IS学園にもう一人男を追加した 〜 53〜55話
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53話

 

 

 

 

千冬SIDE

 

 

束 『ちーちゃん、アイツはね、『ちーちゃん』を作ろうとして、生まれた"人形"なんだよ』

千 「っ!?」

 

ベットからバッと、体を起こす。

 

千 「・・・」

 

時刻を確認すると、現在3時。

起きるには早すぎる時間帯だ。

 

(朝霧が『私』を元にした"人形"だと・・・まさかな)

獅 「zzz・・・」

 

隣に目を移すと、ベットでスヤスヤと寝ている朝霧。

私は朝霧が寝ているベットに腰掛け、前髪を撫でる。

 

(そういえば、髪伸びてきたな・・・)

 

サラサラとした緑髪と黒髪。

初めて会った時は首まで伸びていた髪は、今じゃ肩甲骨下あたりまで伸びている。

だが、それと同時に、朝霧の容姿が段々と私に近づいてきた気がしてならない。

束があんな事を言っていなければ、気にしてなかったかもしれないのに・・・

 

千 「・・・」

 

更に言えば、私と一夏を捨てた"父親(あのひと)"に見えたりもする。

昔は、剣道で日本一に輝いた凄腕の人だったらしいが、事故で竹刀を握れなくなってしまい、それ以来、酒に溺れ、遊び人だった母親と一緒に金も家財も何もかも持って消えてしまった。

 

千 「だが、お前はお前だよな。朝霧・・・」

 

最後に朝霧を一撫でして、時間的に早いがトレーニングに行く準備を始める。

 

(私の家族は一夏だけだ・・・両親(あのひとたち)がどこで何しようが、関係ない)

 

自分の大切なものを再確認し、部屋を出た。

 

獅 「zzz・・・ねむ・・・」

 

 

一夏SIDE

 

 

シ 「えっ! 一夏の誕生日って、今月なのっ!?」

一 「お、おう。9月27日だけど・・・」

 

寮の食堂で夕食中、シャルがイスから立ち上がって、身を乗り出す。

それに合わせて、セシリアもパンを持って俺の右斜めの席に座る。

ちなみに、面々はいつもの5人に+簪だ。

 

シ 「うぅ・・・どうしよ〜・・・」

一 「ん?」

 

何故か、シャルが席にゆっくり座り、うな垂れる。

どうしたんだ・・・?

 

セ 「一夏さん、そういう事はもっと早くに教えていただかなければ困りますわ・・・9月27日の日曜日ですわね」

 

セシリアはパンを置いて、革手帳取り出すと、27日の欄にグリグリと丸印をつける。

そんな重要な事なのだろうか・・・

 

一 「い、いや、別に大したことじゃないと思って・・・」

ラ 「ふん。まぁ、知っていて黙っていた奴も居る事だしな」

箒・鈴 「うっ・・・」

 

ラウラに一瞥(いちべつ)され、ラウラのジト目に目を逸らすダブル幼馴染。

 

箒 「べ、別に隠してたわけではない!」

鈴 「そうよ、そうよ! 聞かれなかったから、言わなかっただけよっ!」

 

そんな言い訳じみた言葉を飲み込むように、夕食をほおばる2人。

 

簪 「じゃ、じゃあ・・・27日は、誕生日パーティ?」

一 「あ、ああ、いいぞ。どうせ、パーティはやるつもりだったし」

 

弾達も俺の家に来て、祝ってくれる事になってるから、祝ってくれる人が多いのは嬉しい事だ。

 

シ 「えと、何時から?」

一 「えーっと、四時ぐらいかな」

シ 「ほ、本当っ!・・・なら、間に合う」

 

急に機嫌が良くなったシャルは、小さくガッツポーズ。

 

セ 「あら? そういえば、27日って『キャノンボール・ファスト』ではありません?」

全 「あ、そうだった・・・」

シ 「・・・みんな、覚えてなかったんだ」

 

俺は覚えていたぞ、俺は。

 

一 「そういえば、明日から高機動調整が始まるんだよな。あれって、具体的に何するんだ?」

 

市の特別イベントとして催されるIS高速バトルレース『キャノンボール・ファスト』

二万人以上の観客を収容できるISアリーナで行われ、臨海地区に作られたそれはとてつもなくデカイ。

 

ラ 「基本的には高機動パッケージのインストールだが、お前の白式には関係ないだろう」

シ 「その場合は、駆動エネルギーの配分調整とか、各スラスターの出力調整とかかなぁ」

 

そうなると、箒も俺と一緒か・・・

 

一 「それだと、セシリアが有利だよな。『ブルー・ティアーズ』って、超音速戦闘を1つの目的として作られてるんだろ? 今度、超音速機動について教えてくれよ」

セ 「・・・申し訳ありませんが、それはまた今度。ラウラさんにお願いしてくださいな」

 

