東方燕狼歌 第十七話 都 |
やあ、みんな元気か?悠だ。
まあ、旅に出てから数日たったんだが困ったことに迷った・・・・・・
いや〜、萃香姉さんたちにここから近い都の場所を聞いていたんだがものの見事に迷った。周りを見ても辺り一面が森でここがどこだか全くわからん・・・・・
しかも、強くはないけど妖怪共が俺を襲ってくるし・・・まあ、全部撃退してるけどね。
そろそろ、食料の方も限界だし・・・・・う〜ん、どうしたものか。
悠はそんなことを考えながら森の中を歩いていたが、雲行きが怪しくなり雨が降ってきそうな天気になってきていた。
「ああ、これは降るな・・・・」
そう思い、どこか雨宿りできそうなところを探すと、雨宿りできそうな大きな木があったのでそこに腰を落とした。
ザアーーーーー
悠が雨宿りをして少し経った瞬間、雨がすごい勢いで降り注いでいた。
「うわー危なかったな・・・・」
悠はそう思うと背負っている荷物を降ろし、中身を見ていた。
その中身には悠が旅に出る直前に萃香たちが祝いにいろんなものを詰めた荷物を渡してきたのだ。そこまでの大きさではないが結構な量が入っている。
「思えばみんな何をくれたんだろう?」
この数日間結構疲れて中身を確認してなかったからな・・・・・
まず、最初に取り出したのが紅葉の入ったお守りで、そのお守りには椛と刺繍(ししゅう)がされていた。
お!これは椛からか、やっぱこういうの貰うと嬉しいな。
うん、これは腰にでも付けとこうか。
悠は腰に付けた後、次の荷物を確認していた。
その中には黒色の袴や袖の長い服やコートのような服が一式あった。
悠がその服を開けると紙のようなものが落ちてきて、その紙には天羽辰未と達筆な字で書かれていた。
これは辰未さんからか、しかも服だからホントありがたいな・・・・
悠は心の中で辰未に感謝しつつ次々と荷物の中のものを取り出していった。
まず、紅音からはサバイバル生活に必要な道具一式、萃香からは水を入れたら酒に変わる瓢箪が1つと杯が2つずつ、勇義からはロザリオの首飾りが1つで、鬼燐からは鬼に伝わる秘伝の秘薬が一袋、文からは手帳とペン?が1つずつ。
ほんと結構な量があるな・・・・とゆうか、鬼燐さん・・・・鬼の秘薬を一袋って俺に死ねと?
まあ少しづつなら問題はないんだろうが・・・・いや、問題ありか・・・少しづつでも気絶する自信が俺にはあるね!!まあ、萃香姉さんは予想がついたけど、まさか文まで入れてるとは思わなかったな・・
だが、なぜこの時代にペンがある?ペンが出てくるのってかなり先のはずなんだが・・・なぜだ?
まあいいか、ありがたいことには変わりないんだけど、謎だ・・・・・・
さて、この感じだと最後は親父のだな。
そして悠が取り出したのは袋と紙と腕輪だった。
袋には路銀が入っており、紙には都までの地図、腕輪には少し特別な力を感じる・・・・
・・・・親父、確かにありがたいけど・・・・・地図が入ってるなら言ってくれよ!!
まったく・・・でもこれでここがどこかがわかるはずだな。
悠はそのまま地図を見ているといきなり何かが飛んできた。
しかも、かなりのスピードがあるので地面にそれがぶつかった瞬間、地面にクレーターが出来ていた。
「・・・・・いきなりなんだ?」
悠はそう思いクレーターの中を覗くと妖怪の残骸が無残にもクレーターの中で飛び散っていた。
「なにが起きてるんだ?」
悠はその妖怪の残骸が飛んできた方向に向かって走り出していた。
少し走ったその先には、傘を持った緑髪の女性が微笑みながら妖怪共の頭を握り潰したり、傘を振るえば妖怪が無残な残骸と化していた・・・・・・
おいおい、まじかよ・・・・
悠の本能が危険を感じまくっているが、圧倒的な力を目の前に悠の足が動かなかった。
そして、その緑髪の女性が妖怪共を殺し終わり次の瞬間、悠の方に視線を向けた。
「そこにいるのは誰かしら?」
見つかった?!やばいな逃げれるか?いや無理だな、じゃあ戦って勝てば・・・論外だな。
ならどうする、どうしたらいい・・・?
