IS学園にもう一人男を追加した 〜 9話
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獅苑SIDE

 

 

今、俺は飴をなめながら、みんなと食堂にいるんだが、どうも雲行きが怪しい。向こうのテーブルでは一夏と中国代表候補生である凰鈴音が座っていて、その隣のテーブルに本音、箒、金髪、その他女子、そして俺が座っている。特に箒と金髪はものすごい眼光で一夏たちを見ている。それに脅えてその他女子、本音にいたってはみんなに見えないように俺の手を握る。

 

「で、いつ代表候補生になったんだよ」

 

一夏が会話を始める。それを合図に耳を澄ませる箒と金髪。

 

「アンタこそニュースを見た時、ビックリしたじゃない」

「俺だってまさかこんなとこに入るとは思わなかったからな」

(・・・なんとなく分かる)

「入試の時にISを動かしちゃったんだって、何でそんな事になっちゃったのよ」

「なんでって言われてもな〜」

 

〜〜〜説明中〜〜〜

 

「・・・で、その後いろいろあってこの学園に入れられたってわけだ」

「ふぅん。で、その朝霧ってどいつなの」

「ああ、それなら」

[バンッ]×2

 

俺を呼ぼうとしたが、いつの間にか席を立った箒と金髪がテーブルを叩く。

 

「一夏、そろそろどういう関係か説明してほしいのだが」

「そうですわ! 一夏さん。まさかこちらの方とつつ、付き合ってらっしゃるの?!」

 

箒とセシリアの多少棘のある声で聞いてくる。

 

「べ、べべ、別に付き合ってなんか・・・」

「そうだぞ。ただの幼馴染だよ」

 

それを聞いた凰はムッとなる。

 

(・・・なるほど、凰も一夏の被疑者か)

「ギリーどうしたの〜?」

「いや、なんでもない」

 

そう言って本音の頭を撫でる。ちなみにその他女子たちは一夏たちに注目しているため俺たちの事は目に入っていない。俺が撫でているのに夢中になっていると、一夏に呼ばれる。

 

「獅苑、ちょっとこっちに来てくれ」

「・・・本音、悪い」

「謝んないで大丈夫だよ〜」

 

本音から離れ、一夏たちに近づく。

 

「・・・なんだ?」

「鈴、こいつが朝霧獅苑だ」

「え! そ、そうなんだ」

 

凰は驚きの声を上げる。まぁ慣れているが

 

「・・・凰鈴音よ。よろしく」

「・・・朝霧獅苑。よろしく」

 

とても短い自己紹介。一夏はちょっと困っていたが話題を変えた

 

「そ、そうだ、獅苑。放課後、一緒にISの特訓しないか?」

「ちょっと待て、一夏。放課後は私と特訓するのではなかったのか?」

「そうですわ! 一夏さんの特訓のお相手はわたくしですわ!」

 

口論が始まる。すると箒がこちらを向いて「頼む!」と言っているような目で見られた。

 

「一夏、今日の放課後は無理だ。また今度な」

「そうか。じゃあしかたないな」

 

俺は席に戻る前に箒と目を合わせ

 

(後は頑張れ)

(恩に着る。獅苑)

 

その後も一夏の特訓のことで揉めていたが、予鈴がなるとみんな教室に戻っていった。

 

 

一夏SIDE

 

 

結局、特訓の相手は箒とセシリア、二人で行われた。ボロボロになった俺は更衣室にいる。

 

「これからクラス対抗戦までずっとこの調子かよ」

「おつかれ一夏」

 

今日、再会したセカンド幼馴染である鈴が声をかけてきた。

 

「はい、タオル。あと飲み物はスポーツドリンクでいいよね」

「サンキュ。あー、生き返る・・・ずっと待っててくれたのか?」

「えへへ、まあね」

 

鈴は腰を下ろし、手をもじもじさせる。

 

「どうした?」

「え! いや、やっと二人っきりだねって」

「ああ、そうだな」

 

鈴は少しだんまりして

 

「一夏さぁ・・・やっぱり私がいないと寂しかった?」

「まぁ遊び相手が減るのは大なり小なり寂しいだろ」

「そうじゃなくてさぁ。久しぶりに会った幼馴染なんだから、色々と言う事があるでしょう」

(言うことか〜、特にこれと言ってないよな〜)

 

そう思っていると、体が冷えてきた。

 

「悪い、そろそろ体が冷えてきたし部屋戻るわ。箒もシャワーを使い終わっただろうし」

「シャワー・・・箒ってさっきの子よね。一夏、あの子とどういう関係なの」

 

鈴は立ち上がって力強く聞いてくる。

 

「どうって、幼馴染だよ。ファースト幼馴染。で、セカンド幼馴染」

 

鈴を指を指す。

 

「お、幼馴染とシャワーとなんの関係があるのよ!」

 

鈴は頬に少し赤みが出ていて、大声を上げる。

 

「俺、今箒と同じ部屋なんだよ」

「はぁー! じゃあ何、あの子と寝食を共にしてるってこと!? あの朝霧って奴とじゃないの!」

「そうなんだよなぁ。でも、箒で助かったよ。これが見ず知らずの相手だったら緊張して寝不足になっちまうからな」

「・・・」

 

鈴は俯き何かを考えているようだ

 

「うん? どうした?」

「・・・ったら、いいわけね・・・」

「え?」

 

鈴は顔をガバッと上げて

 

「だから! 幼馴染ならいいわけね!?」

 

〜〜〜寮、1025室 一夏・箒〜〜〜

 

「というわけだから、部屋代わって」

「ふ、ふざけるな! 何故私が!」

 

八時過ぎ。いきなり部屋に鈴がやってきて今、この状態である。

 

「いやぁ、篠ノ之さんも男と同室なんて嫌でしょ?」

「べ、別に嫌とは言っていない・・・それに、これは私と一夏の問題だ」

「大丈夫。あたしも幼馴染だから。ねぇ一夏」

「俺に振るなよ」

 

なんでここで俺が出てくるんだ?

