魔法少女リリカルなのはmemories 第二章 再開するまでの記憶(メモリー) 第二十一話
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 なのはは目の前に居る人物に目を疑った。どうして、フェイトがここに居るのかと。

 ここに居る事は誰も言ってないし、そもそもフェイトが人を殺すような事をしない。

 そこで気づいた。よく見ると、フェイトが持っているデバイス、バルディッシュ・アサルトではないという事に。

 なら一体彼女は誰なのか。そこである事に辿り着く。

 プロジェクトF.A.T.E。フェイトのクローンではないのかと。厳密に言えばアリシアのクローンとなるのだが。

 しかしその推測も、すぐに目の前のフェイトと似ている彼女によって否定される。

 

「私はフェイトではないよ。プロジェクトF.A.T.Eで作られたクローンでもない。やっぱり、私の顔を見るとフェイトを思い出すのか」

 

 フェイト似の彼女の言葉に、なのははさらに混乱する。

 フェイトでもなければ、プロジェクトF.A.T.Eで作られたクローンでもない。ならば一体彼女は誰なのか。

 いや、一人だけなのはが知っている人物がいた。しかし彼女はとっくに亡くなっており、どうして生きているのかおかしくなる。それでもなのはは少しある可能性として、聞くしかなかった。

 

「もしかして、((アリシア|・・・・))ちゃん?」

 

 その言葉に彼女は微笑みだす。

 

「その通りだよなのは。そして、初めまして。((アリシア|・・・・))・((テスタロッサ|・・・・・・))です」

 

 その言葉に、なのはは驚いた。驚かないわけがなかった。何故、彼女が生きて目の前に居るのか。

 

「その様子を見ると、どうして私が生きているのか不思議に思っているようね」

 

 なのはが思っている事を、アリシアは察したように言う。口調は全くフェイトと同じで、声を聞いているだけだとフェイトと会話しているような感じだった。

 なのはは自分が思っていた事を言われてさらに驚いたが、何も言わずに黙っておく事にした。

 

「それは後で話すよ。それでエメリア、ここの研究所は使えないように壊していいの?」

 

 なのはが疑問に思っている事は後回しにされ、アリシアはエメリアに向かって話し始める。

 エメリアに普通に会話している所から、なのはとデュナはアリシアが仲間だと察する。

 

「それは構わない。私の行動も気づかされていたようだからな。必要なデータは先ほど送っておいたはずだから、もう二度と使えないように壊して構わない」

「了解。それじゃあ、なのはも手伝って」

「あ、はい!」

 

 突然手伝ってと言われたなのはは、咄嗟にはいと返事してしまう。

 それからなのははアリシアに言われた通り手伝うことにして、レイジングハートを構えた。

 

「それじゃあ、始めるよ」

 

 アリシアはその場から一瞬で姿を消し、それからすぐして何かが爆発する音が聞こえてきた。

 突然の爆発に驚いたが、すぐにアリシアがやったのだと思った。

 

「私もやらないとね」

 

 なのはは爆発音を聞いて、レイジングハートを構える。先端から桃色の光が集まり、段々だと大きくなってきている。

 なのはが最初に覚えた直射砲撃。発射するまで時間はかかるが、邪魔をする人間はもう誰も居ないので余裕で時間をつかえたのだ。

 

「『ディバイン、バスター』っ!!!!」

 

 ある一定の大きさになると、桃色の光は前方に放たれた。カートリッジを七つくらい使用し、建物の壁を幾つも貫通しながら飛んで行った。

 それからアリシアとなのはの二人で、何度も研究所を破壊する魔法を使用する。あっという間に研究所内はボロボロに崩壊し、亀裂音が聞こえてくるほどだった。亀裂音が危険を達するとすぐさま魔法を止め、エメリア、デュアと一緒に研究所から脱出した。研究所の外に出て数秒後、研究所は崩壊して入り口が崩れてきた岩石によって閉鎖された。その様子を見届けたアリシアはすぐに三人に話し始める。

 

「崩壊する音を誰かが聞いてもおかしくないから、誰か人が来る前に離脱するわよ」

 

 そう言って、すぐさま四人の立っている地面に黄色の魔方陣が現れる。魔方陣の色までフェイトと全く同じで、そこまで同じなのかとなのはは思っていた。

 

「あ、そうそう。なのはは後で反省してね。怒りに任せて魔法を使うなんて、さすがに怒られてもおかしくないから。私たちの仲間になるのならば尚更怒られると思って。さすがに怒りに任せたせいで人質を取られとなればね」

「にゃ、にゃははは。やっぱり?」

 

 なのはは先ほどの自分の怒りに任せた攻撃は、さすがになのはでもあの時は失態したと思っていて、アリシアの言葉に苦笑するしかなかった。敵に気づかされてさらに人質までとられたとなれば、怒られてるのは当然だったとなのはでも思ったのだ。これは管理局に居ても同じことを言われてたことだろう。

 

「まぁ、多分怒るのは私かフィルノのどちらかだとは思うけどね。とりあえず転移するね」

 