一瞬、顔が曇ったセシリアだったが、すぐに笑顔に戻る。

 

鈴 「そういえば、アンタ。最近、寮を抜け出して、特訓してるそうじゃない」

一 「へ〜、そうなのか」

簪 「でも、織斑先生に怒られてた・・・」

セ 「そ、それは、どうでもいいんですのっ! それより、シャルロットさん。『キャノンボール・ファスト』に出ないって聞きましたけど、どうしてですの?」

シ 「ちょ!・・・耳貸して」

 

どうやら、軽軽しく話ができるものではないらしい。

皆が身を乗り出し、机の中心に顔を寄せる。

 

箒 「ば、馬鹿者っ! 顔が近いっ!」

一 「へぶっ!」

 

隣の箒の後頭部から手を押し付け、顔面を机と接触。

確かに、こうなる事を考えなかった俺も悪いけど、やりすぎだろ・・・

 

全 [ジト〜・・・]

一 「・・・話をどうぞ」

 

全員の目線が俺の体にチクチクと刺さる中、俺は机に顎を乗せたまま顔を上げ、何も言う事無く、話をするように促す。

絶対、俺がここでなんか言うと、余計ややこしくなるに決まっている。

 

シ 「これは秘密なんだけど、実はフランスも第3世代型の試作機が開発されてて、そのお披露目の搭乗者に僕が選ばれたんだよ」

ラ 「デュノア社がか?」

シ 「うん・・・」

一 「それって、大丈夫なのか?」

 

シャルは元々、俺のデータを取る為に男装して学園に転入してきたんだ。

つまり、男装がバレたシャルが学園から離れたら、どういう目に合うか・・・考えたくもない。

 

シ 「大丈夫だよ。学園の職員も来てくれる事になってるから」

鈴 「その、職員って・・・?」

シ 「織斑先生だよ」

 

あ〜、それなら安心か・・・

 

一 「でも、気をつけろよ。何かあったら、俺がすぐに助けに行くからよ」

シ 「あ、ありがとう///」

 

イスから立ち上がり、親指で俺の胸を指すと、シャルが頬を赤く染めて嬉(うれし)恥(は)ずかしそうに俯く。

 

全 (・・・また、シャルロットか)

一 「それで、いつ出るんだ?」

シ 「明後日だよ。27日の昼ぐらいには帰って来れると思うから」

 

ああ、だからシャルは"間に合う"って言ったのか。俺の誕生日に・・・

 

一 「だったら、獅苑にも伝えないとな」

セ 「そういえば、寮に帰ってきていませんね」

鈴 「あれ? 知らないの、セシリア」

簪 「今、特訓中だよ。本音と」

 

 

獅苑SIDE

 

 

獅 「・・・休憩するか」

本 「さ、賛成〜・・・」

 

本音は打鉄から降り、俺は死戔を解除。

 

本 「ぷは〜、疲れたぁ!」

 

水の入ったペットボトルを半分まで一気に飲み干し、口を拭う本音。

 

獅 「それにしても、もう死戔の機動性に付いてくるなんてな」

 

完全展開の死戔の決定打になる攻撃は、学園祭以降から与えられていない。

 

本 「何ていうかねぇ、ISが教えてくれるんだぁ。何処何処から来るよ〜って・・・」

獅 「ISがか?・・・」

 

静かに佇んでいる打鉄を見る。

 

(特に変わったところはないと思うが・・・)

本 「さ〜てっ、休んだし特訓始めよぉ!」

獅 「・・・非常に元気な事で」

 

本音は打鉄を装着し、フィールドを楽しそうに動き回る。

最初の頃とは想像もつかないほどに、本音の操縦技術は上がっていた。

 

コ 『思ってた以上に成長が早いね』

獅 「ああ・・・行くぞ」

コ 『オッケー!』

 

俺も死戔を展開して、フィールドに飛び出す。

 

(今回は・・・不意打ちでいいか)

 

対艦刀を静かに構え・・・

 

本 「っ!?」

[ガキィン!]

 

振り下ろした対艦刀をISブレードに防がれる。

 

本 「び、ビックリして、心臓止まるかと思ったよぉ!」

 

どうやら、不意打ちされて本音はご立腹の様子。

 

獅 「まぁ、止まってないから、結果オーライ、だろっ!」

 

力任せにISブレードを弾いて、隙のできた胴に対艦刀をぶつける。

 

本 「わわっ!」

 

だが、咄嗟にスラスターを前に噴射し、本音は後ろに後退。

ダメージを軽減され、これまた決定打にはならない。

 

獅 「っ!」

 

俺は容赦なく、死戔の最大加速と瞬時加速(イグニッション・ブースト)を掛け合わせて、追撃を行う。

 

[ガキィン! ガキィガキィン!]

