IS学園にもう一人男を追加した 〜 1話 |
獅苑SIDE
「・・・」
俺は今、手に持っている服を見ている。
「・・・はぁ〜」
ため息が出る。だってそうだろう、今、手に持っている服が女子用の制服なのだから。
〜〜〜回想〜〜〜
この前の試験会場(実は藍越学園とIS学園の試験会場を間違えてたようだ)での件で俺の名前だけが有名人となった。なぜ名前だけだというと、あの話題がニュースで流れて、もちろん自宅にはマスコミは来る。がマスコミの第一声は必ず俺を見て
「朝霧獅苑はいますか?・・・」(マスコミ)
目の前にいるんだけどね・・・嘘言ってもしかたないから「俺だが」と、言うと、マスコミは驚きの声を上げる
(というか、来る前に写真とかで確認しろよ)
心の中でぼやく。まぁもちろんその後、質問攻めにされたわけだが全部適当に返したが・・・
「あなたは本当に男なんですか・・・?」(マスコミ)
あぁ〜めんどい、もう十分話したからいいだろう。そう思い自宅のドアを閉め鍵を閉める。外でマスコミたちが声を上げているが、無視。
ソファーに寝転がり試験会場にいた、もう一人のIS男性操縦者のこと思い出す。
(あいつの方はもっと大変だろうな〜、なんせあの織斑千冬の弟だからな)
モンド・グロッソ第一回大会の優勝者、織斑千冬。初代世界最強、ブリュンヒルデの弟が世界初のIS男性操縦者になったらこれほどのスクープはないだろう。
(まぁ、俺には関係ないか)
その後にもマスコミは自宅に来るが全部無視した。だがそれよりチンピラに絡まれるのが多くなった(俺の事を知っているチンピラ)。いつも週3で来るのにニュースで報道されてから倍の週6で来るようになっちまった。正直、これが一番めんどくさい。いくらボコボコにしても、次の日になると違うチンピラが襲い掛かってくる。こいつらがまたタフで動けなくなるほどのケガを負わせても一週間の内にまた襲い掛かってくる。
〜〜〜回想終了〜〜〜
まぁそんなこともあって俺はIS学園に行くことになったんだが、届けられた制服が女子用のものだった。
(女に間違われるのは慣れてるが・・・さすがに女装はしたくないな)
そう思い、俺は制服ではなく中学の制服に着替えて(制服は学ラン。ちなみに私服を持っていない)、女子の制服をカバンに入れ家を出る。
(しばらくは帰ってこれないな、この家に)
「行ってきます」
〜〜〜獅苑移動中〜〜〜
人通りは苦手なので必然的に裏道を通る。すると
「おいおい、そこのネ〜チャン」
「・・・またお前らか」
聞き覚えのある声。声が聞こえた場所の方を向くと、見たことのある顔がそこに並んでた。また回りの物陰に隠れている奴がいるからいつもより大人数で来たようだ。
「へへっ、俺たちだけじゃないんだよな〜・・・おい!」(チンピラ1)
リーダーであろう男が物陰に声をかける。すると物陰から、これまた見知った顔がずらりと俺を囲んだ。ざっと50人ぐらいか。
「わざわざかき集めてきたんだぜ。今まで俺らをコケにした分、てめぇの身体で奉仕してもらうかな、へへっ・・・」(チンピラ1)
「・・・」
「なんだ、ビビッて声もだせねぇのか。さすがのてめぇでもこの人数は無理だろう。今なら土下座して謝るなら口だけで許してやるよ、どうするよ、ネーチャン・・・」(チンピラ1)
もちろん謝るつもりはない。というか、こいつら俺が男と分かっていても、なんでこんなに迫ってくるんだろう。俺にはそっちの気はなんだがな。
(めんどくさいな〜・・・まぁしばらく帰って来ないんだから、今日はいいか)
「おい! 聞いていぐほぁ!!」(チンピラ1)
俺に手を伸ばしたチンピラ1を殴り飛ばす。チンピラ1は壁にめり込み動かなくなった。チンピラたちは壁にめり込んだチンピラ1を見て口をあんぐり開き俺から距離をとる。そんなチンピラたちに俺は
「どうした、人がせっかく本気で相手にしようと思ってんだ。さっさとかかって来い」
そう言うと、チンピラたちは顔を真っ赤にして俺のまわりを囲んで殴りかかってきた。俺は慌てず殴りかかってくるチンピラ一人に向かって駆け出し、右手で頭を鷲掴みして壁に叩きつけた。叩きつけられたチンピラのそばにいたチンピラたちは一瞬のことで何が何だか分からないのか頭に?マーク浮かべていたが、さっきまで目の前にいたはずの俺が後ろにいたことに驚きながらも殴りかかってくる。俺は右で掴まえているチンピラを離し後ろを向く。笑みを浮かべながら
