テイルズオブエクシリア〜転生者はイレギュラー |
〜レオンSIDE〜
バタン!
俺たちと戦っていた雷の精霊……ヴォルトは俺とミラの技によって力尽き、倒れた。
「やっとおとなしくなった」
「ぼくにかかれば、こんなものらくしょー」
レイアとティポは戦い終わってホッとしている様子だ。
「セルシウスといい、源霊匣(オリジン)てのはかなりやっかいだな」
「はい。大精霊クラスの力を感じました」
アルヴィンとエリーゼは倒れているヴォルトを見ながらそう言った。
そう、話していると、
ボシュン
空間が割れ、そこからガイアスとミュゼが出てきた。
「ガイアス、ミュゼ!」
「こんな場所で出会うとは。意外なこともあるものだな」
「やっぱりエレンピオスに来ていたのね」
俺はガイアスに目を向ける。
「おい、ガイアス。ヴォルトを動かしたのはお前か?」
「ガイアスも源霊匣(オリジン)の可能性に気づいていたの?」
ジュードが俺の言葉に続いてそう言う。
「可能性?俺はそのようなものの上で民たちを生かすつもりはない。ジュード、俺が源霊匣(オリジン)の使役を試みたのは、お前が考えそうなことだったからだ」
「え?」
ガイアスにいきなり自分の考えそうなことだと言われて、驚くジュード。
「だが、ムダだった。到底、人に御しきれるものではない」
「ちょっと待て」
「なんだレオン」
俺はガイアスの話しを遮る。
「御しきれないってのは大精霊クラスのセルシウスやヴォルトのことだろ?源霊匣(オリジン)は別にこんな強力な精霊を扱わなくてもいいんだ。例えば精霊の化石に宿っている微精霊とかな」
そう……確か原作では精霊の化石に宿っている微精霊を呼び起こすものだったはずだ。別に今ガイアスに説明しても問題ないだろ。
「俺は例えば……の話を聞く気にはならん」
「……頑固だね。そう思うんだったらここの研究員とかに聞いたらどうよ」
「断る。そのようなものは時間の無駄だ」
「そうよ。ガイアスは正しい…「てめえは黙れ糞女」……なんですって!?」
……俺はミュゼのことはあまり好きではない。何でもかんでも人に指示とかを聞かないと行動できない奴はな。
「お前は黙っていろ。俺は今、ガイアスと話しているんだ。マクスウェルが応えてくれないだけで今度はガイアスに応えてもらおうとする……一々、人に何かを言われないと何もできない奴が俺に話しかけるな」
「くっ!!!!」
俺を睨んでくるミュゼ。
「だが、結局、俺がすることは変わらん。この世界の黒匣(ジン)を一掃する。それだけだ」
「やっぱりそんなこと考えてたのかよ……」
ガイアスの考えは俺やジュードが立てていた仮設が当たっていた。エレンピオス人であるアルヴィンは黒匣(ジン)がなくなれば、何が起こるかも目に見えている。
「でも、そんなことしたら!」
「異界炉計画は確実に終わらせられる。異論はあるだろうがな」
「断界殻(シェル)はどうする?」
「断界殻(シェル)はなくさないわ。黒匣(ジン)がある限り。リーゼ・マクシアがエレンピオスに蹂躙されてしまう可能性は消えないもの」
「マクスウェルもあのままにしておくつもりか」
「弱き者を死なせないのは、強き者の義務だ」
「間違っているよ、ガイアス!」
「何が間違っているというのだ!断界殻(シェル)を維持し、黒匣(ジン)をすべて破壊した後に、世界を一つに戻せばいいだろう!」
……全部、か。その中には病気で苦しんでいる人も入っているんだろうな。
「黒匣(ジン)をなくせば苦しむ人間が生まれる。その者たちを無視するというのか!」
「苦しむ弱い人間は、ガイアスが守ってくれるわ」
ガイアスは俺・ミラ・ジュードを指差す。
「レオン、ジュード、ミラ!俺の理想がわからぬお前たちではないだろう?」
そういう、ガイアスの言葉に首を振るジュード。
「どんな理想も、人の気持ちを無視して押しつけたら意味ないよ。人が自由に生きるために黒匣(ジン)が必要なんだ!」
黒匣(ジン)が必要……ジュード。お前はこの世界に来て、そう思うんだな。フフ……いい奴じゃないか。
俺は自然と笑みがこぼれる。
「お前の言葉は可能性だけを語る恣意的なものに過ぎんぞ」
「そうかもしれない。でも、やめるわけにはいかない」
