魔法少女リリカル的ななにか 13話 この力は誰のために その2 |
Side クリス・アヴェイン
悠斗の方は始まったみたいだね
念話を切りアリサちゃんの方を見る。彼女はまだ起きる気配がない
(余り見られて気持ちの良い物でもないし・・・・・・目を覚ます前に終わらせようか)
そうして私は眼帯を外す
眼帯の下には人の眼をは思えない、機械で出来た眼球が存在した
彼女は一度日本に来る前にミッドチルダに赴いていた
しかしそこで入店したファミレスで運悪く強盗に襲われた
幸い管理局の人間がすぐに来てくれたので被害は最小限に抑えられた
しかし犯人の最後の悪あがきで放った魔力弾が恐怖で腰を抜かしていた少女に向かって放たれた
放たれた弾丸は少女に当たることはなく、少女をかばう形で前に出たクリスの左目に当たってしまった
管理局員に連れて行かれた病院で手術を行ったが・・・・・・視力は戻らず、これは非常にまずいと悩んでいたところある男性から話を持ちかけられた
「君が娘を助けてくれたんだね、感謝する。それでなんだが君にお礼をしたくてね・・・・・・」
曰く彼は技術者で、曰く彼は特殊なデバイスを制作したは良いものの適合者が見つからなかったらしく
そこで私にお礼という形でそれを渡そうとしたらしい
私は即答していた。そしてデバイスの移植手術も無事に終わり、私の左目には『タケミカヅチ』という強力な相棒が手に入った
しかしこのデバイスの御陰で左目の視力が戻ったと言っても事情を知らない人が見れば驚いてしまうだろう
そこで私は『タケミカヅチ』を使用するとき以外眼帯を付けるようにした
相棒は最初外の世界が見れないと渋っていたが、感覚共有という便利な事を出来るとしったら喜々として眼帯を受け入れた
そして今、私は相棒と共にアリサちゃんを助けるべく廃ビルに現れる
「ところでボス・・・・・・せっかくですから味見してもいいでしょうか?」
下品な笑い声を出しながらボスは答える
「お前の趣味はわからんが俺は下っ端には自由にさせるもんだ、好きにしろい」
「下衆が・・・・・・」
その声が響いた瞬間周囲の温度が下がったように感じた
トン、とクリスが現れる
「ん〜なんだお嬢ちゃん、こんなところに入ってきたらいけないんだぞ〜。パパやママに教わらなかったのかな〜?」
上から下に、体中を舐めまわすように下っ端の視線が動く
「・・・・・・・・・れ」
「ん〜お嬢ちゃん怖いのかな〜?声が聞こえないよ〜?」
下っ端が手を頭に乗せようと差し出すが・・・その前に私の右手が奴の腹部に添えられる
「黙れと言ったのが聞こえないのか下衆がッ!!」
叫ぶと同時に右足に力を込め、添えられた右手を回すようにし下っ端を押し込む
ドンッ!!
