魔法少女リリカルなのはmemories 第一章 再開するまでの記憶(メモリー) 第十一話
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「なのはちゃんはまだ見つからへんのか……」

 

 はやてはフェイトとはやての守護騎士であるヴォルケンリッター達を集め、フェイトとなのはの家に集まっていた。

 なのはが行方不明になってからもう一週間と二日が経とうとしており、まったく持ってなのはの居場所が入らないまま時間が過ぎていくだけだった。まだなのはが行方不明になっているという事は管理局には知られておらず、管理局には気づかれないように行動をしているのだ。

 ちなみに、スバルやティアナ達はそれぞれ仕事が忙しいらしくここには来ていないが、一応なのはが行方不明になっているのは知っているので仕事もしながらもなのはの情報を集めているところである。

 

「それにしてもそのフィルノ・オルデルタというのはどんな奴なんだ?」

 

 守護騎士の一人である鉄槌の騎士、ヴィータが質問する。

 

「それが、余り分かっていないんや。一番知っているユーノ君もフィルノ・オルデルタの事は会った事も無いらしいし、幼少期の頃に会っているなのはちゃんはは行方不明だから何も分からないんや。フィルノ・オルデルタの経歴も大半は嘘やったし」

「つまり手がかりはあんまりないというわけか」

 

 同じく守護騎士の一人である剣の騎士、シグナムがはやての言葉を聞いて確認をする。

 

「その通りや。フィルノ・オルデルタの魔力量、魔法クラス、経歴なども全てが嘘なんや。本当のことも含まれているかも知れへんけど、どれが本当のことなんで分からないんや。分かる事と言えばフィルノの両親の事くらいやな」

「フィルノの両親に何かあるのですか?」

 

 これまた同じく守護騎士の一人である湖の騎士、シャマルがはやてに聞く。

 

「十六年前、ちょうどなのはちゃんがあの事件で重症を負った時や。私達はその事件には関わって無いんやけど、二人の夫婦がある実験をしておったらしくて管理局に逮捕されたらしいんや。二人は自分達が無実だと言っていたんやが、逮捕されてから三日後にその二人は牢屋の中で何者かによって殺されていたんや」

「もしかしてその夫婦が――」

「そうや、フィルノ・オルデルタの両親や。そしてその事件は夫婦が殺された事によって事件が未解決のままで終わっているんや。まだ犯人だと決まったわけでもあらへんのにや」

「それって管理局が何かを隠そうとしているのでは無いのですか?」

 

 はやてが創った人格型ユニゾンデバイスである、リインフォースIIがはやてに聞いてみる。

 

「そこまでは分からへん。けど、あの事件には何かあると思うんや。なのはちゃんを探すのももちろんの事やけど、こっちの事も調べた方が良さそうやな」

「じゃあ私とシャマルでその事件の事を調べてみる」

「じゃあシグナムとシャマルは時間ある時でええから、フィルノ・オルデルタの両親が逮捕された事件を調べてくれるか? 他のみんなは今までどおり時間がある限りでええからなのはちゃんを探す事でええな。フェイトちゃんもそれでええよな?」

「あ、うんそれで良いよ」

 

 はやては今まで一言も言っていないフェイトに確認を取ると、フェイトはまったく今の話し合いが自分は関係ないという感じみたいに聞いていなかったようだ。

 フェイトはなのはが居なくなった日、はやてに怒られてなのはを絶対に見つけると決意したのに、またしても自分を責めていたのだ。

 フェイトの反応を見てその事に気づいたはやては、何を考えているのか分かっていた。

 

「フェイトちゃん、まさかと思うけどなのはちゃんが居なくなったのは自分のせえだとまだ思っておるのか?」

「それは……」

「前にも言ったけど、それはフェイトちゃんが悪いわけではない。なのはちゃんが独りで決めて行動した事なんだから、フェイトちゃんは責められることはないんや」

「けど、私が気づいていれば……」

「そう思っているんやったら、早くなのはちゃんを見つけるべきなんやないか?これも何度も言ったことやで。フェイトちゃんが自分を責めことは分かるけど、その責任を持ってなのはちゃんを絶対に探すと思わないか!!今のままやと、なのはちゃんが居なくなった時のフェイトちゃんとまったく変わっておらへんで!!」

 

 はやての言葉を聞いてフェイトはなのはが居なくなった時からまったく変わっていなかった事に気づく。そして自分は何をやっていたのかと思い、はやての言葉で改めるのだった。

 

