病みつきティアナ?裏話? |
彼は今自分のベッドの上で横になっている。
「本当に大丈夫なの?」
そんな彼を心配するように私が言った。
「……頭が痛い」
「痛いと思える内は大丈夫よ」
……まったく、心配掛けさせて
風邪を引いてしまったため私が看病しているのだ。
椅子に座っていた私は立ち上がる。
「どれどれ……?」
私が彼に顔を近付けるとお互いの額を当てる。
……彼の顔が真ん前にある
私の彼
――――私だけの
「……うん、朝よりも低いわね
「大丈夫?顔がさっきよりも赤いけど」
私はからかうように言う。
「……い、いきなり何すんだよ」
照れながら返事をする彼。
可愛いな
「あら、嫌だった?」
私が言うと彼は顔を背ける。
「……どうでもいい」
拗ねたように彼が言う。
私はそんな彼を見つめながら立ち上がる。
「朝から何も食べてないんでしょ
「お粥でも作ってきてあげる」
私は彼の部屋から出る。
――――私は彼が好き
――――彼もきっと私のことが好き
――――相思相愛なんだ
――――大好きだよ、何時も
――――愛してる
誰にも渡さないし渡す気も無い。
――――だから
――――――
「早く作らないと」
食堂に来て私は早速調理を始めた。
――――そういえば、六課に来てからあまり料理してないな
そんなことを考えながら、私は材料を切りはじめる。
「……っ!!」
材料を切っていたら軽く自分の指を切ってしまった。
……落ち着かないと
私はポケットから絆創膏を取出し切った指にはろうとする。
――――待って
私は自分の傷を見る。
――――舐めてくれるかな
私は自分の傷を軽く舐める。
――――彼だったら、きっと
私は他の材料を取り出す。
少し辛めのお粥にすれば、多少赤いのは誤魔化せれる。
……直接舐めて欲しいけど、いきなりは流石に
「美味しいって言ってくれるかな……」
私はお粥に自分の血を何滴か入れる。
――――私の血を
――――美味しいって言ってくれるかな?
―――――
食堂から出てすぐに、私は声を掛けられた。
「ティアナ」
声をしたほうを向くとそこにはなのはさんがいた。
なのはさんは心配そうな顔をしていた。
「どうしたんですか、なのはさん」
早く彼に会いたいのに――――
邪魔しないでほしい。
「彼は大丈夫?」
……なんでなのはさんが彼を心配するんだろ。
彼のことを考えるのはあたしだけで充分なのに。
「大丈夫ですよ
「あたしが彼を看病してるんで」
彼のことはなのはさんには関係ないことだ。
なのに、なのはさんは言う。
「でも、やっぱり心配だよ」
「わたし、彼の様子見てくるね」
「待ってください!」
彼の部屋に向かおうとするなのはさんを私は止める。
「なのはさんに風邪が移ったら大変ですし、行かないほうがいいですよ
「彼のことはあたしに任せて、なのはさんは自室に戻ったらどうですか?」
「でも……」
……彼を見るのは私だけでいい
それでも、なのはさんは言う。
「ティアナは今から彼の看病に行くんでしょ?
「彼も看病してもらう人が一人より二人のほうがいいと思うんだ
「だから、わたしもティアナと一緒に――」
……いらない。
あたし以外の人が彼の傍に居る必要ない。
「いりませんよ
「彼だって、なのはさんが居てほしくないと思いますよ」
「……そうかな」
私が言うとなのはさんは寂しそうな表情をして俯く。
「でも!」
なのはさんは顔を上げると私を見る。
「ティアナだって訓練終わりで疲れてるでしょ?
「だから、わたしもティアナの手伝いしちゃ駄目かな?
「私も彼のために何かしたいの」
――――しなくていい
「いりませんよ!」
――――彼を見るのはあたしだけで充分なんだ
「彼の傍には私が居ますから、大丈夫です!!」
叩きつけるように私が叫ぶ。
なのはさんはまた俯く。
「それでは、失礼します」
あたしは黙っているなのはさんを置いて、彼の部屋にに向かった。
――――彼を見るのはあたしだけで充分なのに
何であの人は邪魔をするんだろう?
――――邪魔なだけなのに
――――あたしから彼を奪うなんて
―――――
「遅かったな」
あたしが部屋にはいると彼は言う。
返事をせずにあたしはソファーに座り、持っていた小さ目の鍋を置いた。
「……ティアナ?」
何も言わないあたしを心配してくれたのか、彼は私の名前を呼ぶ。
……彼があたしのことを心配してくれてる。
……それでいい、彼はあたしのことだけを見てればそれで---
すると、ティアナはゆっくりと此方を向いて言った。
「さっきね、なのはさんに会ったの」
あたしが唐突に言うと彼は首を傾げる。
「そしたらね、あんたの様子を聞いてきたの
「なのはさんには関係ないことなのにね
「あたしが元気ですよって言ったらなんて言ったと思う?
