IS学園にもう一人男を追加した 〜 12話
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獅苑SIDE

 

 

『もう! 私がどれだけ心配したと思ってるの!』

「すいません」

 

クラス対抗戦の事件から翌日。今、電話越しからお叱り中だ。

 

『で、大丈夫なの、体?』

「全治1ヶ月。歩けるようになるまで、保健室で寝泊りですよ」

 

実は、俺の体は至る所が骨折をしていて、しばらくは保健室で過ごすことになっている。

 

『本当、無理だけはしないでね』

「気をつけます・・・生徒会はどうしましょうか?」

『大丈夫よ。虚ちゃんなら一人でも大丈夫だろうし。もう伝えてあるんでしょ?』

「ええ。昨日、お見舞いに来てくれた時に」

『こっちでも所属不明ISについて調べてみる・・・あ、そろそろ切らないと』

「そうですか。こっちに戻ってくるのは夏休み中でしたよね」

『うん、そうだよ。それまで会えないけど、寂しくなったら、お姉さんにいつでも掛けてきてね♪ あとお菓子楽しみにしてるから♪』

[ブツッ]

 

電話が切れてケータイを首で横に置く。

 

(寂しい、か・・・)

[ドドドドドドッ!]

 

廊下から地鳴りのような音がだんだん近づいてくる。すると保健室の扉が吹っ飛ぶくらいに開き

 

「「「「「「お姉さま!!!」」」」」」

 

女子たちが声を合わせて叫ぶ。

 

(逆に騒がしいくらいだ)

 

クラスで見かけた奴がお見舞いにきたようだ。中には知らない人もいる。これは後で知った話だが、今は一夏と俺のファンクラブが出来ている様だ。楯無さんと織斑先生のもあるみたいだし、派閥みたいなのが出来つつある。

 

(これ以上、増えたりしないよな・・・)

 

その後、女子たちからお見舞いの品々をもらい、風のように去って行った。

 

「・・・獅苑くん?」

 

保健室のドアの端から本音がひょこっと出てくる。

 

「・・・どうした? 本音」

「う、うん。実はね〜・・・」

 

本音は身動きが取れない俺に近づき、口を合わせる。

 

「!」

 

いきなりの事で驚き反射的に体を動かそうとするが、ケガで動けない。数秒くらい口を合わせて本音は離れる。

 

「ん・・・えへへ〜♪ また来るからね〜」

「・・・」

 

本音は保健室から出て行く。俺は本音に声をかけることができず、ただ呆然としていた。

 

 

一夏SIDE

 

 

時間は飛んで、六月頭、日曜日。

 

「で?」

「で?って何が?」

 

今、格ゲー中に俺に話しかけてきたのは、五反田弾。中学からの友達で入学式当日から鈴をあわせて三人でつるんでた。

 

「だから、女の園の話だよ。いい思いしてんだろ?」

「してねぇっつの」

 

一体この質問、何回目だ。

 

「嘘をつくな。お前のメール見てるだけでも楽園じゃねえか。招待券ねえの?」

「ねえよ馬鹿」

「な! 馬鹿だと! お前にだけは言われたくねえよ!」

「お前だって俺と同じくらい馬鹿だろが!」

 

あれ? 言ってて悲しくなってきた。

 

「そういえばもう一人の男ってどうしたんだ? 今度連れてくって言ってなかったっけ?」

「ああ、獅苑のことか。まぁ色々あってな、今、入院中なんだ」

「色々ってなんだよ」

「色々は色々だ」

 

この前のアリーナでの事件は外部には漏らしてはいけない。千冬姉のお達しだ。

 

「ふぅん、ま、いいや。じゃあ次は連れてこいよ」

「ああ。今度、必ず連れてくるよ」

 

察してくれたのか、あまり深く追求をしてこない。やっぱり親友ってすばらしいな。そう思っていると、弾の部屋のドアがどかんと開く。

 

「お兄! さっきからお昼出来たって言ってんじゃん! さっさと食べに「あ、蘭。久しぶり、邪魔してる」・・・い、一夏さん!」

 

部屋に入ってきたの五反田蘭。弾の妹で俺たちより歳は1つ下だ。蘭は自分の家だからかラフな格好している。

 

(しかし、アレだな。寮で暮らすようになってから、薄着とかしている女の子には慣れたな。だってみんなこんな感じだし・・・)

「い、いやっ、あのっ、き、来てたんですか?」

 

蘭って昔からそうだけど、なんで俺相手だと敬語になるんだろ?

 

「今日はちょっと外出。家の様子を見に来たついでに寄ってみた」

「そ、そうですか・・・」

「蘭、お前なぁノックぐらいしろよ。恥知らずな女だと思われ「[ギンッ]・・・なんで言わないのよ」・・・あ、いや、言ってなかったか? そうか、そりゃ悪かった・・・」

「・・・?」

 

弾が突然、顔を青ざめ、歯切れが悪くなった。

 

「あ、あの、一夏さんもお昼どうですか? まだ、ですよね?」

「あー、うん。いただくよ。ありがとう」

「い、いえ・・・」

[パタン]

 

ドアが閉じる。

 

「じゃあ、とりあえず飯食ってから街にでも出るか」

「おう、そうだな。サンキュな、昼飯ゴチになる」

「なあに、どうせ売れ残った定食だろ」

 

そう言って、弾の部屋を出て一階へ。その後、昼飯をご馳走になったが、あいかわらず弾の祖父、五反田厳は変わらず、肩から露出している腕は筋肉隆々でとても八十を過ぎた人とは思えなかった。それにこの人の拳骨は千冬姉にも勝るとも劣らない威力だ。

って事だからさ・・・

 

〜〜〜保健室〜〜〜

 

「って事だからさ、今度は一緒に行こうぜ!」

「・・・・・・なげぇよ!」

 

俺は初めて獅苑の大声を聞いた。ちなみにその後、獅苑は大声を出したせいで体の痛みでうなされていた。

 

〜〜〜寮、一夏・箒〜〜〜

 

「先生、今なんと・・・?」

 

箒が山田先生に問う。

 

「は、はい。お引越しです・・・あ、お引越しするのは篠ノ之さんです」

 

箒の引越しが告げられる。

 

「って事は、獅苑がこの部屋に来るんですか?」

「い、いえ。そうではないですけど・・・」

「ま、待ってください。それは今すぐじゃないといけませんか?」

 

ん? どういう事だ? 意味がわからん・・・俺が頭を悩ませていると、箒から意外な言葉が出る。山田先生もそんな事を言われるなんて思ってなかったのか、目をパチクリと瞬かせる。

その後、なぜか俺の一言で手のひらを返したように引越しが始まる。俺は心配させないと言っただけなのに。

 

「寝るか・・・」

 

シャワーも浴び歯磨きもした。だが布団に入ろうとしたら

 

[コンコン]

 

ドアをノックされる。俺はドアの方まで行き

 

「はい・・・どちらさまで、ってなんだ、箒か。どうした?」

 

ドアを開けると、ついさっき別室に移動したはずの箒だった。

 

「ら、来月の、学年別個人戦トーナメントだが・・・わ、私が優勝したら・・・」

 

頬を赤く染めながら、言葉を続ける。すると箒はガバッと顔を上げ

 

「つ、付き合ってもらう!」

「・・・はい?」

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