IS学園にもう一人男を追加した 〜 25〜27話
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25話

 

 

 

 

シャルロットSIDE

 

 

夕日の日に照らされて、二つの影がお互いに引き合う。

 

一 「シャルロット・・・」

シ 「一夏・・・」

 

だが、その影が重なることはない。なぜなら、これは・・・

 

シ 「・・・夢?」

 

目を開くと場所はさっきまでいた教室ではなく、自室のベットの上。つまり、あれは夢。

現在の時刻、早朝6時半

 

シ 「はぁ〜、せめて後、数秒くらい見ていれば・・・」

 

頭に流れる夢の内容を何度も再生し、そのたびに顔が熱くなる。ふと、視線を横にやる。

 

シ 「あれ?」

 

隣のベットにルームメイトの姿がない。それに、ベットを使った形跡がなく、初めからそこにはいないようだった。

 

シ 「・・・まあ、いっか」

 

そう言って布団に潜る。今から寝れば、夢の続きが見れるという願いを抱きながら・・・

 

 

一夏SIDE (同時刻)

 

 

鳥 「チュンチュン・・・」

一 「ん・・・」

 

目覚めを促すように小鳥が鳴いている。

 

(もう少し・・・もう少し・・・)

[ふに・・・]

 

ふに? 何だ、この感触? こんなすべすべで柔らかい物体、布団の中にあったっけ?

 

? 「ん・・・」

一 「え・・・!?」

 

今、布団の中から声が聞こえた。

 

(いやいやいや、そんなわけない。そんなわけない)

? 「・・んぅ・・・」

(・・・まさか)

 

どうやら、聞き違いじゃないみたいだ。俺は固唾を飲み、掛け布団をガバッとめくる。すると、そこには

 

一 「ら、ラウラ!」

ラ 「ん・・・なんだ、もう朝か・・・」

 

長い銀髪が腰のラインを撫で、目を擦りながら、ラウラは目覚める。つか、なんで全裸なんだ!?

 

一 「ば、バカ! 隠せ!」

ラ 「・・・? 夫婦とは包み隠さぬものだと聞いたぞ」

一 「それは確かにそうだな・・・って、違うわっ! とりあえず、服を着ろ!」

 

ラウラは頭に?マークを浮かべている。こいつにそんな知識を与えたのは誰なのだろう? 俺はとりあえず、シャルロットに変わって同室になった獅苑に助けを求めようとするが・・・

 

一 「こんな時に限って何でいないんだよ!」

 

つい、大声を出してしまい、ラウラは耳を塞ぐ。

 

一 「あ、わりぃ・・・」

ラ 「朝から元気だな、お前は・・・あと、姉上の所在は私も知らないぞ」

 

ルームメイトがこんな状態だって言うのに、どこに行ってるのやら・・・ちなみに、ラウラが言った「姉上」だが、これは獅苑の事である。学園別トーナメントの事故以来、そう呼ぶようになり、なぜか前と違って敬語で接している。

まぁ、そんな説明はさておき、この状況を逃れるべく、俺は必死に考える。それはもう、熱が出るくらい・・・

 

(お、名案、思いついた)

一 「ラウラ」

ラ 「なんだ?」

一 「俺は奥ゆかしい女が好きなんだ」

 

ラウラには悪いが、こう言えば俺に遠慮して、このような事はないはずだ。

 

ラ 「ほう。だがまぁ、それはお前の好みだろ?」

一 「え?」

ラ 「私は私だ」

 

ラウラの目は意思を秘め俺を見つめている。俺もその目の輝きに吸い込まれ、ラウラを見つめてしまう。

 

ラ 「・・・か、隠せと言った割りに、ご執心のようだが・・・///」

 

ラウラは手を胸もと覆う。その行為が俺の視線から隠しているようで、俺も意識してしまう。

 

一 「違う! そうじゃない!」

ラ 「で、では、見たいというのか?」

一 「それも違う! いいから服を着ろ!」

 

ラウラをベットから降ろすため、手を伸ばすが、その手を掴まれ、そのまま腕挫十字固を極められる。小柄なラウラからのどこから力が来ているのか、俺の体は完全に制された。

 

