IS学園にもう一人男を追加した 〜 6話 |
獅苑SIDE
(何でこうなった?)
俺は今、また第三アリーナにてISを纏っている。目の前には『ミステリアス・レイディ』という、ISを装備している二年生の女子・・・更識楯無さんがいる。
「さぁ、どっからでもかかってらっしゃい」
更識さんは笑ってランス『蒼流旋』を構える。それを見て俺は更識さんの後ろをとる
[ガキンッ]
「へ〜、はやいね〜」
(ほ〜・・・)
更識さんは俺の手刀をランスで受け止めた。俺は距離をとり、腰からBソードを取る。
「行くぞ・・・」
「どうぞ〜♪」
俺は一気に加速する。
「!」
更識さんは驚き急いでガードをとる。だが俺は背中に回りBソードをぶつけ空に飛ばす。更識さんは空中で動きを止め、すぐにランスを構える
「いてて、まさかあんなに速いとは思わなかったよ」
(さすがに本気を出すと、体に響くな)
「じゃあ次はおねーさんからね」
そう言ってランスの先端をこちらに向けた。まさか・・・
[ダダダダダダッ]
(ガトリングか・・・)
俺は高速で避け、接近する。更識さんはガトリングを止め、ランスを構えたまま突撃してきた。だがランスに螺旋状で纏っているなにかがある。俺は直感でそのランスを受け止めず避ける。
「よく避けたね。おねーさん驚きだよ」
「・・・あなたのISって、もしかして」
「そう、私のIS『ミステリアス・レイディ』は水を操ることができるの」
っていうことは、あのまわりで浮いているのが、水を構成してるのか。
「・・・じゃあ、俺の最初の一撃を堪えたのは」
「そう。この能力のおかげ」
おもしろい、おもしろくなってきた。こんなに燃えたのはひさしぶりだ
(やばい、楽しすぎて感情を抑えられない)
「あら、どうしたの?」
「いやな、こんなに楽しいのは何年ぶりとかと思ってな。さぁ、もっと楽しもうぜ」
俺は体のことは気にせず、加速しBソードを振り下ろす。更識はランスで防御して地上にでの打ち合いに。
「どうしたっ! そんなものかー!」
「くっ」
「終わりだー!」
そのまま壁際に追い込み最後の一撃を決めようとする。が、Bソードがぶつるかると更識は水になって崩れる。
「!?」
「残念♪」
「がはっ!」
後ろに回りこんだ更識のランスが直撃し絶対防御が発動する。そのまま壁に叩きつけられた。
「・・・」
「気絶しちゃった?」
「ふふふふ、ふははははは!」
俺は壁から体を抜く。そして笑いながら。
「・・・そんなものか。もっと俺を、楽しませろーーー!」
「!?」
すぐに更識は何かを感じっとって俺から離れるが、俺はBソードを腰にしまい、首を掴み思いっきり殴り飛ばす。だが水のヴェールで防がれ、決定打にはならない。
「ぐふっ!」
更識は飛ばされるが、すぐに体制を戻し、ガトリングを撃ちながら上昇する。俺はそれを避けながらバルカンで応戦。だが俺の攻撃はすべて水のヴェールでガードされる。だから俺はバルカンを止めガトリングを避けながら接近する。
「行くわよー!」
「来ーーい!」
ガトリングを止め、。俺は今度は避けずにSEを切り、守りが絶対防御だけになる。ランスが俺にぶつかる手前で両手で受け止める。
「そんな!?」
「もっと、もっともっともっと!」
俺のテンションは最高潮に達し
「くっ・・・」
「もっと楽しませろーーーーー!!!」
『単一仕様能力 アフタリミジン発動』
楯無SIDE
突如、私の体が飛ばされ、すぐに体制を戻す。だが朝霧君の姿はまだランスを受け止める形で止まっている。だがそれがゆらゆらと消えていき、ただの空気となる。
「残像!?」
「そのとおりだ」
本物の朝霧君はすでに私の後ろをとっていた。私はすぐに反転してガードするが、前からの攻撃はなく上から攻撃される。そのまま地面に激突しそうになるがなんとか着地する。朝霧君を見るとISの装甲の隙間から粒子を出して輝いている。だがすぐに粒子の出を止めた。
「その能力ってSEを消費して使ってるのね」
「ああ、だがもうSEに余裕はない」
「じゃあ引き分けかな?」
「そうだな」
私はISを解除する。すると視界がグラッとして倒れそうになるが、いつの間にいたのか、ISを解除した朝霧君が私を支えてくれた。
「ありがと」
「いえ」
さっきまでの気迫はどこに行ったのか、とても落ち着いた感じで私に話しかけた。
「立てますか?」
「えぇ」
「・・・で、満足しましたか?」
「・・・」
私は朝霧君を見つめる。
「・・・?」
「・・・うん、やっぱり私の目に狂いはないわね」
「・・・」
獅苑SIDE
(なにを言ってるんだ。この人?)