「そうでなくちゃな」
〜〜〜獅苑無双中〜〜〜 (省略します)
(これで全部か)
俺の周りにはさっきいたチンピラたちと途中参戦してきたこれまた見の覚えがある、チンピラたちがいた。最初は数えていたんだが30超えた時点でやめた。チンピラたちの屍(死んでないぞ)を超え、俺は女子の制服が入ってるバックを持ってIS学園に向かう。
(間に合うかな)
〜〜〜IS学園、校門前〜〜〜
結果、間に合わなかった。
校門の前に黒いスーツを着た、鋭い目つきの女性が立っていた。すごい剣幕で・・・
「登校初日から遅刻するとは何事かっ! 馬鹿者っ!」
「すみません」
すぐに頭を下げる。チンピラに絡まれたとはいえ非はこちらにあるからな。
「それになんで学校指定の制服じゃないんだ。制服は自宅に送られていたはずだ」
まぁ、そう言うよな。
「いえ、確かに届いていたのですが、女子用のだったので、しかたなく・・・」
「そ、そうか。すまなかった。すぐに男子用の制服を手配する。明日には届くだろう」
「ありがとうございます」
「礼はいい。そんなことより早く来い。理由はなんであれ、お前は遅刻してるんだ」
「わかりました」
俺は女性の後をついていく。すると女性が歩きながら自己紹介してきた
「私は織斑千冬だ。お前のクラス、1−1の担任をうけもっている」
あぁ、この人があのブリュンヒルデか。道理でオーラに威圧感があると思った。しかも担任か。気が抜けないな。
「別に警戒しなくていい。悪いようにはせん」
(心を読まれた・・・余計に気が抜けないな)
俺は心を読まれないように、さらに気を張った。
「・・・ここだ。私が呼ぶまで廊下で待っていろ」
「はい」
織斑先生に言われ廊下で待つことに、すると教室から[がたたっ]と、音が聞こえ教室に耳を澄ます。すると[パアン]と、音が聞こえた。
「げぇっ、関羽?!」
[パアン]
また音が聞こえた。どうやら声のほうは男か、試験会場にいた奴だろう。というかあの音って叩く音か。音から察するに頭を叩く音だろうけど、あんな音が出るのか・・・あぁ、出せそうな人いたな〜
「誰が三国志の英雄か、馬鹿者」
織斑先生ならあれぐらいの攻撃は普通か・・・
「あ、織斑先生。彼、来たんですか」
「ああ、山田君。クラスへの挨拶を押し付けてすまなかったな」
「い、いえっ。副担任ですから、これくらいはしないと・・・」
どうやら俺が遅れたせいで副担任の先生は大変だったぽいな。
(・・・すみません)
心の中だけでも謝った。
織斑先生の自己紹介が始まった。
「諸君、私が織斑千冬だ。私の言うことはよく聴き、よく理解しろ。 出来ない者には出来るまで指導してやる。私の仕事は弱冠十五歳を十六歳までに鍛えぬくことだ。逆らってもいいが、私の言うことは聞け。いいな」
(・・・軍隊みたいだな)
などと思っていたら、教室から黄色い声援が響いた。
「「「「「「「キャーーーーーー!」」」」」」」
「千冬様、本物の千冬様よ!」
「ずっとファンでした!」
「私、お姉様に憬れてこの学園に来たんです! 北九州から!」
「あの千冬様にご指導していただけるなんて感激です!」
「私、お姉様のためなら死ねます!」
「・・・毎年、よくもこれだけの馬鹿者が私のクラスに集まるものだ」
織斑先生は困った感じで言った
「キャーーーーーー! お姉様! 私を叱って! 罵って!」
「でも時には優しくして!」
「そしてつけあがらないように躾して〜!」
このクラスはにぎやかだな。
(めんどい事に巻き込まれなければいいが)
そんなことを思っていたら教室から聞き覚えがある声が聞こえた。
「先生、先生、せんせーい!!」
「はい。なんですか? 布仏さん」
(ん? 布仏? まさか・・・いや、そんなわけ)
「もう一人の男子生徒はどこのクラスなんですか?」
「そいつなら、ここのクラスだ。今、紹介する。 おい、入って来い」
さて、入るか・・・でも、さっきの声はやっぱりあいつに似ているな
教室に入ると女子たちが不思議そうに、こちらを見た。まぁここの制服ではなく学ランを着た人が入って来たんだからしかたないか。その中で唯一の男である奴は頭を抱えて悶えている。
俺は教卓の横に立つ
「朝霧、自己紹介しろ」