 

それでも、本音は死戔のスピードにしっかりとついてくる。

どうやら、"ISが教えてくれる"というのは、完全に否定は出来ないな・・・

 

(なら、反応出来ないほどの機動性で・・・)

 

3mぐらいまで畳んでいた黒翼をさらにコンパクトに。

そして、本音の真上に飛び上がるように、逆立ちの状態で打鉄の背中を斬りつける。

 

本 「取ったぁっ!」

獅 「っ!?」

 

ブレードを振りかぶるように身を回転させ、本音と目が合う。

咄嗟に、片翼で広げ防ごうとしたが、間に合わず横っ腹をブレードで叩きつけられた。

 

獅 「うっ・・・」

 

ズササァッ! と、地面に引き摺られ、仰向けの状態で本音を見る。

 

本 「・・・え、当たった?」

 

まだ、状況が分かってない本音がポツ〜ンと立って、だがすぐに笑顔に変わり、打鉄装着のまま飛び跳ねる。

 

本 「やったっ!!! 本当にできたぁ!! ねっ、ねっ! 私、出来たよっ! 獅苑くんに一発当てられたんだぁ!!」

 

ブンブンと、手を掴まれ俺は強制的に空を上下に揺らされる。

俺は揺らされながらも本音を宥め、とりあえずテンションが最高潮の本音を連れてピットに移動。

 

獅 「・・・で? 俺に何をさせる気だ?」

本 「ふぇ?」

獅 「"ふぇ?"じゃなくて、約束しただろ。"一つだけ言う事聞いてね"って」

本 「あぁ〜、忘れてたぁ。テヘッ♪」

獅 「おいおい・・・」

 

コツンっと、頭を小突く本音。

 

獅 「それで、何すればいいんだ?」

本 「ん〜〜〜・・・確かぁ、来週の日曜日って、学校自体お休みだったよね〜」

獅 「そうだな・・・」

本 「だったら、遊びに行こーっ!!」

獅 「・・・遊びに? 2人でか?」

本 「そうだよぉ」

 

つまり、デートなのか?

 

(・・・良いな)

獅 「じゃあ、来週の日曜日、な・・・」

本 「うんっ♪」

 

ギュッと、俺の腕に絡みつく。

 

鈴 「あ、ここに居た・・・って、お邪魔だったかしら?」

[ゴツンッ!]

鈴 「ぃ〜〜!」

獅 「その笑顔、腹立つ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

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54話

 

 

 

 

 

シャルロットSIDE

 

 

シ 「ん・・・」

 

目を開くと、そこは薄暗い機内の中。

 

(そっか、着(き)たんだ・・・)

 

時刻を確認すると、日本の時間で20時。フランスだと同日の正午。

寝ている間に、一夏達の見送りから10時間が経過していた。

 

(大丈夫・・・大丈夫・・・)

 

夏の臨海学校前、水着を買いに行った時に一夏からプレゼントされた金のブレスレットを握りしめる。

いつもは恥ずかしくて付けてはいなかったが、今はこれをつけると一夏がいつも傍にいる気がして、安心する。

 

シ 「・・・///」

 

そう思うと、顔が火照ってきた。

ドキドキが止まらず、意識しないようにするものの、どうしても一夏を思い浮かべてしまう。

 

一 『何かあったら、俺がすぐに助けて行くからよ』

シ [ドキッ!]

 

まるで、自分だけの白馬の王子様のような台詞。

それを、頭の中で何度も再生してるたびに・・・

 

千 「ニヤけてるぞ」

シ 「えっ!?」

 

隣で寝ていた織斑先生がアイマスクをずらして、僕の口を抑えられた。

 

千 「機内では静かにしろ」

シ [コクッコクッ!]

千 「・・・よし」

 

僕の口から手を離し、アイマスクを外す。

 

千 「そろそろ離陸だ。準備をしておけ」

シ 「は、はい」

 

【空港】

 

シ 「・・・」

千 「・・・」

シ 「・・・来ませんね」

千 「だな」

 

確か、レーアさんが迎えに来てくれると聞いていたんだけど・・・

 

レ 「ああ! ゴメンゴメン、待たせちゃった!」

 

作業着を着て、向こう側から走ってきたレーアさん。

走りすぎたのか、額に汗が出ている。

 

千 「遅いぞ。お前はいつになったら、時間を守れるんだ?」

レ 「だから、ゴメンって言ってるでしょ! 私だって、迷子になりたくて迷子になってるんじゃないのっ!」

 

いや、そろそろ自分の国の地図ぐらい覚えようよ・・・

 

レ 「むっ? 今、何か思ったでしょ」

シ 「い、いや、そんな事はないですよ〜・・・」

 

方向音痴の人でも読心術はあるようだ。

 