一 「いてててっ!・・・」

ラ 「お前はもう少し、寝技の訓練をしたほうがいいな。なんなら、私が相手になってやらんでもないぞ///」

一 「どうしてそこで赤くなる!」

 

顔を赤らめるラウラだったが、拘束している力を緩めない。

 

[カランッ]

一 「え・・・」

 

竹が落ちる音がした方を向くと、そこには顔を引きつる箒の姿があった。

 

 

箒SIDE (1時間前)

 

 

時刻は5時すぎ。寮の裏の方にポッカリと空いている場所で私と獅苑が鍛錬を行っている。私は白い胴着に袴、草履を履いて、実戦を想定した装備。獅苑は見慣れのないジャージ姿に身を包んでいる。おそらく、前の学校の物だろう。

 

箒 「はぁ、はぁ」

獅 「・・・これぐらいにしとこう」

箒 「い、いや、まだだ!」

 

再度、竹刀を振りかぶるが、獅苑は避けることなく、片手に持った竹刀で受け止められ、また額にデコピンを喰らう。地味に痛い・・・

 

箒 「くそっ・・・」

獅 「無理は体の毒だ。明日も付き合ってやるから、な?」

箒 「うっ・・・わ、分かった」

 

獅苑の手をかり、起き上がる。獅苑は汗一つ流していないが、私の胴着は汗を吸って、気持ち悪い。部室棟のシャワー室で汗を流す事にした私は獅苑と共に部室棟を目指す。

 

獅 「・・・俺も行くのか?」

箒 「いや、お前とは二人っきりで話した事が、最近なかったからな・・・迷惑だったか?」

獅 「迷惑じゃない」

箒 「よかった・・・」

 

獅苑の言葉にホッとして、歩幅を小さく、遅めに歩く。もちろん、親友との会話を少しでも長くするためだ。獅苑も私に合わせて、横に並ぶ。

 

箒 「そういえば、千冬さんに聞いたが、二刀流が得意そうだが、剣術でも習っていたのか?」

獅 「いや、単に一本より二本の方が相手をボコボコにできるだろ。それに俺が滅茶苦茶な戦い方をしてるのは箒も分かってるんじゃない?」

 

確かに獅苑の動きは一級品だが、一度、本気で手合わせをしたが、戦い方はまるで喧嘩のように荒々しいものだった。

 

獅 「でも、最近はそんな事ないから」

箒 「・・・お前の地元はそんなに荒れているのか?」

獅 「別に普通の所だ。機会があれば、俺の家に来るか? その時はみんな連れて・・・」

箒 「そ、そうだな」

 

相変わらず、掴めない奴だ。だけど、こいつの傍にいると落ち着く。それは一夏とは違う安心感を感じた。

 

箒 「だが、そんなお前にも、ちゃんと弱点はあるんだな。まさか、朝に弱いとは・・・」

獅 「・・・///」

 

【回想】

 

一夏を鍛錬に誘うため、まずは体を暖める為に獅苑と手合わせをお願いに部屋に行ったのだが・・・

 

箒 「獅苑、起きてるか?」

[シ〜ン]

箒 「やはり、起きてないか・・・」

 

獅苑に頼ろうとした気持ちに鞭を打ち、扉に背を向ける。だが、背を向けた瞬間に扉が開く。

 

獅 「・・・どちら・・様で・・・?」

 

虚ろな目をしている獅苑がいた。いつもの獅苑はそこにはなく、可愛いという言葉が似合う印象を受けた。

 

箒 「わ、私だ」

獅 「・・・あ、箒・・か・・・」

箒 「おい、大丈夫か?」

 

さっきからフラフラと今にも眠りそうだ。私は獅苑の肩を揺らす。

 

獅 「・・・・・揺らさないで・・・」

箒 「あ、すまん」

 

結局、事情を説明するまで20分、本当に目覚めたのは1時間後だった。

 

【回想終了】

 

箒 「あれは驚いてしまったな」

 

