IS学園にもう一人男を追加した 〜 11話 |
一夏SIDE
[ガギィンッ]
「ふぅん。初撃を防ぐなんてやるじゃない。けど・・・」
鈴が手に持っている武器、『双天牙月(そうてんがげつ)』をもう一本、手に持つ。それをいろんな角度から斬り込んでくる。
(このままじゃこっちが消耗するだけだ。一度距離を取って)
俺は鈴の攻撃を防ぎながらも、距離を取ろうとする。
「・・・甘い!」
鈴がそう言うと甲龍の方のアーマーが開き、中心が光った瞬間、俺の横に何かが通る。
「え!・・・」
「今のはジャブだからね」
鈴はにやりと笑い
[ドンッ]
「ぐあっ!」
殴られたような衝撃が走り地面に叩きつけられる。シールドを貫通し体に痛みが走った。
箒SIDE
「なんだあれは・・・」
リアルモニターで一夏がいきなり地面に叩きつけられた
「あれは『衝撃砲』ですね。空間自体に圧力をかけて砲弾を打ち出す武器です」
「わたくしのブルー・ティアーズと同じ、第三世代兵器ですわね」
二人の説明を聞いて、モニターに視線を戻す。一夏はふらふらだが何とか立ち上がり、その衝撃砲の連射を避ける。
『よくかわすじゃない。この『龍咆』は砲弾も砲身も目に見えないのが特徴なのに』
(一夏・・・)
私は目の前の戦闘を見て一夏の無事だけを願う。
一夏SIDE
鈴の龍咆の攻撃が雨のように撃ってきているため、こっちがずっと後手に回ってしまっている。
(くそ、このままじゃ・・・落ち着け。今の俺は千冬姉と同じ武器を使っているんだぞ)
俺は雪片弐型を握り締め、最後の賭けに出る。『瞬時加速(イグニッション・ブースト)』。このクラス対抗戦のために千冬姉から直々に教わった技だ。出し所を間違わなければ代表候補生と渡り合えるが、一回しか通用しない。
だからこそ、雪片弐型の特殊能力『零落白夜(れいらくびゃくや)』のバリア無効化攻撃で鈴のSEを削らなければいけない。
「鈴」
「なによ?」
「本気で行くからな」
俺は雪片弐型を構え、瞬時加速をした。
「なっ!」
「うおおおおおっ!」
零落白夜を発動し鈴に振り下ろす。が、鈴に刃が届きそうになった瞬間
[ズドオオオオオンッ!]
「な、なんだ?」
「なに?」
突如、アリーナの遮断シールドをなにかが貫通して、ステージ中央から煙が上がっている。
『試合中止! 織斑、凰、すぐに退避せよ!』
千冬姉が通信で俺たちに呼びかける。観客席は非常シェルターが始動する。
「いったいなにが・・・」
『ステージ中央に熱源。所属不明のISと断定。ロックされています』
警告のウィンドウが出て、ステージ中央を拡大した画面が出る。
「所属不明のIS? あいつに俺がロックされているのか?」
『一夏、早くピットに戻って!』
「お前はどうするんだよ!」
「あたしが時間を稼ぐから、その間に逃げなさいよ!」
「逃げるって・・・女を置いてそんなことできるか!」
「馬鹿! アンタの方が弱いんだからしょうがないでしょうが!」
ストレートに言われて少しへこむ。
「別に、最後までやり合うつもりはないわよ。こんな異常事態,すぐに学園の先生たちがやってきて事態を「! あぶねぇっ!」」
いきなり煙から熱源が鈴に向かって飛んできた。俺は鈴を抱きかかえ間一髪で避ける。
「ビーム兵器かよ・・・しかもセシリアのISより出力が上だ」
「・・・ちょ、ちょっと、馬鹿! 離しなさいよ!」
「お、おい、暴れるな」
「うるさいうるさいうるさいうるさいっ!」
「って殴るな!」
SEで守られているとはいえ、気分はいいものではない。
「! 来るぞ!」
煙からビームの連射が放たれる。するとビームのおかげで煙が晴れ、ISであろう姿が浮かび上がる。
「なんなんだ、こいつ」
そこには腕の長さがつま先まである。『全身装甲(フル・スキン)』のISだった。
本音SIDE
「どうなってるの!?」
「そんなことを言われても分からないよ!」
「お、落ち着いて〜」
「「これが落ち着けられるわけないでしょ!!」」
ステージから突然、爆発が起きて非常シェルターが出てオリムーたちが今、どうなっているかが分からない。しかも扉はロックされていてアリーナから出ることはできず、みんなの不安が膨れ上がっていく。私もその一人だが、一番気になるのは
(獅苑くん・・・)
胸に手を合わせる。(袖から手は出てないが)この場にいない、彼氏の安全を祈る事だけが、今の私にできる事だった。
獅苑SIDE
(なんなんだ、こいつら・・・?)
