IS学園にもう一人男を追加した 〜 18話
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本音SIDE

 

 

本 「うぅん・・・」

 

目を擦り、目の前の人物を見る。

 

獅 「zzz・・・」

 

そこには約1ヶ月ぶりの寝顔がある。相変わらず、顔には出てないが、幸せそうに眠っている。

 

(えへへ〜、可愛いな〜)

 

獅苑くんの頬を指で突く。獅苑くんは一瞬、嫌そうな顔をするが、起きる気配がない。

 

(にひひ、もっとしちゃおう)

 

上半身を獅苑くんの胸に寄り掛かり、鼻や頬を突き、緑髪を含んでいる前髪をいじる。

 

(子供の時ときもこんなふうに触ってたね〜)

 

昔の思い出に浸りつつ、触れていた手を徐々に手元の方に戻し、獅苑くんの唇に触れる。昔はお互い友達として接していたが、今は恋人同士。その事を思うと顔に熱が伝わっていき、顔が自然と唇に吸い寄せられていく。

 

本 「ん・・・」

 

数秒くらいのキス。だが、自分の欲を満たすには全然足りない。体がだんだん火照っていき、息が荒くなっていく。

 

(なんか、へんな気分になっちゃう〜)

 

もう一度、さっきより長い時間キスをする。体温がさらに上がっていき、頭がもうろうとしてくる。そのまま獅苑くんの胸に完全にもたれ掛かり、獅苑くんの服をぎゅっと握り締める。

 

(獅苑くんのにおい・・・だめ、もっとクラクラしてきた〜)

 

頭が真っ白になりそう中、獅苑の目を覚ます。

 

獅 「・・・なにやってるの、本音?」

本 「うひゃいっ!?」

 

飛び起きて獅苑から距離を取ろうとするが、ベットの上にいるためそのままベットから落ちる。

 

本 「いてて〜、落ちちゃった〜」

 

苦笑いしながら、起き上がる。一応、さっきまでの事を誤魔化そうと、獅苑くんに聞こえるように言ったのだが

 

獅 「(ぼ〜〜)」

本 「あれ? 獅苑くん〜」

 

獅苑くんは上半身を上げた状態で静止している。

 

本 「獅苑くん〜!!」

獅 「・・・ん、なに?」

(もしかして、寝ぼけてる?)

 

目がうつろで今にも寝てしまいそうに、コク、コクとしている。そして、ゆっくりと立ち上がり、洗面所に向かおうとするが、曲がり角で壁にぶつかり、尻餅をつく。だが、気にせず立ち上がり、そのまま洗面所に行ってしまった。私はいつもの獅苑くんとは違ってぼ〜っとしている獅苑くんがとても可愛らしくてクスっと笑ってしまう。でも、さすがに危ないと思い、様子を見に洗面所に向かうと案の定、獅苑くんは歯ブラシを咥えたまま、眠っていた。

その後、お互いに制服に着替え終わり、食堂で朝食を取り、獅苑くんを引っ張って教室に行った。

 

【教室】

 

クラス女子 「おっかえりなさーいっ! お姉さまっ!」

 

やっと、フラつきながらも自分で歩けるようになった獅苑くんを誘導して教室に入るとほぼ全員の女子から歓迎を受ける。もちろん、獅苑くんに向けて。

 

獅 「・・・[コクッ]」

 

獅苑くんは首を縦に動かし、そのまま自分の席に着く。獅苑くんの周りに女子たちが溜まる。だが、獅苑くんは前方やや下に顔を向けぼ〜っとしている。

 

(まだ、寝ぼけてるのかな〜)

 

おそらく、さっきの頷きもただ眠かっただけなのだろう。周りにいた女子たちは獅苑くんが朝に弱いと知らず、首を傾げる。だが、女子たちは「きっと、お疲れなんだ・・・」と言って、離れていく。

 

夜 「相変わらず、ラブラブだね〜。本音」

谷 「羨ましいな〜。ねぇ、もうキスとかしちゃった」

本 「えっ!?」

 

私も席に着こうとしたが、サッチー(夜竹さゆか)とユッチー(谷本癒子)に周りには聞こえないくらいの声量でいきなり核心を突いた質問をしてきて、つい顔を赤くしてしまう。

 

谷 「え、まじなのっ!」

本(夜 「ち、違うよ〜! そんなこと「嘘つかない。で、どうだったの?」・・・うぅ〜〜///」

 

結局、二人に内緒にしてもらうことを約束してもらって、織斑先生が教室に来るまで洗いざらい吐かされた。

 

 

獅苑SIDE

 

 

獅 「はっ・・・」

 

俺はなぜか教室にいる。まるで、教室でずっと寝てたような感じだ。

 

(前にもこんな事なかったっけ?・・・まぁ、どうでもいいか。寝よ)

 

 

ラウラSIDE

 

 

私には必要性がない授業が続く中、朝霧の方を見る。

 

獅 「zzz・・・」

 

机に突っ伏して寝ている。だが、教官以外の先生たちは注意を一切しない。成績が良いから起こす必要性がないのだろうか。

クラリッサとの連絡の後、入試試験の相手が教官で、その教官に本気を出させたらしい。とても信じがたい事だが、もし事実なら朝霧に対して何らかの対策を取らなければならない。

 

(学年別トーナメントであいつ(一夏)を排除する。だが、もし朝霧があいつと組むならば、覚悟がいる。なら、今の内にこちらに引き入れるか・・・)

 