あの時の印象が強くてつい笑ってしまう。鍛錬中もウトウトしていて、木に頭をぶつけたり、転んでコケたりしていて、本当に可愛らしいと思ってしまう。

 

獅 「直そうとはしているんだけど、ね・・・」

 

恥ずかしそうに頬をかく獅苑の姿にちょっと嫉妬してしまう。

 

(千冬さんと同じ雰囲気を持ち、こんな可愛らしい一面を持っているなんてな・・・なんかズルイな)

獅 「? どうした?」

箒 「い、いや、なんでもない!」

(一夏はどんな女が好みなんだろうな・・・)

 

 

獅苑SIDE

 

 

何事もなく、部室棟に到着した俺は箒と別れ、自室に戻る。制服に着替え、俺は一夏が寝ているベットの異変に気づく。

 

[モゾモゾ モゾモゾ]

獅 「・・・」

 

何かが一夏の足あたりに動めいている。まぁ、犯人は分かっているんだが・・・次は俺のベットに、未だに枕にしがみついている侵入者の近くに座る。

 

本 「zzz・・・」

 

本音は俺が箒に呼ばれるあたりから、ずっと俺の腕にしがみ付いていて、枕を身代わりにした(実は暑苦しくて無理矢理はがした、らしい?)。だから俺は箒が俺を呼ぶ声に反応できたわけだ。

まぁ、そんな事は置いておいて、対処を考えながら枕をぎゅうっとしている本音の頭を撫でてやると、うれしそうに笑う。

 

本 「しおん、くぅん・・・えへへ〜」

獅 「・・・///」

 

声は小さいがちゃんとその言葉が俺の耳に入り、顔が赤くなる。だが、そんな本音が愛おしくて撫でる動きは止めない。

 

(・・・本音ってお菓子食べてる割にスタイルいいな)

 

タボタボのパジャマは体とベットに絡まり、ピンと張る。そのせいで、本音の体のラインがくっきりと俺の目に写る。

 

[ゴクッ]

 

おそるおそる、本音の横腹に触れ、むにっと手が少し埋まる。

 

(だけど、無駄な脂肪はついてる。やっぱり、お菓子の量を減らさせるか・・・)

 

そんな事を言ったら本音はが怒りそうだが、そん時はそん時だ。次におそらく、ほとんどの脂肪が溜まっているであろう箇所を凝視する。

 

(・・・イカンイカン。何を考えてるんだ俺は)

 

触ってみるかと思ってしまった俺を誰かぶん殴ってほしい。この際、一夏でもいい・・・いや、逆にやり返しそうだ、俺が。

すると、本音が目を覚ます。

 

本 「うぅん・・・あ、おはよう〜。獅苑くん〜」

獅 「あ、う、うん。おはよう」

本 「あれ〜? お顔が赤いよ〜?」

 

不思議そうに俺の顔を覗き込みながら聞いてきた。

 

獅 「な、なんでもない! そろそろ自室に戻れ」

本 「へんな獅苑くん〜」

 

本音は「また後で〜」と言いながら部屋を立ち去る。俺はつい大声を出してしまったため、一夏の様子を見る。

 

一 「zzz・・・」

(寝てるな・・・)

 

次に俺はすぐ洗面所に向かう。急いで、この顔を冷やしたかったから。

 

[バシャ、バシャ]

(どうしたんだろう、俺・・・こんな感覚は初めてだ)

 

生まれてきてから今日まで、一度も心が張り裂けそうな感覚を感じた事はない。

 

(・・・やっぱり、変わってきてるんだな、俺も・・・)

 

目の前にある鏡で自分の顔を見る。そこには前の俺とは違う、生き生きとした俺が写ってた。

その後、俺は一夏が起きる前に部屋を出た。

 

 

 

 

 

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26話

 

 

 

 

 

一夏SIDE

 

 

箒に叩きのめされた放課後。夕日が差し込む教室で俺とシャルロットは掃除をさせられている。もちろん他の生徒の姿はなく、机を前後に動かしつつ、埃を一箇所に集める。

 

一 「うーん、楽しいな」

シ 「え? 楽しいの?」

一 「特に普段使っている教室の掃除だとな」

シ 「そ、そう?」

 