千 「ゴホンッ・・・そろそろ、案内してほしんだが?」

レ 「あ、そうだったわね・・・」

 

レーアさんは僕達から距離を取り・・・

 

レ 「フランスへようこそ。歓迎するわ」

 

・・・すみません。作業服着てるから、微妙な感じなんですけど。

 

【デュノア社】

 

タ 「いやはや、まさかあの『ブリュンヒルデ』に会えるとは、光栄です。私はターフィス・デュノアと申します」

 

ターフィス・デュノア・・・デュノア社の社長で、僕の義父。

この人こそが、僕に男装させてIS学園に送り込んだ張本人である。

 

千 「ご丁寧にどうも・・・あと、その名で呼ぶのはできれば遠慮してもらいたい」

タ 「これは失敬・・・それにしても、いや何ともお美しい」

 

織斑先生の顔を見ながら、手を触れようとするターフィス。

だが、パチンッと、その手をレーアさんが振り払う。

 

レ 「あ、ごめんあそばせ」

タ 「・・・いえ」

 

相手がレーアさんなのだろうか、ターフィスは叩かれた手を擦りながら引き下がる。

 

タ 「では、失礼します。また披露宴で・・・さぁ、行くぞ」

母 「ええ・・・」

シ 「・・・」

 

チラッと、僕を睨んだ義母はターフィスと客室を出る。

 

レ 「・・・悪いわね、あんな人で・・・」

千 「いや、お前がしてなかったら、私が手を叩(はた)いていた」

レ 「シャルロットも・・・ごめんね」

 

気遣ってくれてるのだろうか、僕の頭に手を乗せ、優しく撫でる。

僕はできる限り、顔に表情を出さないように・・・

 

シ 「大丈夫です。慣れてますから・・・」

レ 「・・・そう。なら、何も言わないわ・・・じゃあ、行こうか!」

 

ニコッと、笑ったレーアさんが僕の手を引いて、客室を出る。

その後を織斑先生は"やれやれ"とした表情で付いてくる。

 

シ 「・・・って、どこに?」

 

【徒歩20分】

 

レ 「ようこそ、我が根城へ」

シ 「"根城"って・・・」

 

そこは、豪華な一軒家。

レーアさんのご自宅である。

 

ジュ 「ちょっと、姉ちゃん。牛乳、切れてるんだけどぉ」

 

この青年は、ジュン・ディディア。

僕の1つ下で、レーアさんの弟。

 

ジュ 「あ、シャルロットさん、帰ってきてたんだ」

シ 「う、うん・・・久しぶり」

ジュ 「本当に久しぶり・・・って、こちらの方は、もしかしてっ!?」

千 「な、何だ・・・?」

ジュ 「かの有名な『織斑千冬』様じゃないですかっ!!」

 

そして、織斑先生の大ファンでもある。

 

ジュ 「すっげぇー! お、俺、ジュン・ディディアって言いますっ!」

千 「あ、ああ。よろしく・・・」

 

さすがの織斑先生でも、ジュンの対応に困っているようだ。

 

シ 「・・・やっぱり、クリヤさんは帰ってきてないんですか?」

 

僕がまだ子供の頃、中学生だったジュンの兄"クリヤ・ディディア"は、書置きに『もう、弄られるのはヤダ』と書いて家を出て行った。

それでも、良く仕送りや、手紙を送ってきているようだが・・・

 

レ 「そうなのよねぇ・・・ま、あの子だから大丈夫じゃない? 貧乏くじを良く引くけど、毎度毎度、うまくやるから・・・それより、部屋に案内するわ。ほら、ジュンも千冬の邪魔をしないの」

ジュ 「ちぇ〜、分かったよ。あ、後でサイン頂けますか!?」

千 「そ、それぐらいなら・・・」

 

織斑先生が答えると、"よっしゃー!!"と、叫びながら、二階に繋がる階段を駆け上がり、自室に戻っていったジュン。

おそらく、荒れ放題の部屋から色紙を探すつもりなのだろう。

 

レ 「はぁ・・・いつもあんなんじゃないんだけどね。興奮すると、ちょっと・・・」

千 「良い弟じゃないか」

レ 「そう? だったら、今度、一夏君だっけ? 会わせて頂戴ね」

 

同じ弟を持つ姉同士、話が合うのだろうか・・・

 

千 「それに、お前の弟はただの中坊ではないな。あの手はかなりISの整備に携わっていると見える」

レ 「おぉ〜、見事。手に触れられるだけで、そこまで分かるなんてね・・・さ、ここよ」

 

レーアさんが連れて着た場所は、B2に繋がる階段を降りた先にあるリビング並みの広さがある部屋。

その部屋には、ベットが二つ、キッチンや他にも家具が置いてあり、この部屋だけで生活できる形になっている。

 

レ 「じゃあ、ここでちょっと待ってて。昼食を作りに行ってくるから」

 

