IS学園にもう一人男を追加した 〜 8話 |
獅苑SIDE
「というわけでっ! 織斑君クラス代表決定おめでとう!」
「「「「「「おめでと〜!」」」」」」
[パン、パン、パン]
クラッカーの音が響き、一夏の頭に紙テープが乗る。
「オリムー、たいへんそうだね〜」
「別にいいだろう。そういう星の下に生まれたんだから」
「そうかもね〜」
ちなみに俺たちは一夏たちより少し離れた場所で腰を下ろしている。
「飴、なめるか?」
「うん、なめる〜」
そう言って俺があげた飴をなめ始める。俺も飴をなめていると、俺たちに気づいた女子たちが
「ちょっと〜、本音とお姉さま」
「そんなとこにいないで・・・」
「こっちにおいでよー」
そういえば、金髪との試合の後から俺の事をお姉さまと呼ぶようになっていた。それに前みたいに不良だとかそういう噂は聞かなくなった。
「どうする〜?」
「・・・行くか」
「うん!」
めんどくさいがパーティの輪に入る。本音は俺から離れ友達としゃべっている。本音は俺といたかったようだが、「友達は大切にしろ」と、言ったら最後に俺の腕にぎゅう〜っと抱きついて離れていった。
一人でいるとき女子から話しかけられるが無視。すると女子たちは「クールで素敵です! お姉さま!」などと言っていたが・・・無視だな。すると向こう側に不機嫌そうな箒がいた。
「・・・よう」
「あ、獅苑か。どうした?」
「いやな、不機嫌そうだったんで。一夏か?」
「ま、まあそんなところか」
「そうか・・・」
会話が終わってしまった。次の言葉を探していると
「はいはーい、新聞部でーす。世界初IS男性操縦者である、織斑一夏君と朝霧獅苑君に特別インタビューをしに来ました」
(めんどいのが来た)
「・・・獅苑、悪い。ちょっと・・・」
「ああ、一夏のところに行って来い」
箒は最後に「すまん」と言って、俺はイスに腰を下ろす。向こうでは一夏が新聞部に質問を受けてる。すると一夏はなぜかこちらに来る。新聞部もつれて
「こいつが獅苑ですよ」
「へ〜、君がそうなんだ。確かに女の子みたいだね。私は黛薫子(まゆずみかおるこ)、よろしくね。新聞部副部長よ。はいこれ名刺」
そう言って名刺を渡される。これから質問されるかと思うと、マスコミの事を思い出し乗り気になれない。
「じゃあねー、生徒会に入った理由を聞いていいかな?」
「・・・」
「あれ? もしもーし」
「・・・」
結局、俺はだんまりを決め込む。新聞部はボイスレコーダーを俺に向けたまま、話しかけている。するとそこに本音が割り込む。
「ご、ごめんなさい〜、ギリーって人見知りが激しくて〜」
「そうかー、朝霧君ってシャイなんだね。でもなんか一言はほしいな〜」
本音のフォローを聞いても場は変わらない。しかたなく俺はボイスレコーダーを掴んで握りつぶし質問に答える。
[グシャッ]
「え!・・・」
「生徒会に入った理由はあんたみたいにしつこい部活の勧誘を避けるためです。これでいいですね」
「・・・」
今度は新聞部が黙る。俺は席を立ち自室へ戻る。
「あ、待ってよ〜ギリー」
一夏SIDE
正直、このパーティーは乗り気じゃない。なんで俺がクラス代表になったんだ。おまけに新聞部・・・え〜と黛先輩まで来た。セシリアも質問を受け、最後に「朝霧獅苑くんは?」と、言ったので獅苑の所につれていった。だが獅苑は黛先輩の質問にはなにも答えず、さらにボイスレコーダーを握りつぶした。
「え!・・・」
「生徒会に入った理由はあんたみたいにしつこい部活の勧誘を避けるためです。これでいいですね」
「あ、待ってよ〜ギリー」
獅苑はこの場から離れていった。おそらく自室に戻るんだろう。
「ま、まあいっか。じゃあ写真撮影するから織斑君とセシリアちゃん二人で並んで。あ、できれば握手した方がいいな」
