そうか」
「それで、あの後どうなったの?」
見たところここはIS学園の保健室みたいだ。
「ああ、実はな」
すると、ドアが開き、
「高月。更識は目覚めたか」
織斑先生が入ってきた。でも、その後ろから入ってきた((男子生徒|・・・・))を見た瞬間固まってしまった。
「ん?目が覚めたのか。よかった」
「お〜い。すみません。織斑先生。彼を見て固まっています」
「挨拶ぐらいせんか。馬鹿者」
バシン
「いった!わ、わかってるよ。千冬姉。でもやっぱり緊張して」
「え〜と、初めまして?織斑一夏です」
・・・
「はあああああああ!!?!」
――数分後――
その後、少し混乱していたが何とか落ち着いて事情を把握した。
「つまり、最後のアブソーベント・バンとのぶつかり合いで生じた時空のゆがみに飲み込まれて、((平行世界|パラレルワールド))に飛ばされたってことで」
「そうだ」
悠兄がうなずき、
「こっちの世界の時間は俺たちの世界と大体同じで、山田先生とセシリア、鈴の模擬戦のあった授業の終わりに俺たちが降ってきて」
「そうだ」
この世界の織斑先生がこたえる。
*ここからはレジェンドウォーズメンバーの名前の後ろに(R)とつけます。
「この世界のみんなにある程度、俺たちのこと、デジモンたちの事、をおしえ、帰れるまで滞在できるようにしてもらったということか」
「まあ、いきなり恐竜やらドラゴンが降ってきたし」
一夏が苦笑しながら言う。
まあ、確かに見られたのならしょうがないな。
「で、実際帰れるの?兄さん」
「ああ、帰れるぞ。パラレルモンはもう消滅したみたいだから時間がたてばその力もなくなって俺たちは強制的に元の世界に引っ張られると思うし」
「どのくらい?」
「二週間ぐらい」
「二週間?!」
長いだろ。あいつはもう消滅してるのに
「おいおい。仮にも究極体だぞ。それくらいしなきゃ力は完全に消えない」
「そ、そうか」
うん。帰れる見込みがあってよかった。すこし簪にさびしい思いをさせるかもしれないけど。
「ところで、みんなは?」
「楯無(R)はこっちの自分と談笑中。こっちに来たのは俺とお前、そして楯無だけだからな。デジモンたちはアークの中で休んでいる。しばらく、そっとしておいてやれ。なんせ、俺達を時空のゆがみから守ってくれたんだからな」
そっか。
「そんじゃ俺は楯無たちのところにいってくる。いろいろ話すことがあるだろ(ぼそっ)」
そういって悠兄は出て行った。
「「「・・・」」」
そして後には沈黙が残った。
しばらくして、
「俺のことはどのくらい聞きました?」
「え、あ、あなたが」
「おまえでいいよ。俺は確かにお前じゃないけど同じ存在でもあるんだ。他人行儀な態度はやめてくれ」
「じ、じゃあ。お前がなんで、更識の苗字になったのか大体の経緯を教えてもらった」
「そうか」
再び、沈黙が場を支配する。それを破ったのは織斑先生だった。
「すまない」
そう言って頭を下げた。
「千冬姉!」
「本来、ここにいる私が謝るべきではないのかもしれない。でも、せめて謝らせてくれ」
「頭をあげてください。織斑先生」
そういって、頭をあげる織斑先生。その眼にはうっすらと涙があった。
「今は謝るより教えてくれませんか?この世界での俺とあなたのことを」
――数時間後――
俺は保健室を出て整備室に向かっている。
二人と話し終えた後、幽里が出てきていないことに気が付き整備室にいって、鎧輝龍の整備をしようと思ったのだ。なにせ、平行世界に移動したのだ。ISになにか不具合が生じてもおかしくない。
ほどなくして、第二整備室(一番近かった)に着いた。
今は昼休みが終わったので授業中だからか誰もいなかった。
「さて、はじめますか」
俺は、鎧輝龍を展開。整備のための空中投影ディスプレイを展開して作業を始めた。
Side out
Side簪
私は、今日の授業が終わるとすぐに第二整備室に向かった。
目的は私の専用機『((打鉄弐式|うちがねにしき))』を完成させるため。
本当なら入学式の前に完成して渡されるはずだったけど、突然現れた男性IS操縦者、織斑一夏の専用機『白式』を作るために人員がまわされて、完成させられず、それを私が引き取って一人で作っている。
理由は私のお姉ちゃんが自分の専用機を一人で完成させたからだ。だったら私もこの子を一人で作り上げることができればお姉ちゃんと肩を並べることができるかもしれない、そう思ったから。
でも、最近あまり作業が進まなくなっている。誰かに頼りたいけどそれじゃあダメだと思うから頼らない。大丈夫なんとかしてみせる。
そんなことを思いながらいつも使っている第二整備室の扉を開く。
ここは、今日は二年生も使っていないので一人で作業できると思っていたら、すでに先客がいた。
織斑一夏がISを整備していた。
(え?!・・・ど、どうい・・う・こと?)
まさかこんなところで彼に会うなんて。
私のIS開発が遅れたのは彼のISのせいだ。彼に悪気がないってことはわかるけど、あまりいい感情を持っていないので顔をあわせないようにしていた。
しばらく呆然としていたけど、少し違和感に気が付いた。
(あのIS・・『白式』じゃない?)
彼のIS『白式』が闘っているところ(クラス代表決定戦)を見たことがあるから、彼のISは『白式』で間違いない。
でも、いま彼が装着して、整備しているISは白式のような純白ではなく、鮮やかなオレンジ色で、両腕に鉤爪を装備している見たことのないISだ。
疑問に思ってみていると、ふと彼がこちらを見て、
「簪?」
とつぶやいた。
Side out
Side一夏
全システムのチェックを終わらせて異常をさがす。
すると、一か所だけダウンしているシステムがあったので調べてみると、どうやらコアの管制システムのようだった。
さすがに、このシステムには下手な干渉は出来ない。でも、ISの展開ができるということは幽里は無事ってことだ。おそらく、この世界に来た際に何らかのダメージを受けてここでそれをいやしているのだろう。
そう結論付けた俺がディスプレイから、目を離すと人の気配があったのでそちらに目を向けると、俺にとっては見慣れた、そして一番愛おしいと思っている少女がいたので、
「簪?」
と声をかけてしまい、すぐに「しまった」と思った。
ここは平行世界で、彼女は俺の知っている簪じゃない。
案のじょう彼女は突然俺が声をかけたことに警戒をしてしまっている。
「え〜と」
「・・・・・・・」
お互いに沈黙していると、
「は〜い!失礼しま〜す!」
「ち、ちょっとまってよ!ま、まだ、こ、こころの準備が」
二人の青髪の少女、更識楯無(R)に引っ張られた更識楯無が入ってきた。