そう言って、レーアさんは部屋に僕と織斑先生を残して、階段を上がっていった。

 

シ 「・・・みんな、今頃何してるんでしょう?」

千 「さぁな・・・だが、退屈はしていないだろう」

シ 「ですよね・・・セシリアは、また訓練してるんでしょうか?」

千 「色々とあるんだろ・・・まぁ、また寮を抜け出したら、私直々に指導してやるがな」

 

あの失神するまで極限状態まで追い込む、言わば拷問みたいなもの、ね・・・

 

ジュ 「千冬様っ! サインお願いしますっ!」

千 「え、あ・・・わ、分かったから、そう慌てるな・・・」

 

でも、ジュンの事は苦手みたい・・・

 

 

セシリアSIDE

 

 

(どうして・・・どうして出来ませんの?)

 

BT偏光制御射撃(フレキシブル)・・・BT兵器稼働率が最高潮に達した時、射撃されたビームを精神感応制御によって自在に操る事ができる能力。

 

(わたくしのBTシステムの適性は『A』・・・現在の操縦者ではわたくしがBT適性の最高値のはずですのに・・・)

 

だが、この能力は所詮、机上の空論、過去に成功した者は一人もいない。

 

(ですけど、この能力をものにできれば、白式と対等に・・・)

 

ミサイルビット以外、ビーム兵器しか装備されていないブルー・ティアーズは、ビームを無力化できる白式とは相性が悪すぎる。

それを実感できているからこそ、わたくしは毎晩、寮を抜け出しては第三アリーナで特訓している。

そのたびに、織斑先生に怒られてますけど・・・

 

(曲がってっ!)

 

意識を集中させ、BTロングライフル『ブルー・ピアス』に"曲がれ"と念じるが、レーザーは真っ直ぐに突き進み、遮断シールドに当たって霧散した。

 

ダ 「よぉ、またやってんのか?」

セ 「・・・いつも思いますけど、あなたは暇なんですの?」

 

何故か、いつもいつもわたくしの訓練を見に来ているケイシー先輩。

ケイシー先輩のISは、学園祭の事件で改修と改造のために本国に送られ、この第三アリーナに来る必要がない。

 

ダ 「ひでぇなぁ、私は可愛い後輩を思って・・・って、おい。すぐ帰ろうとするなよ」

セ 「丁度、ここまでにしようと思っていましたの。では、御機嫌よう」

ダ 「あ、待てって!」

 

ISを解除して、更衣室まで向かう。

その間もケイシー先輩は更衣室まで後を付いてきた。

 

セ 「・・・本っ当にっ! 先輩はお暇なんですのね!?」

ダ 「だってさぁ、フォルテはISと一緒に本国に行っちまうし、私はISがなくて『キャノンボール・ファスト』には出られないし、暇で仕方ねぇんだよ・・・」

セ(ダ 「だからって、暇つぶしの相手にわたくしを「心配なんだよ。お前は昔の私に似てんでな・・・」・・・似てる?」

 

ロッカーに背中を預けて、腕を組む先輩。

 

ダ 「私もさ、代表候補生に選ばれた時、"私は選ばれた人間なんだ。他の奴等とは違う"って、勝手に思い込んで、くだらないプライドを持っちまってさ」

セ 「・・・それは、わたくしが"くだらないプライド"を持っているということですの?」

ダ 「私よりじゃないと思うがな・・・」

セ 「じょ、冗談じゃありませんわっ!!」

 

ガンッ!と、ロッカーを手で殴り、同時にブルーティアーズのビットを部分展開し、先輩の首下に銃口をつきたてた。

だけども、先輩は涼しい顔で言葉を続ける。

 

ダ 「織斑一夏に自分だけが負けて悔しいか?」

セ 「っ!?」

ダ 「確かに、お前のISと白式の相性は非常にわりぃ。だが、ほかの専用機持ちは白式には勝てて、自分だけが勝てない。それで、今みたいに夜中に抜け出して特訓をしている」

セ 「特訓が、いけない事でも・・・?」

ダ 「悪かぁねぇよ。ただ、理由がくだらねぇだけだ」

セ 「理由・・・?」

ダ 「どうせ、"代表候補生である自分が6ヶ月の期間で成長した織斑一夏に負けた"事が許せねぇんだろ? "これまでの努力が無駄"ってな・・・」

セ 「・・・」

 

自分でも気づけない"黒い部分の気持ち"を指摘され、先輩の首下につきたてたビットを戻す。

 

ダ 「まぁ、強くなる理由なんてそこら辺に転がってる訳じゃねぇからな、適当に探せよ」

セ 「・・・ヒドイ先輩ですわね。言うだけ言って、さよならですか・・・そのやる気のなさ、私には真似できませんわ」

ダ 「真似されたら、私が虚に怒られるっつうの・・・じゃあ、無理しすぎるなよ。お人好しの奴等が心配するからさ」

 

