IS学園にもう一人男を追加した 〜 17話 |
一夏SIDE
鈴・セ 「・・・」
現在、俺たちは第三アリーナの一件から1時間が経過しているわけだが、保健室のベットの上では治療を受けて、包帯の巻かれた鈴とセシリアがむすっとした顔でいた。
鈴 「別に助けてくれなくてよかったのに」
セ 「あのまま続けていれば、わたくし達が勝っていましたわ」
ずっとこんな感じでグチグチグチグチ言っている。まぁ、感謝してくれってワケでもないし、俺自身がムカッてきたから乱入したワケだからな。
一 「それにしても、大した怪我じゃなくて安心したぜ」
鈴 「こんなもの怪我の内には入らないわよ」
セ 「そもそも、こうやって横になっている事自体無意味ですわ」
そう言って二人はベットから降りようとするが
鈴・セ 「いっつううっ・・・!?」
案の定、ベットの上で激痛に悶える結果に。
一 「馬鹿だな〜、無理はするなって」
鈴 「馬鹿ってなによ馬鹿って! 馬鹿!」
セ 「一夏さんこそ大馬鹿ですわ!」
一 「・・・はぁ、なんなんだよお前ら・・・」
シ 「好きな人に格好悪いところを見られたから、恥ずかしいんだよ」
シャルルが飲み物を買って戻ってきた。部屋に入る際に何か言ったようだが、俺には聞き取れなかった。
鈴 「ななな何言ってるのか、全っ然っ分かんないわねっ!」
セ 「ベベっ別にわたくしはそ、そういう邪推をされるといささか気分を害しますわねっ!」
二人ともシャルルの言葉に反応してるのか、だんだん、顔の赤みが増していく。
(シャルルは何を言ったんだ?)
シ 「はい、ウーロン茶と紅茶」
鈴 「ふ、ふんっ!」
セ 「・・・」
鈴は渡されたペットボトルをふんだくり様に受け取って、セシリアは頭だけでお辞儀をし、何も言わず受け取る。
[・・・ドドドドドッ!]
一 「ん? 何の音だ?」
小さいが地鳴りが聞こえてくる。すると、だんだん地鳴りが大きくなり、次の瞬間に保健室の扉が吹き飛ぶ。
一年女子 「織斑君!」「デュノア君!」
吹き飛んだ扉から女子が雪崩れ込んで来て、意外と広い保健室があっという間に女子で埋め尽くされた。
一 「な、なんだなんだ!?」
シ 「ど、どうしたの、みんな?」
鷹 「これっ!」
俺たちがまだ状況に困惑していると、確か鷹月さんだっけ? その鷹月さんが紙をバッと開くのと同時に女子全員も一枚の紙をバッと開く。その紙は学内の緊急告知文が書かれた申込書だった。
一 「なになに・・・?」
シ 「『今月開催する学年別トーナメントでは、より実質的な模擬戦闘を行う為、二人一組での参加を必須とする。なお、ペアが出なかった者は抽選により選ばれた生徒同士で組むものとする』」
鷹 「だから!」
ビシッと一斉に女子たちが手をこちらに伸ばす。
女子全員 「私と組んで、織斑君(デュノア君)!」
確かに三人しかいない男子とペアを組みたいのは分かる。だけど、ここまで迫られると怖くてしかたない。それに
シ 「え、えーと・・・」
シャルルはれっきとした女子なのだ。もし、誰かとペアになれば、特訓だとかは普通にするだろうし、なんらかの拍子でシャルルが女の子とバレるかもしれない。
一 「す、すまん! 俺はシャルルと組むことになってるから、諦めてくれ!」
しーんっと一瞬、場が静かになる。
鷹 「・・・まぁ、そういう事なら」
女子1 「他の女子と組まれるよりはいいしね」
女子2 「そうと決まれば、次はお姉さまよ!」
女子たちは一斉に反転し、保健室から立ち去っていった。すると、今まで黙っていた鈴とセシリアが声を上げる。
鈴 「一夏っ! 私と組みなさいよ! 幼馴染でしょ!」
セ 「いえ! ここはクラスメイトとしてわたくしがっ!」
今にでも飛び掛ってきそうなほどの勢いだ。怪我人だというのに・・・すると、山田先生となぜかのほほんさんをおぶっている獅苑が保健室に入ってきた。
真 「駄目ですよ。おふたりのISの状態を確認しましたが、ダメージレベルCを超えています。もし、無理に動かそうとすると後に重大な欠陥が生じますよ。当分は修理に専念するべきです」
鈴 「うっ・・・わ、わかりました」
セ 「非常に、非常に不本意ですが、参加は辞退しますわ」
真 「分かってくれて先生嬉しいです」
以外にあっさり引いた二人に山田先生は笑顔になる。
一 「って、何で獅苑が山田先生といるんだ? あと、どうしてのほほんさんと」
山田先生の横後ろに立っている獅苑に声をかける。
獅 「山田先生とは偶然あった。本音とはちょっとな」
鈴 「どうせ、いちゃついてたんでsy[ゴツッ!]・・・いったーっ!、ちょっと! 怪我人相手に拳骨なんてする!?」
獅 「・・・変な事を言ったから」
鈴が獅苑に失礼なことを言ったらしく、のほほんさんを背負ったまま、獅苑が鈴の前に瞬間移動して、左腕だけでのほほんさんを支え、右手で鈴の頭に拳を落とした。そして、なぜかセシリアにも拳骨する。
セ 「な、なぜ! わたくしにも!?」
獅 「鈴だけっていうのは不公平と思って」
セ 「あ、あなたねぇ〜!」
また、セシリアと獅苑の口喧嘩が始まった。まぁ、いつもどうりにセシリアがガミガミ言ってるだけなんだけど・・・
シ 「あれ? 朝霧君って保健室で寝泊りしてるんだよね? って事はこれから三人で寝泊まるのかな?」(シャルル
セ 「っ!? そんなの絶対嫌ですわ!!」
セシリアが身を乗り出し、大声を上げる。鈴は何も言わないって事は別にいいって事なのだろうか・・・
真 「あ、それなら大丈夫ですよ。朝霧君は今日から寮で寝泊りに戻りますから」
セ 「それなら安心ですわ」
獅 「・・・じゃあ、俺は帰るぞ」
鈴 「え、もう行くの?」
鈴が子猫のような瞳をして獅苑を見る。あれ? 鈴ってこんなキャラだっけ?