 そう言うと、アリシアのデバイスを前に構えて言い始めた。

 

「目標座標。巨大艦船、アルカディアへ」

 

 アリシアがそう言うと、魔方陣の上に居た四人は魔方陣ごと姿を消した。

 なのはたちが魔法で姿を消してから数十分後、他の管理局員が様子を見に来てみるが、そこには唯崩れた岩石によって見えなくなった入口があるだけだった――

 

 

----

 

 

 アリシアが転移魔法で向かった場所はある艦船の中だった。

 なのははここが一体何処なのか疑問に思うが、すぐに艦船の中だと分かる。しかしこの艦船が何の艦船なのかは分からず、デュナも一体ここが何処なのか分からないで落ち着きが内容に見えた。

 

「あれ、フィルノはまだ戻ってきてないのね。っていう事はさっきまでこの中に誰も居なかったの?」

 

 さすがに無人で浮かせてよかったのだろうか。とアリシアは思ったのだった。アリシアがこの艦船が出るときは一人居たのだけど、その一人も後で居なくなると言われていたのだが、さすがにその時にはフィルノも戻ってくるだろうと思って、その一人に任せて後にしていたのだ。しかし艦船内を見る限り誰かいる気配は全く感じなく、誰も居なくてよかったのだろうかと思っていたのだ。

 

「まぁ、別に何ともなかったから気にしなくて良いよね? それに、当分の間は余り仕事も無くなるとフィルノが言っていたから、誰も居なくなるという事は多分無くなるだろうから」

「それで、ここは一体何処なの? 私もデュアちゃんもさっきから気になっていたのだけど」

 

 独り言を言っていたアリシアに、なのはは気になっていた事を聞く。その言葉に言うの忘れてたという事に気づき、二人に言う事にした。

 

「この艦船は私たちが拠点としている巨大艦船なの。元々はフィルノ両親が沈没した艦船の代わりに新たに買った艦船なんだけど、フィルノの両親が捕まって暗殺された以降はここを拠点に活動してたの。所々私の|お母さん《・・・・》が改造してたりはしたけど、性能は余り変わらないはずよ」

「お母さんって、まさか|プレシア《・・・・》!?」

「その通り。私が生き返ったのはもう十八年の年月が経つけど、お母さんはなんだかんだで私が生き返ってから四年も生きてたの。さすがに病気に勝てなくて亡くなったけどね。けど四年も生きていたから、寿命より長く生きたとは思うよ。ちなみに私とお母さんは虚数空間に消えて行ったあと、何故かフィルノの両親に偶然拾われたの。それからずっとフィルノとは一緒に行動しているのだけど」

 

 プレシアとアリシアは虚数空間に姿を消したと思われていたが、偶然にもフィルノの両親が拾ったという事に驚いた。どうやってアリシアが生き返ったのかはまだ分からないが、そちらもどうにかして生き返したのだろうと思った。

 

「話がそれたけど、とりあえず私たちはこの巨大艦船を拠点にしてるの。細かい事はフィルノが来るときに言うね。それまでは自由にしていいよ。一人はまだ私に聞きたい事がありそうだけど、それも後でいいかな? 私はまだやる事があるからね。エメリアは私について来て」

 

 アリシアは一度なのはの方を向いて、なのはは無言で頷いた。

 それからアリシアはエメリアと一緒にどこかに行き、なのはとデュナの二人から離れていった。

 

「自由にしても良いと言われていたけど、なにしようか?」

「私も、何をしていれば良いのか分からないわ。特にする事もないし」

 

 二人が見えなくなってから、なのははデュナに話しかけた。しかしデュナは何をしていれば分からず、それはなのはも同じだった。

 

「あ、そういえばどうして高町なのは二等空佐があの研究所に居たのですか? あなたのような有名な方が居るような所でもないと思っていたのですけど」

 

 すると、デュナが突然何かを思い出したのかのようになのはに聞く。それはデュナがずっと気になっていた事で、なのはのような人間がいるような所ではなかったと思っていたのだ。

 なのははそれを聞いて、確かに他人から見ればそう思うだろうなと言われてみて気づいたのだった。

 

「あぁ、それについては話すよ。けど立ち話はどうかと思うから、どこかの部屋で言うね。自由にしていいと言っていたから使っても大丈夫だとは思うけど……」

 

 そう言うと、なのはとデュナは歩き始めてどこかの部屋へと向かうのだった。

 なのはは歩きながらこれから大変な事があるのだろうと思いながらも、デュナと一緒に歩いて行った――

説明
J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。

その青年はなのはに関わりがある人物だった。

だがなのはにはその記憶が消されていた。

消されていた記憶とは、なのはと青年の思い出であった。

二人が会ったことにより物語は始まり、そしてその二人によって管理局の歴史を大きく変える事件が起こる事になる。

それは、管理局の実態を知ったなのはと、親の復讐のために動いていた青年の二人が望んだことであった。



魔法戦記リリカルなのはmemories ?幼馴染と聖王の末裔?。始まります。
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