IS学園にもう一人男を追加した 〜 0話
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獅苑SIDE

 

 

(ちょっとやばいな)

 

今、朝霧獅苑はちょっと困っている。

 

「ここはどこだ」

 

〜〜〜20分前〜〜〜

 

(寒いな〜)

 

と、心の中で思う。電車の中は暖房で暖かくなっているはずなのにそれでも寒い。外を見ると空に灰色の雲が覆っていて、電車が駅に止まりドアが開くたびに入ってくる空気の冷たさに思わず体を震わせる。

また電車が止まりドアが開く。冷気と一緒にいろんな人が乗ってくるが、その中に学生服を着ている人たちがいた。

 

(この人も俺と一緒なのか)

 

俺が今、行こうとしているのは私立藍越学園の試験会場に向かっている。藍越学園は簡単に言うと、私立なのに学費が安く卒業生の九割が学園法人の関連企業に就職ができる。まぁ、俺は安ければどこでもいいが。

ドアが閉まり電車が動き出す。まわりを見渡すとさっき乗ってきた人以外に学生らしき人物は見当たらなかった。

電車内でやることもなく自然と目線がさっき乗ってきた学生の方に向いた。学生の第一印象はかっこいい。スタイルも悪くない。そんなことを考えていたら、学生がこっちをチラッと見た。俺はすぐに学生から目線を外した。

 

(さすがにガン見しすぎたか・・・まぁ別に気にしなくてもいいか、寝よ・・・)

 

俺は学生バックをしっかりと持ち直し目を閉じた。

 

 

一夏SIDE

 

 

(視線を感じる)

 

俺は視線を感じた方をチラッと見た。そこには黒髪で前髪に緑が入っている、学生服を着た女の人が座っていた。

 

(あれ? でも、学生服は男用だから男か・・・見えねぇ〜)

 

とても男性とは思えない。髪はそんなに長くなく、寝癖なのか髪の毛がぴょんぴょんとたっているが、それでも女性と勘違いするくらい・・・いやむしろ女性と言った方がいいだろう。

もう一度しっかりと女男を見ようと顔を向けたが、女男はカバン両腕で抱きしめ、規則正しい寝息をたて寝ていた。その寝ている顔はとってもかわいらしく、とても男には見えなかった。

 

(うん、やっぱり女にしか見えないな)

 

結論を出した俺は外を見る。見ているだけでも寒さが伝わってきて、俺はたった一人の身内である姉の事を思う。

 

(千冬姉、風邪をひいてないかな・・・・・・・・・・・・ないな、絶対!)

 

だってあの人は人間をやめてるようなもんだもんな、うん!と、思いながら俺は試験会場に向かう電車に揺られていた。

 

〜〜〜場所は変わって藍越学園、試験会場の前〜〜〜

 

「ここか・・・」

 

時間どうりに試験開始15分前に試験会場である多目的ホールに着いた俺はたいした緊張もなく会場に入った。

だが、

 

「えーと・・・あれ? これ、どうやって二階に行くんだ?」

 

中学三年のくせに迷ってしまった。というか、なんでこんな分かりにくい構造をしているんだ。その上になんで案内図がないんだ。と、愚痴を言いながらホールを徘徊して、もう10分は経っていた。

 

「まずい! このままだと試験時間に間に合わない!」

 

非常にまずい。もし、試験に間に合わなかった理由が迷子だなんて千冬姉に知られたら

 

「ガクガクブルブル」

 

恐ろしすぎて想像がつかない、むしろ考えたくない!

 

「ええい! 次に見つけたドアを開けるぞ、俺は。それでだいたい正解のはずだ」

 

おっ、いいところにドアがある。

 

(よし!)

 

気合を入れ

 

「失礼します」

「あー、君、受験生だよね。そこに着替えがあるから向こうで着替えてね。できるだけ急いでね時間押してるから。・・・」

 

部屋に入った途端、三十代後半ぐらいの女性に言われた。どうも相当忙しいのか俺の顔を見ずに指示だけだして部屋から出ていてしまった。

 

(着替え? なんで?・・・ああ、カンニング対策か。 どこの学校でもやってるのか? 大変だなぁ)

 

そう思いながら、奥のカーテンを開けた。そこには・・・

 

「・・・IS?」

 

そこには城にある鎧の様に鎮座しているISが置いてあった。

ISは宇宙空間での活動を想定されたマルチフォーム・スーツ。しかし、製作者の意図とは別に各国は、この機械を兵器として扱おうとしたが、アラスカ条約によって今はスポーツとして扱われている。だがISには致命的な欠陥がある。それは

 

「男は使えないんだよな、ISって」

 

そう、女にしか使えない。だから男にとっては鉄の塊に等しい、そう思って俺はISに触れた。

 

「?!」

 

[キンッ]と金属質の音が頭に響くのと同時にISが光る。

俺の頭のISの情報が流れ込んでくる。

 

「動くのか・・・なんで・・・?」

「おい」

「?!」

後ろから千冬姉に似た威圧感がある声が聞こえた。俺はいきなり声をかけられ驚きISから離れたらISは光が消えた。おそるおそる後ろを向くと電車内にいた女男が立っていた。

 

 

獅苑SIDE

 

 

(5分前か・・・)

 

俺は試験会場である多目的ホールの前にいた。決して乗り越したわけではなく、歩くスピードが遅いわけでもない。なのに15分前に着くはずなのに10分も遅く着いてしまった。その遅れた理由は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(子猫かわいかったな〜)