獅 「様子を見に来ただけだから。元気そうで良かったよ」
鈴 「う、うん」
獅 「・・・」
[ナデナデ]
鈴 「え・・・?」
悲しそうに俯いてる鈴の頭に今度は拳骨ではなく、掌を乗せ優しく撫でる。
鈴 「ちょっ! 何するのよ!?」
獅 「・・・なんとなく」
鈴 「なんとなくって何よ!? なんとなくって!?」
鈴は顔を赤くして怒ってるように見えるが、獅苑の手を振り払おうとはせず、やられるがまま撫で続けられている。その光景はまるで兄妹・・いや、姉妹と言ったところだろう。すると、ある事に俺は気がついた。
一 「(そうか。鈴は獅苑の事がすき)ぐほぉっ!」
いきなり獅苑が俺の腹に膝蹴りを決められて、俺は床に膝をつく。鈴とセシリアは見慣れているのかあまり驚かず、シャルルと山田先生は突然の事で驚いている。鈴、セシリア・・・なんて薄情な奴らなんだ。
一 「な、なにするんだ」(一夏
綺麗に膝蹴りが決められて、苦しい中、なんとか獅苑に理由を聞く。
獅 「・・・もっと、周りを見て考えろ」
一 「?」
周りを見て考えろ? 言われたとおり、周りを見ると、山田先生は
シ 「一夏、分かってないみたいだね」
鈴 「まぁ、一夏だし」
セ 「一夏さんですものね」
三人が「一夏だし」などと言って一斉に頷く。何が何だか、分からず、獅苑に聞こうとするが、すでに獅苑の姿はなかった。
獅苑SIDE
俺は混乱してた一夏をほっぽいて、寮に向かう。本音はまだ、俺の背中で寝息をたてていて、たまに「もう食べられないよ〜」っと言っているので、きっとお菓子に囲まれる夢でも見ているのだろう。
〜〜〜一応、回想〜〜〜
織斑先生と別れ、アリーナから出た後、俺を探していたのだろうか、俺を見つけるなりダッシュからのハグをされた。引き剥がそうにも乱暴なことは出来ず、アリーナ近くのベンチで腰を降ろし、雑談していた。すると、本音が「喋り疲れた〜」と言い出し俺の太ももに頭を乗せ、そのまま寝てしまった。可愛らしい寝顔で寝ている本音を無理に起こすことも出来ず、いつの間にか本音の頭を撫でてくつろいでいた。そこに山田先生が来て、鈴と金髪の様子を見に行くと言うので、本音を背負って保健室に赴いた。
〜〜〜回想終了〜〜〜
回想している内に寮の部屋に着く。
(なんか久しぶりな感じだな。まぁ、1ヶ月もすればそう思うのも無理ないか・・・)
部屋の扉を開く。中に進んでいくと、そこには無残に散らかっているお菓子の袋があった。
獅 「・・・おい、起きろ」
本 「うぅん、な〜に〜」
体を揺らし本音を起こす。
獅 「何じゃない、なんだこれは?」
本 「え・・・?」
本音は無残な部屋の光景を見て、冷や汗をかく。俺は本音を降ろし、人差し指を下に向け
獅 「正座・・・」
本 「・・・はい」
冷たく言い放つと、本音は俺の指示に従い、正座をする。
獅 「この部屋の状態はなんだ?」
若干、顔を笑顔にして問いかける。本音はショボーンとしながら質問に答えていく。この後も質問(尋問)が続いて、部屋を片付けさせた。本音の機嫌は最下底にまで落ちるが、鞭もあれば飴もあるという事で一緒に寝るか?っと聞くと、狐パジャマの耳がピーンと立ち、俺のベットにダイブして俺の体にまとわりつく。
本 「♪〜♪〜」
すっかり機嫌が良くなった本音は俺の背中に回した腕に力を込め、さらに密着してくる。
本音は機嫌が高まりすぎて、頬ずりしてくるため、なかなか寝付けなかった。
(まぁ、うれしいんだけどね)
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