あれ? なんで、そんな不思議そうな顔をして俺を見るんだ? それに、さっきから顔が赤いが・・・夕日のせいか。まぁ、今は掃除を楽しむとしよう。

 

 

シャルロットSIDE

 

 

(こ、この状況、夢と一緒だよ///・・・だ、大丈夫かな? 変な顔になってないよね)

 

今、僕の脳内では夢の内容がフラッシュバックのように映し出される。一夏の顔を見るなり、心臓の鼓動が勢いをまし、自分でも分かるくらいに顔が熱くなる。

二度寝した後、起きた時間がいつもの登校時間をかなり過ぎていて、急いで制服に着替え、朝食を取りに食堂へ。すると、そこにはボロボロの一夏とその初代同居人の箒。そして、僕の新たな同居人であるラウラが一緒に朝食を取っていた。僕が一夏の顔を見て、夢の内容を思い出してハラハラしていたら、SHRの予鈴が鳴り、今日は織斑先生が担当だった事に箒とラウラがいち早く、寮から校舎に向かう。スタートダッシュが遅れた一夏は顔に絶望が浮かび上がり、僕はラファールを展開させて、一夏と一緒に外履きを手に持ち飛び立つ。あっという間に教室前の廊下に到着。ギリギリ間に合った事に安堵するが、目の前には織斑先生。ここまで言えば分かるよね、どうして、こんな状況なのか。

 

一 「そういえばさ」

シ 「な、な、なに!?」

 

不意打ちとも呼べる突然の呼びかけに噛んでしまった。

 

一 「どうした?」

シ 「な、なんでもないよ! そ、それでどうしたの?」

一 「いや、そろそろ臨海学校だなって思ってさ」

シ 「そ、そうだね・・・」

 

臨海学校・・・七月に行われる二泊三日の校外実習。ISの非限定空間における稼動試験を主題としており、代表候補生は国から送られてくる新装備のテストに利用している。だが、学園側も十代の女子達を海を目前にして訓練ばっかさせるほど、冷たくはない。初日だけ、丸々自由時間が設けられている。

 

(でも、もしかしたら、一夏と二人っきりになるチャンスがあるかも)

 

そうなれば、4人をだし抜けるかもしれない。この際、朝霧君にも協力してもらう。

 

(なら、今日、朝霧君にお願いしてみようかな。善は急げって言うし)

一 「シャルロット?」

シ 「え! な、なに?」

一 「いや、さっきから手が止まってるから。調子でも悪いのか?」

シ 「う、ううん。大丈夫だよ」

一 「なら、いいんだけど」

 

そう言って、一夏は前にあげた机を廊下側の列から元の位置に戻していく。

 

一 「そうだ。シャルロットは水着って持ってるのか?」

シ 「も、持ってないよ」

 

元々、男子として編入してきたため、女子の水着は持ってきておらず、臨海学校は国の都合で休むつもりだった。

 

一 「じゃあさ、日曜日に一緒に買いに行かないか、水着?」

シ 「え、それって・・・」

(デート!?)

シ 「う、うん! もちろん行くよ!」

一 「そ、そうか」

 

上機嫌になった僕は次の列の机を持ち上げようとするが、重くて上がらない。机の中を見ると教材がぎっしりと詰まっていた。

 

シ 「んん〜〜〜!」

一 「無理するなよ。俺が運ぶから」

シ 「へ、平気だよ。一応、これでも専用機持ちだし、体力は人並みに・・・」

 

机を一気に上げようと足を踏ん張るが、重量に耐え切れず、足を滑らせる。

 

一 「おっと。だから、無理するなって言ったろ」

シ 「ご、ごめん」

 

一夏が僕の体を支え、手を離した机も一夏が支え倒れることはなかった。だが、一夏の顔がドアップなため、夢の事を思い出し、顔が赤くなる。一夏は夕日のせいだと勘違いしてるのか、何も言うことなく、僕を立たせる。

 

一 「ほら、さっさと終わらせようぜ」

シ 「う、うん」

 

一夏に促され、最後の列の机を持ち上げる。すると、机の中から物が落ちる。

 

シ 「これ・・・」

一 「飴の袋、だよな」

 

中身が入ったソーダー味の飴の包み紙が二つ。

 

(朝霧君が置いていってくれたのかな?)