そう言って、先輩は更衣室を出て行く。

わたくしは左耳の青いイヤーカフス『ブルー・ティアーズ』の待機状態を撫でる。

 

セ 「理由、ですか・・・良く分かりませんわ」

 

先輩が言った事を理解できないまま、制服を着始める。

 

(ですが、一夏さんを心配させるわけにはいけませんわね)

 

これからの特訓時間を改める必要性が出てきたようだ。

 

(まったく、先輩があんな事言うからですわ・・・)

 

だが、私は微笑んで、口元を緩ませていた。

 

 

 

 

 

 

投稿者SIDE【その頃、フォルテは・・・】

 

 

フォ 「あ〜、暇ッス!」

 

カチャカチャとパズルを投げ飛ばして、ベットにダイビング。

ギシッと、ベットが軋むが高級素材の布団がフォルテの体を優しく受け止める。

 

フォ 「そういえば、フランスで何か動きがあるとか言ってたッスよね」

 

直接聞いたわけではないが、官僚同士が話し合ってる所を盗み聞きしただけ。

 

フォ 「・・・よ〜し、暇つぶしに行くッス!」

 

だいたい改修が済んだ『コールド・ブラッド』のもとに走り出す。

 

 

 

 

 

 

【場所は戻って、IS学園】

 

 

獅 「・・・」

く 「・・・」

コ 『・・・黙ってたら、何も始まらないんだけど』

 

くーちゃんと呼ばれる少女と、獅苑が面と向かっていた

 

 

 

 

 

 

 

 

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55話

 

 

 

 

 

獅苑SIDE

 

 

獅 「・・・」

く 「・・・」

コ 『・・・そのネタ、前話にやったよね?』

(いや、ネタとかじゃなくて、これからどうするかを考えているんだが・・・)

 

織斑先生がいない寮部屋で、ベットに座る俺の対面に、もう1つのベットに腰掛けている目を瞑っている少女。

事の発端は・・・

 

【回想】

 

獅 「・・・」

 

今、俺の手元には本音と遊ぶために用意された"チケットをひらひらと眺めながら、授業をサボって学園内を歩いていた。

 

獅 「ん?」

 

一階職員室の所に来ると銀髪の少女と、その少女の対応に困っている女性職員を発見。

すると、職員が俺の存在に気づくと、目を輝かせて助けを求めるジェスチャーをしてきた。

 

獅 「・・・」

 

その場から離れるわけにもいかなく、一応職員から事情を聞くことに・・・

 

【回想終了】

 

どうやら、この少女は織斑先生に用があるらしいのだが、先生はシャルロットの付き添いでフランスへ。

それに、職員の質問には"教えられない"と答えてばっかで、職員達も子供相手に乱暴な事はできずに、俺に全て丸投げしてきたのだ。

それにしても、この厳重な警備が設置されているIS学園に子供が侵入してきたとなると、誰かが手引きでもしたのか?

 

獅 「・・・名前は?」

く 「くー・・・」

 

あ、答えてくれた・・・

 

獅 「・・・ここに来た目的は?」

く 「話せない・・・」

 

"話せない"という事は、誰かの命令でここに来たのは間違いなさそうだ。

 

獅 「・・・」

コ 『どうする?』

 

いや、どうするって、言われても・・・

 

く 「・・・少女相手に、2人で事情聴取はどうかと私は思うのですが」

コ(獅 『え? この子「・・・」・・・っ』

 

黙らす口はないので、ISコア自体を握ってコウを静止させる。

 

獅 「目、見えないのか?」

く [コクッ]

獅 「じゃあ、どうやってここまで来た?」

く 「この目とは、長い付き合いですから」

 

つまり、他の五感が補っているって事か。聴覚とか、嗅覚とか・・・

 

獅 「とりあえず、織斑先生が帰ってくるまで、お前は俺と一緒に居てもらう。いいか?」

く [コクッ]

 

少女の了承も得たところで、昼食を取りに部屋を出る。

 

(はぁ、本音と遊ぶ約束があるのに面倒な事になってきたなぁ・・・楯無さんに頼ってみるか)

ラ 「っ・・・」

獅 「ん?」

 

そう悩んでいると、向こう側から血相を変えたラウラが俺の横を通り過ぎていく。

 

獅 「・・・どうしたんだ?」

 

軍人であるラウラはすぐに俺の視界から消え、その後を追うことが出来ず、ただ首を傾げる事しか出来なかった。

 

 

シャルロットSIDE

 

 

シ 「ふぁああ・・・おはようございます」

 

目が覚め、おいしそうな香りに誘われてリビングに来ると、テーブルには4人分の朝食が用意されていた。

 