「自分も看病に行くって言ったの
「……関係ないのに
「あたし1人で充分ですって言ってもなお付いてこようとするの
「でもね、あたしが少し強く言ったらすぐに諦めちゃった
「迷惑だよね
「簡単な気持ちで人の邪魔をしようだなんて――」
あたしは黙って彼を見る。
彼は困った表情をしている。
――――なんで、そんな顔するの?
「なのはさんだって俺を心配してくれたんだろ?
「そう邪推に扱わなくても――」
彼が言い終わる前にあたしは言う。
「あんたを心配するのはあたしだけでいい
「あんただって、なのはさんのことを心配する必要ないわよ
「あたしのことだけ心配してくれれば――」
ティアナがそういうと鍋の蓋を開ける。
「ほら、あたしが1人で作ったのよ
「あんたのことが心配だったから急いでね
「邪魔さえ入らなければ急がなくてもよかったんだけど――」
――――なんで、邪魔をしたんだろう
――――彼にしても、あたしにしても邪魔でしかないって事わからなかったのかな?
あたしはスプーンでお粥をすくい、彼に向ける。
……これぐらい、いいよね。
「ほら、口を開けなさい
「口を閉じてたら食べられないわよ」
彼は驚いた顔をしながらあたしを見る。
「……それとも、私のじゃなくて、なのはさんのが食べたかった?
「あたしが作ったのは食べたくなくて、なのはさんのが食べたいの?」
だとしたら許せない。
あたしから彼を奪った奴を――――
許しはしない。
「いや! そんなんじゃなくて!!」
彼はあわてて言う。
「自分で食べられるから、そういうのはいらないんだけど……」
「病人は大人しく言うこと聞きなさい」
彼はスプーンをじっと見る。
「なぁ、ティアナ
「何でこのお粥は赤いんだ?」
彼は首を傾げながら言う。
……大丈夫
あたしの血は数滴しか入ってないんだ――――
流石にわかるはずがない。
「味付けを辛くしたのよ」
あたしが言うと彼は大人しく口をあける。
――――彼はあたしの言うことをちゃんと聞いてくれる。
「フフフ……」
そんな彼を見てると笑みが止まらない。
「美味しい?」
あたしあがいうと彼はすぐに返事をする。
「美味しいよ」
そうよね。
だって、それにはあんたの大好きなあたしの血が入ってるもん。
「あんたの大好きなものを少しだけ入れたんだもの、気に入って当然よね」
あんたが食べたいならいつでも食べさせてあげる。
――――食べてもらいたい
「あーん」
あたしが次の分を差し出すと彼は大人しく口をあける。
――――何度も何度も
彼が食べるたびにあたしの血が彼の口に入っていく。
そうかんがえただけで笑みが止まらない。
彼は美味しそうに食べてくれる。
まるで、あたしの血を美味しそうに食べてくれてるみたいに――――
――――フフフフフ……
彼に食べさせていると、お粥も残りわずかになった。
あたしはそれを彼の口に運ぶ。
――――待って
あたしは彼を見る。
そして、ゆっくりとスプーンを自分の口に運んだ。
彼が口を開けたまま止まっているのを確認すると、彼のの両頬を両手で優しく包み込む。
――――そして
――――あたしはは彼に顔を近づける
――――あたしは彼とキスをする
驚いている彼にあたしは口移しでお粥を食べさせる。
――――もう少しだけキスしていたい
でも、彼が苦しそうなため残念な気持ちはあるが、大人しく離れる。
「美味しかった?」
顔を真っ赤にしている彼に言う。
「な、なんで!?」
なんで?
決まってるじゃん、そんなの――――
「……もしかして、嫌だった?」
「嫌じゃなかったけど―――」
「そうよね、嫌なはずが無い
「私がやったんだから、嫌なはずが無い」
あたしは持ってたスプーンを空っぽの鍋に置く。
「……いきなり口移しだなんて」
彼はいまだに顔を真っ赤にしながら言う。
「急にしたくなったの
「こんなことするのは相手があんただからよ
「あんたは特別だから――」
――――特別なの
「あんただけが私の特別なの
「誰でもない、あんただけが――
「あたしの――」
――――大好きな人だから
「ティアナ」
彼はあたしの名前を呼ぶ。
彼に名前を呼んでもらえるのは嬉しい。
彼に呼んでもらえるだけで幸せな気持ちになる。
「俺も、ティアナのこと特別だって思ってるよ
「今までも――
「そして、これからも、思い続ける!!
