IS学園にもう一人男を追加した 〜 10話 |
獅苑SIDE
クラス対抗戦、前日。俺は今、本音と一緒にショッピングモールに来ている。ちなみに服装はIS学園の制服だ。
「これはどうかな〜」
本音は服を俺に重ねる。
「う〜ん、やっぱり違うかな〜」
(何が違うんだろ?)
俺は服の知識なんてこれっぽっちもないため、理解が難しい。
「ギリーは半袖は似合わないな〜・・・じゃあこれ!」
本音が渡してきたのは、黒の長袖で胸元に赤いマークがあり、肩から手首まで緑のラインが入っている。
(死戔みたいだな・・・)
実際、死戔は胸元に赤いマークはないが、緑のラインがとても親近感を沸く。
「どうかな〜?」
「・・・これにするか」
「ほんと! じゃあこれで決まりだね」
その後、ワイシャツは後、一着同じのを買い、ズボンは夏でも冬でも着れそうな黒色のを買った。あとは上着。ちなみにパジャマは中学のワイシャツとジャージの下にするつもりだ
「だったらこの緑のなんてどう〜?」
深緑色のコート、フードつきで冬場で着れそうだ。
「じゃあ、それでいいか」
俺たちは会計に持っていき金を払う。その後、本音にせかされその場で買った服に着替えた。
「・・・どうだ?」
「うん! すっご〜く、似合ってるよ〜」
「そうか、ありがとう///」
ストレートに言われて顔をが熱くなる。そういえばもう一つ買うものがあった。
「・・・すまん、もうちょっと付き合ってくれるか?」
「いいよ〜。でも、どうしたの〜?」
「ちょっとお菓子の原料をな・・・虚さんの紅茶に合うやつを」
「ええ〜! ギリー、お菓子作れるの〜?」
まぁ、暇で適当に作っていたら、できちゃったんだよな
「頑張ってね〜、お姉ちゃんの紅茶って超〜おいしいから〜」
「何人事みたいに、本音も手伝ってくれ。主に食要員として・・・」
本音は目をキラキラさせて「いいの!」と言われた。俺は「あ、ああ」と答え、卵とか薄力粉などを買って、その後、本音と一緒にお菓子のバイキングをやっているお店で2時間ぐらい滞在した。
(結構食べるな。本音)
「そういえばさ、楯無さん。ロシアに行ったんだよな?」
「[パクパク、ゴックン]・・・うん、そうだよ〜。なんていったってロシア代表だもんね〜、[パクパク]」
そう言って本音はまた食べ始める。テーブルには山ずみになっている皿が置いてあるが、さらにその数は増えていった。結局、バイキングの時間が過ぎるまで本音は食べ続けていた。
「お腹いっぱい〜」
「食べすぎじゃないのか本音? 太るぞ」
「う・・・だ、大丈夫だもん、その時はギリーにもらってもらうから〜」
「え・・・」
「それとも、太ってる私って・・・嫌〜?」
涙目でこちらを見ないでくれ。俺が泣きそうになる。
「どうなの〜?」
「・・・別に嫌ではない。だがそれで病気とかになってほしくないだけだ」
「そう、なんだ。嫌じゃないんだ〜。えへへ〜///」
本音は俺の腕にしがみ付く。俺は気にせず、ショッピングモールの出口に向かう。だが
[ザーーー]
「雨だな・・・」
「雨だね〜」
外はかなり大降りの雨が降っている。天気予報には今日、雨は降らないと言っていたのだが、おそらく通り雨だろう。ここで雨宿りをしてもいいが、それだと学園の門が閉まってしまう。俺は服を買った袋からIS学園の上着を出し、本音に被せ持ち上げる。
「え?・・・」
「我慢しろよ」
「ちょ、ギリー・・・うわっ!」
俺は雨が降る中、学園に向かって走る。片手には本音。もう片手には今日買った、服と菓子作りに必要なものが入った袋。体には雨が容赦なく当たりだんだん体が冷えていく。
「大丈夫? ギリー」
「大丈夫だ・・・ほら、着いたぞ」
なんとかギリギリ門限には間に合った。俺たちは急いで寮に入り、部屋に戻る。
「本音、先に風呂を入って来い。俺は後でいい」
「でも、獅苑くんの方が「大丈夫だ。だから入って来い、入らないと菓子やらんぞ」・・・もう〜、獅苑くんってたまに強引だよね〜。じゃあ先入るけど、無理しないでね」
「ああ」
俺は本音が風呂に入るのを確認し服を脱ぐ。そして今日買ったパジャマ代わりのジャージに着替え、今日買ってきたものを整理する。
([ブルッ]・・・さすがに寒いな)
整理が終わると、風呂場からドアの開く音が聞こえる。本音にしては出るのが早すぎる・・・気を遣わせたか? そう思っていると、風呂場からパジャマを着た本音が出てくる
「獅苑くん、出たよ〜」
「・・・いつもより早いな」
「だって、獅苑くんを待たせるわけにはいかないし・・・」
「・・・ありがとう」
[ナデナデ]
「えへへ〜」
俺は本音に今度こそ甘え、風呂に入る。だが
(・・・本音が入ったんだよな、さっき)
そう想像するとなんだか恥ずかしくなる(本音も同様)。いつもは俺が先に入っていたため、こういう状況は初めてだ。
「・・・///」
結局、満足した風呂はできず、本音の顔を見ずにベットに倒れこむ。
(・・・頭がくらくらする)
俺は意識を手放した。
本音SIDE
今日はクラス対抗戦、オリムーには頑張ってもらわないと!