ジュ 「おはよう、シャルロットさん」

レ 「かなりお休みだったけど、時差ぼけ?」

シ 「んぅ、たぶん・・・」

千 「だらしないぞ。もっと、シャキッと、したらどうなんだ?」

 

僕は織斑先生みたいに、そこまで臨機応変できませんよ・・・

 

レ 「そういえば、ちゃんと服畳めるようになったのね。学生時代の時なんか、部屋が荒れほ むぐっ!?」

シ・ジュ 「っ!?」

 

織斑先生のアイアンクローがレーアさんのこめかみにめり込み、後ろ向きにイスから転げ落ちるレーアさん。

 

千 「・・・」

 

織斑先生は何もなかったかのように、食事を続ける。

 

レ 「・・・はぁ」

 

レーアさんも先生に合わせて倒れたイスを立て直し、黙々と食事を続けた。

 

シ・ジュ 「???」

 

【昼食終了】

 

全 「ご馳走様」

 

日本流に手を合わせて、皿をキッチンの方に皆で運ぶ。

 

レ 「あ、そうそう。これ、渡しておくわ」

シ 「これって、お披露目の予定ですか?」

 

ビッシリと書かれたお披露目会のスケジュール。

どうやら、お披露目が始まるのは二時間後のようだ。

 

レ 「千冬とジュンは家に居てね。私がシャルロットと一緒に居るから」

ジュ 「千冬様と居られるなら喜んでっ!」

千 「・・・なら、私の仕事を任すぞ」

 

僕の護衛である先生の了承を得たレーアさんは、僕の手を引いて日本製の愛車に連れ込む。

 

レ 「さぁて、気晴らしにどこかに行く?」

シ 「え? 会場に行くんじゃ・・・」

レ 「まだ時間はあるでしょ? どうせ、ISを装着して飛び回るだけなんだから、ぶっつけ本番でも大丈夫。じゃあ、行くわよぉ!」

 

帽子を深く被り直し、一気にアクセルを踏み込んだ。

 

シ 「え、ちょ!」

レ 「舌噛まないように・・・」

[ビュンッ!!]

シ 「うっ!!」

 

風と車のシートに挟まれ、身動きが取れなくなる。

それなのに、レーアさんは更に加速し始めた。

 

(って、あなた方向音痴でしょうっ!!)

 

【案の定・・・】

 

レ 「ここ・・・どこ?」

シ 「はぁ・・・」

 

これは、ラウラと一緒に居たより苦労するなぁ・・・

 

 

投稿者SIDE

 

 

ラ 「・・・」

 

羽田空港からドイツ便に乗り込んだラウラ。

不法ではないが、教員達に事情を説明させて、席の予約に強引に割り込んだのだ。

 

(早く、早く着けっ!)

 

貧乏揺すりが機内に響き、ラウラはドンドン険しい顔つきになっていく。

それもそのはず、さっき獅苑に遭遇する前に、ドイツ政府から連絡があった。

『今から5時間前、ドイツ特殊部隊『シュヴァルツェ・ハーゼ』が何者かによって全滅。至急、本国に戻られたし』

 

ラ 「クラリッサ、みんな・・・無事で、無事でいてくれ」

 

組んでいた腕を解いて、願うように手を合わせることしか、今のラウラには出来る事がなかった・

 

 

【5時間前 ドイツ、シュヴァルツ・ハーゼ基地】

 

ク 「うぅ・・・リ、リヤ・・・」

リ 「・・・」

 

炎の海と化した基地で、隊員達が気絶している中、ボロボロに装甲が破壊されたツヴァイクを装着しているクラリッサの目の前に、基地に保管されていた"シュヴァルツェア3号機『シュヴァルツェア・ラビィーネ』"を装着しているリリヤが浮遊している。

 

ク 「な、ぜ・・・こんな・・・」

リ 「すみません、副隊長。ですが、これが私なんです」

 

ガチャッと、両腕(りょううで)前腕(ぜんわん)に装備されたリボルバー式グレネードが自動装填され、リリヤは腕を上に掲げる。

 

リ 「嬉しかったです。誰ともしらない私に親切にしてくれて・・・部隊のみんなも優しくて、楽しい人達で、一時"普通の人間"として過ごせました」

ク 「なら・・・何故!?」

リ 「私は、人形だから・・・だから、みんなみたいに眼帯を付けられなかった」

 

シュヴァルツ・ハーゼの隊員全員は、擬似ハイパーセンサー移植手術を行って、『越界の瞳 (ヴォーダン・オージェ)』を持っている。ラウラ同様、片目はナノマシン移植の影響で金色に輝いており、全員が眼帯をつけているのだ。

 

ク 「眼帯が、なんだ? お前、は・・・私達の仲間、だ」

 

意識が薄れていくクラリッサは気迫で、リリヤに手を伸ばす。

だが、リリヤはその手を取る事無く、微笑んで・・・

 

