IS学園にもう一人男を追加した 〜 3話
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一夏SIDE

 

 

「うぅ・・・」

 

放課後、俺は机の上でぐったりとうなだれていた。

 

「意味が分からん。何でこんなにややこしいんだ・・・」

 

机の上に辞書並みの厚さの教科書が五冊、置いてある。しかも1ページごとに専門用語の羅列がびっしりと並んでいた。廊下には放課後でも他学年・他クラスの女子たちがきゃいきゃいと小声で話し合っている。

 

(うぐ・・・勘弁してくれ・・・)

 

昼休みも、それは地獄だった。俺が学食に移動するとゾロゾロと全員がついてきて、どこに行っても包囲網みたいのが出来てた。

 

(そういえば、獅苑の奴、どこに行ったんだ)

 

四時限目から姿を見ない。先生は慌てていたが、一部の女子は「やっぱり・・・」とか言っていた。

 

「ああ、織斑君。まだ教室にいたんですね。よかったです」

「はい?」

 

呼ばれて顔を上げると、山田先生が書類を片手に立っていた。

 

「えっとですね、寮の部屋が決まりました」

 

そう言って部屋番号が書かれた紙と鍵を渡してきた。

 

「あれ、俺の部屋って決まってなかったんじゃ・・・」

「そうなんですけど、事情が事情なので、一時的な処置として部屋割りを無理矢理変更したらしいんです」

 

確かに、あのニュースが流れてから自宅にはマスコミだの各国大使だの果てには遺伝子工学の人間まで来た。

 

「そう言うわけで、寮に入れることを最優先にしたみたいです」

「すみません、寮の部屋って相部屋ですよね。ってことは獅苑と同じですか?」

「い、いえ、朝霧君とは別の部屋です。なにせ急だったもので」

「え、それじゃあ、女子と相部屋・・・ですか?」

「そ、そうですね。そうなります。で、でも一ヶ月もすれば、ちゃんとした部屋割りになると思いますから」

 

なんだと! ってことは一ヶ月の間、女子と過ごさなくちゃいけないのか!

 

「あの〜、織斑君?」

「はぁ・・・それで、部屋のことは分かりましたけど、荷物はどうするんですか? 一度、戻って取ってくるとか」

「あ、いえ、荷物なら「私が手配をしておいてやった。ありがたく思え」」

(この声は・・・)

 

声が聞こえたほうを向くと、俺の脳の中でダース〇イダーの曲が流れていて、目の前に千冬姉と獅苑がいた。

 

「織斑先生、お疲れ様です」

「あぁ、まだ仕事が溜まっているがな。こいつのせいで・・・」

 

そう言うと、獅苑の頭をぐりぐりと撫でた。何したんだ獅苑のやつ?

 

「山田君、朝霧にも寮の鍵を・・・」

「は、はい。朝霧君、これが寮の鍵です」

「ありがとうございます」

「じゃあ、時間を見て部屋に行ってくださいね。夕食は六時から七時、寮の一年生用食堂で取ってください。あと大浴場は今のところ、織斑君と朝霧君は使えません」

「え、なんでですか?」

「・・・アホ」

 

獅苑から俺にしか聞こえないぐらいの声で「アホ」と言われた。言い返そうとしたら千冬姉が

 

「アホかお前は。まさか同年代の女子と一緒に風呂に入りたいのか?」

「あー・・・」

 

そうだった。ここ、俺たち以外は女子しかいないんだった。

 

「お、織斑君っ、女子とお風呂に入りたいんですか!? だ、ダメですよ!」

「い、いや、入りたくないです」

「・・・アホ」

 

ちゃんと否定したのに、また獅苑に「アホ」と言われた。

 

「ええっ! 女の子に興味がないんですか!? そ、それはそれで問題のような・・・」

 

山田先生が俺の言葉を違う意味で捉え顔を赤くしている。山田先生の言葉を聞いた女子たちがきゃあきゃあと騒ぐ。

 

「織斑君、男にしか興味がないのかしら・・・?」

「それはそれで・・・いいわね!」

「もしかして朝霧君もかな?」

「二人の中学時代の交友関係を洗って! 明後日までには裏づけを取って!」

 

何の話だ、何の。そう思ってると先生たちは会議があるらしいので、この場から離れた。

 

「ふー・・・帰ろうか、獅苑」

「わかった」

 

俺たちは教室を出る。まだ教室では女子たちが騒いでいるが無視しよう。

 

〜〜〜獅苑・一夏移動中〜〜〜

 

俺は寮に向かっている途中、獅苑に質問してた。

 

「なぁ、三時限目の後、お前何してたんだ?」

「・・・織斑先生に追いかけられた」

「は・・・? なんで」

「・・・」

 

獅苑はそれ以上、何も言わなかった。

 

〜〜〜寮内、1025室、前〜〜〜

 

「え〜と、ここか。1025室だな」

「そうか、また明日」

「お、おう。明日・・・」

 

結局、獅苑はその後も何もしゃべらなかった。俺は獅苑の背中が見えなくなったのを確認してドアの鍵を差し込む。

 

(あれ? 開いてるじゃん。)

[ガチャ]

 

部屋に入ると、大きめのベットが二つ並んでいた。とりあえず荷物を床に置き、俺は早速ベットに飛び込む。

 

(おお、、なんというモフ感)