一 「獅苑の奴、忘れていったのか? せっかくだし、食べちゃおうか」

 

そう言って、一つの包み紙をビリッと破き、飴を口の中に放り込む。僕も朝霧君の良心だと思い、飴を口に入れる。

 

(あとでちゃんとお礼を言わないとね)

 

 

箒SIDE

 

 

(む〜、今日もつい手を出してしまった・・・)

 

朝、一夏とラウラの取っ組み合いを見て、竹刀で一夏に制裁を下した。

 

(一夏が悪いんだ。それに、ラウラがあんな、あ、あられもない姿で・・・///)

 

だが、どんな理由を並べても、一夏をしばいた事には変わりない。こんな事で一夏が私の事を嫌う事はないと思うが、やはり、自分がもし、嫌われてしまったらと考えてしまう。

 

箒 「はぁ〜・・・」

鷹 「もう何回目のため息よ」

 

新たな同居人である鷹月静寐(たかつきしずね)が呆れ顔で私のため息につっこむ。

 

箒 「そんなにしてたか?」

鷹 「それはもう、うるさいくらいに」

箒 「そうか、すまん」

鷹 「別に謝んないでいいよ。一夏君がらみなんでしょ」

箒 「!?」

 

いきなり核心を突かれて、目を見開いて鷹月の方を見る。

 

鷹 「だったらさ、今度の臨海学校で挽回すれば〜。もちろん、私も一夏君にアプローチをかけるつもりだけど」

箒 「臨海学校か・・・」

 

おそらく、あの4人も何らかの行動を起こすだろう。私も何か手を打たなければ・・・

 

(獅苑に頼むか・・・)

 

 

セシリアSIDE

 

 

セ 「う〜ん、どれにしましょうか?」

 

水着を掲げては後ろに放り投げ、また新しい水着を持ち、気に入らなければ後ろに投げる。

 

セ 「やはり、新しいもの買った方がいいのかしら?」

 

なら、その時は一夏さんを誘って・・・いや、ここは本番に見せるのもありですわね。と、考えている間にも時間が過ぎてもう2時間。

 

セ 「ああもう! どうすればいいのですの!?」

 

水着を全部ぶちまける。やはりここは、一夏争奪戦で数少ない中立的立場の人に協力してもらおう。

 

(不服ですが、獅苑さんに頼るとしましょう)

 

 

鈴SIDE

 

 

鈴 「ん〜〜〜〜」

テ 「[ポリポリ]、さっきから唸ってどうしたの?」

 

同居人であるティナ・ハミルトンがポテチをつまみながら聞いてくる。もちろん、唸ってる理由は臨海学校の件だ。

 

鈴 「ん〜〜〜〜」

テ 「はぁ、もういいわ」

 

そのままポテチを口に放り込み続ける。つか、あんた、太るとか言っときながら良く食べるわね・・・

 

鈴 「よし決めた!」

テ 「何がー?」

 

興味なさそうにポテチを喰らいながら言う。まぁ、そんな事は私には関係ないけど

 

鈴 「ちょっと出るわね」

テ 「いってらっしゃーい」

(やっぱり、迷ったときは獅苑に頼った方がいいよね)

 

 

ラウラSIDE

 

 

(ああしろと、クラリッサから指示を受けたが、どうも上手くいかないものだな)

 

私は今朝の一夏の反応とクラリッサから聞いた男の反応が違う事に疑問を抱いている。そして、ケータイを取り、クラリッサにかける。

ちなみに、ケータイの利用を薦めたのは姉上だ。時には普通の人と変わらないことをするのもいい経験だとの事だ。

 

ク 『こちら、クラリッサ大尉。なにか事件ですか? ラウラ隊長』

ラ 「いや、事件ではない。実はお前が指示した通りに嫁と一夜を共にしたが、お前が言ったとおりにはならなかったぞ」

ク 『そ、そうですか・・・なら、次の作戦と行きましょう』

ラ 「次の作戦・・・」

 