 

子猫が原因だった。ここに来る途中、狭い道のど真ん中で体を寄せ合って寝ている子猫たちを見つけたのだ。

その子猫たちを眺めて

 

(癒されるな〜、ずっと見てたいな〜)

 

などど思っていたが、さすがにずっとはいられなかったので名残惜しいがその場を後にした。ん? それならケータイで撮ればいって? いや、それで猫たちが起きたらかわいそうだろ。

で、結局、目的地である試験会場に着いた時には10分近く遅れてしまった。急いで会場の中に入ったんだが、試験を行う部屋が分からない。自分が今、どの位置にいるのかも。

 

〜〜〜冒頭に戻る〜〜〜

 

(どうやら迷子みたいだな)

 

心の中で人事みたいに思う。俺は歩きながらこの状況を打開するため、とりあえず人を探した。

 

(・・・あ、いた) タッタッタッ

 

ちょうど、一室から三十代ぐらいの女性が出てきたので少し駆け足になりながら女性に話しかけようとしたが

 

「あなたも受験生? だったらはやくこの部屋で着替えて。着替え終わったら部屋で待機しててね」

「・・・」

 

先に女性から声をかけられ言うだけ言って去ってしまった。

 

(なんで着替えるんだ? まぁ別にいいか)

 

考えることを放棄して部屋のドアノブに手をかける。だが

 

「・・・んだよな、ISって」

「・・・?」

 

ドアを開こうとしたが、ドア越しから男の声が聞こえた。なぜ[IS]という単語が出たのか、首を傾げているとドアの隙間から光が漏れた。何事かと思い中に入ると

ドア越しに聞こえた声の主であろう男と、男が触れ、光を放っているISがあった。

 

「動くのか・・・なんで・・・?」

 

どうやら男は俺に気づいてない様だ。

 

「おい」

「?!」

 

男はいきなり声をかけられ驚いたのかISから手を離した。するとISから光が消え、男はおそるおそるこちらを向く。

 

(別にお化けじゃないんだが・・・それにこいつは電車にいた奴か)

「君は電車にいた・・・」

 

どうやらこいつは俺の事を知ってるようだ。まぁチラ見とはいえ俺の事を見たからな。

俺はその男に近づきながら質問する。

 

「お前、男だろ。なんでお前にISが反応してるんだ」

 

ただ今の状況を聞いてみた。男は答える。

 

「分からん、もし分かってたらこんなに混乱してない。それに君は誰なんだ」

「ただの受験生だ。そういうお前はただの受験生ではなそうだな」

 

俺は男の横に立ちISを見つめる。

 

「俺もただの受験生だ」

「男なのにISが反応する時点で、ただの受験生じゃないだろ」

「だったらさわってみろよ。お前も反応するかもしれないぞ」

 

まさか・・・と、思いつつISに触れる。

 

「?!」

 

キンッと金属質の音と同時にISが光る。すると男が

 

「お前もただの受験生ではないな」

 

まさか自分も反応するなんて・・・ISから手を離し、ため息をついた。

 

(はぁ〜・・・このことが誰かにばれれば絶対、面倒なことになるな、なんかいい方法は・・・)

「なぁ」

 

俺が打開策を考えていると男が話しかけてきた。

 

「なんだ」

「お前さ、男・・・だよな?」

「どういう意味だ」

「言葉どうり意味だけど・・・ごめん、気に障ったか?」

「別に気に障ってない、そう言われてるのは慣れてる」

「そ、そうか」

 

そのまま男は黙ってしまった。まぁ、そのほうが助かるが。

 

(方法としては俺が女って事にすれば何の問題もないが、もしバレたらもっとめんどうなことになる。それに目撃者もいるしな。まぁもともと男って感ずかれているから嘘は通用しないだろ。だったらここは腹をくくるしかない)

 

ドアの向こう・・・廊下の方に意識を集中させる。二つの氣がこちらに近づいてくるのを感じる。一人はさっきの女の人、もう一人も女の人のようだ。まぁ、二人でも大丈夫だろう。さて、となりで黙ってる男にも協力してもらおう。

 

「おい」

「なんだ」

「もう一回ISに触れろ」

「何回やったって変わんないぞ」

「回数は関係ない。いいから」

「お、おう」

 

男がもう一度ISに触れ、ISが再び光りだす。その時、後ろのドアが開き

 

「あなたたち何し・・・嘘、男がISを・・・」

「どうし・・・え? ISが男に反応している」

「え?・・・え?・・・」(一夏)

 

ここまでは予定通り、後一歩か

 

「ISから手を離せ」

「え? ・・・あ、ああ」

 

男が離したのを確認して俺はISに触れる。もちろんISは反応して光りだす。俺がISに触れて光りだしても、女性たちは反応がなかったので、俺は女性たちに

 

「ちなみに俺は女ではなく男だ。これは嘘でも冗談でもない」(獅苑)

「え?!・・・どう見たって」

「女子にしか見えない」

「だから、これは嘘ではない。なんなら、脱いで証明してやろうか」(獅苑)

「おいおい・・・」(一夏)

 

別にふさげて言ってるわけではない。いたって真面目に言っている。

女性たちは口を開け呆然としている。これくらいやっておけば疑われないだろ

 

(ふぅ〜、疲れた。今日はしゃべりすぎたな。帰って寝よう)

 

 

翌日、ニュースはある話題で盛り上がっている。

 

【世界初、IS男性操縦者 しかも二人!!】

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