いきなり「狂いはないわね!」って言われても
「朝霧君ってさ、 どこの部活に入るか決めてる?」
「いえ、決めてないです」
めんどいからやりたくないんだけどね。
「だからさ、生徒会に入ら「結構です」・・なんで〜」
「めんどいから」
「スパッて言ったね。でもこれはあなたにとって得でもあるんだよ」
得? あぁそういうことか
「つまり、生徒会に入ることで部活動のしつこい勧誘を回避できるって事か」
「そゆこと♪ それに生徒会には君の知り合いがいるし・・・ほら、そこにいるわよ」
俺は更識さんが指を指した方を見る。そこには本音と眼鏡をかけた大人っぽい女子がいた。
「なんで本音が」
「あれ? 朝霧君、本音から聞いてないの?」
「え? なにをですか?」
「はぁ〜、ま、いいか。まず本音ちゃんのことだけど、本音ちゃんは生徒会に所属していて、あと私の従者でもあるの」
従者? 従者って主とメイドみたいなものか? 何で本音が
「むかーしから、更識家のお手伝いさんなんだよー。うちは」
俺が疑問に思っていると本音が説明してくれた。
「でも、俺、初耳だぞ。従者なんて・・・」
「ご、ごめんね〜。言えるタイミングがなくって」
「だから言ったでしょ、ちゃんと伝えなさいって」
「ごめんね〜、お姉ちゃん」
「は? お姉ちゃん」
この人が本音のお姉さん? いるとは聞いていたけれど、ぜんぜん似てないぞ。でも面影はあるな・・・
「私は布仏虚。本音の姉です。はじめまして、朝霧君」
「は、はい。はじめまして。虚さんでいいですか?」
「ええ、かまいません。本音の彼氏ですから」
「ちょっとお姉ちゃん///」
本音のお姉さん、虚さんに自己紹介が済むと更識さんがジト目でこちらを見る
「・・・なんですか?」
「・・・なんか私と虚ちゃんの対応が違う」
「ふふ、お嬢様、妬いてるんですか?」
「ち、違うわよ。ただこう・・・なんとなくよ/// あとお嬢様はやめて」
(なんで顔を赤くしてるんだ?)
「失礼しました。つい癖で・・・」
その虚さんの姿を見ていると、本当に従者に見えてくるのは気のせいではないだろう。そう思っていると今度は本音に笑顔でこちらを見る。
「へ〜、見ない間に会長さんと仲良くなんたんだね〜」
(本音さん? 笑顔が怖いんですけど・・・)
どうやら本音は怒っているようだ。なんでだろう?
「そういえば私の自己紹介してなかったね」
(そういえば名前しか聞いてなかったな)
戦闘前に更識さんの名前を聞いたぐらいで、ほかのことは何も知らない。
「私は更識家17代目楯無。そしてIS学園最強の生徒の長。生徒会長よ」
「・・・・・・・はあ」
「反応、薄いわね」
「いや、いきなり言われてもね・・・」
正直、どうゆう反応していいか、分からない。
「もうすぐアリーナが閉まりますので、生徒会室に行きませんか? 朝霧君も来てくれますか?」
「わかりました。あと俺の事は下の名前でいいですよ」
「そう、じゃあ獅苑君って呼ぶわね」
「じゃあ私も! 獅苑君♪」
そう言って、更識さんは俺の腕にくっついた。もちろん腕にやわらかいのが当たるわけで
「更識さん、当た「楯無って呼んで♪」・・・楯無さん、当たっているんですけど」
「当てているのよ。えっちだね、獅苑君」
「・・・///」
「う〜〜〜〜・・・獅苑くんから離れて〜!」
本音がもう片方の腕にくっつく。
(やばい、両腕から・・・)
「いいじゃない。減るもんじゃないんだから」
「獅苑くんは減らないけど、駄目なの〜!」
「ふふふ」
(虚さん。笑ってないで止めてくれません)
他人から見たら両手に花なんだけど・・・なんでこんな疲れるんだ?