ゴクッと喉を鳴らす。

 

ク 『そういえば、もうすぐ校外実習がありますね。それを利用しましょう。ちなみに今、隊長が所持している水着は?』

ラ 「学園指定の水着一着だけだ」

ク 『何を馬鹿な事を!!』

ラ 「!?」

ク 『確か、学園の水着は旧型のスクール水着でしたね。それも悪くはないでしょう。ですが、それでは・・・』

ラ 「それでは・・・?」

ク 『色物の域を出ない!!』

ラ 「なっ!?」

ク 『隊長は確かに豊満なボディで男を篭絡というタイプではありません。ですが、そこで際物に逃げるようでは[気になるアイツ]から前に進めないのです!』

ラ 「な、ならば、どうしたらいい?」

ク 『では、今からXX時間後、もう一度連絡を。私に秘策があります。できれば、状況を把握できる方を連れてください。その方を通して作戦内容を伝えます』

 

状況を把握できる人。嫁は・・・いや、無理だな。なら、姉上に頼むとしよう。

 

ラ 「感謝する」

ク 『いえ、当然の事です。我が黒ウサギ部隊は隊長と共にあります。それでは後ほど』

 

電話の回線が切れ、私はケータイをポケットに入れて、制服の状態で部屋を出る。

 

(この時間なら姉上は部屋か・・・)

 

 

投稿者SIDE

 

 

その頃、獅苑は・・・

 

獅 「ねむっ・・・」

 

ベットでお休み中・・・

 

 

 

 

 

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27話

 

 

 

 

 

獅苑SIDE

 

 

獅 「・・・ねむい・・」

セ 「あのですね、真面目に聞いていらしゃるの!?」

箒 「おい、セシリア。そんな大きい声を出すな!」

シ 「箒も大きいと思うよ、声」

鈴 「それにしても、なんでそんなに、眠たそうなのよ」

ラ 「姉上、そろそろ降ろしてください・・・」

 

なぜか、俺と一夏の部屋に次々と入ってきた、女子5名。配置は箒とデュノアが一夏のベットに座り、セシリアがはその場で立っていたが、喋り疲れたのかイスに座り、鈴はベットに座っていた俺の隣に、ラウラは俺の膝の上。ラウラに関しては本能的に膝に乗っけて、両手で抱きかかえている。ちなみに、一夏は不在。

 

シ 「それにしても、二人はいつの間にそんなに仲良くなったの?」

鈴 「そうよね。私たちがいくら起こしても起きなかったし」

箒 「ラウラが近づいた瞬間にガバッ、だからな」

セ 「まぁ、そのおかげで起きてくれましたし、良かったんじゃありませんの」

ラ 「お前らも見てないで助けてくれ・・・ちょっ姉上、くすぐったいですから・・・」

獅 「(ポワポワ)」

 

自分を制御できてない俺の状態を見て、箒とラウラ以外はこう思ったろう。

 

シ・鈴・セ (なんか、いつもの(朝霧君・獅苑・獅苑さん)と違う・・・)

 

今の俺には他人がどう思ってようが気にもしない。気にする事ができない、眠いから。だが、眠気がちょっと取れてきて本題に移す。もちろん、ラウラを抱えたまま

 

獅 「・・・なんで来たの?」

鈴 「やっと、本題に移せたわ」

シ 「ここまでくるまで、結構かかったね」

箒 「それもこれも、セシリアが寝ぼけてる獅苑にいきなり説教を始めるからだ」

セ 「わたくしのせいだとおっしゃいますの!?」

獅 「zzz・・・」

箒・鈴・セ 「寝るな!!!」

[バシンッ]

 

強烈な一撃×3が俺の脳天に直撃。

 

獅 「・・・いたい」

シ 「あまり痛そうに見えないけど・・・」

ラ 「さすがは姉上だ」

 

やっと、冷静になりつつある一同。しばらくの沈黙に俺以外の女子5名が口を揃えて言う。

 