第2アリーナ上空に着いたものの、ISであろう機体に足止めされている。しかも三機。
(下には一機か・・・これ以上、アリーナには入れられないな)
まだ本調子ではないが、手にBソードを一本構える。すると敵IS1機からビーム砲が撃たれる。それをかわすが、後ろにはもう1機のISが殴りかかってくる。
「ちっ・・・」
舌打ちしながらも、避ける。だが
「!」
目の前には3機目のISが至近距離からビーム砲が撃たれる。
「ぐっ・・・」
直撃は避けたものの、ダメージは喰らってしまった。
(もうちょっと上げるか・・・)
そう思い、加速する。敵ISたちはビーム砲を撃ってくるが、死戔のスピードで避ける。だが気になることがある。
(こいつら、初見で死戔のスピードについてきてる!)
本気の速さではないものの、的確に俺を当てにいってる。すると敵IS1機が突っ込んできた。俺は慌てず、Bソードで斬りつける。敵ISの装甲に切れ目ができ、中身が丸見えになっている。その中身は人ではなく、回路とかいろいろな線が見える。
(・・・こいつら、機械なのか? だが、それなら死戔のスピードについてこれるのにも納得がいく。・・・ん? あの中心にあるのって・・・)
丸見えになっている部分、中心に球型の光る物体がある。あれはISコアだ。
(あれを取り除けば1機は潰せる)
『アフタリミジン 発動』
装甲から光の粒子が溢れ出す。敵IS共は俺の残像に向かってビーム砲を撃つ。そのあとも俺の残像にしかビーム砲が命中する。
(この能力、ハイパーセンサーも騙せるのか・・・なら)
俺はさっき斬りつけたISに突っ込み、Bソードを持っている逆の手でISコアをISから引き剥がす。すると、力が抜けたように下に落ちていく。残りの2機のISは動きの止まった俺に狙いを定める。俺はすぐにもう一本のBソードと手に持っているBソードを直結させる。敵ISはビーム砲を撃ったと同時に直結させたBソードを横に振る。Bソードから巨大な刀の形が出現し、それを敵に向かって横に振る
「おらっ!」
[ズガガガガッ ドカンッ!×2]
ビームを相殺し、敵を斬って爆発する。コアを抜かれて落ちていくISに視線を向ける。敵の落下地点には
「一夏!!」
ISを解除して倒れている一夏を助けるため、俺はアリーナ上空から急降下した。
[キシッ!」
体が悲鳴をあげているが、かまわず加速し続ける。破壊された遮断シールドの穴に落ちた、敵ISを抜いて一夏抱き上げその場から離れる。一夏のいた場所には敵ISが落ちて砂煙を上げていた。俺は一夏をそっと下ろすと、緊張がとけたのか、そのまま意識がブラックアウトした。
〜〜〜保健室〜〜〜
(・・・どこだ?)
目を覚ますと見覚えのない天井。
(そうか、あの後・・・って事は、ここは保健室)
「つっ!」
体を起こそうとするが、激痛が走る。唯一動く首をまわし、まわりを見渡すと
「・・・本音?」
「んぅ・・・」
ベットにもたれかかっている本音がいた。本音は俺の声で目を覚ますと、しばらく俺を凝視する。すると目に涙を浮かべ俺に飛びつく。体には痛みが来るが、本音の目元部分の掛け布団が濡れている。
「本音・・・」
「うそつき・・・『もう離れない』って言ったのに」
「・・・ごめん」
「許さない! ぜ〜ったい許さない!」
未だに掛け布団に顔を埋めている本音。その本音を扱いは悪いが、痛みを堪えながら右腕を動かし襟元を掴み無理矢理、口を合わせる。
「っ!?」
本音は目を見開く。しばらく口を合わせ、離れる。本音は目から涙を流してるものの、驚きを隠せないでいる。
「・・・これで今だけは許してくれないか? 本音に嫌われたら、俺は・・・」
「・・・ずるいよ。獅苑くんはずるい。やっぱり許さない〜!」
本音はまた掛け布団に顔を埋める。だが、すぐに顔を上げ
「許さないけど・・・もう一度いい?」
首を傾げて聞いてくる。もう一度というとキスだろうか。そう思いもう一度、口を合わせる。さっきよりも長く、そして熱く。
「ん・・・んぁ・・・///」
「・・・これでいいか?」
「う、うん。でも許さないからね」
「だったら許すまで」
そう言って、再度口を合わせる。何度も、何度も・・・
千冬SIDE
(・・・いつになったら、入れるんだ・・・///)
私は1時間、保健室の外で立ち尽くした。
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