「・・・おはよう、本音」
「あ、おはよう〜。獅苑くん・・・あれ? どうしたの?」
獅苑くんはベットに倒れたまま、起き上がろうとはしない。それに顔が少し青くなってる。
「ちょっと風邪をひいたみたいでな」
「え!」
私はすぐに獅苑くんのおでこに触る。すごく熱い。獅苑くんは「大丈夫」って言ってるけど、四十度は軽くあると思う。私は冷蔵庫から氷を出しビニールに入れ獅苑くんのおでこに乗せる。あと、食堂の自動販売機からスポーツドリンクを買って、タオルと一緒に置く。
「・・・そろそろ、時間だ。朝食の時間がなくなるぞ」
「でも、獅苑くんが・・・」
自分がこんなになってるのに、なぜ私の事を気にしてくれるのだろう。恋人だから? ルームメイトだから? いや、どっちも違う。ただ単に獅苑くんは自分の事を気にしていないのだ。昔から変わらない。
「今日はゆっくり休む。そうすれば熱も引くだろう・・・飯も食堂のおばちゃんに頼んでおかゆでも作ってもらうよ」
そう言って私の頭を撫でる。最近、撫でる回数が多くなってきたが、落ち着くから特に気にしていない。
「・・・ほら、もう行け。織斑先生に怒られるぞ」
「う、うん。分かった・・・絶対、安静にしててね〜」
私は部屋を出た。
獅苑SIDE
(だるい・・・)
本音が部屋から出て行って、もうどれくらいの時間が流れたか。熱を測ってみたが三十九,二度、朝と比べて少しは下がったものの、まだ頭がぐわんぐわんする。俺は本音が買ってきてくれたスポーツドリンクに口をつけ、今日のクラス対抗戦の事を思う。
(一夏たち、どうなったんだろう?)
試合はたとえ会場に入れなくてもリアルモニターで鑑賞するらしい。だが、ここにはそんな機能はない。
(そういえば、鈴の問題は片付いたかな? どうでもいっ[ズドオオオオオンッ!]、000!?」
突然、爆音が聞こえてきた。俺は急いで寮の表に出て、爆音が聞こえたほうを見る。
(あっちは確か、一夏たちが試合をしている第二アリーナ。それに上空にいるのは・・ISなのか? とりあえず行かないと)
俺はIS・・・死戔を展開する。
(無事でいろよ。本音)
俺は第二アリーナまでものすごいスピードで向かった。
一夏SIDE (獅苑SIDEから少し前)
クラス対抗戦、当日。第二アリーナ第一試合。織斑一夏VS凰鈴音。噂の新入生同士の対戦でアリーナは全席満員。俺の視線の先では鈴が第三世代型『甲龍(シェンロン)』を装備して試合開始の合図を待っている。
『それでは両者、指定の位置に移動してください』
俺と鈴は位置に着き空中で向かい合う。
「一夏、今謝るなら痛めつけるレベルを下げてあげるわよ」
鈴が開放回線(オープン・チャネル)で俺に話しかけてきた。
「そんなもんいらねぇよ。全力で来い」
「一応言っておくけど、ISの絶対防御も完璧じゃないのよ。シールドを突破する攻撃力があれば、本体にダメージを貫通させられる」
つまりはこういうことだ。『殺さない程度にいたぶることは可能である』
『それでは両者、試合を開始してください』
試合開始の合図がなる瞬間、俺は『雪片弐型(ゆきひらにがた)』を展開し突っ込んだ。
これから何が起きるかも知れず・・・
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