IS学園にもう一人男を追加した 〜 62、63話 |
62話
一夏SIDE
一夏
「おはよう」
箒
「おお、一夏か・・・」
俺を見つけては、こちらに走ってくる箒。
その後に続いて、セシリア、シャルと続いて・・・
鈴
「一夏ぁ!」
教室に入ってくる鈴と簪。
一夏
「ど、どうしたんだよ・・・?」
全員
「獅苑|(さん)(君)、知らない(知りません)?」
・・・ん?
一夏
「獅苑、来てないのか?」
シャルロット
「うん。布仏さんも、知らないっていうし。ほら、獅苑君の同室って、織斑先生でしょ?」
鈴
「だから、一夏なら何か知ってると思ったんだけど・・・」
はて、千冬姉から何も聞かされてないと思うけど・・・
簪
「その、様子だと、知らないんだ」
一夏
「おう。悪いな」
セシリア
「仕方ありませんわね。織斑先生が来た時に聞くとしましょう」
箒
「そうだな」
鈴
「じゃあ、後で来るから、教えなさいよ! ほら、さっさと行かないと、織斑先生にシバかれるわよ」
簪
「う、うん・・・じゃあ、また後で」
ダーッ!と、自分達のクラスに戻っていく2人。
俺達も、席に着くこうとすると、丁度、織斑先生ではなく、山田先生だけがクラスに来た。
真耶
「皆さん、おはようございます・・・いきなりですが、朝霧君は、急遽、政府の養護施設に入ることになりました」
全員
「・・・・・・・・・・・・」
【昼休み】
衝撃の事実から、時間は過ぎて昼休み。
そこで、鈴と簪に昼食ついでに学食で、山田先生から聞いた話を伝える。
鈴
「はぁー!? 養護施設に入ったぁ!?」
箒
「おい! 声がでかいぞ!」
シャルロット
「いや、箒の方が大きいと思うけど・・・」
[ブチッ!]
鈴
「どうせ、アタシのは小さいわよっ!! 第一、こんな牛みたいに大きくなる方がおかしいのよっ!!」
一夏
「いや、シャルはそういう意味で言ったわけじゃ」
箒
「誰が、牛だ!!」
一夏
「箒も落ち着けって!」
千冬
「うるさいぞ、馬鹿者がっ!」
[ガツンッガツンッ!! ガツンッ!!!]
うわっ・・・トレーの角で・・・
って、何で俺もなの?
しかも、一番、力を込めてなかった?
千
「静かに食えとは言わん。だが、限度を考えろ」
箒・鈴
「す、すみません・・・」
一夏
「いや、俺は」
千冬
[キッ!]
一夏
「すみませんでした!」
千冬
「・・・」
土下座すると、千冬姉は学食を後にした
一夏
「・・・・・・何か、今日の千冬姉、妙に機嫌が悪いな・・・」
セシリア
「そうなのですか? そのようには見えませんが・・・ていうより、いつもの事では?」
一夏
「いや、そうなんだけど・・・何つーか、何かを我慢してるっていうか、こらえてるっていう感じがして・・・」
セシリア
「??? どういう事なんですの?」
簪
「姉弟にしか、分からないのかな?」
う〜ん、俺もいまいち分からないが・・・
鈴
「それよりさ、彼女さんはどうなったのよ?」
一夏
「ん?・・・ああ、のほほんさんか・・・」
セシリア
「あの方でしたら、教室にずっといますわ」
本音SIDE
本音
[ボ〜〜・・・]
夜竹
「え、えーと、本音〜?」
本音
[・・・ボ〜〜]
谷本
「あ〜、こりゃ、重症だわ・・・」
【寮部屋】
[ボフッ!]