復活した黛先輩はセシリアと俺の手を引いて握手まで持ってった。
(強引な先輩だな)
「・・・」
「? なんだよ?」
「べ、別に、何でもありませんわ」
セシリアがこったをじろじろ見てきたので用があると思ったが、違ったようだ。すると次は箒がこちらを見てくる。
「・・・」
「・・・なんだよ箒」
「なんでもない」
なんだこっちもか・・・
「それじゃあ撮るよー。35×51÷24は〜?」
「えっと・・・2?」
「ぶー、74.375でしたー」
[パシャッ]
んなもんわかるかー!って
「なんで全員入ってるんですの!」
俺のかわりにセシリアが言う。シャッターが切る瞬間、一組全員が俺とセシリアの周りに集まった。
「セシリアだけ抜け駆けはないでしょー」
「クラスの思い出になっていいよねー」
「「「ねー」」」
「う、ぐ・・・」
セシリアは苦虫を噛み潰したような顔をした。そんなセシリアをクラスのみんなはニヤニヤしながら見ていた。
結局、このパーティーは十時過ぎまで続いた。
本音SIDE
私はあの後、獅苑くんの後に続いて部屋に戻ってきた。
「どうしてあんなことをしたの〜? 獅苑くん」
「・・・別にめんどいから」
獅苑くんは飴をなめながらベットに転がる。
「あはは〜、獅苑くんらしいね〜。でもやりすぎたらだめだよ〜」
「わかってる」
「・・・そういえば〜、獅苑くんって寝るとき中学の制服なんだよね〜、なんで〜?」
前から聞こうと思っていたが、セッシーとの代表決定戦のせいで忘れていた。
「・・・私服がないから」
「ええ〜! 部屋服とかないの〜」
「ああ」
「だめだよ〜、ちゃんと持ってないと〜。じゃあ今度、一緒に買いに行こうよ〜」
「買い物か・・・」
獅苑くんは少し悲しそうな顔をした。
「どうしたの〜? 獅苑くん?」
「いや、買い物なんて久しぶりだなってな。じゃあ今度な・・・」
「う、うん」
そう言って獅苑くんは掛け布団をかぶって寝てしまった。私も寝ようと思ったが、
(恋人同士なのに〜、全然それらしいことしてないよね〜)
そう思い、獅苑くんのベットに入り目を瞑った。
獅苑SIDE
(今度は二人か・・・)
掛け布団をめくると、本音となぜかワイシャツ姿の楯無さんがいた
(・・・このワイシャツって俺の替えのやつじゃないか)
「うぅん・・・あら、おはよう。獅苑君」
楯無さんが起き、俺の肩に手を置き目線が合う。
「おはようございます。で、なんでここにいるんですか? つかワイシャツを勝手に着ないでください」
「じゃあ私に裸でいろと。変体さんだn[ゴツンッ]・・・いったーーい!」
変なことを言おうとした楯無さんの頭に拳骨を食らわす。楯無さんは涙目になっている。
「で、ここにいる理由は?」
「うぅー、別に一緒にいたかったから・・・」
は? 一緒にいたい? 本気で言ってるのか
「ま、まぁそれはいいです。って良くはないんですけど、早く自分の部屋に戻ってください」
「・・・分かったわ」
そう言ってワイシャツを脱ぐ。俺は咄嗟に顔を背ける。
「大丈夫だよ。水着着ているから。それとも期待しちゃった?」
「・・・もう一度、殴りましょうか?」
「じゃ、じゃあねー!」
慌てて部屋から出て行く。が、すぐ戻ってきて
「たまには生徒会に来てね。あとお菓子、楽しみにしてるから」
[バタンッ]
今度こそ部屋から出て行った。俺はまだ寝ている本音を隣のベットに戻して、制服に着替え始めた。
一夏SIDE
「織斑君、おはよー。ねぇ、転校生の噂聞いた?」
教室に入り席に着くと、クラスメイトに話しかけられる。
「転校生? この時期に?」
「そう、何でも中国の代表候補生なんだってさ」
「ふーん」
「あら、わたくしの存在を危ぶんでの転入かしら」
イギリス代表候補生であるセシリア・オルコットが腰に手を当てたポーズで立っていた。
