テイルズオブエクシリア〜転生者はイレギュラー |
〜レオンSIDE〜
昇降機を動かすことができ、バランと数名の人たちは無事、下に降りられることができた。
「助かったよ、ありがとう」
「バランさん、この人たちは?」
ジュードはバランの後ろにいる数人の人たちを見て、バランに聞いた。
「みんな、黒匣(ジン)があっても、普通に生活を送るのが難しい人たちなんだ」
ミラは数人の足元にいる生き物を見て、もしやと思いバランに聞いた。
「バラン……ひょっとして、新型黒匣(ジン)の研究結果というのは」
「うん、ここのみんな、源霊匣(オリジン)を使っているんだ」
「この子たちが源霊匣(オリジン)……?」
ジュードの視線は源霊匣(オリジン)といわれている生き物たちに行く。
「かわいいですねー。でも、力は微精霊ぐらいに感じます」
「そりゃそうだ。微精霊の源霊匣(オリジン)だからね」
バランが軽くそう言うと驚く皆。ってあれ?俺、さっき喋ってなかったっけ?
「意外だな。源霊匣(オリジン)がどうやって生まれてるのか知らないの?」
「源霊匣(オリジン)は精霊の化石から生まれる……だろ?バラン」
「なんだ、知っている子もいるじゃないか。うん、君の言うとおりだよ。それに付け加えるとリーゼ・マクシアの人がマナを注ぐと、源霊匣(オリジン)が生まれるんだ」
「おかしな話だ」
ミラは首を傾げながら、俺の足についている医療ジンテクスの装着してある精霊の化石を見て言う。
「あ、そうだよね。レオンだって精霊の化石使ってるもんね?」
「ただし、増霊極(ブースター)が必要になる」
「増霊極(ブースター)」
「……ですか?」
増霊極(ブースター)に一番、反応したのはエリーゼとティポ。まあ、ティポも増霊極(ブースター)の一つだしな。
「増霊極(ブースター)を使ってマナを注ぎ込むと、精霊の化石に宿っている術自体が実体化する。それが源霊匣(オリジン)だ」
「黒匣(ジン)とどこが違うんだ?」
アルヴィンはバランの話を聞いて、源霊匣(オリジン)と黒匣(ジン)の違いの説明を求める。
「術の精度の雲泥の差。昔会った医療算譜法(ジンテクス)ぐらいの精度が出るんだ」
「医療算譜法(ジンテクス)……だと」
「マジかよ……」
俺とミラは、俺の足についている医療ジンテクスを見る。まさか、ここにきて、これの話しを聞けるとは思いもしなかった。
「医療算譜法(ジンテクス)じゃ、精霊を消費しちゃうからね」
「それってつまり、源霊匣(オリジン)は精霊を殺さないってことですか?」
「まあね。精霊の化石に溜めたマナを使っているから」
……これを考えた奴は本当に天才的発想の持ち主だな。
「バラン。ヴォルトやセルシウスといった大精霊クラスとはどう違うんだ?」
「大精霊クラスは別物だね。どうやら精霊の力が大きくなれば、成功率は下がっていくみたいでね。ここの成功率はまだ五分五分かな」
「でも、それだけあれば……!」
皆の中で希望が芽生える。
「微精霊の源霊匣(オリジン)が黒匣(ジン)の代わりになる日も来る!」
「そうすれば、みんな黒匣(ジン)を失わない。精霊も死にません!やりました。ティポがみんなの助けになりました」
「ぼくってやっぱりすごいー!」
エリーゼとティポの喜びようは仲間の中で一番だった。そりゃ、そうだな。自分たちのデータがまさかこんな形で役に立ってくれるなんて……と思っているな。
「ってことは……エレンピオスにも自然が戻るかもしれないのか」
「だろうな」
ガシッ!
「ありがとう、バランさん!この研究のおかげで、僕たち……!」
ジュードはあまりの感激でバラン手を握って、振る。
「ハハ、なんでそこまで喜んでるかは知らないけどさ、俺たちだけじゃないよ。君たちがこの研究を守ってくれたんだ」
「僕たちが……?」
「そう。助けてくれなかったら、源霊匣(オリジン)の研究はきっと潰えていた。みんなもいつの日か社会に戻っていける」
俺たちによって助け出された人たちは俺たちに笑顔を見せてくれている。助けてくれてありがとうっと。
「源霊匣(オリジン)の研究……もっと必要になる」
「目指すべき将来(みち)が見つかったようだな」
「ああ。これがもっと成功していけば……この世界の黒匣(ジン)は源霊匣(オリジン)へと変わる」
俺とミラはこれからのことが目に浮かんできている。
だが、そんな俺とミラを見ていたジュードは疑問を持ち始める。
「……レオン?ミラ……?」
俺たちの雰囲気で何かを感じたのか、俺たちを見ている。俺は気づいているが……無視した。面倒なことになるかもしれないし。
「バラン、俺たちが現れた場所って言うのを詳しく教えてくれないか」
「ああ、もちろん。君たちが倒れていたのは、ルサル街道を進んだ先だ」
バランはそういいながら、そのルサル街道のある方向を見る。
「ルサル街道へは、この通路を進めば出られるよ」
「ジュード。これでガイアスもわかってくれるね!」
「もう……ムリだよ」
まあ、確かに可能性が現実になった今、このことをガイアスに話せば、普通だったらわかってくれる。だが、相手はあのガイアス……ムリだな。
「なんとなくわかるんだ。ガイアスも……あれが最後だったんだよ」
「ああ。ガイアスは一度は信じてみようと思っていた。だが、結果は駄目だったんだよ。ヴォルトを使役しようとした時点で。もし、ガイアスがここにいたらわかってくれていたかもしれないがな」
希望を持てたが、結局はガイアスと戦うことになることが少し、俺たちに暗い気持ちが出始めた。
俺たちは、そのままルサル街道に出て、俺たちが倒れていたという丘へ向かうのであった。
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第61話 可能性は現実へ | ||
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