「……うん、そうだね。ごめん、なんかみんなにも迷惑を掛けてたね。なのはが居なくなった時にはやてに起こられて決意したのに、結局私は自分のせいだと責めてた」

「そのとおりだテスタロッサ。今自分を責めていても意味が無いぞ。とりあえず今はなのはを見つける事を優先にすべきだ」

「まぁ、それによって倒れちゃったら意味が無いのですけどね」

 

 リインの言葉によってみんなが苦笑し、重い空気が和やかになっていた。

 フェイトもシグナムによって励まされたおかげで、元気が出てくるのだった。

 そしてはやてはその空気の中話を続け始める。

 

「さて、さっき決まったようにシグナムとシャマルはフィルノ・オルデルタの両親が逮捕された事件の事を調べ、他のみんなは引き続きなのはちゃんを探してくれるか?本当なら本格的に動きたいところやけど、なのはちゃんが行方不明だと分かっているのはまだ管理局には知られておらんのや。なのはちゃんの仕事先には高熱が出たから休暇を取って貰っているけど、それもいつまで持つか分からへん。なのはちゃんが行方不明だと管理局が知ったら大変な事になるから、それまでにはなのはちゃんを見つけられるように頼むで。それじゃあ解散や」

 

 最後に確認を取りながら、はやてはここに居るみんなを解散させる。それぞれが家から出て行く中、家の中に残ったのはフェイトとはやてだけになっていた、はやては集まる前に後で二人で話があるとフェイトに言ってあった為、はやてはまだ帰らずに残ったのだ。そしてフェイトとはやて以外が家から出て行くと、二人はリビングにあるソファに座るのであった。

 

「はやてごめんね。なのはが居なくなった時もはやてに怒られたのに、あの時からまったく変わっていなくて」

「別にかまわへんよ。それより、ひとつ気になっている事があるんやけど」

「何?」

 

 はやてが気になっている事はなんだろうかとフェイトは思いながら、はやての質問を待つ。

 

「何故なのはちゃんは私達親友を置いて幼馴染だったフィルノ・オルデルタに会いに行こうとしたんやと思う?しかもフィルノ・オルデルタは次元犯罪者とされておる人物やで。そんな人物になのはちゃんが会うなんて、なのはちゃんの性格からしても思わへんのやけどな」

「それは私も思ってた。なのはが単独で行動を起こす事は今まで無かった」

「一体、二人の関係に何があるんやろうか?多分、なのはちゃんは過去にフィルノ・オルデルタから何かを約束していたんやないかと思うんやけどな。なのはちゃんがフェイトちゃんに話した夢とは違う何かが」

 

 はやてがフェイトに話したかった理由、それはどうしてなのはが幼馴染の為に行方不明になったかという事だ。確かになのはなら幼馴染の為に親友より優先して会いに行くような人物ではないはずだ。しかしなのはは現に幼馴染に会いに行く為に行方不明になっているため、何かなのはとフィルノの間に何かあるのだろうと、はやてとフェイトは思っていたのだ。

 

「けど私達がそれを考えても分かるわけが無いよ。それを知っているのは多分なのはとフィルノの二人だけしか知らない事だから、私達に知りようが無いし」

「せやな。だったら早くなのはちゃんをフィルノ・オルデルタと会う前に見つけるべきなのかもしれへんな。暇があるときはなるべく疲れない程度になのはちゃんを探すのに急いだ方がええかもしれへんな」

「そうだね。じゃあ今日は仕事も無いから、私は出来るだけ多くの管理世界を探してみるよ。多分なのははもうこの世界には居ないと思うし、なのはが知っている次元世界の座標は管理世界と第97管理外世界ぐらいだと思うからね」

「わかった。わいも仕事の合間を使ってなるべくなのはちゃんの情報を手に入れられるようにするつもりやから。それじゃあわいは行くで」

 

 はやてとフェイトが思っていた疑問を話し終えると、はやては自分の仕事がこの後残っているのですぐに家を出るのだった。

 フェイトもなのはを早く見つけるためにも、はやてが家を出た後に家を出る準備をし、フェイトのデバイスであるバルディッシュ・アサルトを持って家を出るのだった。

説明
J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。

その青年はなのはに関わりがある人物だった。

だがなのはにはその記憶が消されていた。

消されていた記憶とは、なのはと青年の思い出であった。

二人が会ったことにより物語は始まり、そしてその二人によって管理局の歴史を大きく変える事件が起こる事になる。

それは、管理局の実態を知ったなのはと、親の復讐のために動いていた青年の二人が望んだことであった。



魔法戦記リリカルなのはmemories ?幼馴染と聖王の末裔?。始まります。
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