本音
「・・・」
コウ
『だ、大丈夫ですか・・・?』
本音
「・・・うん、少し落ち着いてきた・・・」
獅苑くんがいなくなって、凄く寂しい・・・寂しいんだけど、どうしてだろう・・・
教室でもそうだったが、何故か、涙が出てこない。
だけど、心にはポッカリと穴が開いて、何もやる気が起きないのだが、獅苑くんが"どこかに黙って行った"という怒りと疑問はなく、心を締め付けるような感覚が襲ってくる。
一言でこの気持ちを言葉にすると・・・"心配"
ハナ
『本音さん。私には、あの先生が言っていた事には、疑問があります』
本音
「疑問?」
ハナ
『マスターが何も言わずに、いきなり"養護施設"に入るのは考えにくいんです』
コウ
『事件に巻き込まれて、いなくなるのは分かるけど、"養護施設"に・・・ね〜』
本音
「さすがに、養護施設はないよね・・・でも、だったら・・・」
一体、どこに行ったの? 獅苑くん・・・
楯無SIDE
楯無
「・・・それで、政府は何と?」
学園長室。
この部屋にいるのは、裏の学園長"轡木(くつわぎ) 十蔵"と、初代ブリュンヒルデ"織斑 千冬"先生
轡木
「"学園側の不始末は学園側で処理しろ"との事だ。"警備が万全なIS学園で誘拐が起きたなどと世間に知られたら、我々が各国から馬鹿にされる"と・・・」
楯無
「・・・」
予想はしていた。
だけど、そこまで自分の立場を守りたいのだろうか、政府の人達は・・・
轡木
「それで、学園側は以前、襲撃してきた者達を『亡国機業』と仮定にして、捜査を進めている。できれば、"更識家"にも手伝ってもらいたい」
楯無
「もちろん、協力します」
轡木
「織斑先生は、"あの件"の完成を急いでください。もしかしたら、必要になってくるかもしれません」
千冬
「分かりました」
轡木
「この件は、極秘事項だ。君達なら問題はないと思うが、生徒達に感づかれないように頼むぞ」
楯無・千冬
「はい」
獅苑SIDE
獅苑
「・・・んぅ」
ここは、どこだ・・・
[コポコポコポコポ・・・]
獅苑
(体の感覚がない・・・でも、手も足もある・・・てか、何で視界が"緑"なんだ?)
スコール
「気分はどう? 『No.40』」
獅苑
(・・・誰だ?)
スコール
「スコール・ミューゼル。『亡国機業(ファントム・タスク)』の1人よ」
獅苑
(そいつが、俺に何の用だ・・・後、ここはどこだ?)
スコール
「何処と言われても、説明しずらいけど・・・無人島の地下施設よ。私達は『砦(フォート)』と呼んでるわ」
獅苑
(・・・なら、用は?)
スコール
「単純よ、貴方の力を貸してもらうの。強引にね・・・」
獅苑
(そんな説明で、俺が手を貸すと?)
スコール
「だから、言ったでしょ。"強引に"って・・・これを見てみなさい」
スコールが手に持っていたのは一枚の写真。
そこには、2人の白衣を着た男女が写っている。
獅苑
(・・・っ)
俺はその男女を知っている。
見間違えるはずがない・・・俺の"両親"だ。
獅苑
(何で、お前がそれを・・・!?)
スコール
「簡単よ。あなたの両親・・・"朝霧夫婦"は前に『亡国機業(ここ)』で働いていたのよ。貴方を育てるために」
獅苑
(・・・)
とても、信じがたい話だが、逆に確証もない・・・
スコール
「だけど、その朝霧夫婦は、貴方を連れて組織から逃げ出しちゃってね・・・困ったものよ」
獅苑
(・・・)
スコール
「中々、隙を見せないわね・・・でも、この話を聞いて、冷静を保っていられるかしら?」
獅苑
(何・・・?)
スコール
「貴方のご両親・・・交通事故で亡くなっているわよね。もしそれが、組織が仕組んだとしたら?」
[ブチッ!]
獅苑
「こばぶくばふばはっ!?」
(どういう事だっ!?)
スコール
「貴方が知る必要なんてあるの? 貴方のご両親は"本当の親"でも何でもないのよ・・・貴方は"作られた"なのだから」
獅苑
「がふぶべ!」
(関係ねぇ!)
[ニヤッ]
スコール
「見せたわね・・・心の隙」
獅苑
(っ!!!)
スコール
「やって・・・」
山田
「は、はい!」
[ズキンッ!!]
獅苑
(っ・・・!?)