「誰かいるのか?」

 

ベットのモフ感を堪能していると、奥のほう・・シャワー室から声が聞こえた。ドア越しなのか、声に独特の曇りがある。

 

「ああ、同室になった者か。これから一年よろしく頼むぞ」

(・・・嫌な予感がする)

[ガチャ]

 

シャワー室のドアが開き、そこから出てきたのは

 

「こんな格好ですまない。シャワーを使っていてな。私は篠ノ之・・・」

「・・・箒」

 

今日再開した幼馴染だった。

 

 

獅苑SIDE

 

 

一夏と別れ、今俺は自分の部屋の前にいる。

 

[1015]

(ここか。まさか一夏の部屋の真下とは)

 

ドアの鍵を開け、中に入る。中に入ると大きいベットが二つあり、その一つにお菓子の袋が乗っている。

 

(同室のやつか? 今はいないようだけど)

 

部屋には人影はなく、俺は気にせず、学ランを脱ぎ、バックにかけておく。

ちなみに俺の荷物を持ってきておらず、今手持ちにあるのは、ケータイと教科書が入ってるバック、そしてポケットに入ってる、飴(ソーダ味)だけだ。

俺はそのままベットに倒れこみ、身体を休める。

 

(今日は疲れた・・・)

 

そう思っていると、

 

[ズドン!]

(・・・?)

 

音が天井から聞こえ、首をかしげる。

 

[ズドン!]

[ズドン! ズドン!]

[・・・シーン]

 

音が鳴り終わり、ベットから足を出し座る。俺はポケットから飴を取り出し、口に入れる。そのまま、ぼ〜としていたら、部屋のドアが開き、誰かが入ってくる。おそらく同室の者だろう。

 

「っ・・・」

「ぇ・・・」

 

俺は同室のひとを見た時、飴を飲み込んでしまった。同室の人は制服と同じように袖口が長く、狐のパジャマだと思う物を着た。本音だった。

 

 

本音SIDE

 

 

「っ・・・」

「ぇ・・・」

 

私は自分の部屋でベットに座っている、獅苑くんを見て声がうまく出せない。

 

「ここ、本音の部屋か?」

「え! う、うん。そうだよ〜」

 

獅苑くんの声で我に返った私は、『あの事』を悟られないように、いつもどうりに話す。

 

「えと・・・な、なんでここにいるの?」

「いや、今日からここに少しの間、お邪魔することになっていて・・・」

「へ、へ〜、そうなんだ〜。オリムーがほーほーと相部屋で、獅苑くんは私と相部屋か〜。良かった〜」

 

私がほっとしていると、獅苑くんが

 

「ほーほーって人が誰なのか、分からんが・・・その、良かったって・・どういうことだ?」

「え!?」

 

獅苑くんは頬を掻きながら聞いてきた。私は慌てて

 

「ち、違うからね! 私は獅苑くんと相部屋になれて良かった〜って、お、思ってなんか・・・」

「・・・///」

「うぅ〜〜〜〜///」

 

自分から墓穴を掘ってしまい、うなだれる。獅苑くんは顔を赤くして黙っている。そうなると当然、重い空気になるわけで、

 

(ど、どうしよ〜、私、この空気に堪えられないよ〜・・・何か話さないと)

「し、獅苑くん!」

「(ビクッ)・・・何」

「えと、その・・・答え、なんだけど・・・」

(私のバカ〜! なんでこのタイミングで言うの〜〜〜!)

「・・・答えって、あの事?」

 

獅苑くんは恥ずかしいのか、告白とは言わず『あの事』と言った。

 

「う、うん///」

「そ、そうか・・・」

(こうなったらヤケだよね! だっていつまでもこの思いは変わらないもん)

 

私は獅苑くんに近づく

 

「・・・チュっ」

 

 

獅苑SIDE

 

「・・・チュっ」

 

俺の頬に本音の唇が当たった。

 

「えっ・・・?!」

 

俺は突然の行動に驚き本音を見たら

 

「獅苑くん」

 

俺の名を呼んで

 

「私も大好きだよ。これからもずっと」

 

太陽な明るい笑顔で返事をもらった。

その笑顔を見て、俺は本音を抱きしめる。

 

「ふぇ!? ちょっ、獅苑くん!?」

「もう、離れない」

「えっ・・・?」

「もう! 絶対に本音から離れない!!」

「っ!・・・獅苑くん///」

 

本音からも抱きしめられる。俺たちしばらく抱き合っていたが、顔だけを離し、目が合う。すると本音は目を瞑る。俺も察して目を閉じる。二人の距離が近づいていき

 

[ドガスッ! バタッ]

 

すぐに離れた。俺と本音は音がした天井を見て、顔を見合わせる。すると途端に恥ずかしくなって本音から離れる。

 

「ぁ・・・」

 

本音は一瞬悲しそうな顔をしたが、本音も俺から離れる。

 

「寝るか」

「う、うん。そうだね!」

 

俺はそのまま布団に入る。本音も窓際のベットに入る

 

「おやすみ〜」

「ああ、おやすみ」

 

俺は目を瞑り、身体を楽にする

 

(明日、一夏殴ろ)

 

俺は上の部屋で寝ているであろう人物に殺意を抱いた

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インフィニット・ストラトス 朝霧獅苑 のほほんさん 

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