〜〜〜生徒会室〜〜〜
「どうぞ」
「ありがとうございます」
今、生徒会室にて虚さんに紅茶を淹れてもらった。ちなみに俺の腕には本音しかいない。
「ギリー、お姉ちゃんの淹れた紅茶ってね〜。ちょうちょうちょう〜、おいしいんだよ〜」
「そうなのか・・・(ゴクッ)あ、おいしいですね」
「そうよ、虚ちゃんの紅茶は世界一よ」
「買いかぶりすぎですよ、お嬢様、本音も」
「あん、お嬢様ははやめてよ」
「ほんとの事だよ〜」
「本当においしいです」
「ありがとうございます」
虚さんは照れくさそうにお礼を言う。すると虚さんは今の会話で何かに気づいたらしい。
「そういえば本音、さっきまで獅苑君の事を下の名前で呼んでいたのにどうして今はあだ名なの?」
「え! な、なんでだろうね〜」
「ふ〜ん」
虚さんは小悪魔なような微笑みながら帰ってしまった。
「・・・何で帰ったんですか?」
「私が頼んだから」
唯一の歯止めが消えてしまったこといいことに何かしでかす気じゃないだろうな?
「それでどうなの? 生徒会に入る?」
楯無さんは紅茶を飲みながら聞いてくる。
「入るつもりでいます。本音がいることですしね」
本音を撫でるとうれしそうに笑う。楯無さんはそれを見てムッとなる。
「・・・じゃあ、これ書いて」
[ドンッ]
机の上に紙の山が置かれた。
「あのこれは・・・?」
「生徒会に所属するための書類よ」
楯無さんの顔を見るととてもにこやかだ。怖いんだけど
「ほら〜、早く書かないと夜が明けちゃうよ〜」
「いや、でも本音は「寝てるよ」・・え?・・・」
本音の方を向くと俺の腕にくっついたまま、すやすやと寝ている。
「起こせるのかな、かわいいもの好きの君に〜」
「! なんでそれを・・・」
「あ、図星だったんだ。弱み一つ見つけた♪」
「くっ・・・」
俺はしぶしぶ書類と向き合う。中には明らかに関係のないもの・・・生徒会の事務仕事が入っていて楯無さんの顔を見るが、ニコニコしてて話を聞いてはくれなさそうだった。
結局、なんとか四十分くらいで終わらし、本音をおぶって寮に戻った。
楯無SIDE
(ちょっと苛めすぎたかな〜)
「さすがにやりすぎなんじゃないですか? 楯無さん」
「やっぱりそう思う、虚ちゃん」
虚ちゃんには教室で待機して頃合を見て、戻ってきてと言っておいた。もし近くに待機させると獅苑君に感づかれるかもしれないからである。
「それで、どうでした? 試合のほうは」
「引き分けよ・・・って言いたいところだけど、最初から単一仕様能力を使われていたら、負けてたかもね」
「あなたが弱気なんて珍しいですね」
「弱気にもなるわ。あんなにボロボロにされちゃったんだから」
獅苑君は楽しんで戦っていたが、私は命がけでだった。ミステリアス・レイディが完全じゃないとはいえ、それぐらいの実力の差があったのだ。
「獅苑君に言わなくていいのですか? 現生徒会長を倒すと自分が生徒会長になれると」
「ん〜、獅苑君はたぶん興味ないと思うな〜」
確証はないがそう言いきれる。獅苑君を見ていると。
「・・・惚れましたか?」
「そう、かもね」
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