  「「「「「なんでみんな、ここにいるの?」」」」」

獅 「・・・ねむい」

 

【状況整理中】

 

獅 「・・・みんな、考える事は同じか」

一同 「・・・・・・」

 

女子5人が馬鹿うるさい言い合いにすっかり眠気が取れ、冷静に言い放つ。女子5人は顔を赤くして俯く

 

獅 「で、俺にどうしろと?」

箒 「手伝ってくれ!」

鈴 「手伝って!」

シ 「手伝ってくれない!?」

セ 「手伝ってください!」

ラ 「手伝っていただきたい!」

 

一斉に言い放たれた言葉が俺の鼓膜を震わせる。

 

獅 「デカイ声を出すな・・・まぁ、手伝ってもいいが、誰を手伝えばいい?」

一同 「(私・わたくし・あたし・僕)!!」

獅 「・・・」

 

そのまま、第2試合(言い合い)が始まる。さすがにこれ以上、騒がすにもいかず、周りが見えない5人に拳骨を振り下ろす。もちろん、ラウラを抱えたままで

 

獅 「次騒いだら、どうなると思う?」

一同 「すみませんでした」

(はぁ、一夏も大変だな・・・)

鈴 「で、誰を手伝うのよ・・・?」

 

頭を抑え、涙目になりながらも聞いてきて、残り4人も同じ眼差しでこちら見る。ラウラなんか俺を見上げるように見てくるから正直、この状況はつらい。

 

獅 「・・・俺は5人とも協力してもいいが、それじゃ、納得しないだろ」

一同 「当然!!」

[ゴツンッ!×5]

獅 「騒ぐな・・・はぁ、だったら自分で考えるんだな。俺も贔屓はしたくない」

一同 「・・・」

 

部屋が沈黙に包み込まれる。

 

セ 「しかたありませんね」

 

なんと、最初に諦めを表したのはオルコットだった。プライドが高い彼女があっさりと身を引く珍しい一面を見て俺を含め、皆が驚く。

 

箒 「セ、セシリア、本当に言っているのか?」

 

皆が疑問に思ってる事に代表として箒が尋ねる。セシリアは何を言われているのか分からないそぶりを見せる。

 

セ 「何を言ってますの? 別にわたくしは獅苑さんの手伝いなしでも、わたくしの美貌で一夏さんを篭絡させて見せますわ」

箒 「そ、そうか・・・」

セ 「そうですわ」

 

なぜか、自信に満ちているセシリアに引き下がる箒。セシリアが言った事に誰も反応はせず、セシリアは部屋を出ようとする。

 

獅 「・・・悪いな、オルコット」

セ 「別に気にしてませんわ。あと、わたくしの事はセシリアでよろしくてよ。わたくしも獅苑さんと呼んでますから」

獅 「分かった。じゃあセシリア、質問していいか?」

セ 「何ですの?」

 

セシリアは立ち止まり、皆の視線が腰に手を当てているセシリアの方に向く。

 

獅 「なんでそんなに自信満々なんだ? 秘策でもあるのか?」

セ 「秘策などありませんわ」

箒 「じゃあ、なぜだ?」

 

箒も俺の跡に続いて質問する。

 

セ 「なぜって、獅苑さんの手助けしてくれないのは皆一緒。つまり・・・」

 

サラッと金髪をなびかせて言う。

 

セ 「フェアな状態でわたくしが勝つのは当たり前ですもの」

 

まったく根拠がないその言葉が他4人の女子の心に火をつける。セシリアは微笑みながら、部屋を去っていった。

 

鈴 「まったく、言ってくれちゃって・・・あたしも部屋に戻るわ」

獅 「・・・そうか」

鈴 「そんなにションボリしないでよ。別に獅苑のせいじゃないんだから。じゃ、またね」

 

鈴もセシリアに続いて部屋を去る。

 

シ 「セシリアにあんな事言われちゃうなんてね。ごめんね朝霧君」

獅 「別に・・・あと、俺の事は獅苑でいい」

シ 「そっか。じゃあ僕の事はシャルロットでいいよ。あと、飴ありがとね」

 