「わかりました。・・・朝霧獅苑です。好きな食べ物は飴で、ソーダー味が好きです。よろしくお願いします」
普通に自己紹介をしお辞儀をする。頭を上げると
「「「「「「「きっ・・・」」」」」」」
「・・・?」
なんかいやな予感・・・耳ふさいどこ。
「「「「「「「キャーーーーーーーーーーーーーーーー!」」」」」」」
すごい音量だな。耳をふさいでいても頭に響いてくる。さっきまで悶えていた男なんて、この音量に苦渋の顔して耳をふさいでるぞ。
「織斑君に続いて二人目の男子!」
「テレビで見るよりかわいい!」
「何で学ランを着てるんだろう?」
「織斑×朝霧、これは売れるわ!」
かわいいって、別にいいけどさ〜。けど四人目の奴、俺にそっちの気はないからな。
「静かに!!」
織斑先生の声が教室に響く。するとさっきまで騒がしかった女子たちがピタッて止まる。
(さすが、世界最強だ。こんな簡単に空気が変わるんだな)
「服装に関してはこちらの方の手違いだ。気にするな・・・朝霧、お前の席は一番後ろで窓側の席、布仏の隣だ」
「わかりました」
(布仏・・・ね、)
慣れない自己紹介に疲れた俺は席に座り、隣で座っている布仏さんを見た。すると、こっちの視線に気づいたのか
「ひさしぶりだね〜、ギリー」
間延びした声で話しかけられる。笑顔で、
忘れはしない。その太陽のような明るい笑顔を。俺が昔から大好きだった女の子の笑顔を。
「本・・音・・・?」
本音SIDE
ニュースで獅苑くんの名前が出た時、驚きのあまりお姉ちゃんが淹れてくれた紅茶を落としてしまった。だから私は今日という今日が楽しみでしかたなかった。
だが、入学式が始まっても獅苑くんは現れず、そのまま時間だけがすぎ自己紹介が始まった。
「げぇっ、関羽?!」
[パアン]
「誰が三国志の英雄か、馬鹿者」
もう一人のIS男性操縦者である、織斑一夏が叩かれた
(織斑君か〜、だったらオリムーだね)
と、思っていたら、先生たちが話し合っていた。話を聞いていると
「あ、織斑先生。彼、来たんですか」
(うん? 彼?・・・もしかして!)
気になって手を上げて質問しようとするが
「諸君、私が織斑千冬だ。私の言うことはよく・・・」
織斑先生の自己紹介が始まって上げようとした手を下げた。
やっとクラスが落ち着いたところを見計らって
「先生、先生、せんせーい!!」
私は両手をバンザイのように上げ質問する。
「はい。なんですか? 布仏さん」
「もう一人の男子生徒はどこのクラスなんですか?」
「そいつなら、ここのクラスだ。今、紹介する。 おい、入って来い」
教室のドアが開らき、学ラン着た女性が入ってきた。でも私はそれが誰なのかすぐに分かった。
(見ない間に女っぽくなったね〜。獅苑くん)
思い人の成長姿を見て口元が緩んでします。そう思ってる間に自己紹介が始まる。
「わかりました・・・朝霧獅苑です。好きな食べ物は飴で、ソーダー味が好きです。よろしくお願いします」
たとえ成長しても好みが変わってないことに、さらに口元が緩む・・・というより、もう笑っている。
私は笑っていることに気づき口元に力を入れ必死に我慢する。我慢していると獅苑くんがこちらに近づいてくる。どうやら獅苑くんの席は私の隣みたい・・・でも
(なんか疲れてる? もしかして自己紹介でかな〜。獅苑くん、人前で自己紹介とか説明とか苦手だったからね〜)
なんて思っていると獅苑くんが席に座り、こっちを見てきた。だから私は笑顔で
「ひさしぶりだね〜、ギリー」
人前だから名前で呼べなくて残念だけど、かわりに私がつけたあだ名で呼ぶ。すると獅苑くんは
「本・・音・・・?」
(おぉ〜、獅苑くんの驚いたとこ顔が見れた〜、今日は運がいいね〜)
あ、でも、獅苑くんに会えただけでなく、席が隣ってことだけでも、運がいいかも。
(これから楽しくなりそうだね〜)
獅苑SIDE
(関係ないけどさ、なんで制服の袖口はあんなに長いんだ?・・・・・・・・別にどうでもいいか)
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チンピラって、ここまでイカレてはいないよね・・・? | ||
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