轟音と共に下っ端が壁に物かり気絶する
「お前何物だぁ!?」
僕を囲むように・・・・・・合計10人の男たちが銃口をこちらに向け集まる
「そこに眠っている女の子の知り合いですよ」
声には怒気が含まれている
「普通の子供じゃねぇな嬢ちゃん・・・・・・」
ボスが問いかけるが答える必要はない
その代わり僕が喋る
「五秒以内に銃を下ろして降伏してください、そうすれば命だけは助けます」
「・・・・・・フハハハハハハ!!面白いことを言うなぁ、嬢ちゃん!!お前はこの状況がわからないのか!?」
10人もの男に銃を突き付けられ、ボスも横たわるアリサちゃんのこめかみに銃口を押し付けている
「・・・・・・5、4、3、2、1」
「頭でもイカレテやがんのか?お前ら構うことはねぇ!!やっちまえ!!」
「・・・・・・0です」
言い終わると同時に僕に向けられた10の銃口から弾丸が射出される
僕にそれが当たるまでの時間は一秒にも満たないかもしれないが・・・・・・十分だ
あらかじめ発動させておいた魔法『ソニックムーブ』で弾丸よりも早く動く
銃を構えている右手を自身に引き寄せるように引き、そのまま肘を相手の鳩尾にめり込ませる
これを全員にやり終わると同時に銃弾が壁に当たった音が聞こえた
「ば・・・化物ぉ!!」
ボスが慌てた様子でアリサちゃんを引き寄せる、グイッと引っ張られた衝撃で彼女は目を覚ましてしまった
「え・・・・・・誰よあんた!!それにクリス、あんたも何してんの!?」
イマイチ状況を飲み込めていない彼女に再度銃が押し付けられる
「うるせえ黙ってろ、殺されてぇのか!・・・・・・ヒャハハハハハ!!お前、こいつを殺されたくなかったらそこにある銃で自分を撃て!!」
屑はどこまで行っても屑か・・・・・・
アリサちゃんを見ると不安に染まった目と視線が合った
なるべく、怖がらせないように喋る
「大丈夫・・・・・・すぐに終わらせるからね」
彼女の目を見つめる、どうやら信じてくれるそうだ
「何をゴチャゴチャ言ってんだ!!早くしろ・・・・・・え?」
ボスが言う、その時には僕の行動は終わっていた
右手には剣が握られており、左手にはアリサを抱えている
「グオォォォオオオオオオ!!!」
痛みに声を荒げる
「あなたの両足と両手の神経を切断しました。警察が来るまでしばらく痛みを味わっていてください・・・・・・」
そう言いアリサを下ろす
「大丈夫でしたか、怪我はありませんか?」
「・・・大丈夫だけど・・・・・・あんた一体何者よ・・・?」
「おや、バニングス家の令嬢は助けてもらってお礼の一つも言えないのですか?」
意地悪く切り返す
「〜〜〜〜〜っ!助けて頂きありがとうございました!!これでいいかしら!?」
アリサちゃんは羞恥に頬を染め僕にお礼を告げた
(ありがとうございました『タケミカヅチ』)
念話で相棒にお礼を告げる、声は返ってこないが代わりに右目が温かく疼いた気がした
(もう一人の相棒はどうなってるでしょうか・・・・・・)
彼に限って失敗なぞしないであろうが・・・・・・どこか一抹の不安を拭いきれないクリスだった
Side 神楽 悠斗
「オォオオオオオオ!!!」
叫びだすと同時に駆け出す、相手は10人前後。全員が銃を持ち武装している
シグナムの時と同じくレイピアを投影し構えながら走る
「この野郎ぉ!」
相手の一人がこちらに狙いを定める、その手に向かって俺はレイピアを突き出した
絶叫、手首の腱を切られた男は手を抑えその場で((蹲る|うずくま))
俺はそいつに見向きもせずに、次の獲物を探すように振り返る
俺を囲むように立っている男たちの戦意が喪失していることに気がつく、ただそれでも俺の足は止まらない
瞬く間に残りの人数を最初の男と同じ状態にした俺の頬に鋭い痛みが奔る
背後で壁に何かが当たる音が鳴り、流れる血を見て俺は気づく。撃たれたのだと
「あ〜もう最悪、なんで私がこんなことにならなきゃいかんのよ・・・・・・」
銃を撃ったのは研究者の女だった、目は血走り何を仕出かすかわからない。そしてそいつの側には髪を掴まれ引き起こされるすずかがいた
「も〜せっかくいい実験体が手に入ったと思ったのに〜、アンタなんなのよ一体?」