視線を朝霧から織斑のほうに移す。教官が第2回モンドグロッソ大会で2冠をのがした原因、織斑一夏。そう思うだけで手に力が篭り、手を握り締めた。

 

【一応、回想 一夏SIDE】

 

第2回IS世界大会モンドグロッソの決勝戦の事だ。俺はその日に何者かに誘拐され、真っ暗な場所に監禁された。もう駄目かと思った時、壁が崩れ、光が差し込む中、ISを装着した千冬姉が立っていた。決勝戦会場から報せを受けて助けに来てくれた。その後、念のため病院に連れて行かれたが、大した怪我はなく、ただ腕に針を刺された跡があるだけだった。結局、俺を誘拐した犯人は捕まらず、決勝戦は千冬姉の不戦敗となり大会2連覇にはならなかった。ちなみに、この事件は世間に一切公開されておらず、千冬姉は監禁場所をつきとめたドイツ軍に借りを返すため1年ばかりドイツ軍のIS部隊の教官をした。ラウラが千冬姉の事を教官って呼んだのも、納得できる。

 

[バシッ!]

千 「授業中寝るな」

一 「・・・はい」

 

 

獅苑SIDE

 

 

俺は今、久しぶりに生徒会室をに来ている。

 

獅 「で、これが前に約束したお菓子です」

虚 「ありがとうございます」

 

皿に乗せたクッキー(ソフトクッキーみたいの)を机の上に置く。この場には俺と虚さんと本音がいて、さっきまで仕事をサボって寝ていたはずの本音がわいわいと喜ぶ。ちなみに、本音曰く自分が仕事をすると仕事が増えるからだそうだ。

 

本 「ね〜ね〜、早く食べようよ〜」

虚 「はいはい。では、いただきますね」

本 「わ〜い♪」

 

本音はクッキーを一枚一枚食べているが、口元にはクッキーのカスが早くも付着している。対照的に虚さんはお行儀良くクッキーを口に運ぶ。ちなみに本音と虚さんの皿は別々に出している。

 

獅 「どうですか?」

虚 「[ゴクッ]・・・すごいおいしいです。これならお嬢様も納得するでしょう」

獅 「そうですか・・・」

 

虚さんからお褒めの言葉を贈られ、ほっとする。

 

虚 「では、私は紅茶を持ってきますね」

 

虚さんは湯を沸かしに席を立つ。すると、本音が微笑み、俺に話しかけてくる。

 

本 「良かったね〜」

獅 「ああ」

[ナデナデ]

 

その後、やる仕事もなく、雑談してこの日の生徒会は終了した。

 

【場所は変わって寮への帰り道】

 

本 「そういえば〜、学年別トーナメントのパートナーは決まったの〜」

 

帰り道、本音と二人並んだ状態で歩いている。周りには女子達がチラホラいるため、呼び方があだ名になっている。

 

獅 「いや、決まってないけど」

本 「だったら、その、私と組んでくれないかな〜」

獅 「いいよ。もとからそのつもりだったし」

 

本音は「やった〜!」と喜び、はね続ける。だが、そこに物陰から出てきた人物が会話に割り込む。

 

ラ 「悪いが、そいつとは私と組む」

本 「え・・・」

 

銀髪が勝手な事を言いやがった。本音は銀髪に脅え、俺の背に隠れる。

 

獅 「何勝手な事を言っている」

ラ 「決定事項だ。もし、聞き入れないならば、力ずくにでも」

獅 「・・・本音、下がってろ」

本 「う、うん」

ラ 「しかたがない・・・」

 

銀髪は俺との間合いを一気に詰め、隠し持っていたサバイバルナイフで俺の腹部を刺そうとする。だが、ナイフが腹部に刺さる前に俺は銀髪の手首を掴み、切っ先がギリギリのところで止める。

 

獅 「・・・一般人相手に凶器を持ち出すか」

ラ 「お前は例外だ」

 

銀髪は持っていたナイフを落とし、戦意がない事を俺に伝え、俺は掴んでいた手を離す。銀髪は落としたナイフをしまう。

 

獅 「・・・じゃ、理由を聞かせろ」

ラ 「私は学年別トーナメントで織斑一夏をこの手で倒す。徹底的に

獅 「・・・」

ラ 「だが、その為にはお前はあまりにも危険な人物。だから、こちら引き込もうとしたのだ」

獅(ラ 「そんな話を聞かされて、俺が納得すると思って「お前にも一応、利益はある。おそらく私は怒りで我を忘れてしまうかもしれない。そうなったらどうなるかはわからない」・・・つまり、その時は俺が間に入って止める、か・・・」

 

同時に銀髪のお守りをする事になるか・・・笑っちまうな

 

獅 「フフッ」

ラ 「何がおかしい?」

獅 「いや・・・分かった、組んでもかまわない。だが、申し込みはお前がやれ。めんどいから」

ラ 「いいだろう」

 

申込書に名前だけを記入して銀髪に渡す。銀髪はその申込書を持って学園の方に向かった。

 

獅 「ごめんな、本音」

本 「別にいいよ。でも、何があったの?」

獅 「なんでもないよ」

本 「そう、分かった〜」

 

あっさり引いた本音は銀髪と俺との抗争が良く見えなかったようだが、俺は「なんでもない」と言い、場を流した。

その夜、本音は部屋に友達を呼び、俺が作ったクッキーを食べながら盛り上がっていた。

 

(・・・うるさくて眠れない)

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インフィニット・ストラトス 朝霧獅苑 のほほんさん 

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