シャルロットが立ち去った後にラウラが俺膝から降りる。

 

ラ 「いきなり押しかけてすみませんでした」

 

ペコッとお辞儀をしたラウラがそのまま部屋を出ようとする。

 

獅 「ラウラ」

ラ 「は、はい!」

 

ビクッと体を震わせ、こちらに体を向け、ピンッと背筋を伸ばしてる。

 

獅 「買い物は付き合ってやるから、元気出せ」

 

ラウラだけじゃ心配だからな・・・

 

ラ 「あ、ありがとうございます! それでは失礼します!」

 

明るい顔に戻ったラウラが部屋を出て、箒と二人っきりの状態になる。

 

箒(獅 「じゃあ、私も失れ「箒・・・」な、なんだ?」

 

ベットから立ち上がろうとした箒に呼びかけ、手で座れと促す。

 

箒 「ど、どうしたんだ?」

獅 「・・・セシリアの言葉が効いたか?」

箒 「!?」

 

目を見開き、だが、すぐに俯く。

 

箒 「・・・」

獅 「セシリアみたいにあんなに堂々と言えないか、一夏は私のものだと」

箒 「・・・本当、何でも分かってしまうのだな。獅苑は」

獅 「箒が分かりやすいだけだ」

箒 「そうか、確かにそうだな・・・」

 

箒は天井を見上げ、沈黙が続き、俺は声をかける。

 

獅 「まぁ、ここからは箒自身が考える事だ」

 

ベットから立ち上がり、クッキーの袋を持ち、部屋の出口に向かう。

 

箒 「どこに行くんだ?」

獅 「ちょっとな」

 

袋を持ち上げ、箒に見せる。

 

箒 「そうか」

獅 「一夏が戻る前にここから出た方がいいぞ。あいつの事だから今の箒を見たら、心配するだろうからな」

箒 「そ、そうだな」

 

だが、箒のテンションは変わらず、顔を俯いている。

 

(はぁ、仕方ないな)

 

袋を机に置いて、箒の肩を掴む。

 

箒 「!?」

 

お互いの吐息がかかりそうなほどの近さで箒と目を合わせる。その瞬間、箒の頬が赤くなるが、俺はそんな事は無視する。

 

獅 「自信を持っていい、お前なら大丈夫だ」

箒(獅 「だが、私はシャルロットみたいに可愛くないし、ラウラみたいに大胆にもなれない。そんな私が「俺が言っているんだぞ。自信を持っていいと」・・・え?」

 

これだと箒だけを贔屓してる様に見えるが、他の奴がこんな状態になっても俺は同じ事を言うだろう。例え、セシリアでも・・・

 

箒 「・・・ふ、そうだな。獅苑が言った事だからな」

 

さっきまでの不安が吹っ切れたように笑みを零す箒。それを見た俺は箒から離れ、箒は立ち上がる。

 

獅 「・・・もう大丈夫だな」

箒 「まだ不安は残るが、獅苑のおかげで一歩が踏み出せそうだ。ありがとう」

獅 「そうか。まぁ、頑張れ」

箒 「ああ!」

 

箒は部屋から飛び出す。

 

(元気になりすぎじゃないのか・・・?)

 

そんな事を思いながらも机に置いた袋を見つめる。本当はこれを本音の所へ持って行くつもりだったんだが

 

(まぁ、今日はいっか。本音の新しい同室の人を一目見とこうと思ったんだがな・・・)

一 「おーい。獅苑、戻ったぞー」

獅 「良い所に帰ってきた。これ食うか?」

一 「お! それ獅苑が作ったやつか? じゃあ、俺、お茶用意するわ」

 

そのまま、一夏はお茶をコップに入れ始める。

 

一 「そうだ。さっき箒が上機嫌で廊下を歩いてたんだが、どうしたんだろうな?」

獅 「・・・さぁな?」

一 「何だよ今の間は・・・あ、なんか知ってそうだな。隠さないで教えてくれよ」

 

その夜、男二人によるお茶会が行われた・・・

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・・・
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