 

「とにかく部屋は変わらない。自分の部屋に戻れ!」

「・・・ところでさ、一夏。約束覚えてる?」

「約束?」

「そう、小学校の時に「む、無視するな! こうなったら・・・」

 

激昂した放棄は横に立てかけてあった竹刀を取り、鈴に向かって振り下ろす。

 

「あ、馬鹿!・・・」

[バシィンッ]

 

すごい音はなるが、鈴はISを部分展開した右腕で竹刀を受け止め、無事だった。

 

「今の生身の相手なら本気で危ないよ」

「う・・・」

 

怒りにまかせ自制心を失ったという指摘が何より効いたのか、箒はバツが悪そうな顔をし俯く。鈴はISの部分展開を解く。

 

「ま、いいけどね」

「え、えーと・・・そ、そうだ約束がどうとか言ってたな。何の話だ?」

「う、うん。覚えてるよね」

 

顔を伏せてちらちらと上目遣いで俺を見る。

 

「えーと、あれか? 鈴の料理の腕が上がったら毎日酢豚を「そ、そうっ。それ!」おごってくれるってやつか?」

「・・・はい?」

「だから、鈴が料理出来る様になったら、俺に飯をご馳走してくれるって約束だろ? いやー、一人暮らしの身としてはありがた[パアンッ]・・・へ?」

 

いきなり鈴に頬をひっぱたかれた。鈴を見ると怒りに満ちた目で俺を睨んでる。しかもその目にはうっすらと涙が見えた。鈴はぐっとこちらに寄って

 

「最っっ低!」

「え!・・・」

 

いきなり言われて俺は戸惑う。だってそうだろ、約束は覚えていたのに最低って言われたんだぜ。

 

「女の子との約束をちゃんと覚えてないなんて、男の風上にも置けない奴! 犬にかまれて死ね!」

「なにを怒っているんだよ。ちゃんと覚えていただろう」

「約束の意味が違うのよ! 意味が!」

「じゃあ、意味って何だよ。説明してくれよ」

「せ、説明って、そんなことできるわけないでしょうが・・・」

 

途端に歯切れが悪くなる。そんな言いにくい事なのだろうか?

 

「じゃあ、こうしましょう。来週のクラス対抗戦、そこで勝ったほうが負けたほうに何でも言うことを一つ聞かせられる」

「おういいぜ。俺が勝ったら約束の意味、説明してもらうからな」

 

俺たちは睨み合い、鈴は「覚悟してなさいよ」と言って部屋から出て行った。すると箒に話しかけられる。

 

「一夏」

「お、おう、なんだ?」

「馬に蹴られて死ね」

 

なんで箒まで・・・

 

 

獅苑SIDE

 

 

一夏が修羅場になっていた事はいざ知らず、俺はトイレから自分の部屋に戻るため寮の廊下を一人で歩いている。室内にはトイレはついているのだが・・・まぁ恥ずかしいだけだ。察してくれ。でも

 

(さすがに自室から教員用のトイレまで遠すぎだな)

 

そう心の中で愚痴っていると曲がり角から出てくる人に反応できなかった。

 

「!」

「痛っ・・・アンタ! どこを見て・・・って朝霧か」

 

どうやらぶつかった相手は凰だった。その凰の目は少し赤色に腫れている。

 

「・・・そんなに痛かったのか?」

「別にこんなのどうってことないわよ」

「その割には泣いているように見えるが・・・」

「え!」

 

凰は驚き自分の目元をさわる。そして自分が泣いていたことに気づき俺から離れるが

 

[ガシッ]

「なによ! 離してよ!」

 

俺は凰の腕を掴み引き寄せる。

 

「ちょ、ちょっとなんなのよ・・・///」

「・・・まさか、一夏絡みか?」

「ビクッ!」

 

図星のようだ。俺は凰の腕から手を離す。

 

「悪かった」

「・・・」

 

そのまま凰は俺から背を向ける。そんな凰に俺は話しかける。

 

「もし、なにか気に食わぬことがあるなら、大声を出すか、誰かを殴ればいい。スッキリするぞ」

「・・・」

 

俺がそう言うと凰はこちら向き走って大声を上げ拳を構える。

 

「一夏のばかーーーーー!!!!!」

[ボゴッ!!]

 

小柄な体からは想像出来ないほどの力が篭った拳が俺の腹に当たる。俺が立っていた位置が壁際だったため、壁に叩きつけられた。凰は我に返り壁にもたれている俺を見て謝ってくる。

 

「あ、ごめん! やりすぎた」

「別にいい、促したのは俺だ。で、スッキリしたか?」

「えーと、まだかも・・・あ、でも、もう大丈夫だから。」

「そうか」

 

俺はお腹をさすりながら自室に戻ろうとするが、今度は凰が俺の腕を掴む。

 

「え、えーと、その ありがとね」

「気にするな、凰」

 

そう言うと鈴は俺の腕から手を離す。

 

「私のことは鈴でいいよ。私も獅苑って呼んでもいい?」

「[コクッ]・・・じゃ、頑張れよ、鈴。一夏の周りはほとんどがライバルだ」

 

俺はそのまま自室に戻った。

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インフィニット・ストラトス のほほんさん 朝霧獅苑 

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