頭から足の指まで電流が流れたかのように痺れ、"俺の意識"が薄れていく・・・
投稿者SIDE
獅苑
(っ・・・っ・・・)
スコール
「・・・」
ウッド
「どうやら、上手くいったみたいですね」
スコール
「・・・」
ウッド
「どうしました?」
スコール
「いえ、何でもないわ・・・フラン博士は?」
ウッド
「彼なら、研究室に篭ってもらってますよ」
山田
「篭って"もらって"?」
ウッド
「ええ・・・変な真似をされたら困りますから・・・まぁしかし、私には"人質"がいますけど・・・くくくっ」
スコール
「・・・山田君、フラン博士の手伝いに行って頂戴」
山田
「あ、はい・・・あと、"クリヤ"です」
スコール
「そうだったわね。山田君」
山田
「・・・・・・失礼します」
そう言って、室内を出る"山田"
スコール
「ふふっ・・・それより、いつ決行するんです? ウッド議員」
ウッド
「まぁ待て・・・私も運営側も"余興"というものを楽しみたいんだよ。せっかく、仕入れてきた"人形"があるんだ。これで、祭りでもしようではないか・・・くくっ、はっはっはっはっはっ!」
金歯をさらけ出しながら、室内を出るウッド。
スコール
「・・・・・・ゴメンね」
残されたスコールは、獅苑の入ったカプセルを優しく撫でていた・・・
63話
投稿者SIDE
B
「おい、ジジィ・・・これから獅苑(アイツ)はどうなんだ?」
フラン博士
「・・・」
B
「チッ、だんまりか・・・だが、何でアイツの所有権が、あの金歯野朗にあるんだぁ?」
R
「しかたないでしょ。最初にアイツの存在に気づいたのが、私達より早かったんだから」
B
「はぁ・・・しばらく寝る」
そう言って、室内に備え付けられたソファに倒れこむ『B』
B
「zzz・・・」
R
「はやっ」
ユウキ
[ピコピコ]
マドカ
[ピコピコ]
W
[ピコピコ]
R
「で、あの3人は何してんの?」
マドカ
「見れば分かるだろ・・・ゲームだ」
R
「そんな真顔で言われても分かるわよ・・・どうして、こんな時にゲームなのよ?」
W
「たのし、そう・・・だった」
マドカ
「W(こいつ)に強制的に」
ユウキ
「いつもの事」
R
「・・・はぁ」
フラン博士
「まぁ、い〜いじゃあ〜りませんか〜!」
R
「どうでもいいわよ、もう」
山田
「失礼します」
ユウキ
「おっ、山田〜! 4P空いてるぞ〜!」
山田
「だから、『クリヤ』ですってばぁ!!」
一夏SIDE
あれから、3日の月日が流れ、1年全員がグラウンドに呼び出された。
千冬
「今日は、1年全員で対ISの実戦訓練を行う。訓練機グループはチームを作り、専用機持ち達はその相手をしろ」
全員
「はいっ!」
千冬
「山田先生はサポートを」
真耶
「は、はい!」
千冬
「よし、始めろ!」
全員
「はいっ!」
気合の入った返事。
それと同時に皆がチームを作り始め、俺達専用機持ちは訓練機チームのメンバーが決まるまで一箇所に集合。
シャルロット
「みんな、気合入ってるね・・・」
鈴
「そりゃ、2回も襲撃を受けてれば、気合も入るわよ」
セシリア
「それにしても、シャルロットさん? その機体が話に聞いた、"フランス新型ではない新型"ですの?」
簪
「何か、分かりにくいね・・・」
シャルロット
「あはは・・・」
箒
「それで、その機体が・・・」
シャルロット
「うん・・・帰ってきた時に見せようと思ったんだけど、襲撃事件と獅苑君の事で言い出し辛くて・・・あと、ラウラもいつの間にか本国に帰っちゃったみたいだし」
そういえば、同室だったな。
シャルとラウラは・・・
[ズーン・・・]
鈴
「あーっ! 暗い話はもうなし! いいわね!?」
一夏
「そうだな、それがいい」
本音SIDE
谷本
「ねぇねぇ本音、誰と実戦訓練する?」
本音
「ん〜・・・誰でもいいやぁ〜」
私は今、訓練機グループの方でチームを組んでいる。
もちろん、『ハナ』ちゃんの"銀の鍵"は首に紐をつけてぶら下げているけど、『ハナ』ちゃんと『白鬣犬(ハイエナ)』の存在は隠せと獅苑君に言われているため、『ハナ』ちゃんは"アクセサリー"の扱いとなっている。