「早く出てきなさい、さもないと消し飛ばすわよ?」
ああ、これはマジで死ぬ覚悟しないといけないな・・・・・・
さて、剛血4倍、これで少しはましか。
そして悠が姿を表すと、その女性は楽しそうに微笑んでいた。
「あら、こんなところに子供なんて、迷子?」
「いえ、迷子ではないですね。」
「なら、何をしているのかしら?」
「旅ですよ。」
「旅?あなたみたいな子供が?面白い冗談ね。」
「一応本当のことなんですけどね。」
「ならあなたは、私みたいな妖怪に出会ったらどうするのかしら?」
「もちろん逃げますよ、まあ、逃げても追いつかれるでしょうが。」
「ええ、その通りね。」
「だから、迎撃しながら逃げようかなと思うんですけど、どうですか?」
「まあ、確かに可能ではありそうだけどかなり低い可能性だけどね。」
「それじゃ、逃がしてくれるんですか?」
「別に、見逃してあげてもいいんだけど、条件があるわ。」
「いったいどんな条件ですか?」
「そうね、じゃあ殺しはしないから、私と少し戯れない?」
「戯れるって・・・・・人体のいくつかなくなるのを覚悟しろと?」
「ええ、まあそうね。」
「分かりました。生き残れるならその条件飲みますよ。」
「よかったわ、それじゃ早速・・・」
女性はそう言うと目の前から消えた。
「戯れましょうか!!」
次の瞬間、悠の上で傘を振りかぶり叩きつけてきた。
悠はそれを皮一枚のところで回避し距離をとった。
「あら、今のは避けるなんてなかなかやるわね。」
「あはは、どうも・・・・」
何だ今の、速いすぎて動きが見えないし、さっき避けれたのはマジで偶然だな。
だがどうする?迎撃をしようにも迂闊に近づいたら一瞬でやられるし、今の俺には、中距離からの攻撃方法が波紋しかないからな・・・・・どうする?
「あら、来ないのかしら?ならこっちからいかせてもらうわよ!」
「やばっ!!」
くそ、こんな時に瞬発力や動体視力があればいいのに!!
悠が少し後ろに下がると、ギリギリ体をそらすことにより攻撃を回避していた。
「へぇ〜すごいわね、今のも回避出来るなんて思いもしなかったわ。」
「はぁはぁ・・・・どうも・・・・」
あぶねぇ!この能力がなかったらやばかったな・・・・・てか、いつのまに俺能力を発動させたんだ?
まあいいか、どうにかして避け続けないと・・・・・
「じゃあ、これはどうかしら?」
女性は傘を前にかざすと傘の先に光が集まり・・・・
「マスタースパーク」
「ヤバッ!?」
その集まった光が悠に向けて発射されると同時に天燕剣を抜きマスタースパークを切り裂いた。
女性はマスタースパークが切られたことに驚いていたが、次第にその顔が凶悪な微笑みを醸(かも)し出していた。
「凄いわね、まさかマスタースパークを切る人間がいるなんて驚いたわ。」
「さすがに、同じことをやれと言われても無理なような気がしますが・・・・」
「面白いわねあなた・・・・名前なんて言うの?」
「・・・・悠です。そういうあなたの名前は?」
「ふふ、((風見|かざみ)) ((幽香|ゆうか))よ。」
「そうですか、じゃあ風見さんさっきのやつ切ったってことでそろそろ俺を逃がしてくれませんかね?」
「・・・・まあいいわ、それなりに楽しめたし。それに悠とはまた会えそうだしね。」
「俺としては次会うときは戦いたくはないですね・・・・・」
「どうなるかはあなた次第よ。」
「そうですか・・・・あと、聞きたいことがあるんですけど?」
「何かしら?」
「都ってどっちですか?」
「・・・・悠ってそんなことも知らずに旅をしてるの?」
「気にしないでください」
「まあいいわ、都はここを東に行ったとこにあるわ。じゃあ、次会うときはもっと強くなっててね?」
「ええ、できるだけ強くなりますよ。」
「その言葉が聞けただけども嬉しいわ。じゃあね悠。」
「ありがとうございました風見さ「幽香でいいわ」・・・幽香さん。」
そう言うと幽香は森の中へ消えていった。
「それにしてもさすがに死ぬかと思った・・・・」
いや、さすがにあれが切れたのは運がよかった。この能力がなかったら絶対直撃してたな・・・
しかも、あれで本気を出してないんだから本気はどれだけ強いんだよって話だよ・・・・
さて、都の場所の方向も分かったことだし、地図見ながら行きますか!!