「このクラスに転入してくるわけではないだろう? 騒ぐほどの事でもあるまい」
箒も気がつけば側にいた。すると獅苑とのほほんさんが教室に入ってきた。
「あ! 本音とお姉さま! おはよー!」
「おはよう〜」
「・・・」
相変わらず無愛想だな・・・しかもお姉さまか、本当に千冬姉みたいだ
「ねぇねぇ〜、どうしたの〜? みんなで集まって〜」
「実はね、中国の代表候補生が転校してくるんだってー」
「へ〜」
「・・・どんなやつなんだ」
お、獅苑が珍しく食いついた。すると箒が獅苑に話しかける。
「気になるのか?」
「ああ、明らかにこの時期に転校はおかしい」
「ですから、わたくしの存在を「それはありえないだろう」・・な、なんですってー!」
獅苑の言葉でセシリアとの言い合いが始まった。言い合いといっても一方的にセシリアが怒ってるだけなんだが・・・あの試合の後でも獅苑とセシリアの仲は直らなかったが、物腰は柔らかくなった気がする。
「あ〜あ、また始まったね」
「いつもの事だよ〜、ギリーとセッシーは仲が良いも〜ん」
「よくありませんわ!」「良くない」
やっぱり仲が良いんじゃないのか? この二人・・・
「そういえばさー、そろそろクラス対抗戦だね」
「そうだね〜、オリムーには頑張ってもらわないとね〜」
「頑張ってね! 織斑君!」
そういえば来週あたりにそんなイベントあったな・・・
「まあ、やれるだけやってみるか」
「やれるだけでは困りますわ! 一夏さんには勝っていただきませんと!」
獅苑と言い合いをしてたはずのセシリアが会話に割り込む。ちなみに獅苑はのほほんさんと一緒に席に戻ってる。
「そうだぞ、一夏。男たる者そのような弱気でどうする!」
「織斑君が勝つとクラスみんなが幸せだよ」
「織斑君、頑張ってね!」
「フリーパスのためにもね!」
ちなみに、一位のクラスには学食デザートの半年フリーパスが贈呈される。女子が燃えるわけだ・・・
「今のところ専用機を持ってるクラス代表って一組と四組だけだから、余裕だよ」
「その情報、古いよ」
教室の出入り口から聞き覚えがある声が聞こえる。
「二組も専用機持ちがクラス代表になったの。そう簡単に優勝はできないから」
「鈴・・・? お前、鈴か?」
「そうよ。中国代表候補生、凰鈴音(ファン・リンイン)。今日は宣戦布告に来たってわけ」
胸を張り、トレードマークでもあるツインテールが揺れる。
「あれが転校生・・・?」
「中国の代表候補生・・・」
「誰ですの? 一夏さんと親しそうに・・・」
「鈴・・・何格好付けてるんだ? すげぇ似合わないぞ」
「んなっ?! なんてことを言うのよ、アンタは!」
普通の喋った。やっぱりこっちの方があってる。すると後ろから鬼教官の拳骨が鈴の頭にヒット。
[ゴツッ]
「いったぁ!・・・なにすんの!?・・・げっ、千冬さん・・・」
「織斑先生と呼べ。もうSHRの時間だ。自分の教室にもどれ。そして入り口を塞ぐな。邪魔だ。」
「す、すいません」
そういえば鈴って昔から千冬姉が苦手だったな。何でか知らんが・・・
「また後で来るからね! 逃げないでよね、一夏!」
鈴は二組に向かってダッシュ。
(うん、昔のままの鈴だな)
「っていうか、アイツが代表候補生・・・」
そう口に出すと、箒とセシリアが
「一夏、今のは誰だ? えらく親しそうだったが」
「い、一夏さん! あの方とはどういう関係で!」
[バシンバシンバシン]
「席に着け、馬鹿ども」
千冬姉の出席簿が火を噴く。
(つかなんで俺まで・・・俺のせいなのか?)
獅苑SIDE
「・・・何やってるんだ? あいつら」
「さぁ〜?」
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