質問には答えず近寄ろうとするが、パンッとまた銃声が響く
「〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
すずかの足元から血が流れる、今激痛が彼女を襲っているはずなのに彼女は必死に叫び声を上げまいと我慢していた
彼女なりに考えたのだろう、ここで叫んでしまえばこの女の嗜虐心を昂らせてしまうと
しかしそれは逆効果だった
「ん〜〜〜!!必死に我慢しちゃって可愛いなぁ!!おいお前、もっと近づいてこいよ!!その度にこいつの体に穴を増やしてやるよ!!!」
ヒャハハと不気味な笑い声がこだまする
しかし俺の耳には届かなかった
「・・・・・・お前さ」
「あ〜?なんなんですか〜?年上には敬語を使って話すもんだよ糞餓鬼ぃ〜?」
更に口元を歪め気色悪い声を放つと同時に引き金を引く
「あぁ・・・・・・ッ!!」
今度は耐え切れずにすずかの口からか細い悲鳴がもれる
俺は我慢の限界だった
俺の背後に光で出来た槍が数本浮かぶ、研究者はそれを見て呆然としただ立ち尽くしていた
槍が少しだけ照準を付けるように動き、女の両手に突き刺さる
「があああぁぁぁぁ!!!」
醜い叫び声が響き渡る
「お前は何をしたのか理解してないみたいだけど・・・・・・」
言いながら一歩一歩歩み寄る、近づくと女は後ずさろうとするがそこに槍が足に突き刺さり地面と固定する
叫び声がするが気にしない
「まだ9歳の子供をさ、誘拐なんてしちゃってトラウマを植え付けちゃったわけだ」
俺は手に握ったレイピアを突き出す
「挙句こんな風に彼女の目に向かってナイフを差し込んで抉り取ろうとしたよなぁ?」
俺が何をするか研究者は分かってしまったのだろう、そいつの股から黄金色の液体が広がりだした
「ごめんなさい、謝りますから!なんでもしますから!!助けてください・・・・・・」
最後の方はもう聞き取れない程の声量だった
「お前さぁ、勘違いしないで欲しいんだけど俺はただお前がやろうとしたことを教えてあげようとしてるだけなんだぞ?目を抉るとどうなるか身をもって体験できるんだ、感謝して欲しいくらいだ」
淡々と述べる、女の目に俺はどう写っているのだろう
レイピアを女の目を抉り取ろうと動かす
「悠斗君・・・・・・もういいですから・・・・・・やめてください・・・・・・」
そんな悲しそうな声が聞こえてしまった
振り向けばすずかが泣きながら語りかけている
「私を助けてくれたのは感謝します、だけど命を奪って欲しいとは私は思いません・・・・・・っ」
彼女の言葉を聴き、俺は少しだけ落ち着きを取り戻す
(・・・・・・何をやってるんだろうなぁ俺は)
女の方を見ると恐怖で気絶していた
俺はすずかに歩み寄り傷口に手をかざす。余り成長していないからなのか彼女の傷の治りが遅い
「ヒール」
そう呟くと彼女の傷が治っていく
「ごめんな、すずかちゃん。怖い思いさせちゃったな・・・・・・」
この力で皆を守ると決めたのに、それなのに泣かせたら意味がないだろう・・・・・・ッ
「いえ・・・・・・悠斗君は私を助けてくれました、それだけでも私は十分ですよ」
彼女がそう言ってくれたのがせめてもの救いだろう
そう思い俺はクリスに念話を飛ばすと同時にすずかちゃんの携帯電話が騒々しく鳴り響く
(クリス、こっちは無事・・・とは言い難いが助けたよ)
(お疲れ様、こっちもちゃんと助けたから安心していいよ)
(おう、そっちもお疲れ様)
念話を切りすずかちゃんのほうを見ると彼女も電話が終わったようだ
「今姉と恭也さんがこちらに。士郎さん、なのはちゃんフェイトちゃん、はやてちゃんはアリサちゃんの方に向かったみたいです」
そうかと呟き俺は腰を下ろす・・・・・・随分長い一日だった・・・・・・
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「お前何物だぁ!?」⇒何者 女の目に俺はどう写っているのだろう⇒映って(黄金拍車) | ||
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