魔法少女リリカル的ななにか 12話 この力は誰のために |
Side クリス・アヴェイン
ここは平和で素晴らしい、僕はいつも思う
ドイツにいた頃は訓練漬けの毎日で今の生活とは全く真逆の生活だった
森に放置され一ヶ月のサバイバルなんてのはここではない
ナイフだけを渡され、熊と出会った時は絶望した
その時は熊の動きや、呼吸、攻撃方法を学習し難を逃れたが・・・・・・
しかしどこかでその状況を誰かが見ていたらしく、上官に情報が漏れさらなる訓練が開始された
ハンドガン一丁でテロリストの鎮圧
弾丸一発で先頭航空機のパイロットを落とせというありえない命令
終いには何も持たされずに反乱軍の本拠地に送り出されたときは怒りよりも呆れの感情が湧き上がっていた
日本に来る前に軍はちょっとした出来事で消滅したが、僕には力が残ってしまった
この力は何のためにあるのだろうか・・・・・・
アリサ達が乗ったリムジンに横から黒塗りのワンボックスカーがぶつかる
その衝撃は遠目から見ても凄まじいものでリムジンの運転手は気絶している
その隙を逃すまいと車から数人降りてきて気絶しているアリサとすずかを連れ出していった
「アリサちゃん!すずかちゃん!」
なのはちゃん達が大声で叫ぶ
「悠斗!」
「わかってらぃ!」
同時に僕と悠斗は駆け出していた、悠斗はリムジンの方に。僕は黒塗りの車の方に
「こりゃちょっとヤバイかな・・・・・・」
悠斗の方を見ると運転手に駆け寄って治療を行うところだった・・・・・・が
運転手の怪我の状態が悲惨なものだった、頭から血が流れ出し右腕は骨折しているのか鬱血している
「クリス、先に行って場所を見つけておいてくれ!すぐ追いつく!」
聴き終わる前に僕は既に駆け出していた、海鳴の地形は学習済み。あの車に追いつくにはどう動くのが最適か考え走り出す
塀を上り屋根に上がり、屋根伝いで跳ねるように動く・・・・・・見つけたッ
法定速度をぶっちぎりで無視し今にでも事故を起こすのではないかとこちらを不安にさせるような運転で走り回っている
僕にも前世の記憶があるので原作知識はあった。確か彼女達が連れて行かれたのは・・・・・・
「町外れの廃ビル・・・・・・だったかな?」
だったら先に向かってしまおう、廃ビルなんてあそこにしかない。そう考え悠斗に念話を飛ばし僕は再び動き出す
(悠斗?確か原作ではアリサちゃん達は廃ビルに連れて行かれたはずだよね?僕は先回りすることにするよ)
(了解した、こっちはもう少し時間がかかるかもしれん。廃ビルに犯人達が着いたらもう一度連絡してくれ)
プツンと念話が切れた、さて・・・・・・僕の平穏を壊した罪は高くつくよ・・・・・・?
Side 神楽 悠斗
リムジンに車がぶつかり、気絶しているアリサとすずかが黒塗りの車に入れられそのまま車は動き出していった
「アリサちゃん!すずかちゃん!」
なのは達が叫ぶ、その大声に気がついたのか翠屋から士郎さんが出てくる
「一体どうしたんだい?何があった・・・・・・?」
士郎さんの質問には答えず俺はリムジンに向かっていた
運転手の頭から血は流れ、腕は骨折していて意識もない
(呼吸も小さい、脈も段々弱くなってる・・・・・・)
やることは一つ、即座に結界を貼り人払いをかける
結界が貼られると同時に俺の足元からリムジンを包み込むサイズの魔法陣が展開される
(落ち着け・・・・・・俺になら出来る・・・・・・)
心を落ち着かせその魔法を口にする
『リザレクション』
言葉を紡いだと同時に魔法陣からライトグリーンの光が放出される
光がリムジンを包み込み・・・・・・段々と光が小さくなっていく
完全に光がなくなると運転手の怪我も治っておりリムジンも新品同様に輝いていた
「悠斗君・・・・・・今のは一体・・・・・・?」
士郎さんが驚いた様子でこちらに声をかけてくる
「今のも魔法ですよ、ただ少しなのは達のとは違いますけど・・・・・・」
少し言葉を濁す形で伝える
「士郎さん、俺はこれから犯人を捕まえに行きます」
「そういうことなら僕も「士郎さんはここに残っていてください」・・・・・・理由を聞かせてくれるかい?」
「可能性の話になりますが・・・・・・アリサとすずかちゃんが連れ去られていくのをなのは達は目撃してます。もしかしたら犯人が戻ってきて・・・・・・」
「・・・・・・目撃者を消すかもしれない、そういうことだね?」
俺は言葉にせずに頷く
「それに彼女達は魔法を使えると言ってもまだ9歳の子供です。そんな子にこれから起こることを見せたくありません」
「君も一応子供なんだけどね・・・・・・だがまぁわかったよ、こっちは僕達に任せてくれ」
苦笑しながらも士郎さんは頷いてくれた
「なのは達を元気づけておいてください、ショックを受けてるでしょうから」
言いながら俺はクリスと合流すべく走り出した
Side クリス・アヴェイン
先回りすることに成功して僕は身を隠し悠斗の到着を待った
犯人はまだここに来ていないようだが中には数人の男たちが既にいた
「バニングス家と月村、どちらも確保に成功したようです。こちらに向かっているとのこと」
場所はここで間違いないようだね
(悠斗?廃ビルで間違いないみたいだなるべく急いで来てくれないか)
(・・・・・・すまんがそれはできそうにない・・・・・・)
(・・・・・・何かあったんだね?)
