IS〈インフィニット・ストラトス〉 〜G-soul〜
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「いやー、少年。また会ったね」

 

「はあ、お久しぶりです」

 

「そっちのお嬢ちゃんも。相変わらず可愛いね」

 

「あ、ありがとうございます」

 

俺たちが強盗を縛り上げ終えると警察の人達が乗り込んできて、その先頭を切って入ってきたのは、いつか会った中年

お巡りさんだった。

 

「いつの間にか昇進なされたんですね」

 

「まあね。おじさん偉くなったんだよ」

 

手錠をはめられた強盗団の連中がぞろぞろとパトカーに入れられていく。そのうち一人は俺が衣服を剥いでいたのでト

ランクス一丁だ。

 

「刑事!」

 

奥のほうから検察官らしき人が刑事さんのもとへ駆け寄ってきた。

 

「おう。どした?」

 

「あの・・・店の奥にもう一人の強盗団のメンバーらしき男を発見したのですが・・・・・」

 

「『ですが』?」

 

「そのですね・・・・・壁にメリ込んでるんですよ。頭が」

 

「え・・・・・」

 

刑事さんが凍りつく。

 

(ヤッベ! あの『ふくあち』、メリ込ませたままだった!)

 

「え、瑛斗、もしかしてそれって・・・・・」

 

「う・・・うん。俺・・・・・・・」

 

「んん? お二人さん、何をひそひそ話してるんだい?」

 

「えっ!? い、いや別に!?」

 

「な、なんでもありません!」

 

あわてて誤魔化す。

 

「? まあいいや。そのメリ込んでるのも引き抜いて連れてけ」

 

「わかりました!」

 

検察官らしき人はまた店の奥へ消えて行った。

 

「桐野君! デュノアちゃん!」

 

「あ、店長さん」

 

すると人質となっていたお客さんたちの中から店長さんが駆け寄ってきた。

 

「大丈夫? 怪我してないかしら?」

 

「はい。僕たちは大丈夫です。店長さんは?」

 

「私は大丈夫よ。ごめんなさいね。まさか二回も強盗に駆け込まれるなんて」

 

「いえいえ。こればっかりは仕方ありませんよ」

 

俺はペコペコと謝ってくる店長さんに笑って答える。

 

「それに結構ドラマみたいで面白かったですし」

 

「そう? あ、そう言えばバイト代! もうこんな時間になっちゃったし、弾んであげるわ」

 

「「え?」」

 

そこで俺とシャルはビシリと凍りつく。

 

「? どうしたの?」

 

「あ・・・あの・・・・・」

 

「今、何時・・・・・ですか?」

 

「今? えっと・・・・・」

 

店長さんは携帯電話を開いて時間を見た。

 

「五時十分ね」

 

五時・・・・・? 十分・・・・・・?

 

「う、うおお!? ヤべエェッ!!」

 

「ち、遅刻! 遅刻しちゃう!」

 

俺は生徒会の仕事があって、六時までには学園にいなけりゃいけないのに! パーティーは確か、六時半だった!

 

「急ぐぞシャル! 俺、楯無さんに怒られる!」

 

「ぼ、僕も! 部長に最後の仕上げは必ず手伝うって言ってきたんだ!」

 

どうやらシャルも大事な用事があったようだ。つまりは・・・・・。

 

「「お、遅れるぅぅぅ!!」」

 

俺とシャルは走りだす。着替え終わっていたのが唯一の救いだった。

 

「あ、二人とも! バイト代は!?」

 

「「いりません!」」

 

走りながら答える。

 

「おー・・・無賃労働とは、見上げた根性だねぇ」

 

去り際、刑事さんの声が聞こえたが、いまはそんなのに構ってる場合じゃない!

 

「「う、うわああっ!」」

 

駅前からIS学園まで全力で帰るにしても駅でバスに乗らなくてはならない。

 

「シャ、シャル! 次のバスって何分だ!?」

 

「え、えっと・・・・・十五分!」

 

「あと五分かよ!?」

 

全力で走って間に合うか間に合わないかギリギリの時間だ! しかし・・・やるっきゃない!

 

「「うにゃああああっ!」」

 

冬の暗くなった空に、俺とシャルの叫びが木霊した。

説明
学園に戻ろう! 全力で!
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