リ 「嬉しいです。まだ、私の事を"仲間"と言ってくれて・・・ですから、呪い殺してください。こんな私を・・・」

 

そう言って、グレネードを上空に7発×2を連射し、グレネードは弧を描いて基地に降り注いだ。

 

リ 「・・・」

 

上空に上がって爆風から逃れたリリヤは、我が家とも言えた基地が炎に包まれていくのを見つめ、合流地点である旧滑走路に向かう。

 

? 「リ、リヤ・・・泣いて、るの?」

 

合流地点に降り立つと、『No.33』が表情には出てないが、心配そうに近寄ってくる。

 

リ 「泣いて、ないわ・・・」

? 「違う・・・心、が」

リ 「・・・さぁね」

 

ラビィーネを待機状態にさせ、黒いレッグバンドを桃ではなく、足首に取り付ける。

 

R 「あと、私はもう『リリヤ』じゃない。『No.34』、あんたの次に生まれた人形で、亡国機業(ファントム・タスク)の一人、『R』よ」

? 「・・・そう」

R 「あなただって、『W』って名を貰ったでしょ?」

W 「好き、じゃない・・・」

R 「好き、じゃないか・・・私もそうなのかな?」

ス 『2人とも、次の作戦に移行して頂戴』

 

2人の耳に付けられた通信機にスコールからの次の作戦への移行命令。

2人は無言で応答し、スコールは通信を切る。

 

R 「じゃあ、さっさと終わらせますか・・・エムと合流しないといけないんでしょ?」

W 「エム、じゃない・・・マドカ」

R 「マドカ、ね・・・ま、どっちでもいいや」

 

そう言うと、旧滑走路に待機させておいたジェット機に乗る。

 

R 「オータムはもう着いてるの?」

W 「作戦、どうりなら・・・」

R 「そう・・・じゃあ、出るよ」

 

徐々にスピードを上げるジェット機が滑走路から離陸。

ブースターが点火して、フランスの方にまで飛びだっていった。

 

 

【スコールがいる高層マンション】

 

ス 「ふぅ・・・Rには、悪い事をしちゃったかな?」

? 「てめぇが、それを言う資格があるのか?」

 

スコールがソファーに背中を預ける後ろに、音もなく現れた『No.50』

 

ス 「そうね。色んな人を殺してきた私が言う資格なんてない・・・でも、こんな事で止まる訳にはいかない」

? 「・・・まぁ、どうでもいいがな。てめぇが"アイツ等"を利用してようが」

ス 「・・・ねぇ、こっち向いて」

 

スコールが『No.50』を頬を寄せ、スコールと『No.50』の唇が重なる。

 

ス 「・・・」

? 「・・・満足か?」

 

『No.50』は満足した様子のスコールから離れ、壁に背中を預け、腕を組む。

 

ス 「えぇ・・・もうすぐ、"運営側の一人"が私達と合流するわ。その間は、あなたの好きに動いて構わない」

? 「エムと違って、俺は優遇だな?」

ス 「"あなたを怒らせると、組織は壊滅しかけない"って事で、あなたの"自由行動"を運営側の決定したのよ」

? 「俺はただ、強い奴と戦いたいだけなんだがな・・・んじゃ、俺はジジィの所に行って来るぞ」

 

手を振って、部屋を去ろうとする『No.50』

 

? 「あ、そうだ」

ス 「何?」

 

立ち止まった『No.50』は、獅苑と同じ表情を浮かべ・・・

 

? 「オータムにも、自分から甘えに行ってやれ。あいつの生きる目的はアンタ自身なんだからよ」

ス 「っ・・・」

 

最後に微笑んだ『No.50』は、今度こそ部屋から出て行く。

 

ス 「・・・本当、あなたは私の想いをかき乱すわ。人形のくせに」

 

フフフッと、笑うスコールは首に下げているロケットを開く。

そこには、幼少時代のスコールと、その隣でにこやかに笑うスコールの両親。

 

ス (ママ、パパ・・・私はこの世界を壊すよ。2人を殺したこの世界を・・・)

ス 「だから、待ってて。どんなものでも利用し続けて、全てを壊す・・・だけど、少しくらいは"女"になってもいいよね」

 

スコールは目を瞑り、ロケットを握りしめてそのまま眠っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

簪 「私達の出番って、いつ、なんだろう?」

箒 「そんなもの、私に聞くな」

楯 「計画どうりに進められない人よね。この小説を書いてる人」

一 「そう言うなって。俺達にこれを喋らせてるって事は、そういう自覚があるって事だろ?」

鈴 「だから、余計に腹が立つのよっ!! 自覚があるなら直しなさいってぇの!」

箒 「だが、今言ったって、直らないだろう」

一 「それは・・・言えるかもな」

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