(すずかちゃんが違う車に乗せられて二手に別れた。廃ビルに一台、もう一台は海の方に向かってる。俺はそっちを追うからアリサを頼む・・・・・・)
まさかこんなことになるなんてね・・・・・・
原作の知識だけじゃ無理があるってことなのかな・・・・・・?
さて・・・どうするか・・・・・・
考えていると先ほどとは別の声が近づいてくるのがわかった
「連れてきたぞ、バニングスの一人娘だ」
ドサッ
アリサちゃんがマットの上に無造作に放り投げられる
どうする?今すぐにでも飛び出して助け出すか?
手を眼帯に当てる
「しかし何で二手に別れたんですか?一箇所にまとめておいた方がいいんじゃないですかね?」
下っ端らしき男がボスらしき人間に話しかける
「俺に聞くな・・・・・・依頼主たっての希望なんだ」
依頼主、つまりはこの誘拐は頼まれたものということか
(クリス、こっちはすずかちゃんを見つけた。そっちにアリサはいるか?)
悠斗から念話が入る。見失わずに無事に見つけられたようだ
(ちゃんといるよ・・・・・・。悠斗はどうして二手に別れたのかわかるかい?)
(んなのわかってたら苦労しねーよ)
最もである
(まぁいいさ、合図をしたら助けに入ろ・・・・・・やばいすずかちゃん目覚ました)
なんともタイミングの悪い・・・・・・
Side 神楽 悠斗
すずかちゃんが目を覚ましてしまった
もう少し寝ててくれたらよかったのだが・・・・・・
「あ・・・貴方達はなんですか!目的はなんです!」
恐怖で震えた声が聞こえる
「それは〜私が答えよ〜う」
こんな場所に不釣合いな声が聞こえる、声の方を見ると白衣を着崩し、長い髪を無造作に後ろで纏め上げただけの・・・・・・そう、研究者のような人間がいた
「君は〜『夜の一族』っていうんでしょ〜」
『夜の一族』、その単語にすずかちゃんは反応してしまった
「や〜ぱりね!テンション上がってきたよ〜!」
研究者はポケットからメスを取り出す
おいおい何するつもりだ?
「な・・・・・・何するんですか!?」
暴れないように体を押さえつけられる
「ん〜君たちって不老不死らしいし〜どこまでやっても死なないんなら試してみたいことが一杯でてきてね〜」
そう言いながら手に持ったメスをすずかちゃんの目に近づけて・・・・・・
「あら〜?」
間延びした声を出し続けるそいつの手首を俺が掴んで動きを止めていた
すずかちゃんを押さえ込んでいた男たちは気絶させておいた
「・・・・・・え、悠斗君?」
「おうよ、ヒーロー見参ってか?」
そう笑いかけると安心したのか、泣き出してしまった
「ん〜君は誰かな〜、でも研究対象にしか興味ないので〜死んでください」
女が声をかけるとコンテナの物陰から銃を持った男たちがワラワラと出てくる
「・・・・・・お前さっき何をしようとした?」
「簡単のことさ〜、目を抉り出しても再生するのか試したかったのだ〜、まぁ戻らなかったら残念な結果だけど研究に犠牲はつきものだしね〜」
そうか、と呟き
「ならお前の目を抉り出してやるよクソアマァ!」
そう声を張り上げるとともに銃声が周囲を包んだ
俺がいる場所に弾が集中する。しかしそこには既に俺はいない。俺はすずかちゃんを連れて倉庫の隅にいた
「さてと、すずかちゃんもう少し我慢しててくれよ?俺はこれから掃除してくるから」
できる限り優しい声で語りかける
「だ・・・・・・駄目ですっ、悠斗君が死んじゃいます・・・・・・っ」
俺の服の端を掴んで離さない
「・・・・・・ごめんね」
そう呟き俺はすずかちゃんの目の前に人差し指を持っていき軽く振る
すると彼女の目から光が消えやがて安らかな眠りについていった
「記憶が消せればいいんだけどな・・・・・・」
さすがにそんな魔法は俺の知識にはない
いつの間にか銃声が鳴り止んでいた、それと俺達を探す怒号が飛び交う
(クリスすまん、こっちはもう始まってる)
(そんな気はしてたよっと、こっちは僕がなんとかするからすずかちゃんは任せたよ)
(任された)
さてと・・・・・・
俺はコンテナの上に立ち告げる
「お前ら・・・・・・無事に帰れると思うなよ!!」
叫び声とともに駆け出した
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そろそろ一話の観覧数が1000を超えそうで感無量です! 感想、支援お待ちしております。これが天文のやる気エネルギーに変わります |
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