ちなみに、『コウ』ちゃんは制服のポケットにしまっているため、今は持っていない。
夜竹
「・・・本音、無理してない? 顔色悪いよ」
谷本
「あ、本当! 保健室行った方が良いって!」
本音
「えぇ〜、大丈夫だよ〜」
谷本
「大丈夫じゃないって! 清香(きよか)、運ぶの手伝って!」
本音
「い、いやぁ〜、それはやりすぎじゃ〜」
相川
「じゃあ、持ち上げる、よっと」
本音
「わっ、わぁっ!」
そのまま、織斑先生に事情を話し、保健室に運ばれ、ベットに。
相川
「よいしょっと・・・ふぅ」
谷本
「さすがは、ハンドボール部の期待のルーキー!」
相川
「あっはっはっ!・・・じゃ、私達は戻るけど、ゆっくり休んでてね」
谷本
「あ、その前に制服持ってくるから。待ってて」
本音
「う、うん・・・」
[ウィン・・・ウゥン]
本音
「・・・」
ハナ
『どうしましたか? あなたの健康状態はとても良好ですのに』
本音
「そうだよね・・・」
私もそう思ったから、保健室に行く必要はないと思った。
[ウィン・・・]
谷本
「本音ー、ここに制服置いとくから」
本音
「あ、ありがと〜!」
[ウゥン・・・]
本音
「・・・『コウ』ちゃ〜ん、出てきても大丈夫だよぉ」
[・・・スゥゥ]
コウ
『・・・ふぅ、1人で退屈だったよ』
ホワァンと、制服から"光の玉"が出てきて、こちらに寄ってくる。
コウ
『それにしても・・・』
本音
「な、なに・・・」
まるで、胸を凝視してるかのように、その場に留まる『コウ』ちゃん。
コウ
『いや、さっきの子がね。本音ちゃんのブラジャーを見て、"どうしたらこんなに大きくなるのかした〜。やっぱり愛?"って、他の女子と盛り上がってて・・・で、やっぱり愛なの?』
本音
「っ! し、知らないっ!!」
ハナ
『私の予想ですと、大体は当たってるみたいですね』
本音
「うぅ〜・・・///」
ハナ
『血圧が上がってますし』
コウ
『あははっ・・・っ?』
本音
「? どうしたのぉ?」
コウ
『いや、外・・・』
本音
「ん〜?」
ベットから降りて、窓から空を見る。
そこで見えたのは、青い空に"赤い線"が流れていた。
本音
「流れ星・・・?」
ハナ
『いや、隕石でしょうか・・・あ、曲がりましたね』
コウ
『いやいや、隕石が自由に動ける訳ないでしょ』
本音
「でも、こっちに来るよ」
コウ
『え!?』
ハナ
『では、逃げましょう』
本音
「おー!」
一夏SIDE
一夏
「・・・ん? 何だ?」
全員
「ん?」
俺が空に向かって指を指すと、全員が空を見上げる。
鈴
「・・・何か、やばくない。あの大きさ」
セシリア
「あれは隕石ですの?」
簪
「・・・違う・・・あれは、IS!」
[ビュンッ・・・ドッカーン!!]
ISと思(おぼ)しき物体が、俺達の頭上を通過し、炎に包まれながら学園校舎に激突した。
一夏
「お、おい・・・嘘だろ」
ポッカリと空いた校舎。
そこから湧き上がる炎の渦。
そして、その炎は周りを焼き尽くすように、範囲を広げていた。
真耶
「お、織斑先生!」
千冬
「っ・・・訓練機グループは、山田先生と一緒に校舎の消火活動に当たれ! 専用機持ち達は大破した校舎内を確認! 迅速に動け!!」
一夏
「・・・・・・」
鈴
「何してんの! 早く行くわよ!」
一夏
「あ、ああ!」
投稿者SIDE
本音
「こほっ、こほっ・・・」
ハナ
『大丈夫ですか?』
本音
「うん・・・『コウ』ちゃんは?」
ハナ
『おそらく、『死戔』が入った上着が飛ばされてはぐれてしまったようですね。『コウ』が『死戔』から離れられる距離は広くはないですから』
本音
「じゃあ、『コウ』ちゃんを探さないと」
ハナ
『いえ、『コウ』ならこの状況下でも安心です。それより、早く移動しましょう。ここは危険です」
すると、本音の首にかかってある鍵の先端が前に向く。
本音はその方向に向かって走り去っていった。
その後方では・・・
?
「・・・」
血染めのような色をしたISがステルス状態で本音の後姿を眺めていた・・・
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