悠はそう思い立つと都に向かって走り出していた。
〜〜都〜〜
さて都に来たのはいいが、どこで金を貯めよう・・・・・
さすがにこんなガキを面倒みてくれるとこなんてそうそうないだろうしな。
悠がまず都に来た理由は生活に必要な路銀を集めることだった。
王千から必要最低限の路銀は貰っているがさすがに旅をする途中で路銀が尽きてしまう。
そのためにもまずは路銀を貯めなければいけない。
「ほんとどうするかなぁ〜」
悠がそんなことを考えているところに3人の男が悠の目の前に立ちふさがっていた。
「おいおい、子供がこんなところにきてんじゃねぇよ。身ぐるみ剥がしちまうぞ。」
「ぎゃはははは!!それいいな!!」
「まあ痛い目みたくなかったらとっとと金目のもの置いてお家に帰りな」
「「「ぎゃははははは!!」」」
「はぁ〜」
悠は溜め息をつくと目の前にいた男の一人を殴り飛ばしていた。
当然男たちは何をされたかが分かっておらずに呆然としていた。
「すみませんね、邪魔です。」
「こっ、このガキ!!」
「ぶっ殺してやる!!」
活き込んだ男たちが悠を殴ろうとしたが悠はそれを受け止め男たちを軽々と投げ飛ばした。
「はぁ〜、なんで俺はこう面倒ごとに巻き込まれるのかな?」
悠がそう嘆いているところに白髪の老人が悠に声をかけた。
「そこのお前さん?」
「ん?何かようですか?」
「お前さんかなりの実力者と見た。それで、すまんがお前さんに頼みたいことがあるんじゃが?」
ああ、また面倒なことになりそうな予感が・・・・・・・
「はあ、それでなんでしょうか?」
「お前さんに、かぐや姫の護衛を任せたいのじゃ。」
「かぐや姫?」
かぐや姫ってあのかぐや姫か?竹取物語の?てか実在したのかよ!!
「なんじゃお前さん、かぐや姫を知らんのか?」
「いえ、俺はこの都に来たばかりですので今、都がどうなっているか知らないんですよ。」
「なんと、お前さんその歳で旅をしとるのか!!これは驚きじゃ!」
「と言っても、駆け出しなんですけどね。」
「じゃが、その歳で旅とはなかなか出来るもんじゃないぞ。儂の息子にも見習って欲しいものじゃ。」
「息子さんがいらっしゃるんですか?」
「おお、そうじゃ!!それで話は戻るのじゃがその儂の息子が命を落とすくらいっだったらかぐや姫の護衛をしたくないと言い出してな、困っておったところなんじゃ。そこでお前さんがその男共を一瞬のうちに吹き飛ばすところをみての、お前さんに息子の代わりにかぐや姫の護衛を任せたいのじゃ。大丈夫じゃ金は払う見たところお前さん金に困っとるんじゃろ。」
「ええ、そうですが。」
「じゃったら大丈夫じゃ!お前さんがこの話を受けてくれたらそれ相応の金は渡すどうじゃ引き受けてくれんか?」
う〜ん、かなり怪しいけどこのチャンスを逃すと金は入ってこないよな〜
めんどくさいけど受けるか。
「分かりました、その代わり護衛に失敗してもその金額の半分をください。もちろん断りませんよね?こっちは無理をしてそちらの条件に乗っているんですから。」
「それくらいいじゃろ、なんなら先払いでもいいぞ。」
「それはいくらなんでも気前が良すぎませんか?」
「いいんじゃよそのくらい、金なら腐るほどあるからの。」
「・・・・じゃあ、お願いします。」
「ははは、いいぞ!では引き受けてくれるんじゃな?」
「もちろん。」
「よし、なら早くかぐや姫のところへ行くぞい。」
「分かりました。」
こうして悠はこの老人の話に乗りかぐや姫の屋敷へ足を運んでいた。
このあと起きることも知らずに・・・・・・
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