ジュードのそれを聞いたミュゼがガイアスに言う。
「これ以上ここにいるのは無意味です。行きましょう」
さて、ここからは俺のターンだな。
「ちょっと待ってもらおうか」
「……あなた、何のつもり?」
ミュゼが俺を睨む。
「ガイアス。お前の考えも可能性に過ぎん」
「……なんだと」
ガイアスも俺を睨み始める。
「まず、「黒匣(ジン)をすべて破壊した後に、世界を一つに戻せばいいだろう」って言ったよな。すべての黒匣(ジン)を破壊する……間違いないな?」
「ああ」
「なら、そのすべてには体の不自由で黒匣(ジン)によって命を繋いでいる者も入るんだろ?」
俺がそのことを言うと目を見開くガイアス。
「それと世界を一つに戻す……どうやってやる気だ」
「そんなの、わたしの力にガイアスの力を組み合わせれば……」
……論外だ。
「無理だな」
「……何故」
「リーゼ・マクシアは元々マクスウェルが作った世界。文明から何から全部違うのに二つの世界を一つの世界にしたら、文明の差でどちらかが差別される」
*読者の皆さんはわかるかと思いますが、シンフォニアの舞台となっていた「シルヴァラント」と「テセアラ」は最後には世界を一つにしましたよね?その続編のラタトスクの騎士ではその一つにしたことが原因で文明の差が出ていました。つまり、リーゼ・マクシアとエレンピオスを一つにしたら、どうなるか……お分かりですよね?
「それにミュゼ。お前、弱い人間はガイアスが守るって言ったな?」
「言っていたらどうなるのかしら?」
「すでにガイアスの言っていることは矛盾している」
「…………」
ガイアスは黙って俺を見ている。
「さっき言ったように黒匣(ジン)がないと生活できない人間だって、このエレンピオスの世界にはたくさんいるはずだ。その人たちから黒匣(ジン)を取り上げれば待っているのは……死。リーゼ・マクシアには黒匣(ジン)の代わりになるものはない。つまり、さっきミラが言った苦しむ人間はこれに該当する」
「それと、さっきガイアスはジュードの言っていることは可能性だと言っていたが、結局のところガイアスの理想も「可能性」でしかない」
ピキッ
ガイアスは目を大きく開き、動揺しているのが目に取るように分かる。
「だが……それでも俺がすることは変わらん!」
そういい、黒い空間に入ってガイアスとミュゼは消えて行った。
話が終わると、
「バラン……?バラン!!」
アルヴィンが何かを見つけたのか声を上げる。
「アルフレド……アルフレド!」
昇降機の中にバランと研究員のが乗っていた。
「動力が落ちたせいで昇降機が止まったようですね。どうにかしないと」
「ここは俺に任せな」
皆は俺を見る。
「さて、まずはヴォルトをっと」
俺は8つの術式を展開させ、その中の一つ……雷の術式をヴォルトの前に出す。
「ヴォルト……お前もセルシウスと同じように……生まれ変われ!」
ヴォルトは術式に吸い込まれる。
「続いて……来い!ヴォルト!!」
ビィシャアアアアアアン!!
俺の目の前に雷が落ち、そこには……
「この俺を救ってくれたことを感謝する」
先ほどとほぼ同じ容姿のヴォルトが立っていた。
「しゃ、しゃべったー!?」
ティポが一番驚いている。
「さすがレオン。私たちにはできないことを平気でやるな」
ただ一人、ミラだけは驚かないで感心している。
「ヴォルト。出てきてすぐ出悪いが、あそこに雷……電気を注いでくれないか?」
俺が指さす方を見るヴォルト。
「お安いご用です」
バチィィィン!
強力な雷が動力を動かす装置に注がれ、昇降機が動き出す。
バランは無事に昇降機から降りられることができたのであった。
説明 | ||
第60話 否定される理想 | ||
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1442 | 1427 | 1 |
コメント | ||
結局は「完璧」とか「完全」、「絶対」なんてない。あるとしても必ず99%であり、1%の何かがあるということですね。(BLACK) | ||
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