「だから――」
――――彼は一息つくと言う。
「――好きだ」
――――言ってくれた
――――好きだって
――――今まで、何も言ってくれなかった彼が
――――あたしの大好きな人が
――――言ってくれた!!
「知ってたわよ」
あたしは強気な態度で言う。
――――知っていた
でも、自信がなかった。
もし、違ったらどうしよう。
もし、他の人のことが好きだったらどうしよう。
「あたしはあんたのことで知らないことなんて無い
「だって、私はあんたのこと好きだもん
「違う、愛してる
「あんたのことを――愛してる」
何時も不安だった。
もし、違ったら――――
あたしは、その人と彼に何をしても可笑しくないから。
間違いなくその人から彼を奪うだろう。
あたしは立ち上がり、彼に馬乗りになる。
――――彼ならきっと美味しいって言ってくれる。
「ほら、見て
「お粥の材料を切ってるときに怪我しちゃったの」
あたしは彼に左手の人差し指を見せる。
その指には絆創膏がはってある。
あたしは絆創膏を外して、傷口を彼に見せる。
「少し深く切っちゃってね」
あたしは彼を見る。
――――愛しの彼を
――――見つめる
「あたしと約束して欲しいことがあるの」
この約束はあたしにメリットは無い。
「六課解散までにお互いに本気で好きな人が出来たら別れる」
彼以外の人を本気で好きになるはずが無いあたしからすれば、これはデメリットしかない。
「女のあたしからみても、六課には魅力的な女性が多いの
「あんたには、その中で私が一番だって言ってほしい
「あんたには、六課で私のことだけを必要としてほし
「――だから
「あんたが六課で本気で好きな人が出来たら、あたしは大人しく別れる
「あたしはあんた以外の人のことを好きになるはずが無から安心して」
――――彼にはあたしといて幸せと感じてほしい
だから、六課の女性みんなの中からあたしを選んでほしい
ここの人達はみんな魅力的だ。
だから、その中からあたしを選んでほしい。
――――あたしのことを
「もしこの約束が守れるなら、私の指を舐めて
「あんたに舐めてもらえたら、怪我の治りも早いと思うし」
……舐めてほしいとは思ったけど、これhやりすぎたかな。
あたしが少し後悔してると、彼はあたしの傷を舐める。
――――それを見て、あたしは確信する
「フフフ……
「舐めてくれるよね
「だって、あんたはあたしのこと大好きだもん
「あたしも大好きだよ
「誰よりも、何よりも
「何時だって、これからも
「――あんたのことを愛してる」
――――あたしは、彼に愛されてることを
――――確信する
あたしは、指をどかして彼に顔を近づける。
――――愛しの彼と2回目のキスをするために
―――――
「あたしの血美味しかった?」
あたしが聞くと、彼は困った顔をする。
「……俺は、血の味とかわからないし」
……まぁ、そっか
「でも、ティアナのだって考えたら美味しい気がする」
彼は顔を少し赤くする。
――――本当に
「あたしも、あんたのだって思えば何でも美味しいって思えるわよ」
――――血も体も何もかも
「……そっか」
彼は顔を赤くしてあたしから顔を逸らす。
「フフフ……
「顔が赤いわよ」
「うるさい」
からかうようにあたしが言う。
――――本当に、今が幸せだって思える
何時までもこの幸せが続けばいいのに。
―――――
この物語の終わりをあんたは知ってるかしら?
……邪魔された
あたしの幸せが奪われた。
彼はあの日――――
別れ話を切り出したときにいった。
小声で、ギリギリ聞き取れるぐらいの声で。
『ごめん、ティアナ』
――――なのはさんは知ってるの?
あたしが諦める条件が『本気で好きな人が出来たら』ってことに。
脅してまで彼をあたしから奪うなら――――
あたしが、彼を奪い返す!!
――――どんな手を使っても。
――――取り戻す
こんにちはーrikubでーす
そろそろストックしている短編が無くなります……
そこで!!
皆さんからリクエストを貰いたいと思います!!
しばらく執筆してないためリハビリもかねているため、できは期待しないでくださいな
リクエストがなかった場合は、めだかボックス内の作品から誰か一人選んで書いていきたいと思います
説明 | ||
病みつきシリーズ第9弾!! 病みつきティアナの目線変更です 主人公を看病するティアナ。 そんな彼女の考えは―――― ※オリ主×ティアナです ※病みつきなのはの前日談です ※病みつきティアナを見ずにこちらから大丈夫です。 ※病みつきティアナと同時に読んだら面白さアップ? |
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